広告とは?デジタル広告の役割や広告戦略について解説

広告とは、自社で所有していないプロパティに有料で配置し、顧客にメッセージを伝えて特定のアクションを起こすように促すコンテンツのことです。

目次

  • 広告とは何ですか?
  • プログラマティック広告とは何ですか?
  • マーケティングと広告の違いは何ですか?
  • 効果的に広告を出稿するにはどうすればよいですか?
  • どのような広告戦略を採用できますか?
  • 少ない予算で広告を出稿する方法はありますか?
  • 広告のターゲットとする顧客を見つけるにはどうすればよいですか?
  • デジタル広告と従来の広告はどのような点が異なりますか?
  • 数種類の広告を組み合わせて包括的な戦略を作成するにはどうすればよいですか?
  • デジタル広告によって、製品に対する顧客の関わり方はどのように変化しますか?
  • 広告戦略の強化にテクノロジーはどのように役立ちますか?
  • 不快感を与えることなく、広告を目立たせる方法はありますか?
  • 不適切な広告とはどのようなものでしょうか?
  • 今後、広告はどうなっていくのでしょうか?

重要ポイント

広告に関する様々な疑問に、Austin Meiselが回答します。Austinは、アドビの企業トレーニングチームに所属し、Adobe Advertising Cloud使用している顧客の検索連動型広告、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)、クリエイティブな取り組みに関するトレーニングを提供しています。アドビにおける6年間のキャリアを通して、顧客が検索連動型広告キャンペーンを管理するのを支援し、Adobe Advertising Cloudを利用してROIを改善するのを支援してきました。

広告とは何ですか?

広告とは、企業が製品やサービスについて広く一般に知らせるために使用する手法や取り組みのことです。企業が提供している製品やサービス、動機、アイデアなどに対する反応を促すのが目的です。

広告は、企業にとって不可欠なものです。特定の顧客セグメントやオーディエンスにメッセージを届け、特定のアクションを促すことを重視します。広告には、動画、ディスプレイ、検索連動型、ソーシャル、プリント、電子メール、ラジオ、TV、屋外など、様々な種類があります。

プログラマティック広告とは何ですか?

プログラマティック広告(広告自動取引)とは、広告をいつ、どこに出稿するのかを決定するプロセスの自動化と、購入プロセスを自動化する手法のことです。プログラマティック広告には、通常、3つの役割の人が関与します。

広告を出稿するバイヤー(広告主)、広告スペースを販売するパブリッシャー(媒体社)、その間で両社の関係を取り持つのがブローカーです。プログラマティック広告では、このブローカーの役割を自動化します。ターゲットとする顧客にリーチするために作成した基準にもとづいて、広告を出稿するのに役立ちます。

マーケティングと広告の違いは何ですか?

マーケティングの方が広範囲です。マーケティングには、調査を通じて顧客を理解することや、その情報を使用して、顧客に購入してほしい製品の価値を売り込むことも含まれます。顧客に自社の製品に関する情報を提供するだけではなく、製品が顧客にどのように関係するのか、顧客にどのような価値をもたらすのかを理解する活動でもあります。その理解にもとづいて、顧客にアクションを促すのが広告です。広告は、自社の製品やサービスについて、顧客の認知を高めるのが役割です。

効果的に広告を出稿するにはどうすればよいですか?

そのためには、目標を設定する必要があります。企業ではしばしば、広告がブランド力を高めるために利用する実体のないものとして認識されることがあります。特定の製品にブランドを結び付けて、ブランド力を高めることも広告の役割ですが、重要なのは達成に向けて取り組む目標を立てるということです。結果を受けて目標を変更しても構いませんが、常に何らかの目標を見据えて動き、データを分析して次に何をするべきかを把握することが肝心です。そうしなければ、ROIを高めることができず、広告の効果に確信が持てません。

優れたマーケティングや広告を展開するためには、自社の製品とその機能を理解し、さらに、誰が顧客で、誰がターゲットとするオーディエンスであるのかを確実に把握する必要があります。製品との関連性を表現する方法を考えずに作られた広告は、問題に突き当たる可能性があります。また、感情に訴えかける要素を製品やサービスに付加することも必要です。それらを踏まえたうえで、広告は、購買行動やコンバージョンを促進する行動を生み出すことを目標にします。

理想は、適切な場所とタイミングで、適切なコンテンツを用いてターゲットとするオーディエンスにリーチすることです。効果的に広告を出稿するためには、セールスサイクルの適切な段階で、適切なオーディエンスをターゲットにする必要があります。ブランドの検討を始めたばかりの初期段階の顧客をターゲットにするのか、すでに自社のブランドを選択し、さらなるオプションを探している顧客をターゲットにするのかを検討しましょう。

広告はそれぞれ、出稿する目標と顧客に促したい行動に応じて異なりますが、いずれにして顧客がセールスファネルのどの段階にいるのかを把握して、適切に広告をカスタマイズすることが重要です。さらに、期待する顧客行動につなげるために、やり取りの場面に合わせてコンテンツをカスタマイズする必要もあります。

どのような広告戦略を採用できますか?

繰り返す、という戦略があります。動画広告を見ていると、特定のフレーズが3回繰り返されていることが多いのに気が付きます。これは、3回繰り返されると長く記憶に残りやすという、科学的な根拠を背景にしています。

具体的にアピールする、という戦略もあります。特定の食品を食べると健康に良い、幸せを感じることができる。あるブランドのボディソープは美容に良く、贅沢な気分を味わえるなど、ブランド連想を顧客に植え付けます。

流行に乗るように誘う、という戦略もあります。他の人々がそのブランドを楽しんでいる様子を見せる、あるいは多くの人が参加しているのに参加しない理由を尋ねるなどの方法があります。

プロモーションの特典も戦略です。自社のブランドとやり取りすることを選択した顧客に、割引などの特典を提供します。

各戦略にはブランドのニーズに応じて独自の利点がありますが、なかでも繰り返しとブランド連想は有望な選択肢です。これらは広告の目的に立ち返り、顧客との感情的なつながりの確立を促します。

少ない予算で広告を出稿する方法はありますか?

予算が限られている場合は、労力を費やさなければなりません。ソーシャルメディアやSEO対策などに関する無償のリソースが数多くあります。検索連動型広告は大きな予算を投入するだけが手ではありません。キーワードの数を減らし、検索結果ページに表示されるテキスト広告を工夫して訴求力を高めることができます。ホームページやランディングページが効果的かどうか、確認することも重要です。

広告のターゲットとする顧客を見つけるにはどうすればよいですか?

1stパーティデータと利用者のアクションに関する行動データを入手して、さまざまな利用者が自社のサイトにアクセスしてきた経路を把握します。顧客が自社のブランドをどのようにして認知したのか、有料広告やオーガニック検索、電子メール広告を介してアクセスしてきたのか、ブランドと接触した際に何をしていたのかということを把握します。

デジタル広告と従来の広告はどのような点が異なりますか?

従来型の広告手法を超えるデジタル広告の利点として、デジタルではカスタマージャーニーをまたいで顧客を追跡しやすいという点が挙げられます。顧客についての情報が多く集まるので、顧客の行動を詳細に把握することができます。

例えば、ある人が検索連動型広告から自社のwebにアクセスし、ソーシャルメディアに移動して自社をフォローして、Instagramで自社の投稿した写真を閲覧していることなどを把握できます。自社ブランドを人々が各自で調べたり理解したりできるようにしたい場合は、おそらくデジタル広告が適しているでしょう。

しかしデジタル広告は費用がかさむこともあるので、ターゲットオーディエンスが明確でない場合や、効果的にリーチする方法がわからない場合、あるいはオーディエンスを追跡しない場合には、多くの費用を費やしても、期待したほどの成果が上がらないこともあります。

ブランドの特性や目標によっては、依然として従来型の広告のほうが適切である場合があります。新聞や雑誌に掲載されるプリント広告は、そのブランドがどういう存在で、何を主張しているのかといった本質部分を表現するのに向いており、そうした概念をオーディエンスに投げかけることができます。

プリント広告の問題点は、どのような人々にリーチしているのかを完全に把握することができないことです。新聞や雑誌が公表する発行部数などの統計値にもとづいて推測することはできますが、実際に誰が広告を見たかを示すデータは手に入りません。しかし、ブランド認知やブランドと特定の考えとの結びつきを形成する利点は得られます。例えば、Vogue 誌のような出版物に広告を掲載すると、自社のブランドと Vogue 誌が提唱するライフスタイルとの結びつきができます。それにより、ブランド名についての印象を世間に広められます。

多くの人々がオンラインでTVを見るようになり、TV広告は新たな市場への対応を進めています。どちらのソースを介しても、顧客を追跡し、つながりを作ることができるようになりました。従来のTV広告は視覚的にストーリーを語ることができるので、今でも広告主にとって有力な選択肢です。単なるフレーズや単一の静的な画像にとどまらないという意味で、インタラクティブな性質を備えています。TVとポッドキャストはどちらも、製品やサービスについてのストーリーを語ることができます。

数種類の広告を組み合わせて包括的な戦略を作成するにはどうすればよいですか?

多くの企業は様々な種類の広告キャンペーンを組み合わせて展開しようとしていますが、マーケティング予算が限られている場合があります。理想的には、異なる種類のチャネルをまたいで広告を繰り返し、顧客に働きかける方法がいいでしょう。例えば、顧客にディスプレイ広告を表示してから、動画広告で製品やサービスの利点を説明します。それぞれの広告が互いの価値を高め合うことで、提供される製品とブランドの重要性と信頼度を強固なものにします。

デジタル広告によって、製品に対する顧客の関わり方はどのように変化しますか?

かつては、顧客が実店舗を訪れ、様々な製品を確認したうえで、その中のひとつを選択する瞬間を「真実の瞬間」と呼んでいました。その後、自宅で製品を使用し、今後も使い続けるか、次は別のブランドにするかという決定を下していたわけです。

現在のデジタル広告時代では、顧客は複数のブランドをオンラインで調べ、ソーシャルメディアやディスプレイ広告、レビューを見て得られた結論をもとに製品を選択できます。顧客が自社のwebサイトを閲覧して、購入を検討するのは5分間程度のことであり、他ブランドのwebサイトに移動してしまえば検討される余地もなくなります。たとえ自社のブランドが購入する製品の最終候補に入れたとしても、顧客は購入を決定する最後の一瞬でまったく別のブランドを選択することさえもあります。

デジタル広告の問題点は、自社のブランドが購入を決定する過程のどこで脱落したのかを把握できないことです。顧客が心変わりをする瞬間に、適切な方法ですばやく対応し、顧客の関心を引くことのできる俊敏性が求められます。

広告戦略の強化にテクノロジーはどのように役立ちますか?

AIとマシンラーニング(機械学習)を利用した、履歴データの分析が強化の鍵を握ります。これらのテクノロジーを使用することで、行動パターンが似通っている顧客がエンゲージメントやコンバージョンをおこないそうなタイミングを絞り込みやすくなります。顧客に合わせて広告をカスタマイズし、それらを特定のカスタマージャーニー上で行動やニーズにもとづいて提示するテクノロジーは、顧客を理解して維持するのに役立ちます。

重要なのは、こうした領域に柔軟に適応できようになることです。テクノロジーは顧客理解を深める力となり、より効果的なターゲティングを可能にします。

ただし、過度な自動化に陥らないように注意する必要もあります。人間、すなわち広告主が意思決定に関与しなければならない部分は、まだ残されています。しかしAIやマシンラーニングは、企業がデジタルマーケティングの予算を最大限に活用して、ROIの高い効果的なキャンペーンを展開する場合に、実際に役立ち、有効な働きをするようになりつつあります。

不快感を与えることなく、広告を目立たせる方法はありますか?

マーケティングに活用される媒体社は、顧客に広告を届けるために様々な改良に取り組んできました。例えば、YouTubeに広告が追加されるようになった当時は、見たくもない広告が否応なしに表示されていました。これに対する解決策として、YouTubeは視聴者が5秒後に広告をスキップできるオプションを追加しました。それでも広告は顧客に表示されますが、それを見続けるか、あるいは興味がないからとスキップするかは、顧客自身が選択できるようになったのです。言い方を変えれば、広告主が自社のブランドに顧客を引き入れる時間が5秒確保されたということです。

広告主が人目をひく方法を探すときは、スマートであること、そして自社の製品の価値と顧客のニーズを理解することが必要です。

不適切な広告とはどのようなものでしょうか?

慎重さや思慮を欠き、世界で起きている出来事に対する意識が足りない広告は、不適切な広告と考えられます。通常、こうした広告が生まれる原因は、社会的な不適切さや、現在の市場に関する意識の欠如です。広告がどう見られるかということについての考えが不十分なのです。

また、他のブランドが生み出したものを真似るような、信頼性に欠ける広告も問題です。不正確な広告や製品についての誤解を招く広告も、不適切な広告と考えられます。

そのほか、ターゲティングが正確でない広告やブランドの顧客層に相応しくない広告も有効に機能しないでしょう。

今後、広告はどうなっていくのでしょうか?

現時点では、広告の個別化が進行しており、1stパーティデータへの注目が高まっています。顧客を特定し、その行動を把握して、それらの顧客をターゲットとしたり、リタゲーティングする方法を把握することが、現在のトレンドです。

データを収集することが重要であるため、プライバシーに関する法律や規制が大きな影響を及ぼします。これまでにもたびたび見受けられたように、データが限られていると、広告主が有効な広告を作成しにくくなり、適切な情報を顧客に提供することが困難になります。1stパーティデータに関して何らかの規制が追加されると、状況はさらに難しくなるでしょう。

しかし、米国では、顧客が広告主に対して情報を提供しないと、広告体験の質が低下することが理解されており、ある程度受け入れられているようです。関連性の高い広告が必ずしも表示されるわけではなく、それが不満の原因なることが認識されています。

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