AIとCMSの組み合わせで、何ができる?AIを搭載したCMSのメリットを解説

AIとCMSの組み合わせで、何ができる?AIを搭載したCMSのメリットを解説

AI(人工知能)の応用は、あらゆる分野に広がっています。デジタル顧客体験を担うCMS(コンテンツ管理システム)も、例外ではありません。AIとCMSを組み合わせると、どのようなことが可能となるのでしょうか?この記事では、AIを搭載したCMSにより、どのようなことが実現できるのか、詳しく解説します。

目次

  • 人と機械の組み合わせで目指すこと
  • 拡張知能がCMSにもたらすメリット
  • 拡張知能の事例
  • 人と機械が共に進化する時代へ

chapter

人と機械の組み合わせで目指すこと

人と機械の能力の融合は、かつてないほど加速しています。ニューラルネットワークを利用したディープラーニングの進化により、コンピューターの能力は高まり続け、より複雑な作業を処理できるようになっています。人は、機械の能力を利用することで、従来は不可能だった方法で、手間のかかるプロセスや反復作業を合理化し、最適化とクリエイティビティの限界を押し上げることができるようになりました。

しかし、これはほんの始まりにすぎません。機械は人とのやり取りを継続的に学習し、特定の作業をより効率的に処理できるようになります。「アクティブラーニング」と呼ばれるこのプロセスでは、人の行動に関するデータを収集し、それを使用してモデルを更新し続けることで、機械の精度を改善します。

こうした人と機械のパートナーシップは、AIを活用するための手法である「拡張知能」の中核を成しています。人間主導型のパートナーシップとも言えます。これによって人と機械は、それぞれの強みを最大限発揮することができます。例えば、AIは手間のかかる管理業務を効率的かつ効果的に処理することで、人の能力の限界を補うことができます。一方、人は、共感力、想像力、社会的知識を考慮することができます。

人と機械のパートナーシップである拡張知能を実現し、作業を自動化することで、認知能力、意思決定、パーソナライゼーションを強化することができます。これは、大規模な顧客体験の向上につながるだけでなく、エラーを削減し、人にしかできない作業に集中できるようになります。

chapter

拡張知能がCMSにもたらすメリット

AIや機械は、多くの作業において、考える、感じる、分析する、注意を払うといった、人と同じような能力を発揮することはできません。そのため、人と機械のパートナーシップである拡張知能が、AI活用の現実解なのです。そのため、拡張知能を導入する企業は増え続けており、ビジネスに大きな価値をもたらしています。

では、拡張知能はCMSに対して、どのようなメリットをもたらすでしょうか。まず挙げられるのが、コンテンツが膨大すぎて、人の手には負えなくなってしまう状況を、機械が支援する、という場合です。企業にとってのデジタル資産であるブランド画像や動画などのデジタルアセットは、DAM(デジタルアセット管理)によって、膨大なアセットコレクションを集中管理するのが一般的になりつつあります。そのとき、量の増加を想定した仕組みでなければ、アセット量の増加に従って管理の効率化も低下していくでしょう。どのアセットがどのように分類されるかを判別し、タグ付けする作業には、手間と時間がかかるからです。

また、コンテンツに対する人々の期待は高まり続けています。企業サイトなどのデジタルチャネルにアクセスした人々は、自身のニーズに沿った適切なコンテンツが見つかることを期待します。ソーシャルメディアでも、それぞれのプラットフォームの表現仕様や特性に合わせて調整されたコンテンツが配信されてしかるべき、と考えることでしょう。

そこで、拡張知能とCMSの組み合わせに、大きな期待がかかります。AIを利用すれば、コンテンツ管理ワークフローの主要部分を自動化できます。人は引き続き、アセットの企画や制作、施策の優先順位の決定、継続的なコンテンツの改善に取り組むことになります。しかし、自動化のおかげで、マーケターやクリエイターは、タグ付け、分類、検索のような単調な作業にかかっていた時間を削減し、より価値の高い施策に専念できるようになります。

chapter

拡張知能の事例

拡張知能の優れた事例のひとつめが、Adobe Stockです。Adobe Stockは、毎日膨大なアセットを収集し、画像や動画といった最新の多様なコンテンツライブラリを管理するリポジトリです。これほど大規模なコンテンツ基盤を実現できているのは、ひとえにAdobe Senseiのおかげです。Adobe Senseiは、アドビ独自のAIおよびマシンラーニング(機械学習)のエンジンです。

Adobe Stockでは、Adobe Senseiを利用して、提供されたアセットを自動的に絞り込み、アドビの品質基準を満たしているかどうか確認します。不鮮明や露出オーバーなどの低品質なコンテンツは除外されます。また、AIを利用して、画像にロゴや身元を特定できる人物が写っているにもかかわらず、使用許諾を締結していないなど、知的財産権の基準を満たしていない可能性があるコンテンツにフラグを立てたり、ブロックしたりします。こうしたコンピューターによる予測を、人間が新しいコンテンツ寄稿者とのやり取りで活用することで、これまで以上に効率的にコンテンツを収集できるようになります。Adobe Senseiは、人間による意思決定を学習し、マシンラーニングモデルを継続的に改善する好循環を生み出します。

ふたつめの事例は、膨大なUGC(ユーザー生成コンテンツ)を管理している、コンテンツプラットフォームやクリエイティブプラットフォームです。YouTubeがその典型的な例です。YouTubeは、著作権で保護されている楽曲がアップロードされた場合にすばやく検知し、コメントを自動的に絞り込み、モデレーターの作業を簡素化する、といったことを実現しています。

chapter

人と機械が共に進化する時代へ

拡張知能が、人間と機械の関係に変化をもたらしていることは明らかです。Gartnerも、それに同意しています。Gartnerの調査レポートによると、拡張知能が「転換期」にあると位置付け、2年から5年以内に主流化し、最終的に他のAIよりも多くのビジネス価値をもたらすようになると予測しています。これは、業界を問わず、データドリブン型ビジネスを推進するほぼすべての企業に対して、さまざまな利点をもたらします。

成熟前の現時点においても、多くの利益を享受することができます。優れたコンテンツシステムは、人間とAIの協働を促進し、かつてないほどのコスト効率性とスケーラビリティを既に実現しています。機械によって、優れたスピード、量、一貫性を実現できます。その機械を組み立て、学習を促し、必要に応じてアウトプットを調整するのは、人間です。人間は、想像力、共感力、ストーリーテリングなど、右脳の能力を発揮し、人間にしかできない方法でビジネスに貢献できます。両者に求められているのは、「一体化」することなのです。

関連資料

次のステップ

CMS分野のリーダーであるAdobe Experience Managerについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。