B2Bマーケティングの流れとは?実践方法や成功事例、B2Cとの違いを解説
B2B(BtoB)とは、企業(法人)が企業に向けて製品やサービスを提供するビジネスモデルのことです。近年、B2Bビジネスにおいて、顧客のニーズやウォンツを満たした製品やサービスを提供するためのマーケティングの存在が注目されています。
B2Bマーケティングは、なぜ行われるようになったのでしょうか。その理由と基本的な流れ、手法について総合的に解説します。
目次
- B2BとB2Cの基礎知識
- B2Bマーケティングが注目される理由
- B2Bマーケティングにおいて重要なプロセスマネジメント
- B2Bマーケティングの流れ
- B2Bでリードを獲得する代表的な6つの手法
- B2Bでリードを育成する代表的な4つの手法
- リードナーチャリングから営業と連携して受注へ
- B2BのリードナーチャリングにMAを活用しよう
- B2Bマーケティングの事例
- MAを活用した顧客とのタイムリーなコミュニケーション
B2BとB2Cの基礎知識
B2Bマーケティングについて考える前に、B2BとB2Cというビジネスモデルについて簡単に整理しておきましょう。
B2Bとは?
B2Bは「Business to Business」の略で、企業(法人)が企業に向けて製品やサービスを提供するビジネスモデルを指します。
<B2Bビジネスの例>
- 法人向け融資
- 企業の経営コンサルティング
- ITシステムの構築
- 工業用製品の製造および販売
上記のようなものが、B2Bビジネスにあたります。企業と企業の取引なので、一度に動く金額が大きいのが特徴です。日常生活ではあまりなじみのない商材も多く、ニッチであるがゆえに専門性が求められることが多いでしょう。
B2Cとは?
B2Cは「Business to Customer」の略で、企業(法人)が一般消費者である個人に向けて製品やサービスを提供するビジネスモデルです。
<B2Cビジネスの例>
- コンビニエンスストア
- 通販サイト
- 旅行業
上記のように、私たちの生活になじみが深い企業が多くを占めています。
B2Cに比べると取引ごとの受注単価は低めですが、どのように利用されるのかがイメージしやすく、社会貢献の実感を得やすいのが特徴です。
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マーケティングにおけるB2BとB2Cの違い
次に、マーケティングにおけるB2BとB2Cの違いについて見ていきましょう。
B2BとB2Cには、次のような違いと共通点があります。
単価の違い
B2Cは、典型的には、個人が収入の範囲内で購入できる製品やサービスを販売しています。一方で典型的なB2Bでは、ビジネスツールやコンサルティングなど、企業に向けたニッチなものが中心で、一つひとつが高単価です。
ただし、B2Cでも住宅や車などのように、高単価な商材があります。一方でB2Bでも、事務用品や出張旅行のように、低単価な商材があります。このように、B2C/B2Bという二元論では一概に区分けできないビジネスモデルも数多く存在する、ということを了解したうえで、典型的な区分けとして理解するとよいでしょう。
意思決定者の違い
B2BとB2Cでは、「買うかどうかを決定する」意思決定者も、大きく異なります。
B2Cの場合、意思決定のプロセスは非常にシンプルで、多くは取引相手である消費者本人が購入の意思決定者であり、決裁者です。そのため、意思決定者の購買意欲を高めるには、製品やサービスを使用する個人が抱える課題やニーズを想定した、感情に訴えかけるマーケティング施策が有効です。
一方、B2Bの場合、購買の意思決定までに複数の担当者が介在し、複雑な意思決定プロセスをたどります。前述したように1件あたりの単価も高いため、窓口となる担当者がある製品を認知して興味を持ったとしても、すぐ購入に至ることはほぼありません。
そのため、購買につなげるには、競合他社との比較材料に使える導入コストや費用対効果のほか、会社の信頼性や優位性といった客観的なデータを伝えるのが有効です。
一人だけの感情を動かすのではなく、購買までに存在する複数人を納得させる必要があります。
マーケティングにおけるB2BとB2Cの共通点
B2BとB2Cでは、扱う商材もアピールするチャネルも異なりますが、相手を知り、最適なタイミングで最善の情報を伝えることが購買につながる点は同じです。
B2BかB2Cかにかかわらず、マーケティングを行う際には下記の4つを意識するといいでしょう。
<マーケティングで意識すること>
- 「何を、誰に売るのか」を明確にする
- 顧客となる個人、もしくは法人を深く知る
- 課題解決のために何ができるかを考える
- 必要なタイミングで情報を伝えて購買につなげる
B2Bマーケティングが注目される理由
これまで、B2Bビジネスを行う多くの企業はマーケティングの概念を持たず、顧客との接点は営業が足で稼ぐものとされてきました。
近年、B2Bマーケティングに注目が集まるようになった背景には、B2Bビジネスをとりまく環境の変化と、顧客の意識の変化があります。
B2Bビジネスをとりまく環境の変化
従来のB2Bビジネスは、下記のような流れが一般的でした。
<従来型B2Bビジネスの流れ>
- 飛び込みやテレアポなどで顧客にアプローチする
- 信頼関係を構築して購買につなげる
- ルート営業で定期的に接点を作り、リピートを狙う
しかし、市場が成熟するにつれて、従来のアプローチでは顧客の囲い込みが難しくなりました。特に、メイン商材がハードウェアから「SaaS」や「クラウド」といったソフトウェアへ移行したITサービスなどでは、収益モデルが買い切り型から定額制のサブスクリプション型へと切り替わったことで、サービス移行へのハードルが下がり、一度築いた信頼関係が長く続くことを前提としたビジネスが成り立たなくなっています。
そこで、より効率的で成約率の高い方法で新規顧客を開拓し、一度築いた顧客との関係性を維持するために、B2Bにおいてもマーケティング活動が重視されるようになったのです。
IT化が進み、顧客側の情報収集が容易に
インターネットが発達し、スマートフォンが普及したことで、B2Cの消費者だけでなくB2Bの担当者もデジタルでの情報収集を好むようになりました。
B2Bの担当者は、購買に至るまでに平均7.9件のタッチポイントで情報を集めているというデータもあります。(Forrester「B2B and B2C Companies Can Face Similar Hurdles With Complex Buyer Journeys(バイヤージャーニーの複雑化は、B2B企業とB2C企業の共通課題)」2019年5月)
ビジネス環境のIT化は、企業の担当者の情報に対する意識を大きく変えました。これまでのように、担当営業が情報を持ってくるのを待つのではなく、自分で調べて得た情報を比較検討し、自社にとってより良いものを能動的に選ぶ傾向が顕著になったのです。
こうした顧客の行動の変化も、B2Bでマーケティング戦略が求められるようになった、ひとつの要因であるといえます。
B2Bマーケティングにおいて重要なプロセスマネジメント
B2Bは、B2Cに比べて検討から購買までの期間が長いという特徴があります。なぜなら、両者の違いの部分でも述べたように、B2Bには意思決定者が複数存在し、多くの稟議を経て購買の有無が決まるからです。
そこで重要なのが、「プロセスマネジメント」という考え方です。
プロセスマネジメントとは、顧客の購買プロセスを分解し、管理することによって購買行動を前進させる取り組みです。
一般的な消費者の購買プロセスは、1920年代に提唱された「AIDMAモデル」にもとづいて考えると、次のように変遷するといわれています。
テレビやCM、webサイトなどで顧客の注意を引き、商品を認知させる
↓
Interest(興味や関心)
商品やサービスを訴求する
↓
Desire(欲求)
商品やサービスへの欲求を持たせ、手に入れて満足したいと考えさせる
↓
Memory(記憶)
商品やサービスのことを覚えさせる
↓
Action(行動)
商品やサービスを購入させる
時代が進み、インターネットの普及に伴って消費行動が変化した現在では、下記のような「AISASモデル」も一般化しています。
↓
Interest(興味や関心)
↓
Search(検索)
検索エンジンを使って、商品やサービスについて検索させる
↓
Action(行動)
↓
Share(共有)
購入した商品、サービスに対する感想や評価をネット上で共有させる
こうした購買プロセスは、B2Cだけでなく、B2Bビジネスにおいても適用可能で、いくつかのステージに分解可能です。
B2Bでは、これまで述べてきたようにこのプロセスが長期間にわたり、かつビジネスモデルによってプロセスが様々なため、一般的なモデルを当てはめるのではなく各社それぞれに合ったプロセスを設計することをお勧めします。そして、分解された各ステージの顧客がどのような状況に置かれているのかを見極め、ニーズに合った適切なアプローチをして購買を促します。
1つの例として、アドビのB2Bビジネスにおける購買プロセスをご紹介したガイドをご用意しております。自社の設計にお役立てください。
B2Bマーケティングの流れ
では、具体的なB2Bマーケティングの流れについて確認していきましょう。
B2Bマーケティングでは、顧客の購買に向けて下記のような活動を行います。
<B2Bマーケティングの流れ>
- 顧客のニーズを知る
- ニーズに合った商品を作る
- 見込み顧客(リード)を獲得する「リードジェネレーション」
- 見込み顧客(リード)を育成する「リードナーチャリング」
- 営業に情報を共有し、案件化、商談化する
- 受注する
- 顧客との関係を維持する
- 顧客の満足度を確かめ、PDCAを回す
このうち、プロセスマネジメントにもとづいてB2Bマーケティングを実施する際に注力すべきなのは、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「営業への共有」の3つのプロセスです。
以下の項目で、各プロセスにおけるマーケティング手法を具体的に見ていきましょう。
B2Bでリードを獲得する代表的な6つの手法
まずは、マーケティング分野でリードと呼ばれる見込み顧客を獲得するリードジェネレーションのプロセスを、メリット、デメリットとともにご紹介します。 リードジェネレーションの手法は、主に下記の6つがあります。
展示会出展
展示会への出展は、当該分野に強い興味を持っていて、リードになりやすい来場者と一度にたくさん接触できるため、多くのB2B企業が行っている手法です。 会場は首都圏なら幕張メッセや東京ビッグサイト、関西圏ではインテックス大阪などが多く、参加企業は各ブースに実機を展示したり、ホワイトペーパーや導入事例をまとめた冊子を用意したりしてリードにアピールします。
<展示会出典のメリット>
- オフラインのイベントなので、ブースに立ち寄ってくれた来場者とその場で直接話ができる
- 受注確度によっては、すぐに商談へ移行できる
<展示会出典のデメリット>
- 出展に多額の費用がかかる
- 準備期間と、準備のための人員が必要
Webセミナー:収益に貢献する効果的なイベントマーケティングのあり方
営業効率を高めるための営業とマーケティングの連携の仕組みづくりとその取組み事例をご紹介します。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、企業の製品情報サイトやブログなどで、ターゲットに対して有益な情報を発信するコンテンツを提供し、潜在顧客の興味を引いて集客する手法です。 顧客が関連するキーワードで検索したときに上位表示されることが重要なので、基本的にはSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とセットで行われることが多いでしょう。
<コンテンツマーケティングのメリット>
- 一度コンテンツを作っておけば、継続的にリードに働きかけることができる
- 能動的に関連する情報を収集している、意識の高いリードを獲得できる
<コンテンツマーケティングのデメリット>
- コンテンツの質が低いと、せっかく閲覧してくれてもコンバージョン(企業が求める最終的な成果)に結びつかない
- ある程度のコンテンツ数が必要
- 検索エンジンでの上位表示を維持するため、随時メンテナンスを行わなければならない
コンテンツマーケティングの基本から実践までを学ぶには、以下のガイドが参考になります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、リードの課題解決につながりそうな情報を資料としてまとめたものです。 製品のサービスページや、コンテンツマーケティングを行っているブログなどでホワイトペーパーを紹介し、個人情報を入力した人だけに提供することによって、リードを獲得します。
<ホワイトペーパーのメリット>
- 個人情報を提供してでもホワイトペーパーが欲しいというリードは、その時点で製品やサービスに興味
- 関心があるため、確度が高い
- メールで定期的に商品やサービスの情報、ビジネスに役立つ情報などを送って信頼関係を築き、受注の確度を上げることができる
<ホワイトペーパーのデメリット>
- 制作に時間と人員が必要
カンファレンス、セミナー、ウェビナー
専門家や現場の責任者などが登壇して参加者とともに議論するカンファレンスや、自社製品やソリューションを紹介するセミナーは、継続的に新規リードの獲得が見込める重要なマーケティング施策のひとつです。また、ビデオ通話ツールの普及や新型コロナウイルス感染予防を背景に、セミナーをweb上で行うウェビナーも重要度を増しています。
<カンファレンスやセミナーのメリット>
- 開催時に明確なテーマを掲げるため、興味のある人だけが集まる
- 一度にたくさんの来場者が見込める
- オフラインイベントでは商談に結びつきやすい
<カンファレンスやセミナーのデメリット>
- 開催や集客に多額の費用がかかる
- 準備期間と準備のための人員が必要
ここ最近注目を集めるウェビナーを効率的に開催する方法は、以下の記事をご覧ください。
web広告
IT化が進み、webで情報収集する担当者が多いため、web広告の重要度も増しています。
web広告は、手法によってメリットとデメリットが異なりますので、目的に応じて使い分けたり、複数の手法を組み合わせたりする必要があります。
リードの獲得が期待できるweb広告には、下記のようなものがあります。
リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンで検索したときに検索結果の上下に表示されるテキスト広告のことを指します。
メリットは、検索キーワードに関連する情報として表示されるため、課題が顕在化していて製品やサービスに関心があるリードを獲得しやすいことです。一方で、検索していないユーザーにはリーチできないというデメリットがあります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、さまざまなサイトの広告枠に、画像やテキストで広告を掲載する手法を指します。
メリットは、ターゲットの属性に合わせて広告が配信されるため、課題は顕在化していなくても自社商材に興味を持ちそうな層や、既存顧客と似た属性を持つ層にアプローチすることができることです。一方で、リスティング広告よりもコンバージョンにつながりにくいというデメリットがあります。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度自社サイトを訪れたものの、離脱してしまった顧客を追跡し、Yahoo!やGoogle、およびその関連サイトにバナー広告やテキスト広告を表示して、再訪を促す広告を指します。
メリットは、一度は興味を持った相手に対してアプローチするため、無関心なユーザーが大半を占める広告よりもコンバージョンにつながりやすいことです。一方で、自社サイトに来訪していないユーザーにはリーチできないというデメリットがあります。
SNS広告
SNS広告とは、FacebookやTwitter、LinkedInをはじめとしたSNS上で、タイムラインに表示させる広告のこと。SNSは、運営側がユーザーのプロファイルを保有しているためターゲティング精度が高いことに加え、ユーザー数が多く利用時間も長い傾向がありますので、広告効果が高くなるというメリットがあります。
テレアポ
テレアポとは、営業がリストをもとにターゲットに電話をかけ、自社および自社の製品やサービスを簡単に紹介して、対面での商談の約束をとりつける活動のことです。リードジェネレーションの最もオーソドックスな手法で、昔から行われています。
<テレアポのメリット>
- 用意するものは電話とリスト、トークスクリプト程度なので、事前準備が少なくすぐに始められる
- リストに対して架電するだけで、リードの情報を獲得できる
- 高度な技術がなくても実施できる
<テレアポのデメリット>
- 近年は企業のセキュリティ意識が向上し、一度会って名刺交換しているケースなど、担当者と面識がある場合を除いて、テレアポを取り次いでもらえないケースが増えている
- トークのスキルが属人的になりがちで成約率が低く、投資対効果がそれほど高くない
B2Bでリードを育成する代表的な4つの手法
リードナーチャリングとは、見込み顧客の関心や購買意欲を高めていくことをいいます。
リードを獲得した後、何らかの形で継続的にコミュニケーションをとり、「もっと話を聞きたい」「検討したい」という気持ちが上昇したのを見極めた上で、営業につないで商談に結びつけます。
リードナーチャリングの代表的な手法は、下記の4つがあります。
メールマーケティング
メールマーケティングとは、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードといった行動を起こしたリードに対して、メールでアプローチする手法のことです。
これにはメルマガも含まれますが、従来型のメルマガのように一方的に情報を届けるだけでなく、資料請求や購買など、具体的な行動変容につなげる工夫をしている点が大きな違いです。
一定の期間を置いて成功事例や活用方法を配信し、記憶を呼び覚まして再び検討してもらうステップメールの配信もよく行われます。
お客様との関係を作るメールマーケティングについては、以下のebookで詳細をご紹介しています。
セミナー開催
製品やサービスに関連するテーマのセミナーの開催は、実際に足を運んで話を聞きたいと思っている意識の高いリードと直接的なコミュニケーションをとることができるという点で優れた手法です。
顕在化したリードから、購入可能性の高いリードを選別する際にも活用できます。
ebookやホワイトペーパーなどの読み物
マーケティング領域でいうebookやホワイトペーパーとは、いわゆる単体で販売される電子書籍ではなく、無料でダウンロードできる資料を指します。業界の最新情報や事例などをまとめ、ソリューションのひとつとしてタイムリーに提供することで、リードの興味をさらに高め、製品やサービスを自分事として捉えてもらえる可能性が高まります。
リターゲティング広告
リードジェネレーションでも紹介したリターゲティング広告は、リードナーチャリングでも有効です。
購買までの期間が長いB2Bビジネスでは、リターゲティング広告で自社製品を想起してもらうタイミングを増やすことで、コンバージョンにつながりやすくなります。
リードナーチャリングから営業と連携して受注へ
マーケティング部門は、獲得したリードのナーチャリングが十分に行われた時点で、営業部門にリードを引き継ぎます。このとき、営業がフォローのタイミングを逃さないよう、引き継ぎの基準を明確化しておくといいでしょう。
マーケティングと営業の連携は、SFA(Sales Force Automation)を活用することで、よりスムーズになります。
SFAとは、既存顧客、見込み顧客、潜在顧客の属性からアプローチの内容、商談結果まで、あらゆるデータを一元的に管理することによって営業の動きを可視化し、最適化することを目的としたツールです。マーケティングで獲得したリードの情報を入力しておくことで、マーケティングから営業への橋渡しにも活用することができます。
また、インサイドセールスとフィールドセールス(訪問営業)の連携や、失注顧客のフォローアップといった場面でも、SFAは有効です。
インサイドセールスとの連携
リードが多く、フィールドセールスで対応しきれない場合には、電話やメール、web会議ツールなどを使って顧客にアプローチするインサイドセールスが活躍します。
SFAを利用すれば、活動履歴や会話履歴を引き継ぐことができるため、インサイドセールスとフィールドセールスの連携もスムーズです。
失注顧客のフォローアップ
潜在顧客の中に含まれるのが、商談まで進んだものの失注した過去の顧客や、何らかの理由でアプローチが止まってしまった休眠顧客です。
営業の属人的な管理になりがちな失注顧客を、SFAで一元管理することにより、タイムリーにフォローアップすることができます。
B2BのリードナーチャリングにMAを活用しよう
B2Bのリードナーチャリングでは、MA(マーケティングオートメーション)を導入することによって、マーケティング施策の立案から実施、効果検証、改善案の作成まで、一連の流れをより効率的に行うことができるようになります。主な機能は、下記の3つです。
顧客情報の収集、蓄積
顧客の属性や行動情報などを一元的に管理することによってセグメントを容易にし、適切なタイミングで顧客にアプローチすることができるようになります。
見込み顧客の育成
商談履歴や購買履歴などをもとに適切なタイミングでアプローチを行い、見込み顧客の関心や購買意欲を高めます。
マーケティング施策の分析
マーケティング活動の中で売上に貢献している部分はどこか、どのくらい投資対効果があったのかといった点を可視化し、次の施策に活かします。
規模や業種を問わず活用が進むMA
マーケティングの重要性が認識されるようになった近年では、大企業だけでなく中小企業やスタートアップ企業でもMAの活用が進んでいます。B2B企業はもちろん、金融やメデイア、小売業といったB2C企業でも、顧客との関係を維持し強化する目的でMAを導入するケースが増えました。
MAを提供している企業では、それぞれのニーズに合ったMAの活用を実現するため、コンサルティングサービスやサポートサービスを実施しています。導入フェーズから、基本的なオペレーションが社内で完結できるようになるまでは、こうしたサービスを活用するのもおすすめです。
MAについては、下記の記事で詳しく解説しています。
アドビが提供するMA製品「Adobe Marketo Engage」でも、コンサルタントがさまざまなケースに対してスムーズな立ち上げを支援するほか、オプション機能の提供などを行っています。
B2Bマーケティングの事例
実際に、B2BマーケティングにAdobe Marketo Engageを活用した事例を見ていきましょう。
「トヨコン」が従来型の営業スタイルから脱却し、問い合わせ数と受注率向上
2019年に創立55周年を迎えた、愛知県豊川市に本社を構える総合物流会社、株式会社トヨコン。包装資材、倉庫管理、システム開発、省人化機器、包装設計、梱包業務の6つの事業を手掛け、愛知県を中心に7つの営業所と5つの事業所を持っています。
同社が「Adobe Marketo Engage」を導入したのは、従来の営業スタイルから脱却するため。飛び込み営業、ルート営業といった昔ながらの営業スタイルでは売上の拡大に限界があると考え、Adobe Marketo Engageを活用した営業の効率化に挑んだのです。
とはいえ、課題は山積していました。
<トヨコンの営業およびマーケティングにおける課題>
- 一切、マーケティングを行ってこなかったため、社内でAdobe Marketo Engageの必要性について理解が得られない
- リードナーチャリングに必要なコンテンツの不足
- 刷新されていないコーポレートサイト
- 顧客管理システムが未導入で、データ活用できる環境にない
これらの課題を受けて、トヨコンはさまざまな施策を実施しました。
<課題解決のために行った施策>
- 顧客管理システムとして、名刺管理ツールの「Sansan」を導入
- メール配信に必要なデータを収集
- CMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入し、webコンテンツを拡充
- Adobe Marketo Engageを導入
名刺管理ツールで顧客データを蓄積し、そのリストに対してAdobe Marketo Engageでメールを配信、コンテンツマーケティングで作成したwebサイトへ誘導するという流れを確立。これらの施策を実施した結果、問い合わせは以前の15倍に増加。さらに、問い合わせからの受注率も20%を超えるなど、非常に高い成果を発揮しています。
MAを活用した顧客とのタイムリーなコミュニケーション
B2Bマーケティングを行う際、マーケティング部門の仕事はリードの獲得からナーチャリングまでだと思われがちですが、獲得、育成したリードを確実に受注につなげる営業との連携も、非常に重要なポイントです。
マーケティング部門と営業部門が漏れなく、スピーディーにホットリードの情報を共有し、顧客にとって最適なアプローチを実現できるよう、積極的にテクノロジーを活用しましょう。
アドビが提供するMA製品「Adobe Marketo Engage」は、あらゆる規模や業種の企業で幅広く採用されているマーケティングプラットフォームです。