行動分析とは?分析の進め方や活用法について解説
行動分析とは、顧客がモバイルアプリやwebサイトなどのブランドプロパティをどのように利用しているのかを明らかにし、そのプロパティのどのような要素が顧客エンゲージメントを促進しているのかを特定するデータ分析手法のことです。
目次
- 行動分析とは何ですか?
- 行動分析はなぜ重要なのですか?
- 行動分析はどのように実行するのでしょうか?
- 企業はどのように行動分析を活用していますか?
- 行動分析はどのように進化してきたのですか?
- 行動分析は今後、どのように進化していきますか?
重要ポイント
- 行動分析では、顧客が何をどのようにおこなったのかを分析することで、マーケターがその理由を把握することができます。
- マーケターは、webサイトやモバイルアプリ、コールセンター、デジタルヘルプデスク、課金システムなどから行動データを収集できます。
- 行動分析をおこなうことで、意思決定者はターゲットオーディエンスをより詳細に把握し、魅力的な製品、サービス、体験を生み出すことができます。
- 今後、行動分析システムは、オンラインとオフラインの行動をつなぎ合わせ、それぞれがどのように影響を与え合っているのかを把握できるようになるでしょう。
行動分析に関するさまざまな疑問に、Travis Sabinが回答します。Travisは、Adobe Analyticsのプリンシパルプロダクトマネージャーです。分析およびマネージメントの分野で10年以上の経験があり、Adobe Analyticsの初心者が分析ワークスペースを使用して、企業や顧客についてより詳細に把握できるようにサポートする役割を担っています。
行動分析とは何ですか?
行動分析とは、顧客がモバイルアプリやwebサイトなどのブランドプロパティをどのように利用しているのかを明らかにし、そのプロパティのどのような要素が顧客エンゲージメントを促進しているのかを特定するデータ分析手法のことです。行動分析では、カスタマージャーニー全体で顧客体験を観察しながら、定性的および定量的な分析をおこないます。行動分析では、顧客が何をどのようにおこなったのかを分析することで、マーケターがその理由を把握することができます。
マーケターは、webサイト、モバイルアプリ、コールセンター、デジタルヘルプデスク、課金システムなどから行動データを収集できます。このデータには、ページの閲覧、イベントやプログラムへの登録、メールリストへの登録といった顧客のアクションが含まれます。
行動分析では、マーケターはこれらのアクションを「イベント」と呼び、そのイベントのメタデータ(誰が、いつ、どこでおこなったのか)を「プロパティ」と呼びます。
行動分析はなぜ重要なのですか?
行動分析をおこなうことで、意思決定者はターゲットオーディエンスをより詳細に把握し、魅力的な製品、サービス、体験を生み出すことができます。その分析結果にもとづいて、企業は重要業績評価指標(KPI)を満たすための取り組みを最適化できます。
行動分析には、ターゲットオーディエンスの理解を深める以外にも、さまざまなメリットがあります。
● コンテンツの最適化を強化。 行動分析の結果は、マーケターがキャンペーンを改善する、最も価値のある顧客セグメントをターゲティングする、潜在顧客が最も頻繁に利用するチャネルでアプローチするなど、さまざまな場面で役立ちます。また、最適化されたコンテンツは、webサイトのトラフィックとブランドの評判を高めます。
● *顧客維持率を改善。*マーケターは、継続的に、行動分析を利用して顧客がつまづきやすい箇所を特定し、それを取り除くことで、よりロイヤルティの高い顧客を維持できます。顧客の行動を分析することで、顧客がカスタマージャーニーのどこでつまづき、求める情報を得るためにどこで手間取り、どのような商品やページをよく利用しているのかを特定することができるので、継続的にそれらのアセットを改善しつつ、更新できるようになります。
行動分析はどのように実行するのでしょうか?
行動分析の具体的なアプローチは、使用している分析基盤によって異なりますが、一般的には次のようなプロセスになります。
- 1. オーディエンスのセグメント化。 自社のビジネスにとって最も価値のある特性にもとづいて顧客を分類します。年齢、職業、場所などの属性に加えて、どのようなメディアを利用しているのか、どのくらい活発にオンラインを利用しているのかなどの関連する習慣を調査できます。
- 2. モチベーションの見極め。 顧客セグメントごとに作成したペルソナプロファイルを拡張し、顧客の動機や価値観を調べます。そのタイプの顧客がなぜ自社のビジネスを選ぶのかを見極めます。顧客のニーズを明確にして、そのニーズに応えることによって顧客満足度を高めることができます。
- 3. 定量データの収集。 上のふたつの手順は定性データに焦点を当てたものですが、包括的なデータ分析には、定性データと定量データの両方が必要です。分析基盤を利用すれば、最も適切かつ興味を惹くイベントやプロパティにもとづいてデータを追跡し、タグ付けすることができます。これには、ページビューやクリック率などの指標のもとになる数字も含まれます。
- 4. 比較と分析。 定量的な指標と定性的な指標を組み合わせることで、カスタマージャーニーをマッピングし、どこが効果的で、どこを修正する必要があるのかを明らかにできます。どのペルソナが特定の商品やサービスを購入したのか、ロイヤルティの高い顧客になったのか、また望ましい結果を得られなかったのかを検証できます。また、ペルソナをまたいで傾向を把握することで、最初に取り組むべき大きな課題を特定することもできます。
- 5. 変更を加える。 顧客の行動パターンに関する新たなインサイトが得られれば、マーケターは情報にもとづいた意思決定をおこない、顧客体験を改善することができます。
Adobe Analyticsのような分析基盤を利用すれば、カスタマージャーニーのあらゆる接点からデータを収集して、分析できます。また、マーケターは、AI(人工知能)やマシンラーニング(機械学習)を利用する分析ツールの予測分析機能を活用して、隠れた機会を明らかにすることも可能です。
企業はどのように行動分析を活用していますか?
企業は行動分析をさまざまな形で活用していますが、その中でも代表的なものは次のとおりです。
- ファネル分析:
マーケターは、マーケティングファネルおよびセールスファネルを分析することで、顧客が商品を購入する、イベントに登録する、サービスを購読するなど、望ましい結果に到達するまでの段階を把握できます。行動データは、何人がプロセスを通過しているのか、どの段階で潜在顧客を失っているのか、どの段階で顧客がつまずいているのかを把握するのに役立ちます。 - 指標の追跡:
行動分析のもうひとつのアプローチは、特定のページや商品とのインタラクションを追跡し、ページビュー、クリック数、コンバージョン率などのデータを収集することです。 - リテンション分析:
リテンション分析は、マーケターが、新規顧客のロイヤルティを高める方法を把握するのに役立ちます。現在の戦略が、顧客を呼び戻すのにどのくらい効果があるのかを確認し、顧客離れを減らすための改善をおこなうことができます。
行動分析はどのように進化してきたのですか?
企業は、ソーシャルメディアやeコマースが出現する前から、顧客がなぜそのような行動を取ったのか、なぜ購入することにしたのか、さらに重要なのは、なぜ目的とする行動を完了しなかったのかを把握したいと考えていました。デジタル時代になって、顧客の行動を読み解くことがはるかに容易になりました。
行動データの収集は、シンプルなページビュー計測から始まりました。これが、より洗練されたwebページトラッキングへと発展したのです。現在では、マーケターは、デスクトップPCやモバイルのwebサイトやアプリなどを含め、複数のブランドやプラットフォームをまたいで顧客の行動を追跡できます。
行動分析は今後、どのように進化していきますか?
今後、行動分析システムは、オンラインとオフラインの行動をつなぎ合わせられるようになり、分析者は、それぞれがどのように影響を与え合っているのかを把握できるようになるでしょう。AIとマシンラーニングにより、行動分析のプロセスは今後ますますスピードアップし、顧客インサイトはリアルタイムで提供され、数分で詳細なレポートが作成されるようになります。