消費者マーケティング
用語集:用語
クイック定義
消費者マーケティングとは、個人向けに個人が使用する商品やサービスを販売するために、データを利用してパーソナライズされた体験を提供するなど、様々なマーケティング戦略を通じて取り組むことです。
重要ポイント
● 消費者とは、自分または他人のために非営利目的で物品を購入する人のことです。
● 消費者向けブランド(B2Cブランド)は、企業向けブランド(B2Bブランド)よりも、感情に訴えるマーケティングアプローチを取る傾向があります。消費者ブランドのメッセージでは、B2B顧客が重視するROI(投資回収率)ではなく、顧客に購入してよかったと感じてもらえる必要があります。
● 3rdパーティCookieの廃止に向けて、企業の経営陣やマーケティング部門は、同意にもとづいて顧客データを収集して活用するよう、方針を転換する必要に迫られています。その際、利用者が、提供される体験の価値が向上することを理由に、自身のデータ共有に応じるか否かはブランド次第です。
消費者マーケティングに関する様々な疑問に、Juan Sebastian Caicedoが回答します。Juanは、アドビのポートフォリオマーケティング責任者です。マーケターとして豊かな経験を誇り、デジタルマーケティング戦略、マーケティング分析、顧客調査、キャンペーンオーケストレーションを専門としています。
消費者マーケティングと企業向けのマーケティングの違いは何ですか?
効果的な消費者マーケティング戦略にはどのようなものがありますか?
消費者マーケティングはデータと感情のどちらに大きく依存していますか?
消費者マーケティングのツールにはどのようなものがありますか?
質問:消費者マーケティングとは何ですか?
回答: 消費者とは、自分または他人のために非営利目的で物品を購入する人のことです。企業は消費者に販売するために、消費者向けのマーケティングキャンペーンをおこないます。キャンペーンのメッセージは、潜在顧客の獲得と既存顧客の維持の両方に焦点を当てます。マーケターは、新規顧客を獲得し、顧客のロイヤルティを高める必要があります。これには様々な方法がありますが、そのひとつが、1stパーティデータや3rdパーティデータを利用して、既存顧客や潜在顧客のブランド体験をパーソナライズすることです。
質問:消費者マーケティングと企業向けのマーケティングの違いは何ですか?
回答:B2C(企業対消費者)マーケティングとB2B(企業対企業)マーケティングの違いは、まず、その規模にあります。消費者ブランドは、潜在的に無限とも言える顧客を有しています。しかし、B2Bマーケティングでは、製品やサービスがターゲットとする市場や地域で活動する企業は限られています。
もうひとつの違いは、最終的に誰が購入を決定するかということです。消費者マーケティングでは、マーケターは通常、製品やサービスの購入を決定するひとりの意思決定者に直接語りかけます。B2Bマーケティングでは、セールス部門は通常、企業内で様々な役割と責任を持つ人々のグループを対象とします。そのグループには、最終的な意思決定者が含まれている場合と含まれていない場合があります。
B2BマーケティングとB2Cマーケティングの3つ目の違いは、メッセージです。消費者向けブランドは、特定の企業の役職や部門ではなく、幅広い層の人々にアピールするため、感情に訴えるマーケティングアプローチを取る傾向があります。メッセージでは、B2B顧客が重視するROI(投資回収率)ではなく、顧客に購入してよかったと感じてもらえる必要があります。
質問:効果的な消費者マーケティング戦略にはどのようなものがありますか?
回答: 優れたB2Cマーケティング戦略は、顧客とのやり取りをパーソナライズし、マーケティングのライフサイクルの中で最も重要な瞬間を特定して、顧客との関係を構築します。自社の所有する様々なデータを結合することで、顧客の全体像を把握して、それにもとづいて対応できるようになります。
消費者マーケティング戦略には、TVのような従来のチャネルと、ソーシャルメディアやYouTube、ストリーミングサービス、電子メール、モバイルアプリなどの新しいプラットフォームの両方が含まれます。また、消費者向けブランドは、業界のイベントを利用してターゲットオーディエンスにアプローチすることもできます。どのようなチャネルを通じてメッセージを発信するにしても、その頻度とリーチのバランスが重要となります。多くの人々にポジティブなブランドイメージを伝えるためには、どの程度の頻度であるべきかを考えます。
さらに、自社のブランドが、どのように認識されているのかを把握することが重要です。そのためには、「センチメント(感情)分析」が役立ちます。マーケティング部門は、AI(人工知能)を利用して、ソーシャルメディア上のブランドに関する何千何万もの投稿を調査し、顧客がブランドに対してどのような感情を抱いているのかを把握できます。この調査を利用すれば、顧客とより優れた関係を構築できるようになります。
質問:消費者マーケティングはデータと感情のどちらに大きく依存していますか?
回答: データに頼ると、消費者マーケティングに人間味がなくなるという誤った説があります。そのようなことはありません。クリエイティビティとデータは密接に結びついています。
消費者マーケティングは、B2Bのマーケティング戦略よりも感情に依存しています。そのため、人の手によるクリエィティブやデザインが必要不可欠となります。しかし、どんなに優れたメッセージを発信しても、適切な潜在顧客に届かなければ意味がありません。そこでデータが重要な役割を担います。顧客データを活用することで、顧客を人として理解し、本当に興味を持っているコンテンツを配信できるため、感情に訴えかけることができるのです。
質問:消費者マーケティングのツールにはどのようなものがありますか?
回答: 自社のブランドはこうあるべきだと、自分で考えるのではなく、顧客がどのように感じ、どのように話しているのかを重視するべきです。そのため、消費者マーケティングは、莫大な潜在顧客とのやり取りについて考えることから始まります。あまりにも多くの顧客接点があるため、マーケティングの取り組みが行き届かないように思うかもしれませんが、適切なテクノロジーを利用すれば、それぞれの顧客体験を大規模にパーソナライズできます。アドビは、これを容易にする優れたツールを提供しています。
Adobe Advertising Cloudは、メディア、スクリーン、データ、クリエイティビティを大規模に統合して自動化する、独立性を保った広告基盤です。適切な顧客セグメントに的確なメッセージを届けることで、マーケティング部門がROIを達成するのに役立ちます。
Adobe Experience Managerは、DAM(デジタルアセット管理)とCMS(コンテンツ管理システム)の両方の能力を組み合わせて提供し、パーソナライズされたコンテンツと顧客体験の提供を支援します。
Adobe Commerceは、Magento Commerceを核として構築され、顧客ロイヤルティの向上とビジネスの成長を促進する強力なeコマースショッピング体験の提供に役立ちます。
質問:消費者マーケティングは今後、どのように進化していきますか?
回答: 消費者マーケティングに起こる大きな変化のひとつは、現在、ユーザーデータを取得するための主要な手段となっている3rdパーティCookieが廃止されることです。消費者向けブランドは、長年にわたり、オンライン上の顧客行動を追跡し、パーソナライズされた顧客体験を実現するために3rdパーティCookieを使用してきました。それが利用できなくなることで、パーソナライズされた顧客体験を可能にするデータの収集が困難になります。
企業の経営陣やマーケティング部門は、クッキーレス時代に対応する必要があります。その方法のひとつとして、同意ベースのモデルに移行して顧客データを収集することが考えられます。データを共有することで顧客体験の価値が高まることに、利用者が納得するかどうかは、ブランドにかかっているでしょう。
B2Cマーケティングは、ブランドとロイヤルティの高い顧客との1対1の関係を理想とし、その関係を何百万人に拡大してパーソナライズできるように進化し続けるでしょう。潜在顧客は、あらゆる行動において、さらに高いレベルの体験を期待するようになります。症状に合わせて適切な病院を選択するような手間のかかることが、将来はAmazonで買い物をするのと同じぐらいに容易なことになるでしょう。