デジタルアセット管理(DAM)とは

Adobe Experience Cloud Team

04-15-2025

カラフルな部屋でラップトップを持って画面に集中する女性。オーバーレイにはファイルの種類が表示され、進行状況バーには5枚中4枚の画像がアップロードされている。

画像、動画、ドキュメントなどのデジタルアセットの管理と整理は、あらゆる企業や組織にとって欠かせない業務の一つとなっています。デジタルアセット管理(DAM)システムは、ブランドの一貫性の管理からワークフローの合理化まで、デジタルアセットをより効果的に活用するための様々な利点を提供します。

デジタルアセット管理(DAM)とは、画像、動画、音声ファイル、ドキュメントなど、さまざまなデジタルコンテンツを整理・保存・検索するプロセスを指します。 DAMの目的は、デジタルアセットの効率性・安全性・アクセス性を高めることに加え、それらを一貫して活用できるようにし、組織がその価値を最大限に引き出せるよう支援することです。

DAMでは、専用のソフトウェア(オンプレミス型またはクラウド型)を活用して、デジタルアセットを一元管理するためのリポジトリを構築します。これにより、ユーザーはファイルへのアクセス、編集、共有を容易に行うことができます。

さらに、DAMを導入することで、アセットの使用状況を容易に追跡・レポートできるようになり、著作権やその他の法的要件に準拠した運用を確保できます。

本記事では、デジタルアセット管理の重要性、DAMシステムの主な機能、そして利用可能なさまざまなタイプのシステムについて解説します。

この記事の内容:

デジタルアセットとは?

デジタルアセットとは、デジタル形式で保存されているあらゆる種類のメディアやデータのことです。 これには、次のような様々な形式のファイルが含まれます。

画像、ビデオ、オーディオ、ドキュメント、アニメーション、Webページなどのデジタルアセットの種類を表すアイコン。

デジタルアセットには、CAD図面や科学データなど、より専門的なファイル形式も含まれます。

一般的に、デジタルアセットは、組織で制作、使用、管理され、活用する価値を持ちます。たとえば、商品の画像はeコマースに、動画はマーケティング用途に、ドキュメントは調査・研究に利用できます。

DAMソリューションで可能なこと

DAMは、さまざまなデジタルファイルを整理、保存、検索するために使用されるソフトウェアアプリケーションまたはプラットフォームです。これらのソリューションは、デジタルアセットのライフサイクルに沿って設計されており、アセットの作成・配信から、アーカイブ、再利用、廃止に至るまでの一連のプロセスを支援します。

デジタルアセット管理システムには幅広い種類があり、シンプルなクラウド型ソリューションから、高度な機能を備えたエンタープライズ向けシステムまで多岐にわたります。自社に最適なソリューションを見つけるには、ワークフローとプロセス、扱うデジタルアセットの種類、必要な所有権管理とセキュリティのレベルを考慮する必要があります。

DAMの利点

DAMは、あらゆる規模の企業において、時間の節約とワークフローの改善に役立ちます。DAMには、主に次のような利点があります。

DAMの利用者

DAMは、デジタルアセット管理組織内でデジタルアセットを利用・配信するすべてのメンバーにとって、メディアの一元管理を可能にする基盤として機能します。次のような幅広い部門で利用されています。

DAMは、デジタルアセットの効率性とアクセシビリティを向上させ、データ損失のリスクを低減し、規制への準拠をサポートするので、膨大なデジタルコンテンツを制作、使用、管理するあらゆる組織で活用されています。代理店、取引先企業、請負業者などの外部組織と連携する企業は、DAMを活用し、適切なファイル権限の設定、変更と注釈の追跡、特定のアセットの利用制限などを行うことができます。

2025年にマーケターが導入を検討すべきデジタルアセット管理アプリ

以下に現在利用可能なDAMソリューションをまとめました。最適なDAMソリューションを選定するには、まずチームが直面している主なデジタルアセットの課題を明確にし、必要とする機能をリストアップすることをおすすめします。そのプロセスを通じて、マーケティングチームのニーズに最も適したプラットフォームを見極めることができます。

Googleドライブ

Google Drive は、Googleエコシステムに統合された企業にとって、デジタルアセット管理の選択肢として検討に値する機能を備えています。動画(最大5TB)、画像、ドキュメントなど、さまざまなファイル形式をクラウド上に保存できます。チームメンバーは、ドキュメントリンクにアクセスするだけで、ファイルの閲覧・共有・編集が可能です。メール添付よりも効率的な方法です。

ただし、ニーズの多いマーケティングチームにとっては、Google Driveを主なDAMソリューションとして使用する場合にいくつかの制約があります。無料ストレージの上限は15GBで、Gmail、Googleフォト、Googleドライブの間で共有されます。マーケティングアセットが大量にある場合は、容量が不足する可能性があります。大容量ファイルのアップロードに時間がかかる場合があり、同期の不具合が報告されることもあります。

Webdam by Bynder

Webdam by Bynderは、クラウドベースのアプリケーションであり、チームがあらゆるデバイスからデジタルアセットへ安全にアクセスできます。マーケティングチーム向けの主な機能には、ブランドテンプレートや専用のブランドガイドラインモジュールなど、ブランド一貫性を維持するための強力なツールが含まれています。これにより、すべてのマーケティングコンテンツがブランド基準に沿って制作されます。

Webdamは、デジタルアセットの共有に対応した高度なセキュリティ機能を備えており、Adobe Experience Manager SitesやWordPressをはじめとする、さまざまなマーケティング・クリエイティブツールとの連携にも対応しています。Webdamには、アップロード時のファイル統合による整理効率の向上、AIを活用した自然言語検索による直感的なアセット検索、重複画像の検出機能によるライブラリの整理維持など、複数の新機能が導入されています。

Adobe Experience Manager Assets

Adobe Experience Manager Assets は、企業やチームがWeb、モバイルアプリ、ソーシャルコミュニティ、店舗など複数のチャネルにわたって、パーソナライズされた顧客体験を創出・管理・最適化・提供できるよう支援します。Adobe Experience Manager Assets as a Cloud Serviceは、Adobe Asset Linkをはじめとする多彩な機能を備え、組織内のさまざまなユーザー層のニーズやワークフローに対応します。このプラットフォームでは、「管理者ビュー」と「アセットビュー」という2種類のユーザー体験が提供されています。

「管理者ビュー」は、Adobe Experience Manager Assets as a Cloud Serviceにおける標準のユーザーインターフェイスであり、高度な DAM機能 のすべてにアクセスできます。このビューは、他のエンタープライズシステムとの連携、複雑なワークフローの管理、コンテンツ自動化戦略の実装、複数の配信先へのアセット公開など、高度な機能を必要とするユーザーに特に適しています。その包括的な機能構成により、DAMライブラリアン、開発者、スーパーユーザーなど、アセット管理環境を細かく制御する必要があるユーザーに最適です。

「アセットビュー」は、クリエイティブ担当者、マーケティング担当者、業務部門のチームなど、幅広いユーザー層に向けて設計された、よりシンプルで軽量なアセット管理体験を提供します。このインターフェイスは、アセットのアップロード、メタデータの管理、検索、コンテンツのダウンロード、関係者との共有など、DAMの基本業務に特化しており、直感的に操作できるツールを提供します。このビューは、管理者ビューに含まれる高度な設定を必要とせず、DAMの基本機能のみを求めるユーザーに適しています。

コンテンツワークフローをさらに強化する要素として、Edge Delivery Servicesに対応したドキュメントベースのオーサリング機能との統合が挙げられます。この機能により、Webサイトのオーサーは、Microsoft WordやGoogleドキュメントなどの使い慣れたアプリケーションで作成中のドキュメントに、Assetsリポジトリに保存された画像をシームレスに取り込むことができます。

Acquia DAM

Acquia DAM (旧Widen)は、デジタルアセットのライフサイクル全体を通じて、マーケティングチームを支援します。初期のクリエイティブ制作段階から、最終的な配信・保存に至るまで対応可能です。Acquia DAMの主な強みは、Drupalコンテンツ管理システムとのシームレスな統合です。このため、Drupalを活用している組織にとって、特に魅力的な選択肢となります。

マーケティングチームにとって有益な主な機能には、すべてのマーケティング素材を一元管理できるアセットストレージと、バージョン管理や権限管理によるブランド一貫性の強化が含まれます。このプラットフォームは、効率的な共有機能とアクセス制御により、コンテンツ配信のスピードを向上させ、チーム間の共同作業を強化します。 メタデータのタグ付けと強力な検索機能により、マーケティング担当者は必要なアセットを迅速に見つけることができ、分析機能を通じてコンテンツのパフォーマンスに関するインサイトも得られます。

Acquia DAMはまた、人工知能を活用してその機能をさらに強化しています。AIは、メタデータの自動生成に活用されており、タグの自動付与やAIによる説明文の生成を通じて、検索性とコンテンツの最適化を向上させます。翻訳機能やAI支援によるコンテンツのローカライズも導入されており、グローバルなマーケティング活動を支援します。

Bynder

Bynder は、使いやすいインターフェイスと、デジタルアセットの共有に対応した高度なセキュリティ機能により、高く評価されています。Bynderの主な機能には、ドラッグ&ドロップによるアップロード、画像アップロード中の写真編集機能、メタデータによる検索、そして高度な権限管理が含まれます。Bynderは、すべてのファイル形式に対応し、既存のマーケティングシステムとも容易に統合できるため、あらゆるマーケティングチームのニーズに応えることができます。

Bynderでは、アップロード時のファイル統合による整理効率の向上、AI を活用した自然言語検索による直感的なアセット検索、重複画像の検出機能によるライブラリの整理維持など、複数の新機能が導入されています。Bynderでは、Webdamと同様、アップロード時のファイル統合、AIを活用した自然言語検索、重複画像の検出機能が提供されています。

Xinet

Xinet は、クリエイティブ制作に重点を置くマーケティングチームや、Adobe Creative Cloudスイートと深く統合されたワークフローを持つチームに最適なソリューションです。Xinetの最大の強みは、Adobe Photoshop、Illustrator、InDesignなどのアプリケーションとの密接な統合にあります。これにより、クリエイティブ担当者は頻繁なインポートやエクスポートを行うことなく、DAMシステム内で直接作業できます。

このシームレスな統合により、複数のドライブやタイムゾーンをまたいで作業するチームのワークフローが効率化され、生産性が向上します。Xinet は、クリエイティブワークフローの自動化に重点を置いており、バージョン管理、レビュー、承認プロセスを効率化するためのカスタムトリガー、アクション、自動処理機能を提供しています。 アセットの有効期限を通知するタイマー機能や、ロゴなど特定のアセットに関連付けられたすべてのファイルを追跡できる機能は、ブランドの一貫性を維持し、古い素材の使用を防ぐうえで特に有用です。

Canto DAM

Canto DAM は、すべてのデジタルアセットを一元管理できるリポジトリを提供し、マーケティングチームによる管理とアクセスを簡素化します。主な機能には、高度な検索機能、アセットの変更履歴を管理するバージョン管理、セキュアな共有を実現するユーザーアクセス制御と権限設定、さらに共有リンクやブランドポータルを活用したアセットの配信・共有オプションが含まれます。

Cantoはまた、コンテンツ管理プロセスの効率化を目的とした、カスタマイズ可能なワークフロー機能も提供します。WordPressなどのコンテンツ管理システムやAdobe Creative Cloudなどのクリエイティブ系ソフトウェアをはじめ、さまざまなツールやアプリケーションとの統合にも対応しています。

PhotoShelter for Brands

PhotoShelter for Brands (旧Libris)は、写真や動画などのビジュアルコンテンツを中心に展開するマーケティングチームにとって、非常に有用なソリューションです。このプラットフォームは、デジタルコンテンツの保存・整理・共有を効率的に行える、Webベースのメディアライブラリを提供します。直感的なサムネイルレイアウトにより、画像の閲覧や検索をスムーズに行えます。

PhotoShelter for Brandsは、優れたデジタルアセット管理機能を備えており、ビジュアルアセットのアップロード、管理、共有をスムーズに行うことで、ワークフローの効率化を実現します。キーワードやメタデータを活用できる堅牢なタグ付け機能により、写真の検索や整理を効率的に行えます。 このプラットフォームには、チームでのビジュアルコンテンツ制作を支援する共同作業機能も備わっています。

Razuna:オープンソースDAMならではの柔軟性

Razuna は、柔軟性とカスタマイズ性に優れたオープンソースのプラットフォームです。 社内サーバーへのファイル保存によるセキュリティ強化と、クラウドベースのサーバー利用の両方に対応しており、一般的な商用ソリューションでは得がたい柔軟な導入形態を提供します。

Razunaは、アセットの効率的な整理、包括的なメタデータ管理、そして高性能な検索機能を備えており、マーケティングチームによるデジタルアセットの管理と活用を支援します。このプラットフォームは、画像・動画・音声ファイル・ドキュメントなど、幅広いメディア形式に対応しています。コストパフォーマンスに優れているため、予算に制約のある中小企業にとって魅力的なDAMソリューションです。

IntelligenceBank:マーケティング業務を最適化するインテリジェントなコンテンツ運用

IntelligenceBank は、コンテンツの作成から承認、配信、コンプライアンス管理まで、ライフサイクル全体を包括的にサポートするソリューションです。企業規模やニーズに応じて最適化された各種アセット管理アプリを提供しており、ファイル保存、バージョン管理、一括アップロード、プレビュー表示、コメント・レビュー機能などを備えています。IntelligenceBankは、Adobe GenStudio for Performance Marketingと連携しており、AI生成コンテンツのレビューを自動化し、法務およびコンプライアンスの管理体制を構築できます。この取り組みは、コンテンツ運用にAIを積極的に取り入れるというIntelligenceBankの姿勢を明確に示しています。IntelligenceBankは、画像・動画のタグ付け、顔認識、リスク評価など、AIを活用した高度な機能も備えています。

Brandfolder

Brandfolder は、洗練されたビジュアルと使いやすさに優れたインターフェイスで高く評価されており、操作性や視覚的な体験を重視するチームにとって魅力的な選択肢です。強力なブランド管理機能を備えており、Cantoなど他のプラットフォームとの連携も可能なため、ニーズの変化に柔軟に対応した運用が実現できます。

MediaValet

MediaValet は、クリエイティブチームやデザイナー向けに特化した設計で、制作プロセスに適した機能や統合性を重視しています。このプラットフォームは、クリエイティブアセットの管理と配信に対応した高度な機能を備えており、共同作業、バージョン管理、デザインソフトとの連携などをサポートします。MediaValetは、DAMソフトウェアを動画アセット管理プラットフォームとしても活用でき、動画制作・運用の効率化を実現します。

Filecamp

Filecamp は、無制限のユーザーに対応した低コストのマーケティングアセット管理ソフトウェアとして注目されており、予算を重視する中小企業にとって魅力的な選択肢です。企業のビジュアルアイデンティティに合わせてプラットフォームをカスタマイズできる、ブランド専用のデザイン設定機能も備えています。

Aprimo

Aprimo は、DAM機能とマーケティングリソース管理機能を統合した、ベスト・オブ・スイート型のソリューションとして提供されています。クリエイティブチームのワークフローを効率化する多彩な自動化機能を備えており、堅牢なアセット管理を含む包括的なマーケティング管理プラットフォームを求める大規模組織にとって、有力な選択肢となります。

Adobe Experience Managerの導入ステップ

Adobe Experience Manager Assets は、クラウドネイティブかつインテリジェントなDAMで、必要なアセットをすばやく見つけて活用できる環境を提供し、クリエイティブ制作やコンテンツ運用の効率化を実現します。これにより、パーソナライズされた顧客体験を自信を持って支援できます。Experience Manager Assetsは、Adobe Creative Cloudアプリケーション上で直接フィードバックを受け取ることができるため、クリエイティブ業務のコラボレーションを効率化します。チーム全員が簡単にアクセスできる中央管理システムとしても機能します。

Adobe Experience Manager Assetsが、あらゆるトラフィックや処理の需要に合わせて拡張可能な単一のプラットフォームにより、あらゆるデジタルアセットどのように管理するのか、動画を視聴する  か、 アドビの担当者までお問い合わせください。

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