エンタープライズコンテンツ管理とは?ECMの概要と導入方法を解説
企業の規模が大きくなればなるほど、社内で扱う文書や顧客向け資料といった、コンテンツも増えていきます。そのため大企業の多くが、コンテンツ管理に苦慮しています。社内文書の作成から魅力的なマーケティングコンテンツの制作、ブログやwebサイトの更新に至るまで、その作業は多岐にわたります。絶え間なく配信される膨大なコンテンツを維持する必要があるのです。この普遍的な課題を解決するのが、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)です。この記事では、ECMとは何か、詳しく解説します。
目次
- ECMの目的
- ECMとは?
- ECMの主なメリット
- ECMの導入手順
- まとめ
ECMの目的
企業では日々膨大なコンテンツが制作され、蓄積され、利用されています。社内で制作されるだけでなく、代理店や制作会社などに制作を依頼し、納品されてくるコンテンツもあるでしょう。この、絶え間なく続くコンテンツの収集、制作の作業を、どのように管理、合理化したらよいでしょうか。しかもコンテンツは、共有、更新、あるいは企業サイトやコマースサイトへの掲載、メール配信、企業アプリへの配信など、さまざまなチャネルで利用されます。従業員向け、顧客向け問わず、相手の望む適切なコンテンツを届けることができたら理想的ですが、誰にどのコンテンツを届けるのか、すなわち、コンテンツのパーソナライゼーションを実現するのは、極めて困難な作業です。さらに、特に顧客向けのコンテンツ配信ならば、その顧客体験が適切なものだったかどうかは、ビジネス成果に直結します。コンテンツ配信の効果を測定、最適化することができればよいのですが、これも、何らかの仕組みがなければ非常に大変な作業となります。人手でこなすのは、非現実的でしょう。
このような、企業内外に存在する膨大なコンテンツの運用を合理化し、一元管理するのが、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)の目的となります。ECMは企業全体の生産性向上や顧客体験改善に寄与するため、ビジネスリーダーや経営陣にとっては有力な投資の選択肢となります。
ECMとは?
ECMとは、コンテンツの収集、分析、管理、アーカイブ、配信に使用されるテクノロジー基盤の総称です。ECMはEnterprise Content Managementの略称です。ここで、「エンタープライズ」は全社規模での利用を指していますので、全社にわたる総合的なコンテンツ管理を行うこと、となります。ECMツールは堅牢性に優れ、webサイトに掲載するコンテンツのような顧客向けのマーケティングコンテンツと、社内文書の両方を管理できます。
ECMの文書管理機能は、「コンテンツ管理」と呼ばれることもあります。これは、物理的なコンテンツとデジタルコンテンツを、既存の情報システムやプロセスとシームレスに統合する能力を意味しています。主に、企業の取引やプロセスに関するコンテンツを処理します。
もうひとつの機能は、「コンテンツサービス」と呼ばれており、データを処理します。これはフルサービス型の機能であり、いつでもどこでも情報コンテンツを収集、追跡、分析、配信することができます。
文書管理とコンテンツサービスというふたつの軸を、単一の基盤に集約することで、包括的なECMを導入することができます。そのようなECMは、直面している課題を解決するために必要な能力と、未知のリスクにも対応する柔軟性を備えています。
ECMの主なメリット
ECMは、新しい概念ではありません。ECMという概念が誕生したのは、2000年代初頭のことでした。しかし、その言葉が示唆するあらゆる機能を備えるテクノロジーに進化したのは、つい最近のことです。
モダンなECMツールが大規模な企業にもたらす主な利点には、次のようなものがあります。
- データのアクセシビリティ:ECMを利用すると、さまざまな情報源やアーカイブから収集したデータを統合することで、データの分断を解消し、コストを削減できます。さらに、コンテンツをわかりやすく整理し、コスト効率の高い方法で保管することで、あらゆるデータにすばやくアクセスできるようになります
- コンテンツの整理:ECMツールは、社内データを分析および検証するための高度な検索機能を備えています。そうした機能を使用すれば、分断されていたコンテンツをつなぎ合わせて抽出し、従来は見いだすことができなかったデータのストーリーを明らかにし、それをもとに社内のレファレンスセンターを最適化できます
- コンテンツの収集:ECMを利用すると、コンテンツの収集を合理化および最適化して、インテリジェントにおこなうことができます。スプレッドシート、マーケティング資料、音声、動画、紙媒体など、あらゆる種類のコンテンツを容易に収集できるようになります
- プロセスのペーパーレス化:ECMは、効率的かつ環境に配慮した方法で、取引やプロセスを加速させることができます。また、あらゆる要素をデジタル化することで、業界の規制を容易に遵守できるようになり、コンテンツのセキュリティを強化できます
- データの配信:包括的な機能を備えたECMを利用すると、デジタルチャネル、社内のストレージシステム、顧客やベンダーの端末など、あらゆるコンテンツストリームに向けてデータを配信できます。
ECMは、コンテンツのライフサイクルの各段階で、プロセスとパフォーマンスを改善するためのシンプルな製品です。直観的に使用できるシステムやツールにより、より少ない労力でより多くの成果を生み出すのに役立ちます。
企業は、ECMツールを導入することで自然に余裕が生まれ、ビジネスを成長させるだけでなく、大きな成功を収めることが可能になります。社内の問題に縛られて身動きが取れなくなる状態から脱却し、協働、パートナーシップ、イノベーションといった社外の施策に専念できるようになります。
ECMの導入手順
ECMのような大規模なツールを導入することは、それを用いて解決しようとしている課題と同じくらい、途方もない作業のように思えるかもしれません。ここでは、ECMをスムーズに導入するための、推奨手順を解説します。
- コンテンツの定義:顧客と社内責任者の両方に対して、一貫性のあるパーソナライズされた体験を提供するためのアイデアを話し合います
- ロードマップの策定:主要な関係者および意思決定者の意見を集めて、望ましいECMのフレームワークを概念化します。
- 非効率な作業の特定:社内のあらゆるチャネルにわたって、望ましいコンテンツフローとライフサイクルを明確にします。
- デジタル化の推進:紙ベースのプロセスと特定の機能のみに特化したデジタルツールから脱却し、フルサービスのデジタル基盤にスムーズに移行できるようにします。
まとめ
ECMツールには、ビジネスの成長、変革、規模の拡大を継続的にサポートする機能が備わっています。成果を最大化するためには、ECMツールを入念に検証し、最適なツールを見つけ出す必要があります。
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