グロースマーケティングとは?注目の理由や進め方を解説

グロースマーケティングとは?注目の理由や進め方を解説

アメリカではすでに定着しつつあるマーケティング手法の「グロースマーケティング」。日本でも、「アメリカの最先端企業がグロースのためにしていること」として、グロースマーケティングの手法に関する書籍が話題になっています。
ここでは、グロースマーケティングが注目される理由や、グロースマーケティングの進め方について解説します。

目次

  • グロースマーケティングが目指すことは?
  • グロースハックとグロースマーケティングの違い
  • 日本でグロースマーケティングが注目される理由
  • グロースマーケティングの進め方
  • グロースマーケティングに移行するなら
  • MAを使ってグロースマーケティングを実践しよう

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グロースマーケティングが目指すことは?

グロースマーケティングとは、企業や事業、サービスなどの持続的な成長のために、顧客との関係性の強化を重視するマーケティング手法です。グロースマーケティングでは、自身の活動をデータとして把握しながら、収益向上を目指します。また、獲得した顧客を熱心なファンにし、継続的な利益の創出と最大化を目指します。グロースマーケティングにおけるグロースの対象は、LTV(顧客生涯価値)や受注数などです。

日本では、すでにブランドの確立や製品の差別化に重きを置いた、ブランドマーケティングやプロダクトマーケティングといったマーケティング手法が定着しています。これらのマーケティング手法と比較した場合、グロースマーケティングの特徴は、顧客獲得コストやLTV、受注数、受注率といったデータに着目し、ビジネスの持続的な成長を目指していること、施策の実施と検証を繰り返して成果の高い施策を積み重ねていくことが挙げられます。
LTVが顧客獲得コストを上回り、ビジネスにおける最小単位の収益性である「ユニットエコノミクス」が実現されている状態をデータで把握しながら、収益の向上に取り組んでいくのがグロースマーケティングだといえるでしょう。

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グロースハックとグロースマーケティングの違い

グロースマーケティングと似た言葉に「グロースハック」があります。グロースハックとは、アメリカQualarooの最高経営責任者であるショーン エリスが、2010年に提唱した「グロースハッカー」を始まりとする概念です。

グロースハッカーは、企業や事業、サービスなどの成長(=グロース)を最大の使命として、グロースにつながる手法をみずから模索し、実行します。マーケティング部門やプロダクト部門が担当するのが一般的です。

グロースハックは、データ収集から分析、改善のための施策立案、実施、さらに効果検証、フィードバックまで、一連のマーケティング活動を少ないコストで効率的に行い、品質や使い勝手を飛躍的に成長させていく、グロースハッカーが用いるテクニックや手法のことです。サービスそのものにグロースの仕組みを組み入れていくという特徴がグロースハックにはあり、顧客体験を高めるために、製品やサービスの改善を行っていく過程で使われます。

グロースハックとグロースマーケティングは、どちらか一方だけ行えばいいというものではありません。グロースマーケティングを実施する際の手法のひとつとして、グロースハックを行うべきだといえるでしょう。

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日本でグロースマーケティングが注目される理由

なぜ、日本でグロースマーケティングが注目されるようになったのでしょうか。その理由は、大きく2つが考えられます。

デジタル化で多くの情報が可視化できるようになった

IoT、AIなどの普及により、オフラインを含めたさまざまな顧客行動を可視化できるようになりました。これをうまく活用すれば、企業は事業収益の向上につながるさまざまな仕組みを構築することができるでしょう。

しかし、多くの企業では、取得したデータをROIやCPAの評価に活用するのみで、その可能性を活かしきれていません。デジタルシフトが進む中、企業はこうしたデータを収益に結びつける方法を模索していく必要があります。
その方法のひとつがグロースマーケティングです。グロースマーケティングは、A/Bテストなどの検証を繰り返し、より成果が出る施策をカスタマージャーニーのすべてのステージで実施します。

これからのDX時代、企業はオンラインやオフラインで取得した情報を活用し、データに基づいたマーケティングを実施するべきだといえるでしょう。

新規顧客の獲得が困難

日本の企業には、新規顧客開拓を重視し、顧客の獲得をゴールとする考え方が根強く残っています。しかし、近年のビジネス環境の変化で、新規顧客獲得のハードルは確実に上がりました。新規顧客獲得だけに依存するスタイルでは、やがて事業が先細りする可能性が高いといえるでしょう。
近年のビジネス環境の変化には、下記のようなものが挙げられます。

価値観の多様化

顧客の価値観は、時代とともに多様化しています。ブランドマーケティングやマスマーケティングだけでは、一人ひとりのニーズに応えることができないため、顧客獲得につながりにくくなりました。

インターネットの普及

インターネットの普及により、企業の営業を待つことなく、みずから検索して情報を比較検討し、場合によっては購買行動まで完結させる顧客が増えました。また、インターネットを活用したサブスクリプションサービスが増加し、購買期間そのものが長期化しています。

競合の増加

技術革新によって新規参入が増え、各業界ともに競合が増加。限られた新規顧客の奪い合いが生じています。

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グロースマーケティングの進め方

株式会社DearOneが2021年にまとめた「グロースマーケティング」(クロスメディアパブリッシング)では、グロースマーケティングには、ビジネスを持続的に成長させていくための3つの軸があるとしています。

  • 顧客の行動を深く理解する
  • 顧客のエンゲージメントを高める施策や、顧客のニーズに応じたサービスの改善をスピーディに繰り返す
  • 施策や改善を何のために行うのか、データを用いて目標や指標を設定する

グロースマーケティングを進めるにあたっては、まずはこの3つの軸を十分に理解し、実行することが重要です。

顧客の行動を深く理解する

顧客の行動を深く理解するためには、ダブルファネルを使用します。
顧客の数は、顧客が製品やサービスを知り、購買して新規顧客になるまでに、少しずつ減少していきます。下記のダブルファネルのうち、上段のファネルが示しているのがこの流れです。下段のファネルは、一度購買した顧客がファン化することで、継続購入や他者への紹介が発生して顧客が増える様子を表しています。

ダブルファネル

自社における各段階の顧客数をこのダブルファネルと比較した際に、ファネルが急激かつ大幅にすぼんでいる場所があれば、そこに課題が潜んでいます。その課題を解決すれば、全体の最適化が可能です。
例えば、下記のような課題と解決方法が考えられます。

<顧客数を増やすための課題と解決方法>

  • 認知を増やすために、プロモーションを改善する
  • 検討しやすくするために、検討段階の顧客へのアプローチ手法を見直す
  • 製品やサービスを選んでもらうために、ニーズに合わせて改良する
  • 購入前に離脱しないように、購入方法を最適化する
  • 顧客に継続購入してもらうために、コミュニケーションの在り方を見直す

顧客のエンゲージメントを高める施策や、顧客のニーズに応じたサービスの改善をスピーディに繰り返す

顧客の行動を理解して課題を見つけたら、仮説を立て、施策を実行し、検証結果を基に改善するというサイクルをどんどん回していきましょう。技術革新のスピードアップで、サービスや製品のライフサイクルが短くなっている現代においては、「PDCA」ではなく「OODA(ウーダ)」の考え方に基づいてグロースエンジンを回し、最適化や改善のスピードを上げていくことが重要です。

PDCA

PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもの。PDCAのサイクルを繰り返すことで、業務の継続的な改善を目指す手法です。

OODA(ウーダ)

OODAとは、「Observe(観察)」「Orient(情勢判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」の頭文字を取ったもの。日々刻々と移り変わる周辺環境をよく観察し、状況を判断して、進むべき道を決めて行動するメソッドで、元々はアメリカ海軍で生まれました。アメリカでは、組織や会社の経営に以前から応用されており、近年は日本でも知られるようになりました。

施策や改善を何のために行うのか、データを用いて目標や指標を設定する

リアルタイムに取得できるデータの増加により、確実性の高い方法で顧客満足度を高められるようになりました。経験や勘に頼らず、手元にある大量のデータをしっかりと分析して、施策の成果である「結果指標」と、未来の成果につながる「先行指標」を設定しましょう。

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グロースマーケティングに移行するなら

グロースマーケティングへの移行を考える場合、先に挙げた3つの軸を容易に実行できるMAの利用がおすすめです。アドビのMA製品「Adobe Marketo Engage」の機能から、3つの軸に対応するものを挙げてみましょう。

顧客の行動を把握できる

顧客の属性や行動情報を点数化し、アプローチの重要度に優先順位をつけることで、顧客の行動を把握します。

必要なデータを取得し、一元的に管理、分析できる

グロースマーケティングでは、データを蓄積し、分析して活用する必要があります。Adobe Marketo Engageは、顧客の購買データ、オフラインの行動データ、web上の行動データ、サイト閲覧履歴、メール開封履歴といった各種データを収集し、一元的に管理して分析することができます。

実行した施策の成果を計測できる

メールの開封率やクリック率だけでなく、マーケティングプログラムのROIを自動的に測定。ROIが最も高いプログラムや、取引に影響を与えたプログラムを割り出すこともできます。

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MAを使ってグロースマーケティングを実践しよう

グロースマーケティングは、データに基づいて状況を判断し、企業の売上や利益に貢献する定量的な手法です。この手法を実践するには、優れた機能を持つMAのサポートが欠かせません。
蓄積された豊富なデータにMAを組み合わせることによって、グロースマーケティングの精度とスピードを上げ、利益の最大化を図りましょう。

マーケティングの指標や分析については、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。

次のステップ

MA分野のリーダーであるAdobe Marketo Engageについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。