スプリント計画とは?アジャイルなチームづくり
アジャイルスプリント計画とは?スプリント計画ミーティングは、4つのコアスクラムセレモニーのひとつであることに加え、スクラムプロジェクトを成功させるために不可欠なものです。この記事では、スプリント計画ミーティングを開催できるように、スプリント計画の全体を順を追って解説します。
目次
- スプリント計画とは?
- スプリント計画の利点
- スプリント計画ミーティングの「5つのW」
- スプリント計画の準備
- スプリント計画のベストプラクティス
- アジャイルなスプリント計画を始める
- スプリント計画のまとめ
スプリント計画とは?
スプリント計画とは、チームが取り組む次のプロジェクトを決め、通常2~4週間のスプリントと呼ばれる時間ブロックに分割するイベントです。このプロセスは共同作業であり、チームにとって優先すべきタスクやプロジェクト、そしてそれぞれにかかる時間について、全員に発言する権限が与えられます。
スプリント計画の目的は、各メンバーに具体的で実行可能なタスクと期限を提供することです。ミーティングが終わる頃には、全員が、スプリント期間中に求められることを正確に把握していなければなりません。
スプリント計画の利点
スプリント計画では、どんなに困難なプロジェクトであっても、達成可能なタスクに分割することで、チームメンバーの意欲を維持します。
役割と責任は常に明確化され、プロジェクトの範囲や目標も明確化されるため、全員の時間を最も効果的に使うことができます。また、スプリント計画は、プロジェクトが進行するにつれて学びが得られるような反復的かつ俊敏な仕組みになっており、最終成果物が提出されるまで待つのではなく、プロセス上の課題に対処し、成果を向上させる機会を活用します。
スプリント計画ミーティングの「5つのW」
スプリント計画のセッションは有用ですが、集中力を欠いたり、全員が参加する必要のない会話に逸れたり、次回のスプリントには関係ないことが取り上げられたりする可能性もあります。そこで、ミーティングを成功させるためには、目的と参加者を事前に把握し、明確にしておくことが不可欠です。そのためには「5つのW」を活用します。
- 誰が(Who):スクラムマスター、スクラムプロダクトマネージャー、スクラムチーム
- 何を(What):チームと個々のコントリビューターの次のステップを確認し、各タスクに期限を割り当てる
- いつ(When):新しいスプリントの初日、通常は月に1~2回程度
- どこで(Where):中断される可能性の小さい場所、理想的には物理的な場所
- なぜ(Why):全員が自分に何が期待されているのかを確認し、より効率的で生産性の高いスプリントを実現する
スプリント計画の準備
スプリント計画ミーティングでは、ほかのミーティングと同様に、必要な準備をおこない、重要な項目を漏らさず、期待値を設定するために議題が必要です。スプリント計画ミーティングの議題には、スプリントの最終的な目的とチームのキャパシティについての議論、そしてスプリントのバックログを詳細に検討してスプリントにタスクを割り当てることが含まれます。
このミーティングを始める前に、スクラムマスターとスクラムプロダクトマネージャーは、チームのキャパシティを評価し、プロジェクトのタイムラインを確認し(期限がある場合)、以前のスプリントから得たインサイトをもとに行動できるように準備します。
スプリントバックログ
スプリントバックログは、プロジェクトを完了させるために達成しなければならないすべてのタスクのリストです。スプリント計画ミーティングでは、このバックログに何が残っているかを確認し、プロジェクトを軌道に乗せるために次に何をすべきかを決定します。
前回のスプリントで完了しなかった項目は、バックログに移します。また、前回のスプリントの間に出現した新しい項目もバックログに入れます。
ストーリーの見積もり
バックログ項目が完成したら、各項目を完了するのにかかる時間や労力を見積もることが重要です。この情報は、スクラムマスターやスクラムプロダクトマネージャーが、プロジェクトの予算やタイムラインをより効果的に指示するのに役立ちます。
このデータを正確に把握するために、スクラムチームは、ユーザーストーリーと呼ばれる各タスクのザイズについて話し合い、共同で見積もります。これは、数値ポイント、時間、比較サイズ(XS、S、M、L、XL、XXLなど)、または必要な労力を評価するほかの手段を使っておこなわれます。
各チームメンバーの労力評価は、特に、あるメンバーの評価がほかのメンバーよりも大幅に高かったり低かったりする場合は、タスクの複雑さや単純さについて、ほかのメンバーが考えつかないようなインサイトを持っているメンバーの意見を考慮することが重要です。このような議論は、より効果的な時間の見積もりをするのに役立ちます。
見積もりが完成したら、チームのキャパシティにもとづいて、これらのユーザーストーリーを何個(どの組み合わせで)、次回のスプリントに組み込むことができるか決定できます。
キャパシティの決定
チームのキャパシティは、通常であればスプリント中にどれだけのストーリーポイントやバックログ項目を完了できるかを示すものです。チームのキャパシティを求めるには、チームメンバーの人数に1日の生産時間を乗算し、チームミーティングに費やし時間やほかのタスクやプロジェクトに割いた時間を引き算します。
単純な例では、1日に8時間働く7人のチームの場合、7人に8時間をかければ、そのチームのキャパシティがわかります。この場合、1日あたり56ポイント、週5日勤務の場合は280ポイントになります。ここから、ミーティング、休暇、その他の雑用など、稼働できない時間を差し引く必要があります。たとえば、毎週水曜日に2時間のチームミーティングがある場合は、合計から14時間(7人×2時間)を、2人のメンバーが2日間ずつ休む場合は、合計から32時間(2人×8時間×2日)を差し引きます。そうすると、合計は234ポイントになります。
もちろん、すべてのメンバーが一日中100%の能力で作業していると考えることはできません。ハイブリッドワークでは、会話やコーヒーブレイク、アポイントメントなどがつきものですから、各人の稼働率を考慮したほうがよいでしょう。1人当たりの生産性を75%と仮定すると、1週間当たりの総キャパシティポイントは234ポイントに0.75をかけて、175.5ポイントになります。2週間のスプリントの場合は、その倍の351ポイントになります。
ベロシティの決定
次に、チームのベロシティとキャパシティを同時に確認します。チームのベロシティを決めるとき、スクラムマスターやスクラムプロダクトマネージャーは、チームが同様の作業をどれくらいのスピードで完了できるかの参考にするために、過去数回のスプリントや過去のプロジェクトの例を準備しておく必要があります。
スプリント計画のベストプラクティス
新しいプロセスを開始する際には、失敗や課題がつきものです。次のような有効性が実証済みの戦略を用いて、チームでの確認時間を最小限に抑え、関係者全員が協力的で前向きな体験ができるようにしましょう。
- チーム目標からスタートし、スプリントの望ましい結果に焦点を当てる。
ホワイトボードがある部屋であれば、全員から見える場所に第一目標を書き、常にそれを参照します。
- 見積もりとキャパシティをチームで検証する。
期待値を示すのは避けます。チームメイトが今後数週間のうちにどのようなことができると考えているかに耳を傾け、検討します。
- 時間制限を設け、それを守る。
2週間のスプリントでは、最大2時間のミーティング時間を割り当てます。
- ミーティングの最後にQ&Aをおこない、チームメンバー全員が同じ考えを持っていることを確認する。
ただし、一対一で行うべき会話を、チーム全体の時間を割いておこなおうとするメンバーには注意が必要です。
- 可能な限りシンプルにする。
チームメンバーに必要な詳細を提供することと、マイクロマネジメントは紙一重です。過度な計画は避け、各自が最適な方法でタスクを完了できるよう、柔軟性を持たせます。
計画が細かすぎては、やる気をなくすこともあります。チームの目標と各メンバーの具体的な役割を説明すれば十分です。
アジャイルなスプリント計画を始める
スプリント計画に一度失敗してしまうと、スプリントからスプリントへと失敗や誤算が重なってしまい、その影響は大きくなります。
しかし、その逆もまた真なりです。うまく計画を立てれば、効率的なプロセスから革新的な成果まで、利点が連鎖する好循環を期待できます。
スムーズでアジャイルなスプリント計画を促進するために設計されたツールを活用すれば、可能な限り最高の結果を得ることができます。Adobe Workfrontなら、リソース管理、設定可能なダッシュボード、ネイティブな統合機能を備えており、優先順位や期限の変更に迅速に対応できるようチームをサポートします。
スプリント計画のまとめ
スプリント計画は、アジャイルにプロジェクトを進行させる過程で、反復的に学習し、完了に向けて成果を高めていく上でとても重要です。スプリント計画を立て、プロジェクトが始まったら、現在のスプリントが終了する前に、チームの現在のバックログを調べ、次回のスプリントで優先させる価値があると思われる項目を抜き出して、スプリント計画ミーティングで確認しましょう。
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