MQLとSQL — 主な違いと収益を高めるための戦略

Adobe Experience Cloud Team

04-04-2025

スマートフォンを手に微笑む女性。その上に、Patricia Reedに向けた顧客アクションやパーソナライズされたアプローチを含むマーケティングおよび営業リードデータが重ねて表示されている。

ファネルを最適化し、成約率を高めるには、すべてのリードを適切に育成する必要があります。しかし、デジタル変革とオムニチャネル戦略により、これまで以上に多くの商談が生まれる状況になり、営業部門とマーケティング部門が多様性を増したリードを管理することが困難になっています。

最初の重要なステップは、MQL(マーケティング適格リード)とSQL(営業適格リード)を明確に区別することです。

とはいえ、両者は混同されがちです。このガイドでは、MQLとSQLの主な相違点を解説します。その違いを理解すれば、マーケティング活動と営業活動を最適化し、リードが競合他社に流れるのを防ぎ、最終的には満足度の高い常連客の基盤を構築できます。

この記事の内容:

MQLとSQLの違いとは?

MQL(マーケティング適格リード)とは、製品やソリューションに関心を示した個人や組織のことです。SQL(営業適格リード)とは、購入意欲があり、実際に購入を検討しているリードのことです。 MQLとSQLの主な違いは「購入意向」にあり、そのためタイプごとに、適切な広告キャンペーン、アウトリーチ戦略、ブランドメッセージが必要です。

MQLとは

MQLは、マーケティング活動に反応し、適切な育成によって顧客になる可能性のある個人または組織です。

たとえば、Webサイトを訪問したり、広告をクリックしたり、業界の概要を扱った電子ブックをダウンロードしたりする行動が該当します。この段階では、課題解決や製品理解に必要な情報が不足しているため、直接的な購入意欲は示されません。ただし、その行動はマーケティングファネルの上部に位置しており、ブランドからの情報提供には前向きな姿勢を持っています。

SQLとは

SQLは、購入意欲が明確で、会社の製品やサービスに強い関心を示しているコンタクト先やアカウントです。彼らはブランドとの複数回の接点を持ち、ケーススタディ、製品比較、価格表など、より詳細なコンテンツに関心を示しています。

リードがSQLとなるのは、次のような条件が揃っている場合です。

  1. 意思決定に必要な情報
  2. 購入に必要な予算とリソース
  3. 経営陣の賛同

マーケティング部門は、複数回のやり取りを経て、バイヤーを営業部門に引き渡し、セールスファネルの下部で育成する時期を判断します。MQLからSQLに移行し、営業担当者と一対一のコンサルティングをおこなうことで、リードを売上機会に変えることができます。

MQLとSQLを区別することが重要な理由

MQLとSQLの違いを理解することは、効率的な運営を可能にすることから、マーケティング部門と営業部門にとって不可欠です。MQLとSQLはバイヤージャーニーの別々の段階にあるリードであり、その適格基準を理解することで、それぞれのリードに送るべきマーケティングメッセージやセールスメッセージを判断することができます。

MQLとSQLの仕組みを導入することで、営業チームとマーケティングチームの連携が強化されます。これは、リードが営業に引き渡す準備が整ったことを示すスコアリング基準やベンチマークを定義することで実現されます。また、各部門は、リードの引き渡しや、使用している指標の評価のために、定期的にコミュニケーションをとる必要もあります。

MQLとSQLをセールスファネルにマッピングする方法

MQLは、認知と興味の段階にあるリードです。一方、SQLは、意思決定や行動のフェーズに進んでいるケースが一般的です。MQLとSQLがセールスファネルのどの段階にいるかを見極めるには、まず「リードの行動」と「リードスコア」という2つのデータセットを分析することから始まります。

リードの行動

リードの行動 とは、見込み客が自社とやり取りしている間にとるあらゆる行動のことです。見込み客がWebサイトやソーシャルメディアチャネル、その他のプラットフォームでどのように行動しているかを観察することで、その顧客が購買ジャーニーのどの段階にいるかを把握する手がかりが得られます。

webサイトのトラッキングの行動分析機能により、次のようなリードの特定の行動を調べることができます。

リードのサイトでの行動がわかれば、どのバイヤーペルソナに当てはまるか、SQLになる可能性があるかどうかを特定することができます。

この判断を行う方法の一つが、BANT評価モデルの活用です。BANTとは、予算(Budget)、権限(Authority)、ニーズ(Need)、タイムライン(Timeline)の頭文字を取ったものです。

予算、権限、ニーズ、タイムラインの各カテゴリと、それぞれのカテゴリに対するガイド質問を示すBANTセールス資格評価フレームワークの図表。

マーケティングツールによっては、これらの ステップを自動化 できるため、手作業でおこなう必要はありません。

リードスコアリング

リードスコアリング は、リードの適格性と行動のリストにもとづいてポイントを割り当てることによって、セールス活動に対するリードの準備状況をランク付けする方法です。一定の リードスコア に達したコンタクト先は、営業部門に引き渡すことができます。

すべてのリードが、すぐに営業対応可能な状態であるとは限りません。しかし、リードは育成することができます。マーケティングチームがすべての問い合わせを営業チームに送ってしまうと、営業リソースの時間を浪費するだけでなく、顧客体験の低下にもつながります。ときには、そうしたリードの中に、単に課題で読むためや試験勉強のために電子ブックを求めている学生も含まれることがあります。場合によっては、できるだけ多くの情報を収集しようとしている求職者である可能性もあります。

したがって、各リードの真の意図を注意深く分析することが極めて重要です。こうした意図を的確に読み取るには、行動に基づく正確な指標、つまり詳細なリードスコアリング指標が欠かせません。

リードのスコアリング基準を示すチェックリスト:デモグラフィック情報、企業情報、オンライン行動、電子メールエンゲージメント、ソーシャルエンゲージメントレベル。

リードスコアリングポイントの割り当て基準:

たとえば、ターゲット企業の意思決定者であれば、小規模企業やエントリーレベルの役職のリードよりも多くのポイントを付与してスタートします。Webサイト訪問によりリードスコアに数ポイントが加算され、電子ブックのダウンロードではさらに多くのポイントが加算されます。

高い関心を示す行動があった場合、見込み客をMQLへ移行させる契機となるはずです。例としては、製品やサービスの仕様ページを再訪する、価格ページを閲覧する、送信したメールの大部分を読む、カートに商品を残したままにする、などが挙げられます。時間の大部分はMQLに関する正確な指標の作成に費やされますが、MQLからSQLへの移行は、より明確に識別することができます。具体的な例としては、無料トライアルへの申し込み、セールス担当者とのディスカバリーコールの設定、またはそれに類する活動が挙げられます。

セールスチームとマーケティングチームが、リードをMQLからSQLへ移行させるべきかを示すスコアリング基準について合意することが極めて重要です。両チームで話し合い、認定に必要なリードのスコアリング指標を決定してください。また、リードのデモグラフィック適合度と、購買意欲を示す行動やアクションの両方をスコアリングする方法についても合意する必要があります。これらの行動には、Webサイトでの活動、ダウンロード数、メールでのやり取り、ソーシャルメディアでの交流などが含まれます。

マーケティングオートメーションソフトウェアを活用して、各アクションに数値を割り当てるリードスコアリングシステムを構築できます。さまざまな基準や行動にポイントを割り当てて、ソフトウェアがシステム内のあらゆるリードのスコアを追跡します。

リードをMQLからSQLへ移行させる方法

MQLをSQLに移行する際のよくある間違いは、リードを早すぎるタイミングで移行してしまうことです。マーケティング部門が、リードのインタラクション数にもとづいてエンゲージメントが高いと判断し、営業チームに引き渡すことがありますが、そうした顧客接点のほとんどが、バイヤーズジャーニーの初期段階のものであれば、そのリードはまだ営業チームに引き渡す準備ができていないことになります。一方、購入意思を示すダウンロードのエンゲージメントがあれば、リードを営業部門に引き渡すことができるかもしれませんが、最初のエンゲージメントとしてリードが価格情報をダウンロードしたのであれば、まだ営業部門には引き渡せないでしょう。

リードを引き渡す準備ができているかどうかを判断する際には、ブランドに対するリードの全体的な行動を考慮してください。

見込み客が理想的なリードスコアに達すると、顧客関係管理(CRM)により、新しいSQLがメールやタスクで営業部門に通知されます。その工程が自動化されていても、マーケティング部門と営業部門は定期的にミーティングを持ち、各SQLについてや、リードの引き渡しプロセスやリードスコア基準値の調整などについて話し合う必要があります。

購入意欲の高いリードを優先するためのプロからのアドバイス

営業部門とのコンタクトを希望するリードは、リード移行プロセスやテクノロジーで迅速に処理するようにしましょう。このようなリードには、すぐに対応する必要があり、営業部門にとっても最優先のリードです。

リードがセールスファネルを順調に進行するよう、まずは リードを効果的に育成および管理する ことが不可欠です。セールスファネル全体を通じて有益なコンテンツを提供することは、効率的な運用をおこない、リード目標を達成し、ロイヤルティの高い顧客の基盤を構築し、パートナーとして信頼されるための最も実用的なアプローチです。

リードを顧客に育成するための適切なデータの取得

MQLとSQLの違いを明確に理解することは、マーケティングファネルとセールスファネルを最適化するための重要な第一歩です。また、リードの育成と引き渡しのプロセスを合理化することで、営業部門とマーケティング部門の連携を強化することができます。

準備ができたら、営業部門とマーケティング部門のメンバーを集め、営業活動を開始できるリードのプロファイル概要を作成しましょう。どのような基準や条件を満たせば、真の購入意思を示しているものとするのかを決定します。

また、リードナーチャリング の取り組みを最適化するために、必要なソフトウェアが揃っていることを確認しましょう。Adobe Marketo Engage は、営業部門とマーケティング部門が、リアルタイムで更新されるカスタムスコアリングモデルを構築し、ペルソナや購入ステージにもとづくナーチャリングを自動化するなど、高度なリード管理能力を提供します。

Adobe Marketo Engageの概要動画 または インタラクティブツアー で、Adobe Marketo Engageが、MQLをSQLに、SQLを顧客に変えるためにどのように役立つかを見る。

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