サイコグラフィックセグメンテーション

用語集:用語

クイック定義

サイコグラフィックセグメンテーションとは、⼈の親近感や好みに関するインサイトにもとづいて市場をターゲティングするマーケティング戦略のことです。多くの場合、デモグラフィックと行動データポイントの両方からインサイトを獲得します。

重要ポイント

● サイコグラフィックデータは定量的なデータではなく、インタビューやフォーカスグループ、リサーチパネルなどの市場調査によって収集されます。

● サイコグラフィックセグメンテーションは、クリエイティブやブランドメッセージを開発する場合に最も有効です。

● 競争の激しい業界では、競合他社がサイコグラフィックセグメンテーションを利用して、ターゲット層に対して差別化を図れるため、より戦略的な価値があります。

サイコグラフィックセグメンテーションに関する様々な疑問に、Matt Skinnerが回答します。Mattは現在、アドビのDMPであるAdobe Audience ManagerとCDPであるAdobe Real-Time CDPのシニアプロダクトマネージャーを務めています。それ以前の約5年間は、Adobe Audience Manager製品の製品開発とマーケティングを担当していました。アドビに⼊社する以前は、Levi Straussで需要創出担当シニアマーケティングマネージャーを3年間務め、マーケティングとコミュニケーションの分野で約15年の経験を有しています。

サイコグラフィックセグメンテーションとは何ですか

サイコグラフィックデータを収集する方法は他にありますか

どのような場合にサイコグラフィックデータを使用するのが最適ですか

サイコグラフィックセグメントはどのように分類できますか

その他にもサイコグラフィックセグメンテーションの用途はありますか

行動セグメンテーションやデモグラフィックセグメンテーションよりも、サイコグラフィックセグメンテーションを利用するべきなのはどのような場合ですか

サイコグラフィックセグメンテーションを使用する際の課題は何でしょう

サイコグラフィックセグメンテーションは今後、どのようになっていきますか

質問:サイコグラフィックセグメンテーションとは何ですか

回答: サイコグラフィックセグメンテーションを理解する最もよい方法は、関連する[マーケットセグメンテーション]()であるデモグラフィックセグメンテーション、行動セグメンテーションについて学ぶことです。

デモグラフィックセグメンテーション では、性別、年齢層、居住地など、顧客の個人的な特性にもとづいて顧客をグループ化(セグメント化)します。

行動セグメンテーション では、webサイトの閲覧や商品の購入など、行動履歴にもとづいて顧客をグループ化(セグメント化)します。

サイコグラフィックセグメンテーション では、⼈の親近感や好みに関するインサイトにもとづいて顧客をグループ化(セグメント化)します。多くの場合、デモグラフィックと行動データポイントの両方からインサイトを獲得します。

例えば、スポーツに興味のある女性というサイコグラフィックセグメントがあるとします。このセグメントを作成するには、人の性別(デモグラフィック)とスポーツ用品のwebサイトを訪れたという事実(行動)のようなデータポイントを取り入れて、これらのデータをつなげてセグメントを形成します。マーケターは、アンケートやフォーカスグループなどの市場調査で特定のデータポイントを取得しようとすることもあれば、入手可能なその他のデータポイントにもとづいて推測を試みる場合もあります。

質問:サイコグラフィックデータを収集する方法は他にありますか?

回答: サイコグラフィックデータを収集する目的は、顧客の好みやターゲットオーディエンスのセンチメント(感情)を把握することです。サイコグラフィックデータは数字ではなく、他の種類のデータや、フォーカスグループ、リサーチパネル、インタビューなどから得られるものですサイコグラフィックデータを収集するということは、正確なプロフィールを構築するための定性調査をおこなうということです。

質問:どのような場合にサイコグラフィックデータを使用するのが最適ですか?

回答: サイコグラフィックデータは、クリエイティブやブランドメッセージを開発する場合に最も有効です。例えば、食器用洗剤を販売する企業が、最大のターゲットである、子供を持つ親や多忙なスケジュールをこなす人たちに合わせてCMを制作するとします。消費者の共感が得られるCMを制作するためには、そのようなデモグラフィック層を対象に大がかりな調査をおこなうことになります。

ここで役に立つのがサイコグラフィックデータです。定性調査の中で、忙しい親たちは食器を洗う時間を短縮しつつ、確実にきれいにしたいと思っていることをマーケティングチームが発見した場合、この重要なインサイトは、ターゲット顧客に向けてどのようなCMを放送すればいいのかを決定するのに役立ちます。

質問:サイコグラフィックセグメントはどのように分類できますか?

回答: サイコグラフィックセグメントを分類する具体的な方法はなく、ほとんどの場合、好みや興味をベースにします。先ほどの、スポーツに興味のある女性のようなセグメントが考えられます。これは、好みにもとづくセグメンテーションの例です。好みは、高級車のような実際の商品に対するものも、特定のブランドに対するものも考えられます。また、人々が本当に好まないものといったように、反対のものも可能です。顧客の好みにもとづいたセグメンテーションは、ターゲティングの際に何を避け、何を言わないかを理解するのに役立ちます。

質問:その他にもサイコグラフィックセグメンテーションの用途はありますか?

回答: サイコグラフィックデータは、マーケターや商品開発者が特定のセグメントにアピールする方法を見つけ出すことができるので、重要です。例えば、あるジーンズメーカーが、若い顧客の多くがジーンズよりも快適なヨガパンツを好んで履いているという情報をフォーカスグループから得たとします。ジーンズメーカーは、この行動データを利用して、若い顧客が継続して製品を購入してくれるように、ジーンズをより快適にする方法を考えます。

質問:行動セグメンテーションやデモグラフィックセグメンテーションよりも、サイコグラフィックセグメンテーションを利用するべきなのはどのような場合ですか?

回答: サイコグラフィックセグメンテーションは、競争の激しい業界において、より高い戦略的価値があります。例えば、似たような行動データやデモグラフィックデータにアクセスできるふたつの競合企業あるとします。それぞれの企業は、競合他社よりも詳細に顧客を理解することで、差別化を図ることができます。このような場合、サイコグラフィックセグメンテーションは戦略的に重要となるため、投資する価値があるのです。行動データとデモグラフィックデータが類似している場合、サイコグラフィックセグメンテーションが勝敗の決め手になることがあります。

人気ブランドの多くは、サイコグラフィックセグメンテーションインサイトや、ブランドの好感度を高める要素、万人にアピールする方法などを時間をかけて考えてきたため、高い人気を獲得しています。ほとんどの場合、そのようなブランドは、サイコグラフィックセグメンテーションを使用して、時間をかけてブランドに対する感想や感情を形成してきたのです。

質問:サイコグラフィックセグメンテーションを使用する際の課題は何でしょう?

回答: サイコグラフィックセグメンテーションの最も一般的な課題は、関連性があるように見えても、思い込みが強すぎたり、十分な意味を持たなかったり、説得力のある関連性を持たなかったりするインサイトを作成してしまうことにあります。

例えば、B2Bマーケティングの代理店が、web開発者をターゲットにした広告キャンペーンを企画しているとします。マーケティングリサーチの結果、web開発者の多くが頻繁にゲームをプレイしていることがわかりました。クリエイティブチームは、ゲーム愛好者にアピールするために、テレビゲームのイメージを使って、自社のweb開発ソフトウェアに関するキャンペーン全体を構築します。しかし、この広告キャンペーンは、その層のデモグラフィックにはアピールできても、テレビゲームに興味のない人を遠ざけてしまいます。

このように、サイコグラフィックセグメンテーションは、入手できるデータをもとに結論を出すため、リスクを伴います。このマーケティング代理店は、ターゲットオーディエンスの特定部分では成功したと言えますが、そのサービスに興味を持っていたかもしれない、より幅広いオーディエンスを遠ざけてしまいました。

質問:サイコグラフィックセグメンテーションは今後、どのようになっていきますか?

回答: サイコグラフィックセグメンテーションには、期待できる点がいくつかあります。

ひとつは、消費者が企業との関わり方について自分の好みを表現する機会が増えていることです。消費者はより賢くなっているので、企業は、詳細にパーソナライズされた体験を提供するために、サイコグラフィックデータを収集する方法の開発を進めています。消費者と企業がよりデータの扱いに慣れてくれば、サイコグラフィックセグメンテーションの精度はさらに高まるでしょう。

また、将来的に予想されることとして、2ndパーティのデータ共有があります。これは、ビジネス上の関係のあるふたつの組織が、顧客の同意を得たうえで、お互いに顧客データを共有することです。2ndパーティーのデータ共有が最も役立つのは、一方の企業が優れたサイコグラフィックデータを有していない、または顧客データが全体的に不完全な場合に、もう一方の企業の既知の情報を利用してデータを補強できることです。

例えば、あなたが新しい地域に引っ越したとします。それにより、その地域の企業から多くの歓迎のメールやクーポンが届くようになります。ある家庭用品店からは、店舗での買い物が20%オフになるというオファーが送られてくるかもしれません。こうしたオファーは新居に引っ越した際に大いに役立つものです。しかし、その家庭用品店は、あなたが引っ越してきたことを何の用意もなしに知ったわけではなく、その街の何らかのデータから情報を得たのです。このような関係、つまり顧客の同意を得たうえで企業や団体がデータを共有することも、より豊かなサイコグラフィックプロファイルを構築するための良い方法です。また、新しいテクノロジーを使えば、この関係をさらに最適化して、詳細にカスタマイズされた顧客体験を実現できます。

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