デジタルマーケティングのROIとは:概要、計算方法、最大化の方法

デジタルマーケターは、多くの作業を抱えています。新しいコンテンツの考案、斬新な広告の展開、インフルエンサーマーケティング施策の管理、ソーシャルメディアでの情報発信など、常に多くのことに取り組んでおり、成果を生み出す方法を考え続けています。しかし、こうした取り組みが、どれも同じようにリードの獲得や成約につながるわけではありません。そのため、デジタルマーケターは、どのような優先順位をつければよいのか悩むことになります。

それは、投資収益率(ROI)の問題に帰結します。デジタルマーケティング施策のROIを計算することで、何が効果的であり、何が効果的でないのかを正確に把握することができます。マーケターは、デジタルマーケティング施策のROIをもとに、実際に効果のある戦術に予算を投下して実施し、その価値を経営陣に示すことができるのです。

この記事では、デジタルマーケティングのROIとは何か、それをどのように計算し、そして長期的にどのように改善するかについて説明します。

デジタルマーケティングのROIとは?

デジタルマーケティングにおける投資収益率(ROI)とは、ビジネスにおいてマーケティング活動に費やした費用に対する利益の割合ことを指します。

ROIがプラスであれば、投下した費用以上の利益を上げていることを意味します。つまり、施策の成果として獲得した顧客から得る利益が、その施策にかかった費用を補って余りあるのです。マイナスはその逆で、マーケティングから得た利益よりも多くの費用をマーケティングに費やしたことを意味します。

デジタルマーケティングのROIを測定する理由

デジタルマーケティングのROIを把握することで、最も効果的な戦略を特定し、マーケティング予算を最適化することができます。ここでは、デジタルマーケティングのROIをマーケティングアプローチに取り入れるべき理由について、より詳しく解説します。

成功の判断基準

デジタルマーケティング施策が成功したかどうかを判断することは重要なことです。その判断に適用できる指標はいくつかありますが、その中のひとつはROIであるべきです。施策開始時に目標のROIを設定し、施策が必要なものを提供できたかどうかを確認します。

認知度向上やブランド構築のための施策では、売上やコンバージョンは主要な指標ではないかもしれませんが、それでもROIは成功の判断基準として用いることができます。施策に高いROIを期待しないのであれば、ROIの初期目標は低く設定しましょう。

効果の確認

デジタルマーケティングROIは、より限定的で困難な意思決定にも役立ちます。デジタルマーケティングのROIを測定することで、あらゆるマーケティングプランのどの側面に効果があって、どの側面に効果がないのか、あるいはどの変更が機能して、どれが機能しなかったのかを把握できます。施策に費やした費用が収益よりも多い場合は、何かが機能していないことを示しています。この情報があれば、他の施策のヒントを得たり、最も収益性の高いチャネルに取り組みを注力することができます。

戦略的な予算配分

デジタルマーケティングのどの施策や取り組みが最も優れたROIを達成しているかがわかれば、それらのチャネルに予算を再配分することができます。同時に、リターンの低い施策を段階的に廃止し、パフォーマンスの高い戦略にさらに多くのリソースを投入することができます。

デジタルマーケティングのROIの計算方法

デジタルマーケティングのROIとは、簡単に言えば、マーケティング活動によって直接もたらされた収益からマーケティング活動に費やした費用を差し引いたものを、マーケティング活動に費やした費用で割ったものです。

ROI = ([リターン - 初期投資額] / 初期投資額) x 100

ROIはパーセントで計算されるため、100倍(x 100)します。当初の投資額が何%増加したのか、あるいは何%減少したのかを計算しています。より簡単な式にすると、次のようになります。

ROI = (純利益 / 総費用) x 100

新しい施策を始める場合、最初からどの程度のROIを期待できるかを概算する必要があることもあります。ROIを予測するには、ターゲットの潜在顧客の数に、コンバージョン率(顧客化率)と平均購入価格を掛けます。この数値が、予測リターンになります。

予測リターン = (リード数 x 顧客化率 x 平均販売価格)

リード数は、リードになると予想される人数の目安ですが、リードがすべて顧客になるわけではありません。そこで、より正確に計算するために、リードから顧客へコンバージョンする平均比率である「顧客化率」を掛けます。

たとえば、施策で1,000件のリードが生成されることを想定し、顧客化率が25%であるとします。セールや割引を含めた平均販売価格は50ドルになるとします。予測リターンは12,500ドルとなります。

1,000件のリード x 0.25 x $50 = $12,500

マーケティング活動の予測コストを把握していれば、その数値をROIの計算に代入することができます。

予測ROI = ([予測リターン - マーケティングにかかった費用] / マーケティングにかかった費用) * 100

この例では、この施策に5,000ドルを費やすことを計画しています。つまり次の式になります。

([$12,500 - $5,000] / $5,000) x 100 = 150% の予測ROI

これらの計算式では、施策の成果に影響を与える可能性のある外部要因や予測不可能な状況は考慮されていません。

マーケティングの成功を包括的に把握するためには、ROIを以下のような指標で補う必要があります。

インプレッションとページビュー

ビジネスを成長させるためには、製品やサービスの存在を人々に知ってもらう必要があります。インプレッションとページビューは、ブランド認知度を示す強力な指標です。マーケティングプロモーションを目にし、webサイトを訪れる人が多ければ多いほど、ブランド認知度が高まります。インプレッションやページビューに重点を置いたデジタルマーケティング施策は、高いROIを生み出さないかもしれませんが、「インプレッション単価」を計算することは、あまり費用をかけずに確実に注目を集めるための優れた代替策になります。

クリック率

製品やサービスに興味を持った利用者は、デジタルマーケティング資料のリンクをクリックします。クリック率(CTR)を測定することで、最も注目を集めた広告、メール施策、ソーシャルメディアへの投稿を把握することができます。潜在顧客の興味を引くものを把握できれば、戦略的にトラフィックを誘導する方法が明らかになります。

リード獲得単価と顧客獲得単価

ROIをより詳細に測定する指標が、リード獲得単価と顧客獲得単価です。リード獲得単価(CPL)とは、新規顧客候補の注目を集めるために必要なコストを表し、顧客獲得単価(CPA)とは、その見込み客を顧客にコンバージョンするために必要なコストを表します。

このふたつの指標を計算することで、具体的にどこに課題があるのかを判断することができます。たとえば、リード獲得単価が低いのに、顧客獲得単価が高い場合は、先行するマーケティングの内容と、顧客が実際に購入する商品との間に乖離がある可能性があります。

広告費用対効果(ROAS)

ROASは、ROIと非常に近い関係にあります。施策全体のリターンを測定する代わりに、ROASは、施策の単一のコンポーネントのリターンを調べます。

ROASは、通常、PPC広告に関連付けられており、計算が若干容易になります。つまり、どのくらいの支出があり、どのくらいの収益があったのかを正確に把握できています。ROASの計算式は、ROIとほぼ同じですが、マーケティング関連の変数をPPCの変数に置き換えます。

ROAS = ([PPC収益 - PPC支出] / PPC支出) x 100

ROASには、従業員の給与、マーケティングソフトウェア、その他の処理費などの外部費用は含まれていないことに留意してください。しかし、ROASは、リード獲得単価や顧客獲得単価と同様に、改善すべき領域や機会をより詳細に示しています。

コンバージョン率

コンバージョン率(リードが実際の顧客になる割合)は、コンバージョンが最終目標である場合は、強力な指標となります。しかし、特定のチャネル、デバイス、広告ごとにコンバージョン率を検討することが重要です。コンバージョン率を多角的に見ることで、不調な施策や好調な施策を確認することができます。たとえば、ある施策ではノートパソコンよりもモバイルデバイスの方が効果的な場合があります。モバイルデバイスの方がコンバージョン率が高い場合は、そのような施策に時間と費用をより多く投入することを検討しましょう。また、コンバージョン率の測定を継続し、リソースの再配分に効果があるかどうかを確認しましょう。

コンバージョン率は、新しい施策のROIの予測や、過去の実績にもとづいてより合理的な予算を編成するのにも役に立ちます。

平均注文額

平均注文額(AOV)とは、顧客が購入した際に支払った平均の金額のことです。AOVは重要です。なぜなら、コンバージョンを多数誘導しても、新規顧客の消費金額があまり多くなければ、ROIの増加は見られないからです。同じように、AOVを重視してより高価格の製品に誘導すれば、ROIと利益は増加しますが、コンバージョン率が低下する可能性があります。

顧客生涯価値

顧客生涯価値(CLV)とは、平均的な顧客との継続的な取引によってもたらされる価値(収益)のことです。CLVは、ほかの一般的な指標とは異なり、デジタルマーケティングの長期的な成功を測る指標となります。潜在的なCLVの高い顧客をコンバージョンすることは、その顧客が新たに購入するたびにROIが増加することを意味します。獲得した顧客のCLVが高ければ、初期の段階のROIが低くてもそれほど心配する必要はありません。

正確な結論を導き出すためには、正確な指標が必要であることに留意しましょう。適切な追跡プロセスを実施し、クリーンなデータを使用していることを確認してください。

優れたマーケティングROIとは

簡単に言うと、優れたマーケティングのROIとは5:1の比率、つまり100円使うごとに500円売り上げている状態です。

ROIが2:1だと、他の諸費用もあるので、比率が1:1に近くなり、かろうじて利益が出ている状態です。マーケティングROIの計算では、通常、直接投資額を用い、施策を実現するために必要な給与やオフィススペースなどのビジネス費用は含みません。デジタルマーケティングのROIが10:1であれば、非常に優れています。外部要因を考慮しても、間違いなく利益を上げています。

5:1がベンチマークになるとはいえ、「優れた」ROIという表現はやや主観的です。優れているかどうかは、業界やユースケースに大きく依存します。業界によっては、マーケティングの飽和度が高く、差別化するために多額のマーケティング予算が必要な場合があります。

そのため、ROIだけに頼るべきではありません。あらかじめ設定した目標や重要業績評価指標(KPI)のいずれかがROIの代わりになるかもしれません。

ROIを向上させる方法

ROIを計算し、基準値を設定することは素晴らしいことですが、次はそれを向上させる方法を考えなければなりません。続いて、デジタルマーケティングのROIを向上させるための4つの一般的な方法を解説します。

目標を設定し、注力する

デジタルマーケティング施策に着手する前に、達成可能で適切な目標を設定しましょう。目標は、ROIやその他のデジタルマーケティングKPIに関連するもので、予算の制約や範囲に合わせる必要があります。施策の進捗に合わせて指標を報告し、ギャップがないか、施策の各部分に効果があるかどうかを確認します。これらの指標は、施策を改善したり、オーディエンスにより適した全く新しい施策を立ち上げるのに役立ちます。

最適なチャネルに注力する

より少ないチャネルに注力することで、より高いROIを得ることができます。ソーシャル、SEO、PPC、電子メールなど、自社ブランドにとって最も効果的なチャネルを特定します。そして、マーケティング予算をどのように配分すれば、リターンを最大化できるかを考えましょう。

検証と最適化

マーケティング施策の効果を知る唯一の方法は、検証をおこなうことです。多変量テストを用いて、新しいコピー、ビジュアル、リンクなどを検証し、オーディエンスが反応するものを絞り込みます。検証により、現在の施策を改善できるだけでなく、新しい施策を開始する際により優れた状況を生み出すこともできます。

Digital marketing multitouch attribution

マルチタッチアトリビューション

アトリビューションは、デジタルマーケティングの成功を測る際に、マーケターが直面する最大の課題のひとつです。コンバージョンの多くは、見込み客と企業との複数のインタラクションによってもたらされます。そのため、多くのマーケターがマルチタッチアトリビューションに注目しています。

施策のさまざまな側面を評価することで、カスタマージャーニーの最も効果的な部分を確認し、顧客の離脱の原因となる部分を修正する機会がもたらされます。マルチタッチアトリビューションを活用しても、マーケティング活動にはすぐには影響をもたらさないかもしれませんが、施策には大きな利益をもたらし、コンバージョン率、ひいてはROIを向上させることができます。

デジタルマーケティングのROI向上に取り組む

デジタルマーケティングのROIを計算し、継続的に監視することは、ビジネスを成功に導くための重要なポイントです。これを怠ると、オーディエンスの共感を得られない施策を開始したり、不適切なチャネルで施策を展開して費用を浪費することになります。デジタルマーケティングのROIやKPIを監視することで、施策が効果を発揮していないときに方向転換したり、最もパフォーマンスの高い施策に投資を集中することができます。

ROIを向上させる最初のステップは、魅力的でパーソナライズされた体験を大規模に構築できるマーケティング基盤を導入することです。そのためには、優れた顧客体験を創出するために専用に設計されたマーケティングスタックが必要です。

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