ソーシャルメディアキャンペーン - 成功のヒントと事例

ソーシャルメディア戦略を推進するためには、多くの作業が必要であり、ひとつのキャンペーンが終わるとすぐに次のキャンペーンが始まります。ソーシャルメディアマーケティングには、膨大なコンテンツが必要となると同時に、スピーディーな展開が求められるため、新しいアイデアを開発し続けるには困難が伴います。

ソーシャルメディアキャンペーンとは、ソーシャルメディアマーケティング(SMM)戦略全体を支える一連の投稿のことです。 多くの場合、このキャンペーンは、新製品の発売やホリデーセールといった、特定の製品やマーケティングの目標にもとづいています。通常は、SMMの目標を達成するために、複数のソーシャルプラットフォームをまたいで実施されます。

この記事では、効果的なソーシャルメディア戦略を構築するのに役立つ、いくつかのベストプラクティスを解説します。また、以下の9つのキャンペーンを例に、どのように成功を収めたのかを紹介します。

ソーシャルメディアキャンペーンのベストプラクティス

優れたソーシャルメディアマーケティング戦略には、さまざまな戦術が含まれます。ここでは、すぐに役立つベストプラクティスをいくつか紹介します。

効果的なソーシャルメディアキャンペーンの9つの実例

これまで述べたベストプラクティスを、マーケティングキャンペーンに取り入れた例をいくつか紹介します。

1.Getty美術館の#GettyMuseumChallenge

Getty美術館は2020年3月、Facebook、Instagram、Twitterにおいて、#GettyMuseumChallengeというハッシュタグの展開を始めました。参加者が3つの日用品を利用して、お気に入りの作品を再現することが目標でした。この企画は、同美術館がInstagramの既存アカウントからヒントを得たもので、そのアイデアに独自の工夫を加え、Gettyコレクションから、デジタル化されたアートワークをダウンロードして使用するように求めました。

この企画は大きな反響を呼び、世界中の何千人もの人々がラザニア麺でルネッサンス作品を再現したり、自分のペットをモデルにして「真珠の耳飾りの少女」のペットバージョンを制作したりしています。同美術館は、完成した作品を書籍にまとめました

このソーシャルメディアキャンペーンが成功したのは、美術館をより身近なもの感じてもらえたためです。誰もがGetty美術館に足を運んで作品を鑑賞できるわけではありませんが、「製品」である作品を自宅で再現することができます。同美術館はまた、戦略的なタイミングで、つまり、多くの人々が自宅で過ごしていたCOVID-19の大流行の初期に、この企画を展開したのです。人気のあるイベントのポジティブな瞬間を利用したり、ストレスの多い時期に気晴らしを提供したりするなど、ソーシャルメディアキャンペーンがどのように変化に適応し、人々の創造力を引き出すことができるかを考えてみてください。

2.Appleの#ShotOniPhone

Appleは、長年にわたって複数の#ShotOniPhoneキャンペーンを実施してきました。2022年、このキャンペーンはiPhone 13 ProとiPhone 13 Pro Maxのプロモーションのために企画されました。Appleは、それらの機種で撮影したお気に入りのマクロ写真をユーザーに共有してもらうことで、新しいマクロ撮影機能を紹介したいと考えました。

Appleは、#ShotOniPhoneと#iPhoneMacroChallengeのハッシュタグをつけて、InstagramとTwitterで写真を共有するよう呼びかけました。その後、審査員が10人の受賞者を選び、デジタルキャンペーンなどでマーケティングに使用しました。このふたつのハッシュタグには、Instagramで2,600万件以上の投稿がありました。

このキャンペーンは、iPhoneのカメラ性能の高さを証明するものであり、今もなお効果を持続しています。これは、ブランドを「伝える」のではなく「見せる」ことの典型的な例です。

ソーシャルメディア企画に賞品や報酬を提供する必要はありませんが、受賞者を選ぶことにした場合は、商品をプレゼントしたり、応募作品を再投稿したりすることを検討してください。ブランドのキャンペーンに参加するチャンスを企画することで、オーディエンスの積極的な関与を促しましょう。

3.Spotifyまとめ

「Spotifyまとめ」もまた、毎年利用されているブランドキャンペーンの例です。毎年12月になると、Spotifyのユーザーは、頻繁に聴いているジャンル、トラック、アーティストに関するリスニングデータをもとに、パーソナライズされた統計とインサイトを受け取ります。Spotifyはこの情報を、ユーザーがソーシャルチャネルで共有できるよう、しっかりデザインされたグラフィックで提供します。

Spotifyのキャンペーンの勝因は、高度なパーソナライゼーションと独自性です。Spotifyの最大の競合であるApple Musicは、つい最近、同様の機能であるReplayをローンチし、追随を試みています。しかし、Apple MusicのReplayは、「Spotifyまとめ」のようなユニークな体験を提供するものではありません

顧客データは、効果的なソーシャルメディアキャンペーンを構築するための最も強力なツールのひとつです。データドリブン型の体験は、各ユーザーに合わせてカスタマイズできるため、エンゲージメントを高めることができます。また、パーソナライズされたマーケティングは、ブランド認知度やコンバージョンを高めることができます。2020年12月の第1週に、多くのSpotifyユーザーがまとめカードをソーシャルメディアで共有すると、Spotifyアプリのダウンロード数が21%増加しました。

消費者向けに、できる限りパーソナライズされた体験を構築するよう心がけましょう。ユニークなコンテンツを制作するために利用できる顧客データを確実に収集することで、ブランドとオーディエンスの関係を育むことができます。

4.DoveのProject #ShowUs

Doveは、Project #ShowUsキャンペーンで、Girl gazeコミュニティおよびGetty Imagesと提携し、「あらゆるメディアや広告主が自由に使用できる、さまざまな形の美しさを表現する」、10,000枚を超える画像のコレクションを作成しました。このキャンペーンは、女性の力だけで進められ、多様性を重視し、写真の編集を禁じました。

64万件以上の投稿が、#ShowUsハッシュタグでInstagramで共有されています。また、Doveは、FacebookやTwitterなど、他のソーシャルメディアでも写真投稿を共有しました。

このキャンペーンは、オーディエンスを知ることの優れた例です。Doveがオーディエンスを対象に調査したところ、70%の女性が自分らしい美しさが広告で表現されていないと感じていることが明らかになりました。同社はその調査結果を活かして、オーディエンスのニーズを把握し、プロジェクト#ShowUsを立ち上げることで、この課題を解決しようとしたのです。

ソーシャルメディアキャンペーン、プロジェクト、企画に着手する際には、まず市場調査をおこない、そのキャンペーンが必要とされているかどうかを確認しましょう。アンケートを実施することで、オーディエンスにとって重要な課題やその原因を把握することができます。意外にも、計画とは異なる方向でキャンペーンをおこなう必要があることが明らかになるかもしれません。

5.Procter & Gambleの#DistanceDance

Procter & Gamble(P&G)のTikTokに特化した企画は、インフルエンサーのCharli D'Amelioと協力して作成されたものです。P&Gは人々に#DistanceDanceへの投稿を呼びかけ、ソーシャルディスタンスを実践するよう促しました。さらにP&Gは、300万件の動画が投稿された場合、チャリティに寄付することを約束しました。

キャンペーン開始から1週間で、D'Amelioのビデオは80億回以上再生され、170万の人たちが自身のバージョンを投稿しました。

P&Gは、ふたつの戦略的インサイトを組み合わせて、このキャンペーンを成功に導きました。まず、このキャンペーンでは、TikTokのユーザーには、TikTokが得意とするダンスを求めました。これは、特定のチャネルに適したコンテンツを利用することの優れた例です。

ふたつ目は、P&Gがインフルエンサーを起用したことです。Influence Marketing Hubによると、インフルエンサーマーケティングはROIが高く、企業は1ドルの支出に対して約5.20ドルの利益を得ています。

6.MSIGの#RealSmallProblems

Wild Advertisingは、保険会社のMSIGがInstagramを立ち上げるに当たり、#RealSmallProblemsキャンペーンでこれを支援しました。業界の大手企業では、生命保険の必要性といった、大きな話題をテーマにメッセージを打ち出していましたが、このキャンペーンは、大きな問題に発展しうる小さな問題について考えてもらうために企画されました。

Wild Advertisingは、クリエイティビティに溢れる効果的なソーシャルメディアコンテンツで知られています。同社は、友人とスポーツをしていて、流れ球が当たって治療が必要になるなど、日常の出来事が大きな問題に発展する様子を短い動画とカラフルなイラストで表現しました。よくある小さな事故を題材にしたことは、親近感のある保険会社としてのMSIGのブランドイメージと合致しています。また、このキャンペーンは、持続可能性や注意深いソーシャルメディアの利用など、企業の価値観にとって重要なテーマを強調するためにも使用されました。

MSIGはこのキャンペーンで1,000人以上の新しいフォロワーを獲得し、月間のエンゲージメントが15%増加しました。ブランドの強みにフォーカスすることで、オーディエンスとの関係をより強固なものにすることができます。小規模な企業であれば、その利点を活かして、より個人的なレベルで有意義な意見交換をおこなうことができます。ソーシャルメディアキャンペーンは、市場での自社の立場を生かすように企画しましょう。

7.Delta Air LinesのFaces of Travel

Delta Air Linesは、多様性、公平性、包括性を重視することを決定したとき、Kintoと提携してFaces of Travel」の取り組みを立ち上げました。

このキャンペーンの背景にあるアイデアは、旅行者の多様性(あらゆる経歴、能力、経済的地位の人々)を反映した旅行関連のストック画像集を作成するというものでした。このコレクションには100枚以上の写真と動画クリップが含まれ、Vice Media、Refinery29、Adobe Stockなどを通じて配信されました。

このキャンペーンは、同社が利用できるストック画像に不足を感じたことから生まれました。次のソーシャルメディアキャンペーンのアイデアを検討する際には、自社の業界と顧客について考えてみてください。顧客が何を必要とし、何が欠けているのか、そしてそのギャップをクリエイティブなキャンペーンでどのように埋めることができるのかを検討しましょう。

8.Trelloの#WhereITrello

生産性ソフトウェアのTrelloは、#WhereITrelloキャンペーンを企画しました。そのアイデアはシンプルで、非常に効果的でした。ユーザーはTrelloを利用した場面を記録した写真をTwitterやInstagramで共有し、入賞作品を同社のブログで再掲載しました。

このソーシャルメディアキャンペーンは、Trelloがユーザー生成コンテンツを収集するための方法でした。また、Trelloのセールスポイントのひとつである、「このソフトウェアを利用すれば、どこにいても整理された状態を保つことができる」ことも強調しました。

製品やサービスの特定の機能にフォーカスしたソーシャルメディアキャンペーンを企画しましょう。顧客の声を収集できれば、さらに優れたキャンペーンになります。Trelloも、#HowTheyTrelloや#FavoriteThingsInTrelloのハッシュタグで、ユーザーにソフトウェアの使い方を共有してもらいました。同じように自社製品の素晴らしさを伝える効果的な方法を考えてみましょう。

Lush’s #LushLife social media campaign

9.Lushの#LushLife

#LushLifeは、化粧品会社Lushが企画した継続的なソーシャルメディアキャンペーンです。顧客は、ブランド名の入ったハッシュタグを使い、最近購入した商品を披露したり、お気に入りのバスボムの香りやフェイスマスクの使い方など、愛用している商品についてのアドバイスを共有したりすることができます。

同社の製品は、明るくカラフルで、季節に合わせたデザインを採用しているため、ソーシャルメディアで共有するのに適しています。このハッシュタグは、InstagramとTikTokで最も人気があり、両方のプラットフォームを合わせて100万回以上再生されています。このタグをプロモーションすることで、顧客同士が直接会話するようになり、コミュニティーの感覚が生まれています。また、消費者からの投稿は、ブランド認知度のさらなる向上に役立っています。

斬新なソーシャルメディアキャンペーンを創出

さまざまなタイプのソーシャルキャンペーンについて学び、有名ブランドの事例を研究することで、クリエイティビティを高めましょう。それが、効果的かつ個性的なキャンペーンを企画し、実施するための第一歩です。

Adobe Campaignなら、ソーシャルメディアキャンペーンを迅速かつ容易に構築、管理できます。カスタマージャーニー全体を単一のインターフェイスで確認し、膨大な顧客データを利用して、顧客が求めているダイナミックなソーシャルメディアキャンペーンを作成、調整、配信できます。

アドビが、ソーシャルメディアキャンペーンを実施するのにどのように役立つのか、製品ツアーで詳しくご確認ください。