未来はここまできている。データドリブン マーケティングは、機械学習をどう受け入れるのか

未来はここまできている。データドリブン マーケティングは、機械学習をどう受け入れるのか

現在のマーケターの様子を見ていると、現在彼らが担当している仕事の多くが、20年前には存在しなかったことを忘れがちだ。当然、当時のマーケターは、ソーシャルメディアやSEOに関心を持つことはなかった。これと同じように、マーケティングにおいてテクノロジーの果たす役割が増え続けているため、次の10年には、マーケターに求められる役割がどのように変化するのか、正確に捉えることは難しい。

いま、我々が確実にわかっていること。それは今後数年間にわたり、マーケティングにおいて起こりうる変化に対して、「機械学習(マシンラーニング)」が大きな役割を果たすということだ。データドリブン型(データ主導型)のマーケティング戦略において、機械学習の役割は、今以上に拡大していくだろう。

機械学習って何?

機械学習という言葉は多くの意味を含んでいるように見えるが、まず思い浮かぶのはAI(人工知能)だろう。昔から映画で見てきたように、AIは、いつの日か機械が人間に置き換わることの暗示のように感じられる。しかし幸運なことに、すべてのマーケターが機械学習に求めているのは、そのようなことではない。マーケターが望んでいるのは、自分でやるよりも、もっと早く課題を解決できるシステムだ。

機械学習を利用するために、マーケターは、何が課題なのか、課題を解決するための変数は何か、そしてどのデータを使うべきかを決定しなければならない。機械学習は、与えられたデータや、データのパターンに基づいて実施可能なソリューションを最適化し、施策を改善することができる。しかし、たとえそれがAIにできたとしても、マーケターはプログラムのための戦略を作る必要がある。

例を出した方がわかりやすいだろう。たとえば、スマートフォンの人工知能機能に質問するときのことを思い出してほしい。そのスマートフォンは、あなたのために素早く答えを見つけられるよう、特定のデータからのみ情報を探せるようにプログラムされている(どこからでも情報を引き出せるわけではない)。しかも不適当な言語は使えない。不適当な言語での質問に対しては「意味をなさない」と答えるか、答えるのを拒否するだろう。

機械は与えられたデータに基づいて学習できるが、それ自身で考えることはできない。そのようなときマーケターがいれば、どのように顧客対応をしてほしいのか、その変数を設定することができるのだ。

機械学習はデジタル マーケティングにどんなインパクトを与えるのか?

時代の流れにともない、機械学習はAIではなく、IA(知的アシスタント)の方向へと向かうことが予想されている。現状では、機械学習はそれ自身で考える能力を持たないが、今後も、必ずしもそれを実現する必要はない。それは、人類が成しうる創造性の美しさを失ってしまうことになるからだ。有益な進歩は、すでに現状の機械学習の状況からも確認できる。たとえば、ある特定の作業を完了するように頼める上記のスマートフォンのような例や、我々のニーズを予想し、確認することを学べる状況のことだ。

繰り返しになるが、先述の例で考えると理解しやすいだろう。あなたがスマートフォンに対し、「レストランを見つけて」と尋ねる。そしてそのたびにUber(配車サービスアプリ)に利用リクエストを送っているとする。すると、IAはこのパターンを学習して、次にレストランを尋ねた場合、Uberに利用リクエストを送りたいかどうか聞いてくるようになる。

これは、まだ限定された行動やデータポイントに基づいて学習されているが、いずれ、スマートフォンは優れたアシスタントのように正確に要求に応えるための学習能力を持つだろう。

ここである疑問が生まれる。「これはデジタルマーケティングに対してどのようなインパクトがあるのか?」

マーケティングの世界には、データがあふれかえっている。しかしIAテクノロジーによって、データとその起因から関連あるものを特定し、統計処理することが可能になった。非常に近い将来、テクノロジーが率先してこの処理を行うよう、プログラムできるようになるだろう。IAテクノロジーのこの種の進歩は、消費者のリアルタイムなニーズを探るデジタルマーケターが先手を打つことを叶えてくれるだろう。

機械学習の将来は?

機械学習はすでに存在している。では、近い将来、機械学習はどのように進化するのか。

これまでのように、1つの質問に対して1つの回答をするようなやりとりは減っていき、まず好みやパターンを学習するように発達していく。そして、さらに能動的なものになる。IAテクノロジーは、まだ、人が質問していない質問を予測するようになるだろう。

長期的に機械学習は、出来事を引き起こしたミクロ要因とマクロ要因の両方を理解するために、天気や競合分析などの外部要因も考慮するようになる。なぜ、顧客がブラック
フライデー(11月の第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日)に、競合ではなく自社を選んだのかを理解できるようになる。それはメールニュースによるものなのか、商品が良かったからなのか、値段が魅力的だったからなのか。これらの外部要素を含んだ顧客の洞察は、これまでできなかった深い理解を可能にする。

機械学習はマーケティング、顧客理解のあり方を変革する力を持っている。このテクノロジーを即座に効率的に活用することで、多くの会社が一歩抜きん出ることになるだろう。データとマーケティング戦略を統合する動きは、機械学習の最先端を見せてくれるだろう。

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