広告業界の未来像を示す15の注目データ

広告業界の未来像を示す15の注目データ

広告の将来を表すキーワードとして、「パーソナライズ」「自動化」「没入型(イマーシブ)」「体験型」「計測可能」などが挙げられる。そして、これらの動向を裏付ける数字がある。今後の広告業界を見据えるために必要な、15の注目すべき数字を紹介する。

(1)2022年までに、広告プロセスの80%が自動化され、自動化が占める割合はこれをもって最大に達する。

残りの20%は、ブランドバリュー、ストーリーテリングなどの要素と、絶対に人間にしかできない体験的な施策が占める 。
— 米国McGarryBowenエージェンシー、フィル ゴーランによる大胆な予測
(ソース:Advertising Week 2017におけるAdobe Think Tankのパネルディスカッション

(2)米国における2017年の動画広告費は、2015年の54.7億ドルから、90億ドルまで増加した。 90%の消費者が、少なくとも毎週動画をオンラインまたはモバイルで閲覧しており、広告主にとって動画が非常に大きな機会となっている。動画広告への投資は今後も増加が続くと見込まれている。

(3)VR広告では、70%のユーザーにおいて同日の助成想起(手がかりを元にブランドを思い出すこと)が可能である という(ソース:YouMeによる調査)。没入型(イマーシブ)広告は、今後間違いなく増加していくだろう。

VR広告と助成想起

(4)ミレニアル人口の80%は、パーソナライズされた広告とオファーでアプローチしてくる企業に価値を認めている(ソース:Rocket Fuelによる調査)。
広告のパーソナライズもますます進んでいくと考えられる。

(5)2019年までに、スマートフォンでのインタラクションの20%は、個人用バーチャルアシスタントを介したものになる(ソース:ガートナー)。

(6)2019年までに、米国のデジタルディスプレイ広告費の83.6%は、プログラマティックで取引されるようになる(ソース:eMarketer)。

プログラマティック広告取引

(7)CMOの3人に1人以上が、2018年広告費の21%から50%を実験的な広告に投入する(ソース:Freemanによるグローバル調査)。

(8)ソーシャルメディア広告は2019年に502億ドル市場となり、2020年までに新聞広告市場を上回る(ソース:Zenith)。
ソーシャルメディアは、引き続き企業にとって重要な広告媒体となる。

(9)2020年までに、世界中で10億人以上がAR(拡張現実)およびVR(仮想現実)コンテンツにアクセスするようになる(ソース:IDC)。

(10)モバイル広告、ウェアラブル広告、オンラインでのデジタル広告市場は、2016年の1600億ドルから、2020年には2850億ドル規模に達する
ブランドや小売企業はモバイルを介した消費者への働きかけに投資を続けており、年間平均で22%というモバイル/ウェアラブルでの広告予算加増が、デジタル広告市場の拡大に寄与している(ソース:Juniper Research)。

(11) アドテク業界(広告テクノロジー業界)の収益は、2015年の300億ドルから2020年には1000億ドルに増加、300%の成長が見込まれている(ソース:Technology Business Research)。

アドテク業界の収益

(12) 企業によるマーケティング基盤への大規模な投資が続き、CMOたちに任されるマーケティングテクノロジー予算は、2018年末までに323億ドルに達する

(13) 5Gネットワークへの加入者は2023年までに10億人に達すると見込まれ、これは世界人口の20%に匹敵する(ソース:Ericsson Mobility Report)。これは、企業が既存客と今後見込まれる顧客の両方に対して提供できるモバイル広告体験(VRストリーミングやバーチャルアシスタント)にインパクトを及ぼす。

5Gネットワークへの加入者数

(14) 米国におけるローカル広告からの収益は、2017年の1438億ドルから、2018年には1512億ドルに達し、5.2%の成長が見込まれている。収益の64.7%は従来的なメディアから、35.3%はオンライン/デジタルから上がってくると予想される(ソース:BIA/Kelsey 2018年ローカル広告予測。BIA/Kelseyでは、全国区/広域/地方(ローカル)を対象とするマーケターが、地方のオーディエンスにアクセスできるすべての広告プラットフォームを「ローカル広告」と定義している)。

(15) 米国における総広告費のうちデジタル広告が占める割合は、2017年の40.5%から、 2021年までに51.3%に増加すると見込まれる(ソース:eMarketer)。

広告を支えるテクノロジーや広告主企業のニーズ、広告に接触する消費者の行動は大きく変化し、以上のように数字に明確に表れている。消費者と適切かつ効果的にコミュニケーションをとるために、企業の広告の位置付けやキャンペーン運用のあり方も、未来を見据えた変革が迫られているだろう。

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