Mattel:Adobe Fireflyの生成AIの力でバービーのパッケージ制作を改革

Ashley Still

07-25-2024

Barbie and Adobe Firefly generative AI — bringing magic to Mattel’s packaging Marquee Image

信じがたい話ですが、バービーは今年で65周年を迎えました。実に60年以上にわたり、様々な壁を打ち破りながら、魅力的なストーリーテリングで世代を超えて愛されてきたのです。また、バービーは「市場で最も多様性に富むドール」でもあり、子どもたちが未来に向かって自分らしく進んでいけるよう、自信、大胆さ、勇気を持つことの大切さや、スポットライトを浴びる楽しさを伝え続けています。バービーファンの多くは、店頭に並ぶ商品を見ただけで(箱から出す前から)頭の中にストーリーが始まってしまうことが少なくありません。これは、バービーのパッケージが見る人のイマジネーションを膨らませられるように入念に作られているからです。その意味で、バービーのパッケージは、体験全体の不可欠な一部になっていると言えるでしょう。

バービーとパッケージ 数え切れないほど存在するバービーシリーズの商品で、ストーリーテリングに重要な役割を担っているのがパッケージです。Mattelのデザイナーは、ストーリーの舞台や遊びの出発点となるテーマを設定し、パッケージで表現しています。

バービーの人気が高まるにつれて、Mattelでは社内で新しい商品ラインの拡張やサポートに対応するための手段が求められるようになっていました。そんな同社のデザイナーが現在アイデアの幅を広げるために導入しているのが、Adobe Fireflyの生成AIです。Fireflyを導入した結果、従来よりも短時間で魅力的なコンセプトを作り出せるようになり、価値の大きなタスクに割ける時間が増えました。

「Adobe Fireflyの生成AIの魅力は、私たちの頭の中にあるビジョンを画面に正確に描き出してくれる点にあります」

Sal Velazquez氏、Mattel、バービー担当パッケージデザイナー

Adobe Fireflyでアイデア出しを効率化

Mattelとアドビのパートナー関係は、何十年にもわたります。同社のデザインチームが採用しているアドビ製品としては、Creative CloudツールのSubstance 3Dなどがあります。これは、3Dモックアップを使ったアイデア出しに使用しているもので、デザイナーはそのモックアップを基に様々なコンセプトを試しています。現物のプロトタイプを作成する必要がないのが利点です。また、Adobe Fireflyも、当初のアイデアの核となる部分を作る段階から効果を発揮し、同社のワークフローをさらに加速させています。

Mattelの場合、パッケージのコンセプトは必ずラフスケッチ(ブルーライン)から始まります。そして、デザインチームがいくつかの案を作成したら、それについてフィードバックとレビューのサイクルを通じたやり取りを経て、当初の案を磨き上げていく流れになっています。しかし、関係者の意見を基にデザインを微調整するこのプロセスは、時間がかかることが少なくありません。そこでAdobe Fireflyを使えば、高精度の成果を従来よりも短時間で作れるため、早期から緊密な連携が可能になります。

Adobe Fireflyでアイデア出しを効率化

Mattelでは現在、Adobe Fireflyでシンプルなテキスト形式のプロンプトを入力するだけで、質の高いイメージやカラーパレットのアイデアが即座に生成されます。そのため、デザイナーがパッケージのコンセプトやバービーが置かれる環境を柔軟かつ独創的な方法で提示できるようになりました。さらに、他のチームが最終的な外観に近い形でパッケージ案を確認できるようにもなりました。このアイデア出しの段階では、AIが生成したコンセプトをデザイナーがAdobe Photoshopで簡単に編集および修正できるほか、生成塗りつぶしや生成拡張の機能を使えば、画像に要素を追加したり、削除したりすることもできます。

「Adobe Fireflyの生成AIの魅力は、私たちの頭の中にあるビジョンを画面に正確に描き出してくれる点にあります」そう語るのは、バービーのパッケージデザイナーを務めるSal Velazquez氏です。「色やデザイン要素の効果のすべてを確認できるだけではありません。生成AIの出力を基に、創造力の赴くままに様々なことを試せるので、他の手段ではなし得ないようなことが可能になっています」

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バービーのコンセプトや環境の作成に生成AIを活用できるようにした結果、戦略面でも効率面でも様々な成果が得られました。Velazquez氏をはじめとするデザイナーにとっては、アセットの問題を解消し、質を高めるための時間が生まれたほか、制約が少なくなり、創造の幅が広がりました。また、クリエイティブチームとマーケティングチームの連携も強化されました。さらには、一部の手作業によるプロセスを撤廃しつつ、アイデア全体を高精度でビジュアル化できるようになったため、マーケターがアセットをこれまでよりも早く受け取れるようになり、社内のレビューサイクルにかかる時間も少なくなりました。

AdobeがFireflyを開発したのは、企業が魅力的なカスタマーエクスペリエンスを作成し、顧客に届けるプロセスのあらゆる段階を刷新できるようにするためにほかなりません。今回のMattelは、このプロセスのまさに最初の時点、つまり、クリエイターの頭の中のアイデアを即座に形にするという部分にAIを活用しています。AIがもたらす価値がユニークな形で表われている事例ではないでしょうか。

Ashley Stillについて:アドビのクリエイティブグループ担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーとして、Creative Cloudの製品管理、エンジニアリング、プロダクトマーケティング、およびコミュニティチームの責任者を務める。

アドビへの入社は2004年。以来、プロダクトマーケティング、戦略およびパートナーシップ担当シニアバイスプレジデント、Document Cloud担当シニアバイスプレジデントなど、数々のリーダー職を歴任。また、Web版Acrobatのローンチのほか、AcrobatとScanのモバイル版アプリの成長にも大きく貢献。両モバイルアプリは計10億ダウンロードを達成した。Document Cloudを担当する前は、Creative Cloudエンタープライズ版をクラウドベースのサブスクリプションに移行するプロジェクトを成功に導いた経験を持つ。

さらに、従業員ネットワーク「Women at Adobe」に関する経営幹部会議開催にも尽力。会議はその後、第1回が無事開催された。学歴としては、イェール大学で経済学と国際関係学の学士号を取得ののち、スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得している。現在はDoorDashの取締役も務める。

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