不動産の成約率を上げる具体的な3つの施策とMA活用
集客の手段といえば、かつては広告でした。それが今、ビジネスマンだけでなく一般の方も、スマートフォンを使って情報収集するのが当たり前になり、人々は日々、膨大な情報に触れるようになりました。もはや、広告を出せば人々の興味や関心を引きつけられた時代は終わった、と言えます。このように消費者のライフスタイルが大きく変化している今、不動産業界で成約率を上げるには、どうすれば良いのでしょうか。アドビ株式会社 東 勇太が、非対面営業のプロセス改革で成約率を上げる方法について、お伝えします。
目次
- 不動産業界を取り巻く消費者行動の変化とビジネス課題
- 必ずしも来店を好まない消費者
- 長期化する検討期間
- 情報収集段階の見込み客へ、効果的に情報提供するには
- 施策1.配信メールのパーソナライズ
- 施策2.スコアリングによる優先順位の定量化と営業連携
- 施策3.成功へのカギとなるプロセスマネジメント
- 成約率向上に向けた次の一歩
不動産業界を取り巻く消費者行動の変化とビジネス課題
不動産業界に携わるマーケターの方々は、次のような課題をお持ちではないでしょうか?
- モデルルームや店舗への来場が減っている
- 見込み客を獲得しても、営業がなかなかフォローしてくれない
- 広告予算は限られているのに、顧客獲得率が減ってきた
そして不動産営業の方々も、さまざまな悩みを抱えていることでしょう。
- 見込み客に何度電話をかけても、つながらない
- マーケティングから見込み客リストが届くが、どこからアプローチしたらよいか判らない
- しばらくコンタクトしていなかった見込み客が、いつのまにか他社で成約していた
引っ越しシーズンの賃貸アパート探しから、持ち家やマンションの購入、買い換えや借り換えなど、人々にとって不動産取引は、人生の中で大きな転機です。おそらく、日々忙しい生活のなかで、さまざまな情報に触れながら、どのような選択肢があるかを探り、決断していることでしょう。
消費者行動に関するForresterのある結果によると、「オンライン検索から購買活動を始める割合…92%」「デジタル上での情報収集を好む購買者の割合…68%」というように、不動産に限らず、情報収集をオンラインで始める傾向が非常に強くなっています。これは2019年1月のデータですから、コロナ禍を経て、現在はさらにこの傾向が強くなっていると考えられます。
また、不動産情報を調べる際に利用したものについて聞いた、不動産情報サイト事業者連絡協議会の調査結果によると、スマートフォンが「10代…100%」「20代…96%」「30代…96.7%」と非常に高い数字となっており、40代・50代で80%以上、60代以上でも60%以上の人がオンラインで情報収集をしていることが明らかとなっています。
「それならインターネット広告を強化すれば良いのではないか」と思われるかもしれません。しかし、消費者が1日に目にする広告は5000もあると言われており、そのうち目に留まる広告は50、さらに購買行動につながる広告はわずか2しかありません。広告を出しても思うような効果が出ない理由は、ここにあるのです。
必ずしも来店を好まない消費者
では、DMやチラシなどを強化して、来店を促せば良いのでしょうか?ここで、アドビの調査結果をご紹介します。実店舗への訪問について消費者に聞いたところ、「2020年と比較して、実店舗を訪問することをどのように感じていますか?」と聞いたところ、「より快適になった…10%」「快適でなくなった…35%」という低い結果が出ました。ここから、実店舗に足を運ぶことを好まない消費者の姿が浮き彫りとなっています。
長期化する検討期間
さらに悩ましいことに、不動産情報サイト事業者連絡協議会の調査によると、「住まい探しを始めてから契約までにかかった期間について」は、住まい探しにかける期間が伸びていることがわかりました。2017年と2021年を比較すると、1ヶ月以上かけている人の割合が「賃貸…16.8%→52.6%」「売買…69.3%→82.8%」へと増えています。
これらのデータから推測できるのは、「不動産会社の皆様が顧客に直接営業できる期間は非常に限られている」ということでです。つまり、対面営業に入る前の段階、顧客が自ら情報収集をしている段階で、「いかに適切な情報提供をできるかどうか」が成否を分ける、と言えるのです。
営業活動に入る前に、顧客の意志決定は済んでいる
情報収集段階の見込み客へ、効果的に情報提供するには
ここまでの調査データと考察をまとめると、モデルルームや店舗への来客が減り、広告などでの集客も厳しくなってきた背景には、消費者行動の変化、とくに、ある程度の期間をかけて自分自身で調べるようになったこと、が挙げられます。そのため不動産会社が強化すべき戦略は、集客強化ではなく、情報収集段階の見込み客に対する、的確な情報提供である、ということが言えます。
当然ながら、消費者一人ひとりのニーズは違います。ではどのように、情報収集段階の見込み客への情報提供をおこなえば良いのでしょうか?それぞれの顧客にとって適切な情報を届けるには、テクノロジーの力が不可欠です。MA分野のリーダーとして、全世界5,000社で導入されているAdobe Marketo Engageなら、顧客に必要なコンテンツを、最適なチャネルから、適切なタイミングで提供することができます。
“Adobe Marketo Engage”はエンゲージメントがコンセプト
Webサイトに訪れただけの匿名段階の潜在客から、見込み顧客、顧客へと育成し、さらにアフターフォローによるロイヤル顧客へとエンゲージメントを高めていくプロセスを自動化することが、Adobe Marketo Engageなら実現できます。
たとえば4000万円の物件を販売する場合、以下のような状況が一般的でしょう。新規物件などの何らかの情報を発信し、それを認知した人々のうち、ある割合の潜在顧客から反響があります。その中で、行動を起こす段階にある見込み客が、店舗などに来場してくれます。成約できるのは、その中の一部ですが、ここは提案力が発揮されるところです。成約率を向上させるには、その手前の段階が重要です。
物件販売プロセス:平均単価4000万円の物件の場合
せっかく「認知」してくれて、「反響」の段階に進んだ顧客でも、何も手を打たなければ、戻ってきてくれないかもしれません。そこで「反響」の段階でAdobe Marketo Engageが頼りになります。つまり、顧客の情報収集を支援することで、見込み客の検討状況を「育成」してあげるのです。仮に来場率が25%に、購入率が15%になるとすれば、広告費を上げずとも、売上は7.2億円にまで増えることになります。
反響から来場までのデジタルを使った育成が売上拡大の鍵に
では、来場率や購入率を上げるために、Adobe Marketo Engageで何ができるのでしょうか。具体的な施策を3つご紹介します。
施策1.配信メールのパーソナライズ
一斉配信のメルマガをテキストメールで配信されている方も多いのではないでしょうか。これをAdobe Marketo Engageを使って、Webサイトの閲覧履歴から推測した見込み客の興味関心、家族構成や年収などの属性情報によって、メールの内容を出し分けることで、パーソナライズされた情報提供が可能になります。
たとえば集団Aは「いつかは家が欲しいけど、まだ具体的には決まっていない人たち」、集団Bは「そろそろ本格的に物件を決めたいと思っている人たち」、集団Cは「展示場に足を運ぶなど、実際に物件探しの行動を始めている人たち」と分けたとします。その上で、それぞれの集団が求めている情報を出し分けていくのです。その際、集団ごとにメール配信の頻度を変えることもできますし、開封率やクリックしたリンクなど、相手の反応によって、その次に配信するメールを変えることもできます。
こうした場面で、Adobe Marketo EngageではHTMLメールのテンプレートを用意しています。そのため、HTML知識がなくても簡単にリッチなHTMLメールを作成することができます。
配信メールのパーソナライズ
施策2.スコアリングによる優先順位の定量化と営業連携
検討度合いの高まった見込み客を判別する仕組みとして、 Adobe Marketo Engageには「スコアリング」機能があります。顧客の行動や属性情報やキーアクションの掛け合わせによって、スコアを加減するルールをあらかじめ設定しておきます。すると、一定水準を超えた見込み客を自動で判別してくれるので、営業には有望な引き合いとして引き継ぐことができます。
「スコアが◯点に到達した」「1週間に5回以上Webサイトにアクセスした」といったホットな情報を検知したら、リアルタイムでAdobe Marketo Engageから担当営業にアラートメールを飛ばすよう設定することも可能です。優先的にフォローすべきリードを定量的に可視化して、営業の方がすぐに動きたくなるような環境を整えておくのが、成果につなげる秘訣です。
Hotな見込み客がタイムリーに営業連携されてくる
施策3.成功へのカギとなるプロセスマネジメント
施策1と施策2は、施策の自動化に関するお話でしたが、Adobe Marketo Engageを活用したMAで最も重要なのは、戦術設計です。ビジネスゴールとマーケティング施策が結びついていないままでは、施策に再現性がなく、効果測定も正確にできないため、継続的に成果を出し続けることはできません。
ここで言う戦術設計とは、「認知」から「成約」までのプロセスをマネジメントすることです。Adobe Marketo Engageでは、検討のそれぞれの段階で滞留している人数や滞在時間を可視化して、ビジネス上のボトルネックを探し、マーケティング活動の貢献度を把握する機能があります。この機能を使い、より成果につながる改善を重ねることで、収益性を高めていくことが大切です。
企業のビジネスプロセスと、Adobe Marketo Engageで実現するプロセスマネジメント
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-003341-why-marketing-automation
成約率向上に向けた次の一歩
Adobe Marketo Engageは、事業規模の大小を問わず、不動産業界の企業の皆さまにも多数ご利用いただいております。導入企業のビジネスモデルは、賃貸・売買・不動産投資など多種多様です。
Adobe Marketo Engageによってビジネス課題を解決された具体的な成功事例も豊富にご用意しておりますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせいただけると幸いです。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/page-request-consultation