MAの投資対効果を上げるには? MA活用で成功する4つのカギ

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ある調査結果によると、「MA(マーケティングオートメーション)を導入しても、投資に見合う価値が出ない」と感じている企業は、全体の約25%を占めることが明らかとなっています。これらの企業はどこに問題があり、投資に見合ったMA運用を実現するにはどうすれば良いのでしょうか。Adobe Marketo Engageの導入企業でもある、さくらインターネット株式会社 石井浩氏にご登壇いただいたウェビナー「MA導入企業向け - 失敗と教訓から学ぶ活用成功のカギ」の中から重要なポイントを抜粋して、アドビ株式会社 太田裕貴が解説します。

もくじ

  • MA導入企業が直面しがちな3つの課題
  • デマンドセンターを運営しているという自覚を持つ
  • 協力者を見つけて増やす
  • MAの運用方法は常に変化し続けるものである
  • 困ったときに頼れる仲間はコミュニティで見つける

MA導入企業が直面しがちな3つの課題

初めに、MAを導入したマーケターが直面しがちな3つの課題をご紹介します。

ケース① 業務効率化ができておらず、施策の数が増えない

MAを導入したものの単純作業に追われてしまい、思うように施策数が増えないというお悩みです。せっかくMAを導入しても、単純作業をうまく自動化できずに煩雑な準備作業を繰り返していると、人的ミスの増加や、新たな企画を考える余裕が持てなくなります。MAは本来、マーケターを単純作業から解放し、作業者から戦略家への転換をサポートするものであることを忘れてはなりません。

ケース② 機能が足かせになり、結局やりたいことが実現できない

導入したMAの機能が不十分で、Excelなどの外部ツールを使わないと複雑な条件でリスト抽出ができないといった、導入前の期待値を満たせないケースも散見されます。いざ使い始めると、機能制限の壁が立ちはだかり、やりたいことがスムーズに実現できないとお悩みの企業も少なくありません。

ケース③ サポートが不十分で相談先がない

MAは高機能であるがゆえに、多少なりとも学習コストがかかります。業務の傍ら、1人で学習するのは非効率です。技術的なことはサポートデスクに問い合わせできたとしても、マーケティング施策について相談できる相手がおらず、活用の幅が広がらないというお声も聞こえてきます。

これらの課題を解消するために、さくらインターネット様ではどのような取り組みをされているのでしょうか。次にMA活用を成功へ導く4つのカギについて、ご説明します。

デマンドセンターを運営しているという自覚を持つ

まずは改めて、MAの果たす役割を考えてみましょう。「MAはB2Bもしくは高額商材のB2Cマーケティングにおいて、その手助けとなる基盤である」と石井氏は説きます。中でもMAが担うのは、リードのジェネレーション(創出)からナーチャリング(育成)、そしてクオリフィケーション(評価)までを管掌する「デマンドジェネレーション」の部分です。

そこで行われるコミュニケーション施策は、メールに限ったものではありません。セミナーや展示会の実施、ホワイトペーパーの配布、行動履歴をもとにしたインサイドセールスによる架電など、あらゆるチャネルで行われるコミュニケーション が含まれます。これらの施策を全体設計し、それぞれのお客様に最適なアプローチを仕掛けながらデータをためていく。そうしてたまったデータをもとに、さらに施策をブラッシュアップしていく基盤となるのがMAだということです。

機会創出を生み出すための活用例図

ここで重要なのは、「デマンドセンターを運営しているという意識を持つことである」と石井氏は強調します。この意識がないと、個別の施策に目を奪われてしまい、俯瞰した視点を持つことができないからです。メールなど個別の施策は、あくまでもコミュニケーションの手段の一つに過ぎません。「営業にいかに確度の高いリードを引き渡せるか」といったMA活用における真のゴールを見失ってはいけないのです。

協力者を見つけて増やす

さくらインターネット様では、もともとAdobe Marketo Engageではない他社のMAを導入されていました。その頃は、Sansanに格納された名刺情報の利活用による案件発掘を目的とされていたそうですが、当時の主担当者様は、デマンドジェネレーションの意識にまだ気づいておらず、メール配信が主になっており、あまり成果が出ているとは言えない状態だったと言います。

その後、石井氏がMA活用の主担当者となったのですが、もともと導入していたMAにデータ連携の即時性がなく、データ加工に難があったことから、Adobe Marketo Engageへの切り替えを検討。Adobe Marketo Engageに移行後は、まず 営業との関係構築 に力を入れたそうです。「MA単体で成果を出すことは、ほぼ不可能。営業に質の良いリードを渡すには、営業と長期的な目標を共有して、協力者になってもらうことが大切です」(石井氏)。

とはいえ、コントロールできる範囲がメール配信に限られていた場合、なかなか営業が直接メリットを感じられるほどの成果を上げるのは、容易なことではありません。そのようなときは、「今コントロールできる範囲でできることを考え、例えばそれが、メール配信なのであれば、『メールの効果が上がったことによって喜んでくれる人は誰だろう?』 と考えてみることから始めると良いです。また、長期的な目線でご自身が目指すコントロール範囲まで広げるために足りない要素を洗い出すことも重要です」と石井氏は述べます。そうして少しずつメリットを感じてくれるステークホルダーを増やして期待に応え、信頼を獲得していくことが、コントロール範囲を広げることにつながります。

石井氏も当初はマーケティング部でMA活用を担っていたところから、現在は営業部直下のインサイドセールスグループを統括されるようになっており、同グループの全員がAdobe Marketo Engageのデータを見ながら業務に当たっているそうです。

現状の運用体制図

MAの運用方法は常に変化し続けるものである

もう一つ、MA活用を成功に導く上で覚えておきたいこととして、「適切なMAの運用方法は常に変化していくため、最初からシステムを複雑に作り込み過ぎない」 というものが挙げられます。

MAはSFAやCRMと連携して活用することが多いツールです。さくらインターネット様でも、当初はAdobe Marketo Engageとkintoneを連携させ、昨年からはAdobe Marketo EngageとSalesforceを連携して活用されていると言います。MAとSFAやCRMを連携させて活用する理由は、それぞれ取得/保有できるデータが異なるからであり、組み合わせることで活用の幅は大きく広がるからです。

MAを導入されている企業様であればご存じの通り、MAは多機能です。だからこそ、習熟度が上がれば上がるほど新しい機能や施策を試してみたくなり、システムがどんどん複雑化してしまうというのは、よく耳にする話です。できることの幅が広がるのは一見良いことしかないように思えますが、もし特定の担当者が1人で組み上げていたとしたら、その人にしか理解できないブラックボックスになっている危険があります。そうなると、連携ツールを変更する場合や、担当者が代わることになった場合、あるいは運用方法を変えたくなった場合など、いずれ困る日が来るでしょう。

MAの運用方法は常に変化し続けるものであることを念頭に置いて、シンプルで誰にでも分かりやすい設計 を意識しておくことが大切です。

困ったときに頼れる仲間はコミュニティで見つける

さくらインターネット様のようにMAの活用度が上がれば、複数人でMAを運用されるケースも増えますが、MAを導入した当初は、社内で担当者は1人だけというケースも少なくありません。そんなときに 頼れるのがコミュニティ です。

石井氏もAdobe Marketo Engageのコミュニティを活用して、いろいろな活用事例を社内に持ち帰り、自社に合った形に変換しながら実践してみることを繰り返していたと言います。Salesforceを導入した際にも、Adobe Marketo EngageとSalesforceを連携させて活用しているユーザーが集う、Adobe Marketo Engageの分科会「SFKETO(セフケト)」に参加して、他社の事例を収集していたのだとか。

Adobe Marketo Engageのユーザーグループ「JMUG(Japan Adobe Marketo Engage User Group)」では、企業の垣根を越えてオンライン/オフラインで意見交換できる場が用意されていますので、ぜひご活用いただければと思います。

以上、MA活用を成功へ導く4つのカギをご紹介しました。現在、運用しているMAの活用に行き詰まりを感じている方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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