Adobe Senseiの人工知能で進化したAdobe Advertising Cloud Search
Adobe Advertising Cloud SearchがAdobe Senseiを活用して、業界初となるコンビネーションを提供した。
Forrester Consultingが発表した最近のレポートによれば、小売業界のマーケティングエグゼクティブの80%は、2020年までに人工知能(AI)がマーケティングに革命を起こすと述べている。
人工知能とは?
人工知能とマシンラーニング(機械学習)は、今日の広告業界で最も注目されているキーワードだ。しかし、人工知能とは、また、マシンラーニングとは何なのだろうか。検索連動型広告にどのような意味をもたらすのだろうか。まずは、その定義から見ていこう。
- Websterの辞典によれば、人工知能とは、「意思決定のように、通常は人間の知能を必要とする作業を可能にするコンピューター」。
- マシンラーニングとは、「人工知能の一種で、明示的にプログラムしなくても情報を学習する能力を備え、(中略)新たなデータに接することで進化できるコンピュータープログラム」。
検索連動型広告で人工知能が果たす役割
検索連動型広告の仕組みは非常に複雑だ。広告主は無数のデータポイントを利用し、多数の意思決定を続けている。
何千ものキーワードに、キャンペーン設定(適合するタイプと予算、広告在庫など)や特性(オーディエンスやデバイス、地域、時間など)が掛け合わさると、途方もなく大量のデータが生み出される。
そうしたデータを取捨選択し、広告予算の配分を最適化し、成果を最大化することは、もはや人間の手作業では不可能なレベルにきている。
さらに、検索連動型広告を利用する広告主には、次のような複雑な要素が加わる。
- コンバージョンデータのスパース性:コンバージョンを実現して利益を生むのは、ごく少数のユーザーが検索する一部のキーワードだけであり、そこには、常にデータのスパース性という問題がつきまとう。最適化に使用可能なコンバージョンデータが限られている中で、マーケターはどうすれば検索キャンペーンを最適化できるのか。コンバージョンや購入に結びついたことのないキーワードや商品を、どうやって最適化すればよいのか。
- 絶え間ない進化:常に変化している市場において、1日の広告入札を最適化するだけでなく、週単位、月単位のパフォーマンスを予測してシミュレーションし、さらには、季節ごとやプロモーションに合わせた長期の予測も求められる。
- 関係性の把握:キーワードがもたらすパフォーマンスは、極めて多様かつ分散化している。キーワードと成果の関係性を把握して入札を最適化し、適切なアカウントを構成し、パフォーマンスを最大化することは難しい。
このような状況において、人工知能は、複雑なデータセットを活用して予測可能なモデルを構築し、広告主の目的に即した広告枠の入札や、予算配分に関する様々な意思決定を可能にしている。
Adobe SenseiとAdobe Advertising Cloud Search
Adobe Advertising Cloud SearchにAdobe Senseiが実装された。Adobe Senseiは、Adobeのあらゆるツールにインテリジェントな機能を追加するテクノロジーで、人工知能とマシンラーニングを共通のフレームワークで適用することにより、データの活用を劇的に向上させる。
Advertising Cloud Searchに実装された人工知能は、Adobe Senseiの基本的なフレームワークの基準を満たすと共に、新たに構築される人工知能の機能も、Adobe Senseiのフレームワークに従って実装される。
Adobe Senseiは、入札の最適化や予測モデル、シミュレーション、広告予算の作成などにまつわる課題を解決するために、人工知能とマシンラーニングを活用し、検索連動型広告の広告主が抱える様々な問題解決を支援する。並行して、予測モデルと精度の透明性を確保する。
ファネル全体を通じてひとつのデータセットにアクセスすることにより、スパース性の問題を解決
Adobe Advertising Cloud Searchでは、Adobe Experience Cloudが統合するデータを活用し、それをAdobe Senseiが入札の最適化と予測モデルに適用する。
Adobe Analyticsとのネイティブな統合により、毎時2,000件以上のサイトエンゲージメント指標やコンバージョン指標の共有が可能になる。
訪問者のサイト滞在時間やページビューなどは、消費者の意思を探るために有効なエンゲージメント指標だ。そうしたデータをAdobe Senseiが活用することにより、過去にコンバージョンや購入につながったことがないキーワードに関しても、最適化が可能になる。
さらに、Adobe Audience Manager、Adobe Campaign、Adobe Analyticsが提供するオーディエンスセグメントを利用すれば、検索ワードの入札や広告クリエイティブの最適化が可能になる。
Adobe Senseiは、予測モデルの作成に、オーディエンスのターゲットやデバイス、時間、地域などといった特性までをも考慮する。
計画から実行まで、様々なレベルで機能するAdobe Senseiのモデル
Adobe Senseiは、検索キーワードを随時最適化し、シミュレーションを作成して、月次予算の配分を最適化する。
また、Adobe Senseiは、異なる予算シナリオにもとづいてクリックやコスト、収益のモデルを実行する。Adobe Senseiのマシンラーニング機能は、一元管理されたAdobeのデータを使用してモデルに学習させ、広告主の目標に即して入札案件に予算を効果的に配分する。
また、最適なアプローチを選択し、トレードオフの意思決定を下すとともに、継続的に学習しながらモデルを改良していく。
広告主はシミュレーションを実行し、コンバージョンを効率的に最大化する方法など、パフォーマンスに関する主要な問題への回答を得たり、予算の増加が結果にどう影響するかなどを確認できるようになる。
Adobe Senseiは、関係性を分析して利用し、最適化のためにデータを活用
キーワードと入札ユニットの関係性は、コンバージョンデータの乏しいキーワードの将来動向を予測するために多くのヒントを与えてくれる。
セマンティッククラスター(類似した意味のキーワード)、パフォーマンスクラスター(エンゲージメントやコンバージョンレートが類似するキーワード)、アカウント構成(キーワードのグループ化)、製品階層(製品グループの類似性)などを分析することにより、人工知能はモデルを最適化するための有用なヒントを獲得していく。
また、Adobe Senseiは、キーワードの構造や階層の類似点と相似点を分析し、その結果を予測モデルの構築に利用する。
精度をレポートする機能でモデルの透明性を確保
Adobe Advertising Cloud Searchは、入札モデルやその精度を透明化する。人工知能は、複雑なデータセットから多くのことを学習し、人間よりはるかに効率的に予測モデルを確立するが、最終的に戦略を指揮するのは人間である。
この考え方の下に、デジタル基盤は個々の入札予測や意思決定の透明性を確保するとともに、キャンペーン終了後には、結果の精度に関するレポートを作成してモデルを検証する。
モデルの透明性と精度に関するレポートは、あらゆる指標に対して作成可能であり、広告主は、指標ごとにデイリーに掘り下げた詳細な分析結果を得ることができる。
ちなみに、Adobe Advertising Cloud Searchの予測モデルの正確さは、平均して90~95%という高い実績を誇っている。
これらが業界にもたらす意味とは
ロボットが検索連動型広告のキャンペーンを実行、管理し、人間の仕事を奪ってしまうのではないかと心配しているのなら、それは取り越し苦労というものだ。
人工知能とは、手作業による設定や最適化の手間と労力を削減し、人間はもっと高度な戦略の意思決定に時間を使えるようにしてくれる存在である。
私たちが人工知能で実現していることは、広告主が最高のパフォーマンスを発揮できるようにするために、大量のデータから学習し、変化し続ける市場において、複雑な意思決定を可能にするということだ。
アドビのデジタル基盤が一元的なデータやオーディエンスへのアクセスを可能にし、また、Adobe Senseiを実装したAdobe Advertising Cloud Searchは、あらゆるマーケターに業界初のツールセットを提供している。