アドビ、Adobe Experience Cloudの音声機能を拡張

最近、マーケターはいくらか神経質になっているようです。しかし、それには理由があります。消費者にリーチする方法があまりにも増えたため、ブランド企業の中で、次なる大きなトレンドの波を逃すことへの恐れが広がっているのです。実際、スマートフォンユーザーが急増した時、波を逃してしまった企業もありました。そして現在の状況を見ると、次なる大きなトレンドが到来していることは明らかです。そのトレンドとは、デバイスに向かって話しかける人が増えていることです。先日アドビが米国内で1,000名の消費者を対象に実施した調査ではスマートスピーカーを所有する人の76%が音声アシスタントの利用が増加したと答えていることがわかりました。

アドビは、ブランド企業がこのチャンスを生かせるよう支援します。Adobe Experience Cloudには、一貫性があり継続的かつ魅力的な体験を届けるためのツールがそろっています。アドビは、ブランド企業が顧客の音声作動デバイス利用状況を詳細に把握するための音声アナリティクスを導入した初の企業です。すでに、米国のESPN、CVS Health、MetLife、Marriott Hotel、PGA Golfや、英国のNewsquestなどが、他のチャネルと合わせた音声体験の提供を考えており、アドビは各企業との取り組みを始めました。現在、顧客体験の向上を目的として、Adobe Experience Cloudにおける音声機能を拡張を進めています。

先進的な音声データ分析

アドビは現在、Adobe AnalyticsAttribution IQ機能で音声に対応することに取り組んでいます。マーケターは、戦略の遂行とリソースの確保における、アトリビューションの重要性を理解しています。マーケターは長い間、ファーストタッチ(ブランドwebサイト)とラストタッチ(カートでの購入)のアトリビューションに注目するあまり、その間にある多くのプロセスを見逃してきました。ソーシャルメディアもその一つでした。Attribution IQが音声対応になることで、あらゆるデバイスで音声インタラクションの価値が認められるようになるでしょう。例えば、ホテルチェーンでは、Alexaのスキルや室内でのAmazon Echoデバイス使用についての調査がコンバージョンやロイヤルティの全般的な改善につながることがわかるかもしれません。アドビの調査によると、現在、消費者の16%が音声アシスタントでホテルや航空便を検索しています。そうした調査は今後ますます重要になっていくはずです。

さらにアドビは、ブランド企業に詳細かついっそう実用的なインサイトを提供するとともに、バニティメトリクス(虚栄の指標)を乗り越えられるよう、Adobe Analyticsの主要機能についても音声対応を進めています。フロー分析に音声データを使用し、音声を他のチャネルでマッピングすれば、どこで消費者が離脱するのかを明らかにできます。また、アドビのAIおよび機械学習のフレームワークであるAdobe Senseiのコントリビューション分析により、ユーザー数の減少や売上の急増などといった異常値を引き起こした要因を特定できます。セグメント IQ(Adobe Senseiの機能)での音声データ利用は、ターゲットとなるセグメントの形成において役立つでしょう。こうした取り組みは、音声をより利用する若年層グループに対して、特に大きな意味を持ちます。アドビの調査によると、18歳から34歳の年齢層のうちの40%がスマートスピーカーを所有しています。

音声コンテンツの強化

主要なブランド企業の多くは、Adobe Experience Managerを使用して自社コンテンツを管理しており、コンテンツや顧客体験を作成してあらゆるチャネルに速やかに実装する能力を得ています。今回、Adobe Experience ManagerのFluid Experiences(柔軟なエクスペリエンス)機能が、音声を含む新たなチャネルで利用できるようになりました。これによりマーケターは、音声対応デバイスに最新のコンテンツを届け、重複や体験の中断を回避する俊敏性を獲得します。例えば、デスクトップでオンラインショッピングを開始した人が、Amazon Echoなどの音声インターフェイスやスマートフォン経由でそのブランドにアクセスすると、更新された製品詳細や、プロモーション、ブログコンテンツなどが提供されます。音声アシスタントを通したショッピングジャーニーを体験する人が増えたことで、こうしたシームレスなクロスデバイス体験はますます重要になってきました。アドビの調査によると、47%がスマートスピーカーで製品の検索を行い、43%がショッピングリストを作成し、32%が製品比較をしています。

パーソナライゼーションの強化

Adobe Analyticsで音声データを取得するマーケターは、顧客のブランドエンゲージメントについて、より多くのインサイトを得ることができます。スマートスピーカー所有者を対象としたアドビの調査では、スマートスピーカーを1日1回以上使用する人は71%、そのうち1日に何度も使用する人は44%でした。これらのデータは集約され匿名化されているものの、顧客の嗜好や行動パターンに関する豊富な情報を含んでおり、スマートスピーカー以外のチャネルをどのように活用すればいいかをブランド企業に教えてくれます。Adobe Experience CloudのパーソナライゼーションエンジンであるAdobe Targetでも、音声インサイトを利用し、デスクトップ用のwebサイトやモバイルなどのチャネルでパーソナライゼーションを強化する新機能を提供していきます。例えば、旅行会社が、冬のアイスランド旅行について音声でリサーチしたユーザーセグメントにアプローチしたければ、Adobe Targetで得たインサイトを活用し、webサイトとモバイルアプリの両方でアイスランド関連のコンテンツやプロモーションをより多く届けることができるでしょう。

※本記事は、2018年9月10日にアドビシステムズ Adobe Analyticsプロダクトマネジメント ディレクターであるコリン モリス(Colin Morris)のブログの抄訳版です。