アドビ、Adobe Experience Platformの AIによるパーソナライゼーション機能を強化

今日、ブランド企業にとって、ビジネスの主戦場は消費者に関連性の高い体験をタイムリーに提供することで関心を喚起することにあります。今日の消費者は以前よりもはるかに多いチャネルにアクセスでき、それぞれのタッチポイントでパーソナライズされた体験を期待しています。効果的なパーソナライゼーションを行う秘訣は、統合された顧客像の構築を軸に実現されるCXM(顧客体験管理)です。しかし実際には、多くのブランド企業は古くてサイロ化されたデータに依存しており、顧客にとっての最適な瞬間を理解することに未だ苦闘しています。

顧客を断片的にしか捉えることができないと、最終的に体験も分断されたものになってしまいます。だからこそ、Adobe Experience Platformは多くのブランド企業の成功のために非常に重要なのです。ブランド企業は、Adobe Experience Platformで、全てのデータを一箇所に集約できるだけでなく、リアルタイムな顧客プロファイルを構築することができるため、顧客にとっての最適な瞬間に優れた体験を提供できるようになります。

さらなる前進のため、アドビはAdobe Experience Platformを強化する、革新的な機能を発表しました。

パーソナライゼーションとオーディエンスの理解

今日では、コーディングに精通したデータサイエンストからシチズンデータサイエンティスト、マーケターに至るまで、組織内の誰もがデータにアクセスする必要があるのは明白です。アドビは今年、Adobe Experience Platform Data Science Workspaceを発表し、技術的能力のレベルに関係なく、あらゆるユーザーに対してAIを活用したリアルタイムのインテリジェンスを提供しました。

ブランド企業はData Science Workspaceを使用することで、アドビのAIおよび機械学習のフレームワークであるAdobe Senseiで適切にパーソナライズし、オーディエンスをさらに理解できるようになります。今回発表した機能の詳細は下記の通りです。

People-Based Destinations

eMarketerの調査(英語)によれば、米国の成人がスマートフォンに費やす平均的な時間は、2019年は1日あたり2時間55分で、これは2018年から9分の増加となっています。そしてこの時間の約半分は、ソーシャルメディアでのやり取りに費やされています。

ソーシャルメディアの利用が増大し続ける中で、これらのプラットフォームが生み出すデータやインサイトは、顧客プロファイルを構築する上で重要な要素です。しかしこれまで、ブランド企業にとって、ソーシャルメディアのデータを他のデータソースと統合することは非常に困難でした。業界を代表するDMP(データ管理プラットフォーム)であるAdobe Audience Managerは、Adobe Experience Platformと連携することで、断片化されたデータを集約し、個々の顧客に関する様々な観点からの情報を統合することができます。これまでブランド企業は、DMPを中心に構築したパーソナライゼーションをソーシャルメディアプラットフォーム上で展開することができませんでしたが、今回発表したPeople-Based Destinationsにより、企業はFacebookやTwitterをはじめとしたソーシャルネットワークでの展開という課題に対応できるようになります。

これは業界初の機能であり、これまで他のどのDMPも提供していなかった製品化されたコネクタです。ハッシュ化された識別子に基づき、オーディエンスのターゲティング、パーソナライゼーションや除外配信の運用が、ソーシャルメディアで可能となりました。例えば、航空会社はマイレージプログラムの会員ランク(ブロンズ、シルバー、ゴールドなど)といったオフラインのプロフィールの特性に基づいて、よりパーソナライズされたコミュニケーションを展開することで、ソーシャルプラットフォーム上でもターゲティングされたオファーを提供することができます。People Based DestinationsはAdobe Audience Managerの既存のデータガバナンスおよびプライバシーコントロールを活用しつつ、消費者の個人データに対する選択も尊重します。

ブランド企業は、People-Based Destinationsを利用することで、メールアドレスのハッシュ化とは別に、ソーシャルネットワーク上で顧客により関連性の高いエンゲージメントができるようになる一方、アドビのReal-Time CDP(Customer Data Platform)(今年前半にベータ版を発表)では、個人の特定が可能な情報(PII)に重点を置いて、活用可能な範囲でより深いエンゲージメント施策を実現します。つまりブランド企業は、Eメールサービスプロバイダーなど個人に紐づく識別子をもとに配信を行うより多くのチャネルにおいて、パーソナライズされた体験を提供できるだけでなく、コールセンターやPOSシステムなど自社で得た顧客データを使用し、あらゆるタッチポイントでパーソナライズされたオファーや顧客サービスを提供できます。マーケティングスタックの中にReal-Time CDPを導入すれば、今日Audience Managerで使用されているデバイスやクッキーに基づいた、あるいはハッシュ化された識別子に加えて、永続性のある識別子に基づいたターゲティングが可能になり、また、消費者が希望する個人データ利用の範囲を尊重した制御ができます。

※本記事は、2019年10月18日にAdobe Experience Platform GTMストラテジー&プロダクトマーケティング 部門長のロネル ヒュー(Ronell Hugh)が投稿したブログの抄訳版です。