Adobe Summit 2021まとめ。さらなるイノベーションの提供
Adobe Summit 2021のハイライトをご紹介します。
前回から激動の1年間を経て、今年もSummitが開催されました。
企業やエクスペリエンスメーカーたちは、2020年から2021年初頭にかけて、深い分析とアジャイルな判断によって、予期せぬ変化の数々や高まる顧客の要求に向き合ってきました。このような時に、一度立ち止まって振り返り、顧客体験を成功させている企業やイノベーター、つまりビジネスの早期転換が功を奏したリーダーたちからその秘訣を学ぶ必要があるのではないでしょうか。今回のAdobe Summit 2021は、まさにそのような機会となりました。
デジタルオンリーに移行した世界で成功している企業とは?
今年の基調講演では、私たちが今いる現状、これまでの歩み、そしてパンデミック後の世界へと移行する中で、優れた成果を上げるため必要なことを探りました。アドビの会長兼CEOであるシャンタヌ ナラヤン(Shantanu Narayen)は、冒頭の挨拶で、こう述べています。「デジタルと共存する時代は過ぎ、私たちはすでにデジタルファーストの世界にいます。あらゆるビジネスがデジタルビジネスであることを求められる時代になり、もう後戻りはできないのです。」
そして、テニスチャンピオンで起業家のセリーナ ウィリアムズ(Serena Williams)氏は、最新テクノロジーを活用している自身のファッションブランド「S by Serena」を例に挙げ、「中国の顧客はメッセンジャーやARを使って買い物をしており、それをアメリカにどうやって持ち込むかを考えています。SNSを使ったエンゲージメントはとてもうまくいっており、昨年は特に、売り込みではなくお客様と近況について交わす会話のようなトーンにしていました」と語りました。
さらに、アドビのデジタルエクスペリエンス事業部門およびワールドワイドフィールドオペレーションズ担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのアニール チャクラヴァーシー(Anil Chakravarthy)は、新アプリケーション「Adobe Journey Optimizer」を発表しました。
「本日、新しいイノベーションが加わったAdobe Experience Cloudは、企業がお客様に寄り添い、最高のデジタル顧客体験を迅速かつ大規模に提供することを可能にします」と、チャクラヴァーシーは述べています。Journey Optimizerは、インテリジェントなディシジョニング機能を活用して、インバウンドとアウトバウンドの両方のタッチポイントにおけるカスタマージャーニーを最適化し、1対1のエンゲージメントを実現します。
基調講演の締めくくりとして、ナラヤンと、大手製薬会社Pfizerの会長兼CEOであるアルバート ブーラ(Albert Bourla)氏が、パンデミックにおける同社の壮大なワクチン開発生産事業について率直な意見を交わしました。対談の中で、ブーラ氏はこう語りました。「到底実現できそうにない仕事でした。そうしたなか、我々なら実現できるという信念を、トップの私だけでなく、従業員一人ひとりに共有してもらうことが重要でした。数千もの関係者全員が自信を持ってあたらなければ、不可能を可能にすることなどできません。この事業の成功により、何が可能で、何が不可能かなど、やってみなければわからないということを見事に証明できました。」
対面イベントの体験もオンラインに採り入れたSummit
アドビは「すべてのビジネスはデジタルビジネスでなければならない」というナラヤンのメッセージをイベント全体を通してお伝しました。Summit 2021では、アドビが最近買収したWorkfrontの技術に焦点を当てた「Collaborative Workfront Management(Workfrontを活用した共同作業管理)」トラックなど、昨年よりも多くのセッションやトレーニングコンテンツが配信されたほか、新しいインタラクティブな体験も提供されました。ライブセッションでは、55,000人を超える参加者がライブチャットでディスカッションに参加しました。また、セッションの合間には、スポンサー企業やパートナー企業の成功事例が紹介され、参加者は、アドビの社員と交流したり、休憩中に楽しめるイベントやセッションに参加したりすることができました。
今年さらに規模を拡大したイベントプログラムには、プロダクトに焦点を当てた5つの「<u>Innovation Super Session</u>(イノベーションスーパーセッション)」が含まれており、関連する製品のイノベーションや顧客主導のユースケースについて深く掘り下げました。<u>コンテンツ制作</u>、<u>パーソナライゼーション</u>、<u>B2Bマーケティング</u>、<u>Eコマース</u>、<u>アナリティクス</u>、<u>Workfrontを活用した共同作業管理</u>など(リンク先はすべて英語)をテーマに、アドビ、Coca-Cola、Verizon Media、Poly、Walgreensなど各社のエグゼクティブリーダーたちが、それぞれのインサイト、サクセスストーリー、プロダクトの進化について語りました。
また、大きな話題と関心を呼んだのが「<u>Trends and Inspiration</u>(トレンドとインスピレーション)」トラックです。これらの多様なセッションには、今年の最大のマーケティングトレンドや、今日のデジタル主導の市場で業績を上げている企業の参考事例、取り組んでいる課題、そしてインサイトが詰まっています。ジャーナリストの<u>マルコム グラッドウェル</u>(Malcolm Gladwell)氏、作家の<u>シャーリーン リー</u>(Charlene Li)氏、研究者の<u>レイチェル ボッツマン</u>(Rachel Botsman)氏、アナリストの<u>レイ ワン</u>(Ray Wang)氏などの著名人が主要セッションのバーチャルステージに登場し、他に類を見ない専門知識や将来予測を紹介しました。
また、Summit 2021では、交流アプリ「Braindate」を使って参加者同士のネットワークを広げたり、アドビのエキスパート社員と交流したり、スポンサーからの豪華賞品を手に入れたりすることができました。
Summitサイトの「<u>Take 5</u>」セクション(英語)では、物理的なイベントと同様、参加者がリラックスして楽しむことができるように、特別なプレゼントの提供や限定キャンペーンの実施、さらにはWPPの提供による子犬たちのライブ放送までありました。開幕前の早朝にエクササイズバイク「Peloton」をグルーブライドしたり、ウォーキングしたりして、万全な体調でSummitに臨んだ参加者もいました。
セッションの合間や基調講演の前後で、参加者はプリンコ形式(上から落とされたチップがゲーム盤面上の釘でランダムに振り分けられ下の景品スロットに落ちる)のインタラクティブなゲーム「Learn, Earn, and Win with Adobe Experience League」を楽しみました。このゲームでは、Experience Leagueに関するいくつかの質問に答えることで、アドビグッズや在宅ワークの必需品などの賞品を獲得できました。
グローバル規模へと総合化したSummit
今年のAdobe Summitは、これまでEMEA(欧州、中東、アフリカ)やAPAC(アジア太平洋地域)で開催されていた地域別のSummitやSymposiumを統合するものになりました。各地域のリーダーが登壇し、お客様やパートナーに影響を与える重要な課題やビジネス機会について語りました。EMEA地域を代表する、アドビのインターナショナルビジネス担当プレジデントであるポール ロブソン(Paul Robson)は、こう述べています。「デジタル体験の新時代における、競争上の差別化要因は顧客体験です。顧客の期待はかつてないほど高まっており、デジタルインタラクションはその期待に応えるものでなければなりません。最初のブランドエンゲージメントから最終的な購入に至るまでの、すべてにおいてです。」
同様に、アドビのAPAC(アジア太平洋地域)担当プレジデントであるサイモン テイト(Simon Tate)は、アドビのソリューションで実現する、独自のデジタル顧客体験の重要性と、それがいかに差別化に貢献するかについて述べました。また、パンデミックの中、アジアの企業は顧客体験管理の取り組みを拡大してきたと説明しました。
顧客体験の未来が垣間見えるSneaks
Adobe Summitは、アドビの研究開発部門から生まれた最新の成果を発表する場でもあります。今年の「<u>Sneaks</u>(英語)」セッションでは、エミー賞受賞者のダン レヴィ(Dan Levy)氏をホストに迎え、7つのプロジェクトを紹介しました。
- 「
- Catchy Content
- (英語)」は、Adobe SenseiのAIテクノロジーによって、カラーやオブジェクト、レイアウトや文章のスタイルなど、コンテンツのあらゆる側面を分析し、パーソナライズされた顧客体験を提供します。
- 「
- Daily Shuffle
- (英語)」は、Workfrontに搭載されたAIアシスタント機能で、状況の変化に応じ、その日に割り当てられたタスクの優先順位の変更や組み換えを直感的にサポートします。
- 「
- Account Ace
- (英語)」は、AIテクノロジーを活用して「顧客シグナル」のクロスプラットフォーム分析によって、ペルソナを構築することでカスタマージャーニーを管理するツールです。
- 「
- Segment Tuner
- (英語)」は、AIを活用してデータのクレンジングと修復を行うツールです。
- 「
- Dimension Builder
- (英語)」は、ドラッグ&ドロップでデータをその場で修正できるツールです。
- 「
- Live Wired
- (英語)」は、プログラマー向けのローコードの開発プラットフォームでアドビAPIを活用したカスタムアプリを作成する際に、そのフロントエンドをドラッグ&ドロップUIで構築するインターフェイスとしてAdobe XDを利用します。
- 「
- Savvy Search
- (英語)」は、
- Analytics
- 、
- Target
- 、Journey Optimizerに共通の検索バーで、自然言語で質問を入力するだけで必要な情報を一覧でき、さらに、他のアプリに移動しなくてもその場でタスクを完結させることができます。
オンデマンドで引き続きアクセスできるSummit 2021
Adobe Summit 2021は閉幕しましたが、お届けした様々なアクティビティや主要な学びの機会のいくつかは、皆さんに継続してご利用いただけます。最先端のイノベーションをご紹介した「<u>Innovation Super Sessions</u>」、「<u>Sneaks</u>」、<u>基調講演</u>は、すべてオンデマンドのアーカイブビデオ(英語)として公開中です。そしてSummitサイトの「Community」セクションからは、引き続き、ケーススタディの記事やビデオ、さらには在宅ワークを快適に過ごすヒントを紹介する「Take 5」コンテンツにアクセスできます。また、インタラクティブな<u>「Adobe Experience Maker Type」診断</u>(英語)では、自分のエクスペリエンスメーカーのタイプを知り、お勧めのオンデマンドセッションを受け取ることができます。
Adobe Summitは、50,000社以上の企業が参加し、これまでに2,000万回以上ものビデオ視聴回数を達成した記録的なイベントとなりました。これからも、Summitサイトをチェックして、セッションを視聴したり、お気に入りの場面を振り返ったりしてください。
来年も皆様のご参加をお待ちしております。
Adobe Summitの基調講演、セッション、トレーニングワークショップのビデオは、オンデマンドで<u>こちら</u>(英語)からご覧いただけます。
*本記事は、アドビが2021年5月6日に投稿したブログの抄訳です。