Adobe Summit Sneaks:AIでパーソナライズされた顧客体験が示す未来

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消費者は、企業が自分たちのニーズを予測してパーソナライズされた顧客体験を提供することを期待しています。そして、それができている企業ではすでに、コンバージョン率、リテンション、ロイヤルティの向上を実現しています。

今年のAdobe Summitでも、アドビは恒例のテクノロジー先行公開イベント「Sneaks」で、最新のイベーションを披露しました。Sneaksは、世界中のアドビ社員から寄せられたアドビの研究部門のプロジェクトで、未来を垣間見ることのできるセッションです。エンジニア、データサイエンティスト、研究者、プロダクトマネージャー、デザイナーが、パーソナライズされた顧客体験を大規模に展開するために取り組んでいるイノベーションを紹介しています。

Sneaksは、私たちの想像力をかき立て、大きな夢を見る力を与えてくれます。今年のセッションでは、7名の発明家がそれぞれのテクノロジーを公開しました。これには、Adobe Experience Cloud内の新しいコラボレーションツールや、視覚障害者向けにオンラインショッピングを利用しやすくする革新的なテクノロジーが含まれています。

Sneaksで紹介されたファイナリストのプロジェクトは以下の通りです。

Project Demand Detector

サプライチェーンの停滞が2022年後半まで続くと予想される中、小売業者は十分な仕入れ量を確保するために、人気商品のトレンドを予測したり、消費者需要を把握したりするための新しい手法やテクノロジーを求めています。

このプロジェクトでは、AIと機械学習を用いて数百万件のデータを分析し、サイト訪問者が探し求めているのに見つからないような、需要の高い商品を検出します。Project Demand Detectorは、在庫切れ商品の中でも最も需要が高いものをピンポイントで特定できるため、マーチャントはその商品を仕入れるべきかどうかを事前に判断できます。また、Adobe Commerceと直接連携しているため、あらゆるデータを参考にしながら、仕入れに最適なベンダーを簡単に判断することもできます。Project Demand Detectorを使用することで、企業は機会損失を抑え、ロイヤルティの高い顧客基盤を維持することができます。

Project KPI Pop

KPI(主要業績評価指標)の特定と測定は、何十年も前からビジネスにおける標準的な手法として見なされています。これは、企業の成功を把握するために重要な指標となりますが、たいていの場合、数が多すぎて処理しきれず、マーケターの不安要素となりかねません。Project KPI Popは、顧客体験の担当者が重要な指標に集中できるよう支援します。このテクノロジーは、Adobe Senseiを使用してAdobe Experience Platformの何百万ものデータポイントを分析して、何が顧客に響いているのか、何がそうでないのかを迅速に特定し、次に取るべき最善のアクションを推奨します。企業は次のアクションを数秒でシミュレーションして、発見された課題を修正することで、KPIを軌道に乗せることができるようになります。

Project Right Sized

現在、オンラインで購入した商品の約半数が返品されていると言われていますが、その理由の多くはサイズの問題です。このプロジェクトは、マーケターが直面する顧客のサイズ問題をミリ単位まで正確なAR(拡張現実)で解決します。まず企業は、webサイト上のデジタル商品画像に目に見えないARマーカーを埋め込みます。その後、顧客が商品画像を撮影すると、自宅で実物大の商品をデジタルレンダリングで再現することができます。これにより、企業は返品率の低下と顧客の満足度を高めることができます。

Project Winning Scores

「顧客に粗悪な経験を届けたい」 と考える企業は存在しないでしょう。しかし、今日の企業は膨大なデータに溺れており、顧客がその企業を周りに勧めるかどうか、1~10のスコアで尋ねなければならない状況にあります。顧客の感想を正確に把握することで、企業は提供するデジタル体験の改善ポイントを見つけることができます。Project Winning Scoresは、Adobe SenseiのAIを活用した顧客体験スコアを作成します。これは、Adobe Analyticsの既存データを利用して、デジタル体験のすべての訪問者に体験スコアを適用することで実現しています。企業はこのテクノロジーを使って、ネガティブな顧客経験につながる経路を特定し、成功につながる解決の道へ導くことができるようになります。

Project Quick Connect

リモートワークが増え、チームが分散化する中、企業はチームを迅速につなぎ、マーケティングキャンペーンの状況を可視化する新しいツールを必要としています。この新しいプロジェクトは、Adobe Experience Cloudにさらなるコラボレーションをもたらし、どのチームメイトも短いメッセージで最新のアップデートを確認できるようにします。Experience Cloudに直接統合されているため、ユーザーは、Adobe Analytics、Adobe Experience Manager等でシームレスに会話を継続することができます。また、意思決定の際の履歴もアノテーションとしてワークスペースやAdobe Workfrontのプロジェクトに保存して後日のために記録を残すこともできます。Project Quick Connectがあれば誰もコンテクストがわからなくなることがありません。

Project Style Blast

消費者は、企業とのあらゆるやり取りを自分の好みに合わせてカスタマイズしてもらいたいと考えています。このプロジェクトでは、マーケターがターゲットオーディエンスの共感を得られるようなメールマーケティングのコンテンツを特定し、スタイル設定し、展開する一連のタスクを簡素化します。Adobe SenseiのAIと機械学習を搭載したこの新しい機能は、Adobe Journey Optimizerのメールデザイナーに実装されます。これにより、適切で魅力的でパーソナライゼーションされたメールのテストと配信が可能です。

Project Design Decoder

より多くの企業がデジタルファーストの経済に移行する中、障害者のインクルージョンを前面に打ち出すのにこれほど良いタイミングはないでしょう。この新しいプロジェクトは、機械学習とコンピュータビジョンを応用し、世界で3億人以上いるといわれる視覚障害者にとって、オンラインショッピングをより使いやすいものにします。弱視や色盲の消費者にとって認識しづらい商品画像をEコマースサイト上で検出し、それらをアクセシブルな表現に瞬時に変換することができます。

*本記事は、アドビが2022年3月16日に投稿したブログの抄訳です。