アドビ、次世代のAdobe Senseiを発表
企業にとって、ビジネスの長期的成功の基盤は、カスタマーエクスペリエンスに影響する毎日の判断を、一貫して適切に行うことです。人々がデジタルと物理的な複数の世界を移動することに伴ってカスタマージャーニーの把握がますます難しくなり、適切な行動を選ぶことがこれまで以上に困難になってきています。AIの進歩から新しい徴候やインサイトが散発的に得られているものの、これらがすべてのカスタマーエクスペリエンスを改善する、真の意思決定に貢献することはこれまでありませんでした。
Adobe Summit 2019において、アドビは人工知能(AI)およびマシンラーニングの新しいテクノロジーとして次世代のAdobe Senseiを発表しました。すべての顧客データを集めて、リアルタイムに包括的な顧客プロファイルを構築できるAdobe Experience Platformの提供開始と共に、新しいAI services(ベータ版として提供)によってデータとコンテンツを結び付けるインテリジェンスレイヤーを提供し、ブランド企業は一貫して適切なメッセージを、適切なチャネルにタイミングで提供できるようになります。この新しいサービスはカスタマージャーニー全体に影響するすべての意思決定においてAIを組み込むことにより、ブランド企業は、顧客体験管理(CXM)を成功させることができます。またデータサイエンス分野のリソースを持たない、あるいは不足している企業も、このサービスを通じてAIをより容易に利用できるようになります。
Anomaly DetectionやSmart TagsといったAdobe Experience Cloudの機能は、すでにマーケター、データサイエンティストなどが直面した面倒なプロセスを、インテリジェントに自動化し、より優れたインサイトを引き出すことを可能にしてきました。この度発表された新しいAI servicesは、業界初のものであると同時に、企業にとっては、単なる新しい機能の導入を超えた、ミッションクリティカルな意思決定を迅速に行い、はるかに優れた結果をもたらすことのできる、新しい役割を担うものとなります。
Adobe Senseiの新しいAI servicesは以下の通りです。
- **エンゲージメント、リテンション、LTV、およびアップセルのためのCustomer AI:**Adobe SenseiのCustomer AIはブランド企業が特定のセグメントを正確に判断し、それぞれにふさわしいマーケティングキャンペーンをターゲティングできるようにします。数百万人のユーザーを持つサブスクリプションサービスであっても、脱退する可能性が最も高いのはどのユーザーかをリテンションスコアから判断できるようになりました。これはユーザーを保持するためにどのようなブランド体験を提供するかを判断できると共に、満足度の高いユーザーをターゲティングしてアップセルを行う機会を生み出します。
- **カスタマージャーニーのオーケストレーションを行うJourney AI :**顧客はブランド企業からのメッセージを日々、メールやソーシャルメディアなど様々なチャネルを通じて目にしています。顧客を獲得し、維持するための闘いにおいては、適切なメッセージを正確なタイミングで送ることが、ミリ秒単位の差で勝利を導きます。Journey AIは数百万人単位の顧客によるジャーニーを対象としてオーケストレーションを行い、常に行動データを分析し、ブランド企業が、最適なタイミングでブランド体験を提供できるようにします。これにより、例えば小売企業の場合は、長年の顧客と見込み客にそれぞれ異なる体験を用意できるようになります。
- **インパクトを理解するAttribution AI:**リソースとマーケティングへの投資に関する重要な判断は、チャネルとキャンペーンの真のインパクトを把握することによってのみ可能です。このような判断の多くは依然として、目をつぶったような状態で、また顧客との最初と直近の接触を必要以上に重視して行われています。Attribution AIを通じてブランドはカスタマージャーニー全体にわたる、オウンド、アーンド、およびペイドメディアがコンバージョンに与える影響を把握し、またリソース配分に関する情報に基づく判断を行えるようになりました。たとえばホテルチェーンの場合には、ビデオキャンペーンがwebサイトでの予約に与える影響を確認し、そのプログラムをより幅広く拡大することが可能です。
Adobe Senseiサービスによって提供可能なより良い顧客体験の詳細についてはこちらをご覧ください。
※本記事は、2019年3月26日にアドビ データサイエンス担当フェローであるアニル カマス(Anil Kamath)が公開したブログの抄訳版です。