DX道場 ~Adobe AnalyticsのAI/ML機能編~ ①異常値検知・貢献度分析・インテリジェントアラート
アドビのカスタマーサクセスチームは、Adobe AnalyticsやAdobe Targetをはじめとした、Adobe Experience Cloud 各種製品を使い始めた方向けのコースを中心とした無償オンラインセミナー『DX道場』を定期的に開催しております。このシリーズでは、DX道場の内容を各テーマに沿ってご紹介します。今回は『Adobe Analytics: AI/ML機能』コースより、既存の分析業務を大幅に効率化してくれる一連の機能、『異常値検知・貢献度分析・インテリジェントアラート』についてご紹介します。
※『貢献度分析』の機能に関しては、ご契約内容が『Adobe Analytics Select』の場合はご利用いただけません。
日々の分析でよくある課題
皆さんが日々の分析業務を行っていく中で、以下の様な一連の流れを経験されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
①日々のデータトレンドに対し、ある商品ページのページビュー急上昇を検知
↓
②分析結果から、該当商品がSNSで話題になっていることを発見。現在も購入者が急増しており、在庫切れリスクが高いと判明
↓
③在庫切れリスクの増加に対しアラートメールを飛ばして未然に在庫切れを防止
そしてこの様な一連の流れを全てマニュアルで実施しようとすると非常に手間と労力がかかるかと思います。そこで非常に便利なAdobe Analyticsの機能が、これらの業務を全てAdobe Senseiが自動的に行う『異常値検知・貢献度分析・インテリジェントアラート』という三つの機能です。
異常値検知機能の確認方法
まず、先ほどの①を自動化してくれるのが、『異常値検知』の機能です。この異常値検知機能を確認するには、折れ線グラフを作成する必要があります。
例えば、上図はユニーク訪問者の日別アクセスレポートを折れ線グラフ化したものですが。この折れ線グラフ中に白い丸がいくつか表示されているのが見て取れます。これがAdobe Senseiが自動検知する異常値に該当するものになります。青色の帯で日々のデータトレンドが表されており、そこから逸脱するスパイクをAdobe Senseiが異常値として自動検知し、折れ線グラフ上に白い丸で表示してくれます。
異常値検知の利用例
・製品需要の変化を監視することで、広告施策の可能性を検討する
・特定のオーディエンスの興味に対応し、顧客体験を改善する
・範囲外レポートで不正注文を早期に識別する
・大量のアクセスとダウンロード数を識別して、企業スパイやボットアクセスから自社を守る
・ページ更新時の Adobe Analytics タグの計測漏れなど、運用ミスを監視する
貢献度分析機能の利用方法
続いて、先ほどの異常値検知機能で検知した異常値について、その原因をAdobe Senseiが分析してレポートを自動的に作成する機能が『貢献度分析』になります(※この機能は、Adobe Analytics Selectをご契約いただいている場合はご利用いただけません)。貢献度分析機能を利用するには、異常値検知と同様に折れ線グラフを使います。
こちらの折れ線グラフ上には、いくつか異常値として検知された白い丸が表示されています。その内、要因を分析したい異常値にマウスオーバーします。
すると、該当の異常値が発生した日付や実数値、トレンドよりもどの程度逸脱しているかがポップアップで表示されます。そしてこのポップアップの一番下に、虫眼鏡マークと共に『分析』という項目が出てきますので、こちらをクリックします。
貢献度分析のパネル(上図)がプロジェクト上に追加されるので、『貢献度分析を実行』を選択します。
約20~30秒後、Adobe Senseiが様々なデータを網羅的に計算し分析した結果が以下の様なレポートの形で自動的に作成・パネル内に追加されます。これらのレポートを基に、さらなる深堀分析につなげていくことも可能です。
◎実数値および折れ線グラフ
◎混合ディメンション
異常値に貢献している様々な要因を表示します。貢献度スコアの高いディメンションから異常値への関連度を比較して分析出来ます。
◎貢献度セグメント
異常値に対する貢献度の高いセグメントを自動生成します。セグメントを再利用したい場合に有効です。
インテリジェントアラートの利用方法
そして、貢献度分析の結果から判明した異常値の要因をトリガーとしてアラートメールを配信することのできる機能が、『インテリジェントアラート』です。
例えば貢献度分析の結果、上図の様な混合ディメンションが異常値の要因として挙がっているとします。その内、全体で5番目に異常値への関連度が高い『マーケティングチャネル=Mail(ハウス)』という混合ディメンションがありますが、これに該当するのはハウスメールからの流入になります。そして今後同様にハウスメールからの流入増加が原因で再び異常値が発生した際、アラートメールが自動的に配信されるような設定をしたい場合に、『インテリジェントアラート』の機能をご利用いただくことをおすすめ致します。
アラートメールの配信を設定するには、まず該当の混合ディメンションにマウスオーバーし、右クリックします。さらにプルダウンメニューが表示されるので、その中から『選択からアラートを作成』を選択します。
すると、上図の様な『アラートビルダー』が起動します。アラートビルダー上の各項目を入力し、最後に『作成』をクリックすればアラートメールの配信設定は完了です。
▼各項目の詳細
①任意のアラートメール名を入力します。なお、直下の『説明(オプション)』でそのアラートに関する詳細説明を入力することも可能です。
②異常値が発生しているかどうかがチェックされる頻度を設定します。1時間ごと/毎日/毎週/毎月の中から選択することできます。
③アラートメールの送信先を設定します。
④アラートメールの送信条件を指定します。選択した混合ディメンションに該当する条件がデフォルトで自動的に反映されているので、それをそのまま使うこともできますし、さらに細かくカスタマイズすることも可能です。
⑤該当の条件がトリガーとなってアラートメールが送信されるであろうおよその頻度がプレビューとして表示されます。
こちらは実際に送信されるアラートメールのサンプルです。メール文面の中に『詳細を分析』という表示が出てきますが、それを選択すると自動生成されたワークスペースプロジェクトへ遷移するので、そこでより詳細な内容を確認することが可能です。
まとめ ~異常値検知・貢献度分析・インテリジェントアラート~
この記事では、よくある既存の分析業務を効率化してくれるAdobe Senseiの一連の機能『異常値検知』『貢献度分析』『インテリジェントアラート』についてご紹介しました。
このAdobe Senseiを使用した一連の機能は、マーケターへの ”気付き” から分析の切り口の提案までを一貫してサポートしてくれるため、分析時間の短縮や最短で最適なアクションの実行を実現することができます。
次回は、二つのセグメント間の違いや関連性をAdobe Senseiが自動で分析する機能『セグメント比較』についてご紹介します。
≪DX道場について≫
DX道場はAdobe AnalyticsやAdobe Targetをはじめとした、Adobe Experience Cloud 各種製品を使い始めた方向けのコースを中心とした無償オンラインセミナー『DX道場』を定期的に開催しております。お申し込みはこちら。