Adobe Analyticsで実現するPDFの閲覧計測

これまでウェブ上での行動分析を行う際に、サイト内のページの閲覧や動画閲覧の計測などは出来ていましたが、サイト内に掲載されているPDFについては、掲載がされているリンクのクリックをしたところまでとなっていました。PDFをたくさん読んで頂いても最初のページで読むのをやめてしまったとしても、PDF内の閲覧はブラックボックスです。

パッケージされた資料としてPDFは非常に優秀なコンテンツであるものの、それがどのように閲覧されているのかといった情報がないため、なかなかコンテンツの最適化などを進めるがこれまでは難しい状況でした。今回ご紹介するのは、この課題を解決する、Adobe Analyticsを利用し掲載されているPDF内の計測を行う方法です。

Adobe Document Cloud SDKについて

まず、それに関わるAdobe Document Cloudの機能についてご紹介をさせて頂きます。先日、Document Cloud にてAPIサービスがリリースされ、そのサービス内にてPDF Embed APIというウェブページ内にPDFを簡単に埋め込み表示を行うことが出来る機能が入りました。

これまでウェブサイトにPDFを掲載した場合に、ダウンロードを行ったり、ブラウザ上でレンダリングされていたものから、この機能を利用することでページ内へ簡単にPDFの表示を行うことが出来るようになりましす。

表示形式やインターフェイス上にある機能の表示をコントロールでき、かつ、モバイルへの対応など、このサービスを活用して頂くことでサイト上でのPDFをより良い閲覧環境を提供して頂くことが可能になります。

今回、ご紹介するPDFの計測はこの埋め込み用のサービス(PDF Embed API)のオプションを活用することにより、サイト上に掲載されたPDFをページビューや検索といったイベントをAdobe Analyticsで簡単に計測できるようにするものです。

Adobe Analyticsでの計測

この埋め込み用のサービスを利用したオプションを利用することで、簡単に掲載されているPDFデータをAdobe Analyticsで計測することが可能になりました。

具体的にはPDF内のページ番号ごとのページビューや検索、リンククリック、印刷といったアクションのイベント、検索したキーワードなどが確認できるようになります。計測できる項目は下記となっていますでご参考ください。

下記はサンプルレポートになりますので、具体的にどのようなレポートが確認できるかご確認頂ければと思います。

■PDFごとの主要指標の評価レポート(サンプル)

PDF計測サンプルレポート1

■PDF内のページ番号別のページビュー(サンプル)

PDF計測サンプルレポート2

■PDF内の検索キーワード(サンプル)

PDF計測サンプルレポート3

これら計測されるデータは、埋め込みを行っているページ計測と同じレポート設定を通して実施を行います。これにより、Adobe Analytics上にて閲覧しているページやその内部を一貫したパスレポートやセグメント機能を利用した分析なども簡単に実現できるようになっています。

例えば「Aという広告から流入した人が、どのPDFをダウンロードした」までしかこれまで取得できなかったのが、「Aという広告から流入した人が、どのPDFのどこまで閲覧し、PDF内でどんな検索をしたか」まで分析を簡単に実現できるようになります。

■パスレポート(サンプル)

この計測はAdobe Analyticsの全てのご契約で実施が可能です。具体的な実装方法については下記に掲載をしていますので併せてご確認ください。(ウェブに掲載されているPDF内の計測をAdobe Analyticsで実施する – Qiita

注意点として今回の計測はDocument CloudのAPIサービスを利用したサイト上に掲載されもののみとなります。ダウンロードされたものをAdobe Acrobatなどで閲覧する場合の計測はできません。

PDFは非常に便利ですが、ウェブサイト上ではこれまでファイルを置いてダウンロードする(もしくは
ブラウザ上で表示する)しか出来ませんでした。そのため、これまで作成したPDFでのファイルも資産として活用しきれていなかったこともあったかと思います。

ぜひ、これまでの資産もうまく活かしながら、今回ご紹介させていただいた埋め込み機能を利用しサイト内でのPDF掲載を工夫して頂き、さらにAdobe Analyticsで計測し、文章の価値を評価していくことで、より良い顧客体験を作って頂ければと思います。