2019年のホリデーシーズンを上回ったCOVID-19期間中のオンラインショッピング #DigitalEconomyIndex 5月版レポート

2020年5月のDigital Economy Index(DEI)(英語)によると、米国の消費者の多くがCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)パンデミックの影響で、オンラインでの買い物にシフトしていることが明らかになりました。DEIは、eコマースの最新状況を追跡するアドビのデジタル指標です。

5月のデータを分析した結果、COVID-19(2020年4月~5月)期間中のeコマースショッピングの水準が、2019年のホリデーシーズン(英語)(2019年11月~12月)よりも高かったことが判明しました。消費者は過去2か月間にオンラインで1,530億ドル以上を消費しており(4月は702億ドル、5月は825億ドル)、2019年11月〜12月にオンラインで消費された1425億ドルを7%上回りました。さらに、今年の4月〜5月のオンライン消費は、通常の年の4月〜5月よりも520億ドル上回っていました。

アドビのマーケティングおよびカスタマーインサイト担当バイスプレジデントであるジョン コープランド(John Copeland)は次のように述べています。「COVID-19はこれまでにない程ビジネスを変えました。消費者のオンライン指向が進んでいる現在、競争が激化していくにつれて、エクスペリエンス駆動型のeコマースへの注目度は今後数か月でさらに高まるでしょう。」

今回の分析によると、米国のデジタル購買力は2020年5月に前年比1.4%増となりました。消費者にとって、これは2019年5月に1.01ドルだった商品を1.00ドルで購入できるようになったことを意味します。

アドビのDEIは、Adobe Analyticsによって匿名で集計された小売店のwebサイトへの1兆件を超える訪問データに基づいており、米国のオンライン小売業者上位100社中80社の数千万の製品SKU(Stock Keeping Unit)を対象にしています。COVID-19感染拡大の懸念によってオンラインショッピングへの流れが加速している中、DEIは米国内のすべての商取引を測定し、消費者の支出の状況を包括的かつ正確に反映しています。このブログでは5月の調査結果と、それがコマースの未来に及ぼす影響についてご紹介します。

外出自粛中であっても消費者がショッピングに使うのはモバイル端末

5月は自宅で過ごす時間が多い人が多かったにもかかわらず、スマートフォンの利用は加速し続けています。パンデミックの影響によるeコマースの急増に伴い、オンライン販売におけるスマートフォン経由の取引のシェアも増加が見られました。

「私たちが5 月の数字を分析し始めたとき、当時は全米に外出自粛の要請が出され、移動する人も減っていたことから、デスクトップ経由のコマースが激増しているだろうと予想していました。しかし消費者はオフィスに出勤しなくなっても、スマートフォンでショッピングをしていたことが判りました」と、コープランドは述べています。

2020年5月にスマートフォン経由で購入された商品のシェアは、1月(COVID-19以前)と比較して10%増加しています。また、新しい消費者が初めてオンラインショッピングで使ったデバイスもスマートフォンでした。

BOPISのブームは沈静化

オンラインで注文して店舗で受け取るBOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)は、2020年5月の時点で前年同月比195%増でしたが、同年の3月から4月初旬に見られた急激な上昇のあとは横ばいとなっています。「再開する店舗が増加するにつれて、この成長はさらに縮小するでしょう」と、コープランドは予測します。

DEIと並行して実施した、消費者1,000人を対象にした別の調査によると、オンライン消費者の23%が、オンライン購入した商品を自宅に配送してもらうよりも、店舗または店舗前で受け取ることを好むと答えています。

メモリアルデーの記録的な売上高

昨年のメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日。5月の最終月曜日)は、20億ドルを少し上回る規模の売り上げを記録していましたが、今年は前年比63%増の35億ドルに達しました。興味深いことに、2019年のメモリアルデーの収益が5月の平均日の1.5倍だったのに対し、今年は前年比で平均3%も高い割引率にも関わらず、収益が5月の平均日の1.3倍に留まりました。

食料品、アパレル、家電のネット通販の新たなトレンド

2020年3月〜4月にかけて、オンラインでの売り上げと割引は大幅に増加しました。ところが、全米の多くの州で店舗再開のフェーズが始まった5月、主要なオンラインカテゴリー全般で増加の傾向は緩やかになり、一部においては減少が認められました。

食料品のオンライン販売は5月に14%減少しましたが、家電製品については11%増加しました。オンラインアパレルの売上高は、商品価格が4月に大幅に下落したままの状態が継続していたため、5月は12%増となりました。

5月のコンピューター価格は4月と比較して2.6%上昇しました。このカテゴリーでは今年に入って価格上昇が見られるようになりましたが、その傾向がここ3か月連続していることになります。

「昨年、このカテゴリーで続いていた価格のデフレ傾向が、サプライチェーンの停滞と商品の供給不足によって反転した可能性が高いと見ています。COVID-19の影響により、コンピューターの価格上昇率は、前年同月比と変化がありませんでした」とコープランドは説明しています。

航空券の予約件数の増加と価格の上昇

今回の分析では、航空券の予約件数が2020年4月から5月にかけて3倍になり、増加傾向を示していることが判明しました。米国内全ての地域が旅行制限の影響を受けていましたが、1月から5月中旬の間に出発便(78%減)と到着便(79%減)の両方で最大の減少が見られたのは北東部でした。

行き先としては、米国南部の州では4月1日以降、他の地域に比べて回復が見られています。

3月と4月に大幅なデフレを経験して以来、航空会社は売上高の損失を補うために航空料金を引き上げているようです。とはいえ、全体として航空料金は28%下落したままとなっています。さらに、北東部(ニューヨーク市やニュージャージー州など、COVID-19の症例数が最も多い地域)からの予約は他の地域に比べて最も伸びが鈍く、この地域では旅行に神経質になっている人が多いことを示唆しています。

Adobe Digital Economy Index(DEI)レポート(英語)では、より詳細な分析を提供しています。

*本記事は、2020年6月12日にアドビのエンタープライズソートリーダーシップエグゼクティブエディターのジゼル アブラモビッチ(Giselle Abramovich)が投稿したブログの抄訳版です。