2022年に起きた6つのトレンドからリテールの未来を占う
2023年も間近となったこの時期、世界中の小売業者は2022年の業績を振り返り、成功と失敗から学んで来年に備えようとしていることでしょう。現代の飽和状態のマーケットにおいて、ブランド企業は常に新しいトレンドに対応していかなければなりません。
毎年発生する数々のトレンドから重要なものと一過性のものを正確に見分けるのは困難です。しかし、小売業界のリーダーたちにとっては、それができない限り企業が競争上不利な立場に置かれることになります。
この記事では、2022年のマーケティングトレンドを振り返り、今後の展望を詳しくご紹介します。今年主流だったトレンドは、2023年においても小売業のマーケティングにおける重要な要素であることに変わりはないと考えられます。ここでは特に、eコマースや小売販売を営む企業にとって重要なものを取り上げますが、それらはオンラインで製品やサービスを販売するあらゆるビジネスすべてに関連があります。
1. オムニチャネルマーケティングが必須となる
現代のマーケットでは、商取引の大半がオンラインで行われているため、小売業者にとってオムニチャネル戦略は非常に重要です。
オムニチャネルマーケティングとは、マーケティングを複数のチャネルを介しておこなうことです。例えば、FacebookやInstagramの有料広告、webサイト広告、SEO対策などが挙げられます。複数のチャネルを活用した多様なマーケティング戦略を用いれば、企業のターゲット層により良いインパクトを与え、購買のジャーニー全体を通して彼らを育成することができます。
ただし、単に複数のチャネルを利用するだけでは、適切なオムニチャネルマーケティングとは言えません。オムニチャネルを実現するためには、企業のマーケティング戦略が複数のメディアを活用したうえで、一貫性のある体験を生み出せていなければならないからです。消費者に一貫した体験を提供するためには、すべてのチャネルを通して矛盾のないメッセージが届けられなければなりません。
オムニチャネルマーケティングが不可欠になった理由のひとつは、消費者が購買に至るまでに複数のタッチポイントで企業と接することが普通になったからです。例えば、ある顧客が最初にある企業のブランドと出会うのはInstagramかもしれません。そこからwebサイトを閲覧し、商品をレビューして、購入に至るわけです。
多くの消費者が購入の決断に至るまでにはブランドとの複数回のインタラクションが介在し、その回数は以前よりも数を増しています。ただ一方では、そのブランドを知った瞬間に購入に結びつくケースもあるでしょう。
2. より良いサービスを作るためにAIが活用される
小売マーケティングのトレンドとして次に挙げたいのは、顧客のショッピング体験の向上に効果のある人工知能(AI)や機械学習ソフトウェアが普及していることです。
機能豊富なマーケティングソリューションの中にはAIを搭載し、収集済みの顧客データを顧客体験の向上に活用できるものがあります。これらのツールを使えば、パーソナライズされたコンテンツで見込み客や既存客を絞り込んで特定のメッセージを伝えることができます。
現代の顧客の期待の変化により、AIはすでにマーケティング活動にとって不可欠なものとなっています。消費者の4人に3人(英語)は、パーソナライズされたオンライン体験を提供する企業から購入することを好みます。AIは顧客体験を向上させ、コンバージョン率の向上、総売上高の増加、そして組織の収益増加への道を開くのです。
AIテクノロジーは、組織が蓄積してきた膨大な量のデータを分析する上でも重要な役割を担っています。AIツールを使用することで、消費者の思考プロセスを深いレベルで洞察し、消費者の行動をよりよく理解できるため、今後のマーケティングキャンペーンの立案、過去のキャンペーンの効果検証、デジタルプレゼンス強化に役立てることができます。
3. 即日配送が当たり前に
現代の消費者は、自分たちが支持する企業が優れた配送オプションを提供することを期待し、一般に店頭での受け取りよりも即日配送や迅速な配送を好みます。
最近のデータによると、51%の小売業者(英語)が、少なくとも一部の商品について顧客に即日配送を提供しています。また、49%の消費者が、即日配送のオプションがあると、オンラインショッピングを利用する可能性が高くなると回答しています。逆にそのようなオプションがない場合、とりわけ購入を決めかねているような顧客は、購入意欲を削がれることになります。
また、即日配送を提供できるローカルビジネスは、大手ECサイトと対等な競争力を持っていると言えます。なぜなら、標準的な数日かかる配送よりも即日配送のほうが商品/製品の魅力が増すからです。
さらにローカルビジネスは、BOPIS(Buy Online Pick-up In-Store:オンラインで購入して店舗で受け取り)オプションの提供も検討すべきです。これには2つの目的があります。まず、地元の顧客が欲しいと思った商品を最速で手にできるようになります。さらに、小売業者は送料を負担することなく、消費者にほぼ即座に満足感を与えることができます。
なんらかの理由で企業が即日配送を提供できない場合でも、予測によって顧客が求める商品の在庫を安定化することで、競争力を維持することができます。正確な予測を行うには、最新のEコマース管理プラットフォームを導入する必要があります。Adobe Commerceは、魅力的なショッピング体験の構築、包括的な予測、購買傾向の完全な可視化を可能にするプラットフォームのひとつです。
4. SNSはコマースプラットフォームの主流
SNSは、もはや間接的なマーケティングツールではありません。今日の消費者は、SNSフィードで見た商品をそのまま購入できることを期待しています。これを可能にすることで、顧客体験を合理化し、購入までの摩擦をなくすことができます。
SNSですでに強い存在感を示している企業は、Eコマースツールを使ってそれらプラットフォーム上に直接ショップを開設することを検討してください。そうでない場合は、フォロワーの増加に努めながら、SNSに組み込まれた販売ツールを活用することも可能です。
SNS上でのリーチを広げるために、多くの企業はインフルエンサーと提携しています。こうしたスポンサー付きパートナーシップやアフィリエイトマーケティングの取引により、企業は大規模で忠実なオーディエンスを迅速かつ容易に活用することができます。
インフルエンサーのパートナーを探す際には、企業の価値観に合った人物を探すこと、また、望んでいるターゲット層に類似したフォロワーを持っていることを確認しておくことが重要です。
5. 顧客はオンライン/オフラインを問わず充実したショッピング体験を期待する
消費者は、オンライン、オフライン、またはそのハイブリッド(オンライン購入+店舗での受け取りなど)のいずれで購入する場合でも、完全にパーソナライズされた体験を期待しています。現代のマーケティングテクノロジーのおかげで、店舗スタッフが十分に訓練され、オンラインツールがあれば、オンラインでも完全なショッピング体験を提供することは簡単です。
また、消費者が企業のwebサイトを訪問した際は、パーソナライズ広告のターゲットとして、彼らの閲覧履歴や購入履歴、人口統計データや位置情報に基づく関連商品が提示されているべきです。関連性の高い商品を提示することで、消費者の購買意欲を高め、その企業のブランドに対するロイヤリティを育み、売上に繋げることができるからです。
eコマースのパーソナライゼーションを効果的に行うには、顧客の要望、ニーズ、嗜好に基づいた情報を収集し、保存しておく必要があります。また、これらのデータをすべて活用し、必要に応じてマーケティング戦略を調整できるよう、柔軟な分析プラットフォームへの投資も必要です。
6. 消費者の企業活動への注目が高まる
現代の消費者は、企業が行う活動に注目しています。顧客は、企業が原材料の調達先から支援する活動まで、すべてに関して透明性があることを期待しています。
とりわけ消費者にとって重要なのがサステナビリティです。2020年の調査によると、70%近くの人(英語)が、企業は環境に優しく、持続可能であるよう努力すべきであると考えています。また、顧客は自分たちが購入する製品が環境に与える影響を知りたがっています。
企業は、主要なサステナビリティ情報を自発的に提供することで、この期待に応えることができます。提供する情報は、販売する製品の種類によって異なりますが、一般的なサステナビリティ情報としては、以下のようなものが考えられます。
- フードマイレージ(食料の輸送距離)の掲示
- カーボンラベル(生産に伴うCO2の排出量)の掲示
- 調達先に関する情報の掲示
このような情報を提供することで、その企業が環境への影響を意識していることを示すことができます。また、サステナビリティの取り組みを顧客と共有することもできます。これにより、環境意識の高い顧客はその企業とより多くの取引を行うようになり、競合他社の顧客を獲得することさえ可能です。
2023年のマーケティングトレンド
2022年に流行したマーケティングトレンドがわかったところで、2023年には何が流行るのかが見えてきたのではないでしょうか。
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- 魅力的なショッピング体験を構築するAdobe Commerce
- 顧客体験をパーソナライズするAdobeMarketo Engage
- オムニチャネルマーケティングを管理するAdobe Campaign
※本記事は、2022年11月3日に米国本社から発表されたブログの抄訳です。
※2022年11月21日に日本の消費者(2,472サンプル)を対象に実施した「Adobe Digital Survey消費者動向調査2022」を発表しています。コロナ過を含む過去5年間で店舗とデジタルを融合したオムニチャネル化が加速したことが明らかとなっています。プレスリリースはこちらからご覧いただけます。