2022年のマーケティングトレンド、トップ10を振り返る

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マーケティングは常に変化し続ける業界であり、企業のブランド認知度を高め、ターゲット層にリーチするためには常に最新のトレンドを把握しておくことが必要です。決して簡単なことではありませんが、競合に差をつけ投資収益率(ROI)を向上させるためには非常に重要なことです。

2022年を振り返ると、最新のマーケティングトレンドとして、パーソナライゼーション、SNS、人工知能(AI)、バーチャルリアリティ(VR)、メタバースなどが登場しましたが、優れたマーケティング基盤を持つことが最重要であることに変わりはありません。テクノロジーの新しい進歩はエキサイティングですが、その中核として行き交うコンテンツは変わらず、魅力的で、関連性があり、信頼性が高く、インタラクティブで、本物であるべきです。

では、2023年にマーケティングはどう変化するのでしょうか?この記事では、2022年のマーケティングトレンドを振り返りながら、企業がそれらのトレンドを活用して時代の最先端に立つ方法を以下のトピックスに沿って考察します。

1.パーソナライゼーション

私たちは一日中スクリーンを見ているので、平均的なアメリカ人が1日に1万件もの広告を目にしている(英語)という事実を耳にしても不思議には思いません。こうしたノイズに対して、人々は広告ブロッカーを使ったり、そうしたコンテンツを無視するようになっています。そんな彼らにリーチするには、パーソナライズされたマーケティングが必要です。事実、72%の消費者が(英語)パーソナライズされたメッセージにのみ関心を持つと答えています。

例えば、Starbucksでは、モバイルアプリをゲーム化し、注文履歴に基づいた商品提案をすることで、顧客体験をパーソナライズしています。Amazonのおすすめ商品、Netflixのおすすめ番組、Spotifyのラッピングなど、多くの企業がパーソナライゼーションによってユーザーの関心を集めています。

企業は、次のような方法でマーケティングをパーソナライズすることができます。

また、位置情報によるマーケティングのパーソナライズも可能です。より多くの検索がモバイルでおこなわれるようになり、位置情報データが使える状況になってきました。このマーケティングトレンドを意識して、企業は世界中のすべての人を対象に広告を出す代わりに、店舗に物理的に近いオーディエンスをターゲットにして、より多くの売上を上げることができるようになります。

アカウントベースドマーケティング(ABM)を行っている企業においても、そのように獲得したリードに対してもコンテンツをパーソナライズする必要があります。パーソナライゼーションによって、企業内の意思決定者をターゲットにし、各アカウントへのアプローチをカスタマイズすることができます。特定の経営幹部にターゲットを絞った情報発信をすることで、メッセージの効果を最大化できるのです。

2. SNS

SNS自体は2022年よりずっと前からのマーケティングトレンドですが、プラットフォームそのものと、そのプラットフォーム上でのユーザーの行動様式に重要な変化が起きています。

SNSの存在は依然としてユビキタスであり、企業から消費者へのマーケティングそのものを形づくると言っても過言ではありません。82%の買い物客がSNSで見つけた商品を購入している(英語)ことから、2022年においてもこのチャネルが必須であることに変わりはありませんでした。

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2022年にSNSで成功するためには、さまざまなプラットフォームでブランドをマーケティングする必要がありました。Facebook、Instagram、LinkedInを利用しているなら、SnapchatやTikTokのような若年層をターゲットにしたプラットフォームに拡大して、リーチを拡大することを検討しましょう。しかし、画一的なアプローチではいけません。ブランドは、それぞれのプラットフォームのユーザー層に合わせて、メッセージのトーン、アプローチ、コンテンツ、投稿頻度を調整する必要があります。

よりエバーグリーン、つまり長期的なコンテンツと、短期的なコンテンツをミックスして作成することを検討してください。24時間後に消えるInstagram Storiesには緊急的な注目性はあるものの、その価値もその時点で消えてしまいます。何もかもが移り変わるこの世界では、恒久的なコンテンツにこそ価値があります。数日後、あるいは数週間後になってもコンテンツを再訪でき、エンゲージメントを長続きさせることができるからです。注目度を高めるための短期的なコンテンツへの投資は自由ですが、長期的なコンテンツを犠牲にしてまで投資するのはやめるべきでしょう。

3. インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーとのリレーションも、2022年のマーケティングトレンドのトップ入りをしています。インフルエンサーは今後も存在するだけでなく、すべての企業のマーケティング戦略の一部に取り入れられるべきものです。データプライバシー法により、ターゲットオーディエンスからの情報収集が厳しくなったため、こうしたインフルエンサーとの関係が無視できない重要なトレンドとなりました。しかし、インフルエンサーとのパートナーシップのあり方は、大きく2つの点で変化していくでしょう。

マイクロインフルエンサーが人気を博す

カーダシアン家(世界一有名なセレブ一家)のような大物インフルエンサーは今も注目を集めるかもしれませんが、有名人とブランドとのパートナーシップは勢いを失いつつあります。一方で、あらゆる規模の企業のマーケティングのトレンドとして成長しているのがマイクロインフルエンサーです。これは、フォロワー数は少ないものの、特定のニッチを支配しているインフルエンサーのことです。1,000~10,000人のフォロワーを持つマイクロインフルエンサーは、セレブリティにはない高いエンゲージメントレベルを持っています。また、マイクロインフルエンサーは、幅広いマーケティング予算に柔軟に対応してくれます。

インフルエンサーとの関係は長期的なものが望ましい

キャンペーンごとに新しいインフルエンサーを獲得するのではなく、成功したインフルエンサーとの関係を育み、ブランドをさらに成長させましょう。インフルエンサーに1回だけ自社製品を宣伝してもらうのではなく、トップクラスの実績を持つインフルエンサーと長期的な関係を構築していくのです。

4. 動画の新しいトレンド

動画は、マーケティングにおいてますます重要な要素となっています。実際、消費者の54%(英語)は好きなブランドの動画コンテンツをもっと見たいと考えており、マーケターの88%はそのようなコンテンツから得られるROIに満足しているのです。ここでは、2022年の動画マーケティングにおける最大のトレンドを振り返ってみます。

マイクロストーリーまたはショートクリップ

ショートクリップ動画は、あらゆるSNSマーケティング戦略の中で最も高いROI(英語)を示します。また、TikTokのようなプラットフォームのおかげで、私たちが消費する動画はどんどん短くなってきています。企業はフォロワーを引きつけるために、短い動画セグメントで魅力的なストーリーを語る必要があり、動画は3分以内に収めるのが理想です。

ライブ配信

パンデミックにより、ライブイベントがなくなった代わりに、ストリーミングイベントが人気を博しました。対面式のイベントは復活しましたが、ライブストリーミングは今でもFacebook、Instagram、YouTubeで重要なマーケティングトレンドとなっています。ライブ動画では観客とのインタラクションが可能で、録画済みの動画よりも魅力的であるため、この傾向はますます強まっています。

バーチャルイベント

パンデミックは、イベントのあり方にも大きな影響を与えました。コンサートやカンファレンスなど、かつて私たちが直接参加したイベントの多くがオンライン化されました。バーチャルイベントは、企業が直接イベントに出展するよりも広い範囲にリーチできるため、ROIは向上します。

5.社会的責任

企業は、世の中の動きを傍観しているだけでは取り残されてしまいます。若い世代は社会的な意識が高く、それが購買の意思決定に影響を及ぼしています。Z世代の半数以上(英語)が、環境に優しく、社会的責任を果たしているブランドを意図的に選んで購入すると主張しています。

現代のマーケティングは、顧客の価値観に合わせる必要(英語)があります。環境、LGBTQ+の権利、ダイバーシティ&インクルージョンなど、企業は自社の価値観をオーディエンスに周知させる必要があります。例えば、パタゴニアは気候変動問題への取り組みとして、自社の所有権を非営利団体に譲渡(英語)しました。

6. 人工知能と機械学習

人工知能(AI)により、マーケターは1件のリードを追い続けるのではなく、プラットフォームを横断した複数のマーケティングキャンペーンを、カスタマージャーニーのあらゆる段階で行うことができるようになりました。AIは現在、マーケティングのターゲットをさらに高度化できる段階(英語)に来ています。例えば、予測分析では、顧客データを使用して、超個別化されたマーケティングを大規模に展開することができます。企業が適切な顧客データプラットフォームを利用すれば、収集した膨大な量のデータを分析し、実用的なインサイトを取得して大きなマーケティング効果につなげることができます。

AIマーケティングのトレンドには、カスタマーサービスに代わる便利な会話型AIも含まれます。チャットボットは、24時間365日、顧客の質問に素早く答えることができ、買い物客に待ち時間のない、よりインタラクティブな体験を提供することができます。

7. メタバース

メタバースは、現実のデジタル版です。インターネットの次のフロンティアと考えられており、ユーザーは統合されたデジタル世界で働き、遊び、生活することができます。パンデミックとVR技術の発展が相まって、メタバース開発ブームが起こりました。VRと拡張現実のおかげで、消費者は自宅に居ながらにして、以下のような多くのことができるようになります。

メタバースはマーケティングの新しい道を切り開くものであり、企業はまだそれを探求し始めたばかりです。この空間は今後も成長し続けるので、今すぐメタバース戦略について考え始めましょう。NFTの作成、IPの商標登録、RecRoom(英語)のようなメタバースアプリの活用など、様々な方法が考えられます。

8. 検索エンジン最適化

検索エンジン最適化(SEO)は、Googleが登場した初期からマーケティングのトレンドであり、実際にSEOに携わったことのある方もおられるでしょう。ブログ、コンテンツ、キーワードは、2022年のSEOでもまだその役割を担っていますが、いくつかの点が変化しています。

2022年は何が違うのか?

モバイルファーストの検索が人気を集めています。優れたユーザー体験を提供するだけでなく、Googleでのランキングを上げるためにも、今のうちにモバイルユーザー向けにサイトを最適化しましょう。

Googleのアルゴリズムはより複雑になっており、企業はそのギャップを埋めるためにSEOベンダーを雇うことが多くなっています。SEOの専門家にまだ投資していないのであれば、その時期が来ているのかもしれません。

9. 音声検索

モノのインターネット(IoT)が発展するにつれて、音声検索の重要性はさらに増していくでしょう。サーモスタットからスマートウォッチ、テレビまで、家庭内のあらゆる「スマート」デバイスがIoT機器なのです。近い将来、消費者は声だけで身の回りのものを操作するようになり、マーケティングもそれに対応しなければならなくなります。

Siri、Alexa、Echo、そしてGoogle Assistantは、GoogleがSEOコンテンツに求めるものを変えました。そして今が、このマーケティングトレンドに合わせてコンテンツを最適化する時です。つまり、コンテンツには質問と完全なフレーズを含める必要があります。コンテンツを質問への回答としてフォーマットし、そこにロングテールキーワードを複数含めることで音声検索での順位が上がりますが、情報的で会話的なトーンを維持することも忘れないでください。

10. 変化するプライバシー

消費者は自分の個人情報に誰がアクセスできるかを気にしており、データプライバシーへの欲求がマーケティングの未来を揺るがしています。では、何が変わってきているのでしょうか?

Appleは、ユーザーのプライバシーを優先するため、同社のデバイスではアプリベースのトラッキングを以前より制限することにしました。Googleは、Chromeのブラウザクッキーのサポートを終了し、そこから得られるオーディエンスデータも少なくなります。つまり、消費者がプライバシー保護の恩恵をより多く受ける一方で、企業は顧客へのアプローチをパーソナライズするためのオーディエンスデータを失うことになるわけです。今後、企業は、顧客データを収集し、ターゲットを絞ったマーケティングキャンペーンを作成する方法を工夫する必要があります。

アドビがお手伝いします

これら10のトレンドが示すように、2022年のマーケティングの様相は複雑であり、チームがカバーすべき領域がいくらでもあることは明らかです。パーソナライゼーション、ショートクリップ動画、モバイルファーストSEO、その他このリストにあるマーケティングトレンドのどれであっても、企業は変化を受け入れなければ存在感を示すことができません。自社のビジネスにとって最もエキサイティングなトレンドは何かを考え、それを追求しましょう。

アドビは、企業が現在のマーケティングトレンドを活用するためのツールを以下のように豊富に取り揃えています。

※本記事は、2022年11月8日に米国本社から発表されたブログの抄訳です。