多様なツールの一気通貫が可能
課題
業務の省力化
成果
多様なツールの一気通貫が可能
フォントの縦組みにも対応
自動化で作業を効率化
SNSのユーザー会で悩みを解決
動画広告市場では、簡潔で印象的な表現による広告主企業のブランドリフト効果を目的とする短尺動画のニーズが高まっている。株式会社6秒企画ではディレクション・撮影・デザイン・編集まで一貫して対応可能な体制を構築することで、広告効果の最大化を図る“6秒動画広告の表現” を追求し、企業のマーケティング活動における課題解決と効果向上を目指している。
バンパー広告などの短尺動画に特化したクリエイティブ企業
近年、インターネット上の動画広告市場が急速に伸長している。テレビを持たない若者も珍しくないなど、若年層の生活スタイルが大きく変わったことで従来型の広告手法の限界が見え始めたことがその理由だ。中でも注目されているのが、YouTubeが提供する6秒動画の広告フォーマット「バンパー広告」に代表される短尺動画である。
「テレビとネットでは、ユーザーの視聴態度も環境もまったく異なります。興味がなければすぐに親指一つで遷移できてしまうスマホ上の15秒は本当に長いです。こうした中、メッセージを確実に届けるには、強力なフックを冒頭に置くなど、作り方の前提から変えていく必要があります。しかし、短尺動画に特化した会社はまだありません。しかし短尺の動画が非常に伸びてきているという現実もあり、サイバーエージェントのグループ会社として、その動画を内製化することで新たなビジネスチャンスを見出したというのが当社設立の理由です」と代表取締役社長の二宮功太氏は語る。6秒企画という社名ももちろんバンパー広告のフォーマットにちなんだものだ。
YouTubeは、15秒、30秒広告をスキップする視聴者に対し、積極的にバンパー広告を提供する戦略をとっているという。それに伴い、バンパー広告の方がリーチ効率が高まることも短尺動画が注目される理由の一つだ。サイバーエージェントのインターネット広告事業部門には多くのクリエイティブ子会社が存在するが、同社はその中で特に短尺動画による企業のブランドリフト効果を軸に映像表現を追求していくという。
モーションデザインを軸にした映像制作にトータルに対応
オンライン動画広告の特徴の一つに、配信開始後も視聴者の反応を見て、配信内容をきめ細かく変更していく点がある。これは同じ内容のCMを繰り返し放映することが前提のテレビCMとの大きな違いでもある。
「至極の1 本を作ることがテレビCM 制作とするなら、オンライン動画広告は効果に応じて、あるいはYouTube やTwitter、Facebook などの各種プラットフォームに応じて、多様なクリエイティブを制作することがその特徴です。ただリサイズするのではなく、キービジュアルからつくり分けていくことが理想です。そのため、制作するクリエイティブの量はテレビCMに比べ圧倒的に多くなります」(二宮氏)
短尺動画の場合、モーションデザインの比重が大きくなることも特徴の一つ。AbemaTV の番宣制作などを手掛けてきたMotion Designer / Editor の白戸 裕也氏はこう説明する。
「一言でいえば、モーションデザインとは動くグラフィックデザインと言うことができます。6秒程度の短い時間で見る人の心を動かすには、グラフィック的な要素がとても重要になるだけに、今後より一層、その役割は大きくなると考えています」
同社のコンテンツ制作を支えているのが、Adobe Creative Cloud 2019だ。
「私の場合、Photoshop、Illustrator、Premier Pro、After Effects などを使用しています。ツールごとに見ると競合製品はありますが、クリエイティブワークをトータルでカバーする製品群は唯一無二のものです。それが私がCreative Cloudを使い続ける一番の理由です」(白戸氏)
代表取締役社長 二宮 功太 氏
Motion Designer/Editor 白戸 裕也 氏
AIによる自動化が業務を大幅に省力化
モーショングラフィックス制作は、オリエンテーションを受けて、基本的な構成案を考え、メインとなるグラフィックを提案し、OK が出た段階で本格的な制作をスタートする。制作期間は通常2、3 週間で、場合によっては1 週間以内というケースもあるという。こうした業務と共に、ディレクターとしての役割も果た
す白戸氏にとり、Creative Cloud 2019 の効果としてまず挙げることができるのが業務の省力化という観点だ。なかでも特に注目しているのが、After Effectsに実装された「コンテンツに応じた塗りつぶし機能」である。
「Photoshop に搭載されている消したい部分を自動で塗りつぶす機能の動画版ですが、最初は動画への対応はさすがに難しいだろうと思っていました。しかし試してみると、想像していたよりもずっときれいに消えてくれました。精度に関しては、使うほどにAI が学習して上がっていくはずなので、今後、かなり使える機能になるのではと期待しています。私の場合、Photoshop のバッチ機能を以前から活用してきましたが、こうした自動化機能は地味かもしれませんが、効率化という観点ではとても大きな意味を持つと思います」
アドビ製品を軸にしたエコシステムがクリエイティブを効率化多様な他社製品との連携も白戸氏が評価するポイントの一つだ。
「他社の多様な専用ツールも含め、一気通貫の作業が可能になる点にもとても助けられています。私の場合、3DCG 制作では、他社の専用ツールも活用して作業を行っていますが、その場合もAfter Effects 上で簡単にコンポジットすることが可能です。また、日本語をベースにクリエイティブを行う上で、縦書きに対応している点はとても大きなポイントだと思います。縦書きテロップはもちろんのこと、ナレーション原稿をIllustratorで作ってしまうこともあります」
SNS上のユーザーグループの活発なやり取りも白戸氏がCreative Cloudを評価するポイントである。
「Premiere Pro とAfter Effects のFacebook ユーザーグループに参加しているのですが、そこに“こんなことに困っているんだけど” と投げかけると必ず誰かがレスポンスを返してくれます」
短尺動画のあり方をつくり方も含め考えていきたい
Creative Cloud による作業効率化の先に白戸氏が見ているのは、クリエイティブワークの一層の質的向上だ。短尺動画に求められるものは、従来のテレビCMとは大きく違う。短尺動画に特化したクリエイティブチームである同社は、今後、作り方も含め、短尺動画のあり方を追求していく考えだ。
「当社も含め、サイバーエージェントの広告制作部門に共通するのは、縦割りではない、それぞれがオーバーラップしあうような企業文化です。モーションデザイナーであると共にディレクターでもある白戸の仕事はその一例ですが、より効果的な短尺動画を制作する上では、自分でカメラを回し、編集まで行う方法も含め、作り方という部分から見直していく必要があると考えています。作り方が変われば、自ずと中身も変わるはずですからね」と二宮氏は言葉をまとめた。
※掲載された情報は、2019年9月現在のものです。