レンダリング性能の向上で、編集作業時間が 1/10 に短縮
課題
インターネットメディアを舞台に、より効果的な番組PR を模索
成果
グラフィックデザイナーとの連携効率化
PhotoshopやIllustratorのネイティブデータをPremiere Proに直接読み込める
一つのファイルで複数のデザインを管理
Photoshopのアートボードでデザインバリエーションの比較が容易
映像制作ツール間の連携の強化
Premiere ProとAfter Effectsの間でメディアアセットを素早く共有
映像レンダリング時間が大幅圧縮
レンダリング性能の向上で、編集作業時間が1/10に短縮
「レンダリングなしに映像が確認できるPremiere Proは、編集作業時間をこれまでの1/10に圧縮しています」
アートディレクション室 VX Studio エディター/ディレクター 中山 駿 氏
日本初のインターネットテレビ局の運営会社である株式会社AbemaTV では、効果的な番組PRのために、当初から番組宣伝用の映像を社内で制作してきた。Premiere Pro をはじめとするAdobe Creative Cloud が提供する映像制作、デザインツールは、SNS などインターネット上の多様なメディアを舞台に展開されるAbemaTVの番宣映像制作の効率化に大きく貢献している。
インターネットメディアを舞台に、より効果的な番組PR を模索
AbemaTV では、自局メディアに加え、SNSなど多種多様なインターネットメディアを活用して番組宣伝を行う。メディアの特徴に応じて番宣内容を作り変える必要があり、短期間に多くの番宣映像を制作することが求められる。その役割を担っているのが、アートディレクション室VX Studioだ。クリエイティブ・マネージャーの高岡 哲也氏はその役割をこう説明する。
「アートディレクション室には、AD StudioとVX Studioの二つのチームがあります。前者はキービジュアルやスタジオセットなど、オリジナル番組のアートディレクションをトータルで担い、後者は番組オープニング映像やミュージックビデオの制作などの映像制作を担います。その中で大きな比重を占めるのが番組宣伝用の映像制作で、コンテンツごとに一人の担当者が一気通貫で担当することが大きな特徴になっています」
VX Studio には12名のディレクターが所属。その一人がアートディレクション室 VX Studio エディター/ディレクターの中山 駿氏だ。
「番宣を見ようと思って見る人はいませんよね。我々は、どうすれば、ながら見している視聴者の心に刺さる映像が制作できるかを常に考えながら仕事に取り組んでいます。映像制作にトータルに関われる今の環境は大きなチャレンジだと思っています」
また、AD Studioには14名のグラフィックデザイナーが所属。キービジュアルや番組セットなど、オリジナル番組のアートワーク全般を担当している。
Creative Cloudがより効率的なコラボレーションを実現
番宣映像は基本的に毎週1 本新たに制作し、そこから尺別やターゲット層に応じたバリエーションが派生する。さらにはオリジナル番組のオープニング映像の制作も一人のディレクターが担当するため、その制作スケジュールは極めてタイトだ。こうしたアートディレクション室の業務を支えているのが、Creative Cloud 2019の各種クリエイティブツールである。以前のバージョンと比較した際のメリットはやはり多い。
「以前はAD Studioから受け取ったPhotoshop やIllustrator のデータをその都度、中間ファイルに出力し、映像に取り込んでいました。Creative Cloud 2019では、データを直接Premiere ProやAfter Effectsに取り込めます。また、以前のように中間コーディックとして書き出す必要なく、モーションエフェクトを加えたい部分をクリック一つでPremiere ProからAfter Effectsに書き出せるなど、ツール間の連携が強化されたことは、Creative Cloud 2019の大きな魅力だと感じています」(中山氏)
随時強化される新機能が映像制作の省力化を実現
Creative Cloud活用による第一の効果が、煩雑な映像制作業務の省力化にあることは間違いない。
「以前との一番の違いは、レンダリングする必要なく仕上がり映像が確認でき、修正までできる点です。1時間の映像のレンダリングを数時間かけて行い、修正を加えた場合、再度レンダリングを行っていた頃と比べると、Premiere Proは編集作業時間を1/10以上短縮していると思います」(中山氏)
オーディオ編集ツールAuditionの存在も高岡氏が高く評価するポイントの一つだ。
「当社の場合、音量レベルが設定された値を上回ったり、大きく下回る場合、入稿できない仕様になっていますが、Auditionであればあらかじめ音量レベルを設定するだけできめ細かな調整を自動的に行ってくれるため、とても重宝しています」(高岡氏)
Creative Cloudは、AD Studioが担うグラフィックデザインの分野でも効果を発揮している。アートディレクション室 AD Studioアートディレクターの竹原 沙織氏はこう語る。
「私はPhotoshopのアートボード機能を高く評価しています。番組のキービジュアルを制作するような場合、いくつもバリエーションを作って比較するのですが、アートボード機能を使えば1ファイルの中に複数のキャンバスを持てるので、バリエーションの比較がしやすく本当に便利です」
省力化が生む時間を効果的な番組宣伝の模索に活用
同社の親会社であるサイバーエージェントは現在、関連会社や部署を横断してメディア部門に所属する全クリエイターを対象に、定期的に勉強会を開催し、この場でCreative Cloudの活用法を教えあうなど情報共有を行っている。
一方、中山氏は、After Effectsで複雑なアニメーションを作成する際などに、レイヤーやエフェクトのプロパティをプログラムで自動修正するエクスプレッションに注目しているという。
「モーショングラフィックス制作は、手作業で動きを指示するよりも効率的な方法があるはずと以前から思っていましたが、エクスプレッションはまさにその重要なカギを握っていると感じています。いつも時間に追われている我々エディターは、業務を効率化する方法を常日頃から考えています。After Effectsには使いこなせていない機能がまだまだあるので、今後もその可能性を掘り下げていきたいです」(中山氏)