
12個
わずか数日で作成された3Dデザインの数
200万ドル超
写真撮影コストの削減
+100%
クリエイティブを外注不要で完全内製

「私たちは、135年の歴史を持つブランドを守っています。私たちが目指すのは、これまで受け継がれてきたクリエイティビティとデザインの精神を守り続けると同時に、この先135年間のクリエイティブイノベーションの土台を作ることです」
ラファ アブレイユ氏
ザ コカ・コーラ カンパニー グローバル・デザイン担当副社長
現代的でありながら廃れることのないデザイン
曲線を描く独特なガラス瓶や、長く伸びる「C」の文字が映える赤と白のロゴで知られるコカ・コーラは、世界で最も有名なブランドの一つです。コカ・コーラの中核をなす要素の多くはブランドが成長する中でも受け継がれており、ジョージア州アトランタの薬局Jacobs’ Pharmacyでジョン・ペンバートン(John Pemberton)博士が世界初のコカ・コーラを提供した1886年まで遡ることができます。
「コカ・コーラをよく見ると、『デザイン』は当初から私たちのストーリーの一部であったことが分かります」とザ コカ・コーラ カンパニーのグローバル・デザイン担当副社長を務めるラファ アブレイユ(Rapha Abreu)氏は語ります。「水とシロップ、炭酸の完璧なバランスの実現から、細部までこだわったボトルのデザインまで、商品の製造やデザインの裏にはさまざまな意図がありました」
誕生から135年が経ち、世界は劇的に変化しました。現在、ザ コカ・コーラ カンパニーは世界有数の飲料メーカーとして、200カ国以上で数百のブランドを販売しています。Jacobs’ Pharmacyはとうの昔に無くなりましたが、薬局があった場所からほんの数マイル先には、ザ コカ・コーラ カンパニーのグローバル本社が立っています。いつまでも残り続けるものもある、という証のようです。
「現在のグローバルデザインチームは、脈々と続いてきた素晴らしいデザインチームの一つです」とアブレイユ氏は言います。「私たちは、135年の歴史を持つブランドを守っています。私たちが目指すのは、これまで受け継がれてきたクリエイティビティとデザインの精神を守り続けると同時に、この先135年間のクリエイティブイノベーションの土台を作ることです。当社が積み上げるブランドストーリーに少しでも貢献できれば嬉しいです」
実世界の製品をデジタルの世界でデザイン
日本で販売されたヨーグルト味のファンタやインド限定のクミン味のソーダなど、コカ・コーラのブランドは現地で親しまれる味を取り入れながら、製品開発からマーケティング、デザインまであらゆる面に反映されています。アブレイユ氏によると、ザ コカ・コーラ カンパニーがグローバルに展開していることこそ、同社がいつまでも新鮮さを保っている理由だといいます。
「グローバルに展開する巨大企業は、普通動きがとても遅いです。ですが当社では、コカ・コーラが全世界に展開しているという事実をうまく生かしています」とアブレイユ氏は説明します。「当社は、現地の消費者を理解する従業員を世界中に抱えています。彼らは、新鮮でクリエイティブな方法でブランドを成長させるためのヒントを与えてくれます。多様性やインスピレーションが感じられるこの環境が、私は好きです。それこそが、より良いデザインを作るための基本です」
グローバルでもローカルでも、デザインチームはAdobe Creative Cloudのアプリを利用し、コカ・コーラのあらゆるブランドのデザインを制作しています。ロゴやウェブサイト、広告板から、ボトル、ラベル、パッケージまで、ブランディングのあらゆる側面をデザイナーが担います。世界中の全チームがCreative Cloudを使うことで、簡単にファイルを共有することやデザインアイデアを協力して考えることができ、同社の強力なグローバルブランドを支えています。
「デジタルの世界で作業をしていますが、コカ・コーラはこの先もずっと、形のある商品です」とアブレイユ氏は説明します。「当社のデザインには、目には見えないけど、手に取って、触って、開けて、味わう要素が盛り込まれています。だから、3Dデザインが非常に重要なのです。手に取って、すぐ近くで見る物を作れますから。デザインの手触り感をデジタルの世界に持ち込めるのです」
グローバルデザインチームがブランドのデザインを新たに作る時やリニューアルする時、従来は、多くを手作業のプロセスに頼っていました。これまでは、デジタルでデザインしたラベルをプリントアウトしてアルミ缶に巻き付けたり、実物大のモックアップを外注したりしなければなりませんでした。近年はデジタルモックアップに移行し、3Dレンダリングを作るようになったことで、デザインの検討やアイデアの共有、世界各地のビジネスユニットからのフィードバック収集がしやすくなりました。
しかし、最近あるブランドを立ち上げた時には、グローバルデザインチームは「バーチャルフォトグラフィー」というまったく異なるアプローチをとりました。Adobe Substance 3D Stagerで作成した3Dレンダリングを使い、ブランドコンセプト案やビジュアルブランディング候補の作成、バーチャルフォトの撮影まで、製品デザインの完全内製化を実現したのです。

「デジタルのワークフローでブランドを編み出す際、3Dは非常に重要な役割を担います。Adobe Substance 3D Stagerでは、物理的なモックアップを作る必要がなく、フィードバックを素早く確認できるので、3Dデザイン導入の壁を感じさせません。おかげで、デジタルデザインを完全に内製することができました」
ベニー リー氏
ザ コカ・コーラ カンパニー、エクスペリエンス・デザイン担当グローバルマネージャー
グローバルに広がるチームとのバーチャルスプリントに3Dを活用
「トポチコ」は、清涼感を特長とする炭酸ミネラルウォーターで、熱狂的なファンがいます。メキシコのモンテレイに位置するセロ・デル・トポ・チコという山の近くで採水されるトポチコは、天然ミネラルと炭酸が織りなす爽やかな風味を持ち、何世代にもわたり愛されてきました。ザ コカ・コーラ カンパニーはこのブランドをベースに、ピリッとした辛みとトロピカルな味わいを持つハードセルツァーというアルコール飲料を新発売することにしました。
「トポチコ ハードセルツァー」は、ザ コカ・コーラ カンパニーが米国で初めて発売するアルコール飲料で、同社にとっては新たな挑戦となります。しかしアブレイユ氏は、この躍進はグローバルデザインチームにとって絶好のチャンスになると考えました。「小規模な新ブランドでは、普段よりも自由にデザインを考えられるのです」とアブレイユ氏は言います。「アジャイルに動き、誰もが感動するような形で素早くデザインコンセプトを生み出せるツールを活用したいと考えました。私たちの成功は、Adobe Substance 3D Stagerによるところが大きいです」
グローバルデザインチームは、クリエイティブブリーフを受け取ると早速、トポチコ ハードセルツァーのブランドアイデンティティの制作に取り掛かりました。
「当社が持つデザインのリソースや世界中の人材をすべて生かして、何もかも社内でやり遂げようと考えました」とザ コカ・コーラ カンパニーのエクスペリエンス・デザイン担当グローバルマネージャーを務めるベニー リー(Benny Lee)氏は振り返ります。「数日間でデザインスプリントを行い、12個の案が考え出されました」
デザイナーはAdobe Illustratorを使い、ロゴや缶デザインの案を作りました。そして、デザインをプリントアウトしたりモックアップを外注したりするのではなく、IllustratorのファイルをAdobe Substance 3D Stagerに直接インポートし、バーチャル世界の缶に適用したのです。
「デジタルのワークフローでブランドを編み出す際、3Dは非常に重要な役割を担います」とリー氏は言います。「Adobe Substance 3D Stagerでは、物理的なモックアップを作る必要がなく、フィードバックを素早く確認できるので、3Dデザイン導入の壁を感じさせません。おかげで、デジタルデザインを完全に内製することができました。3Dモデルとリアルなライティングを組み合わせて、簡単に高品質なレンダリングを作成できるので、ディレクターもデザイナーも全員がすぐに使い方を習得できました」
Substance 3D Stagerでコンセプトが形になると、デザイナーはすぐにアイデアを共有し、その場でフィードバックを得て、デザインのイテレーションを回しはじめました。作成した3Dステージは世界各地に共有され、さまざまなタイムゾーンで働くデザイナーの力を借りて24時間絶えずコラボレーションが繰り広げられ、さらに素早くスプリントが回されました。アセットやライティング、カメラのアングルなどあらゆる要素が各ステージで保存され、シームレスな受け渡しが可能となりました。
「Adobe Substance 3Dのコレクションは、アドビのイノベーションを体現した最新の例にすぎません。3Dデザインをもっと手軽に使えるようにすることで、アドビはデジタルの場を新たに切り開き、私たちが新商品や新市場に向けたデザインを考案する場所を提供しているのです」
ラファ アブレイユ氏
ザ コカ・コーラ カンパニー グローバル・デザイン担当副社長
すべてのデザイナーが公式な3Dのトレーニングを受けているわけではなく、シーンを構成するアセットをモデリングする暇があるわけでもありません。Adobe Stockは、高品質な画像アセットが豊富にそろったライブラリへのアクセスを提供し、たった数クリックで製品ショットを完成させられるようにすることで、そのギャップを埋め、デザイナーのビジョンが完全に再現されるようにしました。またデザイナーは Adobe Senseiを利用したAdobe Stockのスマート検索を使うことで、検索結果を絞り込み、イメージ通りのアセットを素早く探すことができました。
「高品質な3Dモデルが豊富にそろったAdobe Stockのライブラリのおかげで、ブランディングの検討やリアルなシーンの構築に必要なアセットを数時間で見つけることができました」とリー氏は語ります。
「Adobe Substance 3D Stagerがなければ数週間かかりそうな仕事が、たった数日で終わりました」とリー氏は言います。「デザインの失敗を恐れることもありません。Substance 3D Stagerを使えば失敗もすぐに分かるので、実験を重ね、イテレーションを回し、最終的にはより良いデザインを作ることができます」
トポチコの発売にあたり、Adobe Substance 3D Stagerで作成された3Dレンダリングを含む新たなデジタルワークフローを通じて、製品デザインが完全に内製されました。
グローバルデザインチームはAdobe Illustratorを使い、ロゴと缶デザインを作成しました。IllustratorファイルはAdobe Substance 3D Stagerにインポートされてバーチャル世界の缶に適用され、迅速にフィードバックを得て素早くイテレーションを回し、より良いデザインを作ることができました。
Adobe Substance 3D Stagerを使うことで、1週間以内に12個ものデザインコンセプトを用意できました。トポチコの発売により、小規模な社内チームで低コストかつ迅速に結果を出せることが示され、新たな働き方の基準が打ち立てられました。
写真のようにリアルでプロフェッショナルな作品をデスクトップ上で
トポチコ ハードセルツァーの発売は、ザ コカ・コーラ カンパニーにおいて、デジタルを活用した新しい働き方の先例となりました。小さな社内チームで、コストと時間を大幅に削減しながらも質の高い結果を実現できることが、グローバルデザインチームによって証明されたのです。
初期のデザインスプリントにとどまらず、Substance 3D Stagerは写真撮影のプロセスにも革命を起こしました。作成された3Dレンダリングは非常にリアルかつ芸術的で、従来の写真に見劣りしないものでした。従来のマーケティング予算では3分の1が写真撮影に充てられることから、Substance 3D Stagerに切り替えることで、キャンペーンあたり数十万ドルものコストを削減できる可能性があります。
「トポチコ ハードセルツァーが発売され、私たちが作ったレンダリングがあちこちのニュースに掲載された時は、信じられない気持ちでした」とリー氏。「新ブランド立ち上げ時の働き方が大きく変わり、クリエイティビティの求められるイテレーションを素早く回すことに専念できるようになりました。おかげで、完璧な製品デザインの完成までまっすぐ突き進むことができます」
「私はアドビのアプリケーションを仕事でずっと使っているので、十分に信頼しています」とアブレイユ氏は語ります。「Adobe Substance 3Dのコレクションは、アドビのイノベーションを体現した最新の例にすぎません。3Dデザインをもっと手軽に使えるようにすることで、アドビはデジタルの場を新たに切り開き、私たちが新商品や新市場に向けたデザインを考案する場所を提供しているのです。アドビのアプリケーションを使って仕事をすることで、今日の世界のためのデザインを作るという目標だけでなく、数十年先まで受け継がれるデザインを作るという目標も叶えられます」