膨大なデジタルアセットの一元管理を推進力にスポーツによる社会価値の創造を目指すドーム

株式会社ドーム

設立

1996年

所在地:東京

従業員数:339名(2017年1月現在)
www.domecorp.com

デジタルアセットの有効活用

誰もが必要なアセットを自由に使いこなせる環境を整備

checkbox icon

課題

取り扱う画像素材、クリエイティブ制作物が年々増大。数十万点ものデジタルアセットの管理は限界に達していた

必要なデジタルアセットがなかなか見つからない。探し出すには、これまでの経緯をよく知る管理者に頼らざるを得ず、業務が属人化していた

使うべきではないアセットが使われたり、制作段階のファイルが流通したりしてしまうなど、管理ミスが発生しかねない状況だった

graph icon

成果

アドビのソリューションを活用して、デジタルアセットを一元管理できる環境を構築

アセットの一元管理、画像解析を活用した自動タグ付けなどによって検索性が向上。使いたいアセットをすぐに見つけられる

制作中の各バージョンのファイルの適正な管理、ファイルの使用期限の設定などで、常に適切なアセット利用を促す


「もはや、デジタルへの対応は単なる『方法論』では片づけられないほど、企業にとって重要なテーマとなっている」

 

取締役 執行役員 CMO マーケティング本部 本部長 赤倉 吉典氏


スポーツで日本の社会を豊かにしたい

「社会価値の創造」を理念に掲げ、スポーツを通じて社会に貢献し、社会をより豊かなものにしていくための事業を展開しているドーム。「創業者を筆頭に、アスリート出身者が多いのも当社の特徴です。プロスポーツ選手だけでなく、一般のスポーツ愛好家まで、アスリートの抱える課題の解決に向け、様々な取り組みを積み重ねています」と同社の赤倉吉典氏は語ります。

 

具体的に、同社が目指しているのが、日本のスポーツ環境の水準を世界レベルに引き上げることです。例えば、スポーツ産業の市場を見ると、1995年当時のアメリカと日本のスポーツ産業の規模の差は、アメリカ市場が日本市場のおよそ3倍。アメリカの人口、GDPが日本の約3倍であることを考えれば、ほぼ同じレベルの市場でした。しかし、その後、アメリカのスポーツ産業は急速に拡大し、現在は約15倍の差がついてしまっています。スポーツの価値にいち早く目を向け、積極的に産業化を進めてきたアメリカでは、もはやスポーツは一大産業となり、アスリートを取り巻く環境も大きく進化しています。

 

設立当初から、ドームは、世界に目を向け、日本のアスリートにも世界基準の環境を提供していくことに力を注いできました。現在、同社は、大きく「スポーツプロダクト事業」「スポーツサプリメント事業」「スポーツメディカル事業」「パフォーマンスディレクション事業」の4つの事業を展開していますが、優れたウェアを提供することも、優れた技術でアスリートのフィジカルをケアすることも、同社にとっては、スポーツの持つ価値を世に広めていくための取り組みなのです。

 

デジタルへの対応は不可欠の経営課題

 

高い理想を掲げて、その理想を実現するために、日々邁進している同社ですが、さらなる推進力を得るためにも、ビジネスの現場に潜むムダや課題は無視できません。同社が解決に乗り出したのが、事業の中核を担うスポーツプロダクト事業のマーケティングにおける課題です。

 

ドームのスポーツプロダクト事業では、「アンダーアーマー」ブランドのアパレル商品やフットウェアを取り扱っています。「より高く、より速く、より強く、というアスリートなら誰もが持つ、根源的な欲求に応えるのがアンダーアーマー。アンダーアーマーの正規日本ライセンシーとして、最新グローバル商品の国内展開、および国内向けに開発した専門商品の展開を行っています」と赤倉氏は説明します。

 

プロダクトの品質には絶対の自信を持つ同社ですが、多くの顧客に商品を手に取ってもらうには、やはりマーケティングは欠かせない取り組みとなります。特に、ECを中心としたデジタル化への対応は、現在の市場競争を勝ち抜くには必要不可欠だと判断していました。

 

「理念に向かって泥臭く前進するのが、当社のカルチャー。そのため『方法論』のようなものは、あまり重視しない傾向もありますが、スマートフォンやPCなど、多様な端末が普及し、お客様との接点が多様化する中で、どのようにお客様とコミュニケーションを取るか、そして、お客様が求めるスピードにどのように対応するかを考える上で、デジタル対応を単なる方法論として軽視するわけにはいきません」と赤倉氏は強調します。

 

デジタルアセットの最適な管理を目指す

こうした危機意識のもと、同社は様々な取り組みを進めています。その1つが、広告やECサイト、店頭POPなどに使用するグラフィック制作物、いわゆるデジタルアセット管理最適化です。

 

同社は、マーケティングに利用するデジタルアセットの制作を完全に内製化しています。商品写真、アンダーアーマーの持つ価値、プロダクトに込めた思いを投影したイメージ写真といった画像素材はもちろん、それらを活用したグラフィックまでを社内で制作し、自社で運用しているホームページやソーシャルメディア、ECサイト、メルマガで利用したり、販売契約を結んでいる小売業者の店頭で利用してもらうために配布したりしているのです。

 

しかし、プロダクトのラインアップ拡大などを背景に、管理しなければならないアセットが年々増加。従来の管理方法では太刀打ちできない状況になりつつありました。

 

「素材やグラフィック制作物などは、社内のサーバーに『2016年/秋冬』『2017年/春夏』といったフォルダを作成して、そこにまとめて保存していました。また、制作段階でグラフィックを責任者が確認したり、修正指示を出したりするためのやり取りも、このサーバー上で行っていました」と同社の菅谷 敦氏は言います。

 

近年の実績でいえば、1シーズンに同社がサーバーに保管するアセットは、1万5000〜2万点。1年に換算すれば3万〜4万点となります。さらに、それが、毎年、蓄積されていく。この膨大なアセットの中から、必要なアセットをすぐに見つけ出すこと、あるいは、利用者に適切なアセットの利用を徹底させることは容易ではありませんでした。

課題を解決できるのはアドビソリューションだけだった

このような課題を解決し、デジタルアセットの管理を最適化するために、同社が導入を決めたのが「Adobe Experience Manager Assets」です。

 

「様々なツールを調査し、一部のツールは実際にトライアルも行いましたが、どれも、私たちの課題を解決できるものではありませんでした。そうした試行錯誤の最中に、Adobe Experience Manager Assetsの提案を受け、これなら課題を解決できるとすぐに感じました」と同社の阿部敏氏は振り返ります。同時に提案を受けた菅谷氏も、一目で「探していたのはこれだ」と直感したといいます。

 

Adobe Experience Manager Assetsは、「制作」「活用/管理」というデジタルアセットのライフサイクルをトータルにカバーするソリューションです。制作プロセスにおいては、制作中のアセットを一元管理し、過去アセットの参照、画像のサイズ変更、制作物の社内レビュー、修正案の比較といった工程をスムーズに行える機能を提供。一方の活用/管理プロセスでは、アセットの検索、修正依頼、アセットの変更、小売業者に一斉にアセットを共有するための機能を備えています(図)。

 

Adobe Experience Manager Assetsを導入して、デジタルアセットの制作、活用/管理における業務を効率化、標準化することで、関連部門はよりクリエイティブな業務に集中することができます。また、コンテンツの企画/デザインからリリースまでのリードタイムの大幅な短縮も可能です。

 

加えて、同社が大きな期待を寄せたのがAI(人工知能)、マシンラーニング、ディープラーニングの機能を活用した「Adobe Sensei」による画像認識機能です。

 

「検索性を上げるために、画像にキーワードを『タグ付け』をしていくのは一般的な方法ですが、Adobe Experience Manager Assetsでは、Adobe Senseiが画像を解析して、自動でタグ付けを行ってくれるのです。管理工数の削減と検索性の向上を両立できると高く評価しました」と菅谷氏は話します。

 

Adobe Experience Manager Assetsは、同社のデジタルアセットにまつわる業務の効率を大きく改善し、その活用を大いに加速させる可能性を秘めているのです。

図 アセット管理業務の課題と「Adobe Experience Manager Assets」による解決

アセット制作時のやり取り、利用時の検索など、アセット管理には様々な課題がある。ドームもアセットの数が膨大になるにつれて、課題が顕在化しており、Adobe Experience Manager Assetsによる解決を図った。

Adobe Experience Manager Assetsをベースにデジタル活用を加速

誰もが必要なアセットをすぐに見つけられる

 

最もインパクトが大きいのは、やはり検索性の大幅な向上です。

 

「ECサイトやメルマガを運用していると、最新のものはもちろん、過去のアセットを確認したり、使ったりしたい場面がたびたびありますが、以前は、簡単には見つけることができませんでした。自分で見つけられないと、管理部門に『1年前に使ったコンテンツをまた使いたい』『確かこんな写真素材があったよね』と連絡し、記憶をたどりながら探してもらうのが常態化していました。過去のことをよく知っている担当者がいないと、目当てのアセットが見つからない、いわば『属人化』した状態だったのです」と阿部氏は言います。

 

一方、Adobe Experience Manager Assets導入後は、利用者自身が、整理・集約されたアセットの中から使いたいものをすぐに見つけることができるようになり、資産を有効活用できるようになります。

 

期待のAdobe Senseiについては、今後、さらに進化すれば、自動タグ付け以上の価値を提供してくれるのではないかと考えています。

 

 「『どんなキーワードで検索されたときに、どんなデジタルアセットが求められているのか』、多くの利用者が検索を繰り返し、Adobe Senseiがそれを学習していけば、検索精度が高まるのはもちろん、Adobe Experience Manager Assets側から『探しているのは、こんな画像ではないか?』と提案してくれたり、『よりアンダーアーマーらしい画像』を制作する上でのアドバイザーになってくれたりするのではないかと期待しています」と菅谷氏は述べます。

 

適切かつ効率的に制作中のバージョンを管理

 

アセットの制作プロセスでもAdobe Experience Manager Assetsは効力を発揮します。

 

以前、同社では、デザイナーと管理者は、サーバーの共有フォルダ上に制作過程のファイルを置き、修正などのやり取りを行っていたことはすでに述べました。「共有フォルダに置いたり、メールに添付して送ったりしていましたが、この方法では、バージョン管理が煩雑になり、時には、最新のものではないファイルにデザイナーが修正を行ったり、場合によっては、未完成のファイルがデジタルアセットに紛れ込み、実際に利用されたりしてしまうこともありました」(菅谷氏)。

 

それに対し、Adobe Experience Manager Assetsには、制作のためのワークスペースが用意されており、関係者は、常にそこで最新のファイルを共有しながら、制作時のやり取りを行うことができます。過去のバージョンにさかのぼることも簡単に行えることから、複数のバージョンのファイルを保管し続ける必要もない上、承認フローもAdobe Experience Manager Assetsのに組み込まれており、責任者の承認がなければ、アセットが利用可能な状態になることはありません。この制作プロセスを支援する機能については、それ以外の効果も期待されています。

 

アンダーアーマーの価値を体現するアセットには、当然ブランディングの観点から、厳しいチェックが行われます。利用するフォント、コピーを配置する位置など、そこには様々な戦略があります。

 

「視覚的な戦略はなかなか言語化しにくいのですが、過去のアセットの制作過程で、どんな修正が繰り返されたかを、後からトレースできれば、新人デザイナーにも、そのポイントを共有できるはず」と阿部氏。Adobe Experience Manager Assetsのアセットに直接コメントや図を記入できる機能を評価し、アセット制作におけるクリエイティブの統一感の醸成につながると考えられているのです。

 

コンプライアンス上のリスクを低減

 

Adobe Experience Manager Assetsによって、アセットが適切に管理されることは、コンプライアンス上のリスク低減にもつながります。

アスリートやタレントとのCM契約には、期限があり、厳守しなければなりません。「万一、期限を越えてアセットを使ってしまったら、当社の信用問題にもなってしまいます」(赤倉氏)。

 

アセットが増え続ければ、管理にミスが発生するリスクは高まりますが、当然、属人的な管理では対応は困難です。それに対し、Adobe Experience Manager Assetsには、アセットの有効期限を設定する機能があり、期限が迫れば担当者にアラートを上げることも可能。Adobe Experience Manager Assetsによってアセットを管理することは、契約違反につながるミスを抑止し、同社の社会的信頼を守ることにもつながるのです。

 

小売業者へのアセット展開の一元化

 

アンダーアーマーのプロダクトを販売する小売業者の店舗には、シーズンごとに異なるPOPが掲示されますが、もちろん、これらの管理も同社の重要な役割です。

 

従来は、管理側でシーズンごとのアセットパックを作成し、営業担当者を通じて、各小売店にメールなどで展開していました。一方、今後は、「リンク共有機能」を使い、特定のフォルダを外部公開して、Adobe Experience Manager Assets上でアセットパックを小売業者と同社との間で共有することができます。営業担当者の負担を軽減できる上、誤送信の抑止にもつながります。

 

さらに細分化したパーソナライズに挑戦

 

デジタル活用を重視するドームは、今後、さらに、その取り組みを加速する構えです。

 

例えば、パーソナライズした情報を毎日配信しているメルマガは、豊富なアセットを使いこなすことで、さらに訴求力が強く、細分化したものに進化させることができる可能性があります。

 

「現状、性別や地域別、購買履歴などに基づいて12パターンのメールを送っています。将来的には、お客様一人ひとりの属性や行動履歴、好きなスポーツと、技術レベルなどに応じて、パーソナライズされたメールを送りたいと考えています。そのためには、適切な画像をパーソナライズ要件に応じてメールに落とし込むための仕組みが必要。Adobe Experience Manager AssetsやAdobe Senseiに期待しています」(阿部氏)

 

他にも、スマートフォンから得られる位置情報をもとに、顧客のスポーツをサポートするための情報をアプリを通じて提供するなど、様々な施策のアイデアが生まれています。

 

「デジタルの世界のスピード感は、これまでとは次元が異なります。Adobe Experience Manager Assetsを導入したことで、アセット管理に関する業務についてはムダを省き、そのスピードに追従できる体制が整った。今後はそれを活かしながら、様々なプロジェクトにチャレンジしたいですね」と赤倉氏は最後に述べました。


赤倉 吉典氏

取締役 執行役員 CMO マーケティング本部 本部長

赤倉 吉典

阿部 敏氏

営業本部リテール部 チームリーダー

阿部

菅谷 敦氏

マーケティング本部 クリエイティブ部 部長

菅谷

関連するトピックス