柔軟なセグメンテーションで実現する新メールマーケティング

株式会社ドミノ・ピザ ジャパン

創業

1985年

所在地:東京

従業員数:正社員500名、アルバイト8,000名(2017年9月現在)
www.dominos.jp

成果

2〜3時間かかっていたセグメント抽出がわずか5分に

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課題

メールキャンペーンを積極的に展開しているが、データ量の増大と共に旧システムのパフォーマンスが悪化していた。

セグメント抽出に2.3時間かかることも珍しくなかったため、ターゲットをきめ細かく設定したメール配信が行いにくかった。

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成果

セグメント抽出の時間がわずか5分程度に短縮。きめ細かなセグメンテーションが可能になり、新企画の実施に向けたハードルが下がった。

メール配信業務が効率化されたことで、配信数が約3倍に増大した。

独自の顧客定義「モチベーター」を軸にした配信が可能になり、開封率が約2倍、コンバージョンレートが3倍近くにまで上昇した。

A/Bテストを通じて表現、地域、曜日、時間による開封率の差が見えてくるなど、様々な知見を蓄積している。


「アドビは製品だけではなく、当社のビジネス全体を理解した上で、何を行うべきかを一緒に考えてくれます。私たちにとって重要な『トラステッドアドバイザー』です」

 

マーケティング部 WEBマーケティング課 シニアスペシャリスト

武井 智子氏


システムの性能低下でメールマーケティングの効率が悪化

日本における宅配ピザのパイオニアとして、1985年9月に東京・恵比寿に第1号店を開店したドミノ・ピザ ジャパン。「日本での宅配ピザの成功は難しいだろう」という大方の予想とは裏腹に、「焼き立てピザを30分以内にお届けする」というシステムが大きな反響を呼び、デリバリーピザは新しいライフスタイルとして受け入れられていきました。その後、同社のビジネスは急成長を遂げ、2017年9月には500店舗を突破、現在も店舗数を増やし続けています。

 

その成長を後押ししているのが同社の企画力です。例えば、「マヨラーのマヨラーによるマヨラーのための“生搾りマヨ”ピザ」と銘打って『クワトロ・おとなのマヨ』『クワトロ・ひよっこのマヨ』を発売したり、チーズを通常の4倍にした『ウルトラ盛4倍!チーズ』、母の日に狙いを定めた『おかあさんラブラブセット』を発売したりするなど、ユニークな商品で消費者の注目を集めています。

 

このような企画力はクーポンなどのキャンペーンにも活かされています。降水エリアの登録顧客に割引クーポンをメールで配信する『雨の日割引』、プレミアムフライデーと連動させた『アンニュイマンデー』など、こちらも様々なユニークな企画があります。

 

これらのクーポンは、基本的にメールやスマートフォンのアプリを経由して配信されていますが、この配信のための仕組みには大きな課題がありました。

 

「クーポンを配信するには、お客様のデータを蓄積して、そこからリストを作成し、配信の準備をする必要があります。2010年頃に独自開発した既存のシステムもお客様の基本データやオーダーデータを蓄積すると共に、そこから特定の条件に合致する顧客を検索し、リストを作成する機能を持っています。しかし、ハードウェアの老朽化とデータの増大に伴って処理スピードが低下していました」と同社の武井智子氏は語ります。

 

同社が保有する登録顧客のデータ件数は、すでに数百万件を突破。過去のオーダーデータも、2004年以降のものがすべて蓄積されています。このようにデータ量が膨大になったこともあり、セグメント条件を指定してから検索結果が得られるまで、2、3時間かかることも珍しくありませんでした。

 

 また作成したリストに対応させたメールコンテンツを読み込ませるのも時間がかかり、朝に着手したメール配信が実施されるのが、翌日になってしまうことも多かったといいます。

高速処理に加えて拡張性・操作性も高く、定額制の料金体系も魅力

この課題を解決するために同社は「Adobe Campaign」を採用することにしました。「社内には、以前のシステムのように自社開発したほうがよいのではという声もありましたが、クラウドサービスとして利用できるAdobe Campaignの方がよいと判断しました」と武井氏は言います。

 

具体的に、同社が評価したのは以下の4つのポイントです。

 

1つ目は検索スピードが高速なことです。

 

ドミノ・ピザ ジャパンが保有する登録顧客データは現時点で数百万件に達していますが、Adobe Campaignなら、複雑な検索条件を指定した場合でも、わずか数分で結果が返ってくるといいます。

 

しかも、クラウドサービスであるため、今後、ハードウェアの老朽化などによって再び性能が劣化してしまう心配もありません。

 

2つ目は多様なデータに対応しており、拡張性も高いこと。「Adobe Campaignなら、当社が保有している様々なフォーマットの顧客データやオーダーデータをすべて格納できます。現在、メール配信を軸とするデジタルマーケティングのさらなる展開を検討しており、新しい施策を見越した拡張性の高さも評価しました」(武井氏)。

 

3つ目は操作性の高さです。「初めてデモを見たときに非常に使いやすい製品だと感じました。セグメント条件を設定して顧客を絞り込むときにはクエリーを理解する必要がありますが、Adobe Campaignはクエリー用語が日本語で表示され、専門用語を知らない人でも扱えます。またメール配信結果も、メールごとに見やすい形で表示されます」と武井氏は続けます。

 

実際、操作性の高さは現在の業務にも活きています。

 

武井氏と共にWebマーケティング業務に従事している同社の滝田氏は、「前職ではプランナーだったため、このようなツールを使ったことはなかったのですが、さわり始めてから1、2週間で使えるようになりました。目的のセグメントを切り出すために、どの条件が必要なのかさえ理解すれば、誰でも簡単に扱えます」と語ります。

 

4つ目の理由が料金体系です。

 

一般にメール配信機能を持つサービスは配信するメール数に応じた従量課金となるものが多いのに対し、Adobe Campaignは配信アカウント数に応じた料金体系です。

 

「当社が配信するメールは、昨年の繁忙期で月間数千万通にもなります。今後もWebマーケティングの強化に伴い、配信メール数を増やしていく予定ですが、そうした計画を立てられるのもほぼ定額で利用できるAdobe Campaignがあってこそだといえます」(武井氏)。

 

導入プロジェクトは、開発着手からローンチまで約3カ月半で終了。「旧システムでのデータ整理に時間がかかりましたが、実質的には約2カ月で開発作業が完了しました」(武井氏)。

 

このように短期間での導入を実現できたのは、アドビのコンサルティングサービス「Adobe Professional Services」によるところも大きかったといいます。「今後、多様なマーケティングに活用することを考慮して、統合顧客データベースを外部に作成して、そこから必要なデータをAdobe Campaignに渡す構成としているのですが、この仕組みの中でセグメント作成を効果的に行うには、どのようなテーブルを用意すべきなのかなどをアドビのコンサルタントと一緒に検討し、最終的にはデータベースの構築も担当してくれました。ローンチ前後の5カ月間は、ほぼ常駐に近い状態でサポートしてもらえ、本当に心強かったです」と武井氏は強調します。

顧客の注文シーンに応じたクーポンを自動で配布

Adobe Campaignを導入後、ドミノ・ピザ ジャパンはメール配信に必要なセグメントの抽出をスピーディに行えるようになり、これまで以上に柔軟なクーポンキャンペーンを実施できる体制が整いました。

 

「以前はセグメンテーションに時間がかかるため、ほぼ一斉配信に近かったのですが、よりきめ細かい顧客セグメントの抽出が可能になり、様々な企画を実現できるようになりました。配信規模も大幅に拡大しています」と滝田氏は言います。

 

ピザを頼む動機ごとに顧客をセグメンテーション

 

同社は、独自に「モチベーター」という考え方で顧客像を定義しています。これは「なぜ宅配ピザを頼むのか」という動機を分析して、分類したもの。「同じ年齢、性別だからといって、宅配ピザを利用するニーズは決して同じではありません。例えば、働くお母さんが親戚の子供たち、あるいは子供の友達が集まっているから頼もうと考えて注文してくださる場合もあれば、働く女性が『今日は夕ご飯を作りたくない』と思ってご注文してくださっていることもあります。このように、なぜピザを頼むのかを軸にお客様の姿を捉え、さらにはそのニーズに合ったクーポンをピンポイントで配信できれば、クーポンを使っていただける確率が高まるはずです」と滝田氏は話します。

 

以前のシステムではセグメンテーション自体が難しかったのですが、よりきめ細かなセグメンテーションが行えるAdobe Campaignなら可能です。まずは顧客の動機を判定するために、過去のオーダーデータを調査し、動機と紐づく可能性が考えられるデータ項目を抽出。注文日、注文時間、注文ボリュームなどから、その顧客がどのモチベーターに属するかを類推していきます。

 

「例えば、日曜日の昼頃に何度か大量の注文を行っているのなら、『みんなが集まる日にはピザ』といった内容のメールとそれに合ったクーポンを配信します。モチベーターを抽出するために有効なデータ項目の特定もアドビのコンサルタントと相談しながら決めています」(滝田氏)

図 ドミノ・ピザ ジャパンのキャンペーンメールの配信例

ドミノ・ピザ ジャパン独自の「モチベーター」の考え方に沿って、顧客をセグメント分けしコンテンツを出し分ける。配信のたびに必ずA/Bテストを行い、次回のコンテンツ制作やキャンペーンに活かす

毎週2、3回の頻度でモチベーターを軸にしたメール配信を実施。配信のたびにチューニングを行いながら、最適化を続けています。

 

「一斉配信に比べると、ターゲットに最適なコンテンツを配信することで、開封率は約2倍に向上し、コンバージョンレートについては3倍近くにまで上がりました」と滝田氏は話します。 

 

A/Bテストは毎回実施。様々な知見の蓄積につながる

 

セグメントしたターゲットに響く表現はどのようなものなのか、配信するメールのクリエイティブの改善のために実施しているのがA/Bテストです。

 

「Adobe CampaignはA/Bテストが手軽に行えるため、今では毎回実施するのが当たり前になっています」と滝田氏は言います。

 

A/Bテストの結果はクリエイティブに反映されるだけでなく、そこから新たな知見の蓄積にもつながっています。その一例として挙げられたのが、割引の表現によって反応率が変わることです。

 

「割引の表現方法としては『何%オフ』『何割引』『何円お得』などがありますが、『何%オフ』という言い方が最も効き目が大きいようです」と武井氏は言います。

 

また、この表現による差は地域によっても異なるということ、何回も同じ表現を使っていると反応が鈍っていくということも見えてきています。

 

「平日はインパクトのある表題でないと開封されにくいのが、休日はインパクトの小さい表題でも開封される可能性が高いなど、曜日や時間帯によっても反応率に差が生じます」(武井氏)。

 

こうした傾向をクリエイティブ作成に活かすことで、より有効なメールマーケティングにつながっています。

 

ワークフローで複雑なキャンペーンも効率的に展開

 

ドミノ・ピザ ジャパンでは、セグメント抽出からA/Bテストの設定、コンテンツの割り当て、メール配信までの一連の処理を、ワークフローによって自動化しています。前回配信したメールの開封状況を取得し、まだ開封していない対象者に改めて異なる表現のコンテンツを配信する、といったことも行います。

 

モチベーターテストで使用する検索条件も、頻繁に使用するものは事前登録されており、それを指定するだけで対象セグメントが抽出されるようになっています。同じモチベーターに対して、毎週配信エリアを変えながらA/Bテストを展開するといったことも実施されていますが、ワークフローによって自動化されており、非常に簡単に行えるようになっています。

 

現在、Adobe Campaignの活用はメール配信に限定されていますが、今後は検討時に評価した拡張性を活かしてFacebookやLINE、Twitterにも対応させ、SNSを活用したキャンペーンにも活用していくことが計画されています。また将来的には、店舗ごとにポスティングしている紙のダイレクトメールとも連携させ、あらゆる媒体を介した「本当の意味でのワントゥワンマーケティング」を実現していくことを目指します。

 

「アドビは製品だけではなく、当社のビジネス全体を理解した上で、何を行うべきかを一緒に考えてくれます。私たちにとって重要な『トラステッドアドバイザー』です」と武井氏は改めてアドビを評価します。

 

モチベーターに代表されるように、同社が蓄積してきた独自の強みをITに落とし込み、いかにビジネスを成長させていくか、今回のAdobe Campaign導入は、ドミノ・ピザ ジャパンのデジタル・トランスフォーメーションともいえるでしょう。膨大なデータをベースにマーケティングを進化させていく同社の取り組みに、今後も大いに期待が高まります。


武井 智子氏

マーケティング部 WEBマーケティング課 シニアスペシャリスト

武井 智子氏

滝田 菜々子氏

マーケティング部 WEBマーケティング課 シニアスペシャリスト

滝田 菜々子氏

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