番組出演者とCGキャラクターがスムーズに共演。新たな表現を低予算、短期間で実現

株式会社フジテレビジョン

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株式会社フジテレビジョン

事業内容: メディアコンテンツの制作・配信

従業員数: 単体 1,311名(2021年3月31日現在)

www.fujitv.co.jp

企業理念は「挑戦と創造」。1959 年のフジテレビ開局以来、在京キー局の一角としてテレビ番組を制作、放映すると共に全国の系列局に番組を供給

導入製品:

Adobe Character Animator

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課題

テレビ番組でMCと2Dアニメーションをストリームで掛け合わせられるシステムを短期間で構築したい。

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成果

  • 短い準備期間で新しいツールを導入
  • 同様のシステムと比べて導入コストが低く、ノートPC1台で操作可能
  • CGの専門知識がなくても操作可能
  • キャラクターの表情や動きをリアルタイムでなめらかに表現

「制作サイドの持つアイデアを、スピーディに実現できた意味は大きいです」

編成制作局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部 鈴木 鉄平氏

株式会社フジテレビジョンは、放送番組のライブ収録に対応したモーションキャプチャーアニメーションソフトAdobe Character Animatorを採用。放送用機材のみで行っていたテレビ番組制作の常識が変わりつつある中で、新たな表現の追求と準備期間・導入コストの大幅削減の両立を実現している。

社内の各部署で連携し、デジタルデバイス・ツール活用を推進

昨今、番組制作現場でのデジタルツールの活用が進み、ウェアラブルカメラやドローンはテレビ番組制作に欠かすことができない存在になっている。こうした中、番組制作に関するノウハウとデジタル技術の融合に取り組んでいるのが株式会社フジテレビジョンだ。

編成制作局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部の鈴木 鉄平氏は「番組制作は少し前まで、放送用機材だけを使って行うのが常識でした。しかしウェアラブルカメラの登場以降、民生機器を使用した臨場感ある映像やデジタル技術による映像制作の可能性追求は日々行われています。こうした状況を受け、我々が培ってきたコンテンツ制作に関するノウハウとデジタル技術を掛け合わせ、社内外に広く提供することがデジタルデザイン部の役割だと考えています。この取り組みには技術局など多様な分野の人材が参画しています」と説明する。

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実績あるツールが新規費用なしに利用できる

今回、デジタルデザイン部に持ち込まれたのが、「番組中でMCと2Dアニメーションをストリームで掛け合わせたい」というバラエティ番組ディレクターの要望だった。収録までわずか2、3週間というタイミングで、短期間で未経験のシステム構築が求められた。要望に応えるべく鈴木氏が相談を持ち掛けたのが、技術局 デジタルソリューションセンター デジタルコンテンツ部 兼 編成局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部の島川 徹平氏だった。

「相談を受けてまず思いついたのが、VTuberの方々が利用する3Dモーションキャプチャーでしたが、2、3週間で準備を終えるにはまったく時間が足りませんでした。情報収集する中で見つけたのが、他局でも実績があるAdobe Character Animatorです。当社はAdobe Creative Cloudエンタープライズ版のライセンスをすでに保有しているため、新たなコストを必要とせず運用をスタートできることも魅力の一つでした」

Adobe Character Animatorは、Webカメラで入力する表情や動き、声に応じてCGキャラクターをアニメーション化し、リアルタイムでストリーム出力可能なツールである。島川氏はその映像出力が番組制作に対応することを検証した上で鈴木氏にその利用を提案した。

チュートリアルコンテンツで利用方法を学習

提案を受けた鈴木氏は、CGキャラクターを番組出演させたいという要望に対応する座組の確立を図るため、以前の所属部署である美術制作局のスタッフに参画を打診。声掛けにまっさきに応えたのが、美術制作局 美術制作センターの髙橋 康之氏だった。

「仕事ではAdobe After Effectsを中心に使っていますが、Adobe Character Animatorには以前から興味があったので、ぜひ仕事にも使ってみたいと思い、声掛けに手を挙げました。デザイナーへのキャラクターデザイン発注と並行して、アドビのwebサイトやYouTubeなどのチュートリアル動画を参考に準備を進めました」

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風や重力など、物理的性質を加えたきめ細かなアニメーション表現

Adobe Character Animatorを使ったCGキャラクター「かねいたち」が登場したのは、今年7月、フジテレビ深夜枠「水曜NEXT!」で2週にわたり放送されたバラエティ番組『オーナーになろう!小金持ちTV』だ。ビジネスオーナーになる方法を徹底的に考えるこの番組のオリジナルキャラクター「かねいたち」の声と動きは、お笑いコンビかまいたちの山内氏が演じている。

「Adobe Character Animatorには顔の動きにCGキャラクターが追従するだけでなく、キーボード入力やマウス操作で表情や身体の動きに変化をつけることも可能です。当初の予定ではキャラの動きは必要最小限のものでしたが、デザイナーと相談しながら『札束をゆらす』『口笛を吹く』など、効果的な表情や動きを積み上げていきました。実際に仕事に使ってみて強く感じたのは、キャラクターのヒゲ一本一本の動き方も、物理的性質を加えたなめらかな表現でコントロールできる操作性の高さでした。番組内でCGキャラクターを生かすうえで、こうした細かな動きは大きな意味を持ちます」(髙橋氏)

収録は、ノートPCと共にアナウンスブースに入った山内氏が、モニターに映るスタジオの出演者を見ながらリアルタイムで掛け合いする形で行われた。

収録までの準備期間を1/3 ~ 1/5に短縮

今回、Adobe Character Animatorを採用した番組制作の効果としては、準備期間とコストの大幅削減が挙げられる。

「本来なら新ツール導入には、最低でも2、3カ月の準備期間が必要です。少なくとも、2Dイラストをリアルタイムで動かすという挑戦をいざやろうとすると、ツールの習熟だけでもそれぐらいの時間は必要になります。わずか2、3週間で行えた背景に、アドビツール各種とスムーズに連携できるという理由があったことは間違いありません」(髙橋氏)

「もしAdobe Character Animatorがなければ別のやり方を考えることになったと思いますが、その場合、数十〜数百万円の追加コストが必要です。チャレンジが許される一方、予算面の制約も大きい深夜番組であることを考えると、制作サイドのアイデアが短期間で実現できた意味は大きいと思います」(鈴木氏)

デジタルツールを活用した番組制作の場を推進

フジテレビは今後、コンテンツ制作とデジタル技術の融合を通して得たノウハウを番組や新たなビジネスとして展開することを目指している。

「今回の挑戦によって、CGキャラクターをストリームで番組に登場させる新たな演出が、他番組にも容易に応用可能になりました。番組制作においてデジタルツールの利用が日常化したことで制作側の意識も大きく変わり、『なにか面白いツールはない?』という相談を受けることも多くなっています。Adobe Character Animatorをはじめとした斬新なデジタル技術の活用も含め、そうした声に確実に応えていきたいですね」(島川氏)

※掲載された情報は、2021年8月現在のものです。

編成制作局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部 鈴木 鉄平氏

編成制作局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部

鈴木 鉄平氏

技術局 デジタルソリューションセンター デジタルコンテンツ部 兼 編成局 コンテンツ事業センター デジタルデザイン部 島川 徹平氏

技術局 デジタルソリューションセンター

デジタルコンテンツ部 兼 編成局 コンテンツ事業センター

デジタルデザイン部

島川 徹平氏

美術制作局 美術制作センター 髙橋 康之氏

美術制作局 美術制作センター

髙橋 康之氏

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