
作業時間が従来の約 半分 に
課題
・クラウド利用における管理面での懸念
・制作効率とクオリティの向上
成果
セキュアで容易なID 管理
Enterprise ID 運用による、強固なセキュリティと容易な管理を実現
新しいツールがすぐに試せる環境
多彩なアプリを自由に選択し新しい分野へチャレンジ
作業時間が従来の約半分に
手間と時間のかかっていた手動作業を自動化
充実したサービスによるクオリティの向上
高品質な画像やフォントの利用でデザインの幅を広げる
日本発の海外旅行を主軸とした旅行事業を展開し、現在ではテーマパークなど多面的に事業を展開する株式会社 エイチ・アイ・エス。同社は実店舗に加え、オンラインでの予約手続きが可能な総合旅行サイトを運営し、その制作業務を内製で行なってきた。そして、ますます競争が激化する中、制作効率とクオリティ、セキュリティのさらなる向上を図るため、同社はAdobe Creative Cloudエンタープライズ版を導入した。
「高品質な写真やフォントのサービスを、きわめてセキュアな環境で使えるようになったのは大きなメリットでした」
田原 洋将氏
WEB 旅行営業本部 WEB 制作グループ
クラウド利用における管理面での懸念
インターネットやスマートフォンの普及に端を発するIT技術の革新により、旅行業界を取り巻く環境はこの10年で激変した。新たな勢力としてオンライントラベルエージェント(OTA)も登場し、必ずしも旅行会社の店頭に行かずとも、スマートフォンから容易に検索、閲覧、予約手続きが行えるようになった現在、同社にとってもウェブサイトを窓口としたオンラインサービスの強化は最重要課題の1つである。
同社の旅行総合サイトでは、海外および国内旅行に関する様々な商品を取り扱っており、その情報量は膨大だ。また、競合他社との差別化を図っていくためにはスピード感をもって新しいサービスを展開して
いく必要があり、その情報量とスピードに対応するため、サイト制作のほとんどを内製化。現在、全国10拠点に制作チームを置き、約120名のスタッフが業務に取り組んでいる。
同社はこれまでweb制作ツールとして、Creative SuiteのPhotoshopやIllustrator、Dreamweaverなど複数のアドビ製品を使用してきた。以前は各拠点ごとバラバラにパッケージ製品を購入していたが、旧バージョンのサポート切れやアップグレード終了を機に、Creative Cloudの導入検討を開始した。WEB制作グループのグループリーダー 田原 洋将氏は次のように話す。
「Adobe IDでのCreative Cloud利用を検討したこともありましたが、我々から見るとAdobe IDはあくまで個人のアカウントなので、会社側で管理やコントロールがしきれない部分が課題です。例えば、退職者が自分のIDを使って会社のデータにアクセスするなどのリスクも想定できます。だからといって、最新のアプリが使えるようになったものの、Adobe Fontsといったせっかくのサービスに制限をつけて、利用できなくすることは回避したかったのです」
セキュアで容易なID 管理
Enterprise IDは企業が作成、所有、管理するもので、システム管理者が製品とサービスへのアクセスを制御し、ユーザーアカウントを一元管理できる。例えばユーザーが退職した場合、そのユーザーのEnterpriseIDを管理者が削除し、関連する製品、サービス、データへのアクセスを永久にブロックすることができる。これにより、制限されていたクラウドサービスの利用が可能になった。さらに、管理者を階層化できる点も、エンタープライズ版の大きなメリットだと田原氏は話す。
「弊社の場合、ソフトウェアライセンスの管理はすべて情報システム本部が行なっています。ただ、一人一人のライセンスの付与や付け替えを行う場合、申請やら何やらで時間がかかっていました。エンタープライズ版では、部門ごとの管理者を設定できますので、WEB制作グループのユーザー管理がこちらで行えるようになり、流動的な人の出入りにも迅速に対応できるようになったのが大きいですね」
作業時間が従来の約半分に制作者にとっては、作業の効率化が導入効果の一番のポイントとなる。WEB制作グループで5年間、制作業務に携わってきた小野 ゆかり氏は、Creative Cloudを次のように評価する。
「私の場合、Photoshopを使ってwebページの画像を加工したり、カンプを作成することが多いのです
が、Creative Cloudになってからは確実に作業効率は上がっています。機能をあげたらきりがないのですが、特に気に入っているのが「書き出し」機能。カンプから必要な画像を切り出してコーダーに渡す際に、これがあるのとないのでは作業の速度が全く違います。複数の解像度で一気に書き出せるのもとても便利です。Creative Suiteを使っていた頃に比べると、作業時間は確実に半分以下になっていると思います」
Adobe XD を使って画面遷移などのユーザー体験を検証
総合旅行サイトのデザインやイメージ作りにPhotoshop を活用
新しいツールがすぐに試せる環境
同社のCreative Cloud環境では、ユーザーが使いたいアプリを自由にインストールすることができる。それによって、クリエイティブの可能性が大きく広がったと小野氏はいう。
「以前のスイートパッケージ製品は使えるツールが限られており、その中でやるしかなかったのですが、Creative Cloudはすべて揃っていて、使いたい時にすぐに試せるのがいいですね。最近では、ウェブサイトに動画を入れることも多くなり、自分でも動画を編集してみたいと思っていたのですが、Premiere Rushはまさにうってつけですね。Premiere Proは少し難しいところがあったのですが、Rushはツールをあちこち探すことなく、すごく直感的に編集ができるので、これなら自分もできるなって。あと、Lightroom CCをPCとスマートフォンの両方に入れて、離席中でも写真を開いたりして、ほとんど毎日のように使っています」
充実したサービスによるクオリティの向上
Adobe FontsやAdobe Stockなどのクラウドサービスが利用可能になったことで、制作物のクオリティの面でも効果が表れている。
「以前は使えるフォントも写真も限られていたので、同じものを使いまわしていると、どうしてもデザインがマンネリ化してしまうのですが、Adobe FontsとAdobe Stockのおかげでデザインの幅が広がりました。
クオリティも高いですし、メンバー全員が同じフォントと写真を共有できるのがいいですね」(小野氏)
これらのサービスは、コンプライアンスの面でも貢献していると田原氏はいう。
「我々は非常に多くの写真を使用し、それらを保存しておくのですが、以前は様々なところから調達していたため管理が煩雑化し、再度使用する時には著作権やライセンス、出所などをくまなく調べなければなりませんでした。Adobe Stockの写真も、Adobe Fontsのフォントも、そうした問題を気にすることなく使えますので、コンプライアンス的にもとても有効です」
WEB 旅行営業本部 WEB 制作グループ グループリーダー 田原 洋将 氏
WEB 旅行営業本部 WEB 制作グループ 関東制作チーム 小野 ゆかり 氏
webサイトのさらなる進化に向けて、Adobe XD を推進
「XDをもっと使っていきたいですね。今は、ディレクターがワイヤーフレームを作成し、それをデザイナーと共有したり、上司のコメントや承認をもらったりするところで使っていますが、実際のwebデザインの部分でも使ってもらいたい。そのために、今後は社内ワークショップなど積極的に行なっていきたいですね」
Adobe XDのアンバサダープログラム*に参加している田原氏にとって、社内でのXDの推進は1つの使命とも言える。さらに、全面的なレスポンシブデザインへの移行や、動画、AR、VRなども進めていきたいと言う。Creative Cloudの新しい製品や技術をフルに活用した同社のwebサイトに、今後も期待したい。
* グローバルで展開されている、ETLA 既存顧客のための利活用促進のプログラム。アドビが主催するWebinar への参加や、社内ワークショップ開催の支援を得られるほか、アンバサダー同士の交流会にも参加できる。
※掲載された情報は、2019 年2 月現在のものです。