従来の環境を活かしつつスムースに移行を完了
課題
移行にともなうディレクターの負担
初期費用のコスト
成果
従来の環境を活かしつつスムースに移行を完了
Mac/Win 対応で既存インフラを無駄なく活用、ディレクターの負担も軽減
幅広いフォーマットにネイティブ対応
ファイル形式の混在と収録の長時間化にも無理なく対応
無駄な作業時間を圧縮し、労働環境も改善
スムーズなプレビューが可能なほか、外部モニター出力の安定化も実現
Creative Cloudによる一貫したワークフロー
Photoshop やAfter Effectsとの強力な製品間連携と継続的機能強化
「Premiere Pro はフォーマットの変換が必要なくほとんどがオリジナルのまま読み込めるので、取り込み作業がとても楽になりました」
株式会社ハウフルス テレビ制作 取締役プロデューサー 増田 君儀 氏
テレビ番組制作会社として2018年で40周年を迎える株式会社ハウフルスは、「出没!アド街ック天国」「秘密のケンミンSHOW」「タモリ倶楽部」などの人気番組を手掛けており、その制作工程では同社のディレクターがオフライン編集を担当している。同社は2015年に他社製の編集ソフトからPremiere Proへの移行を決定し、Creative Cloudエンタープライズ版を導入。移行の決め手となったのは随時アップグレードが提供され、撮影素材を変換なしでそのまま編集できる点だった。将来的には社内でオンライン編集からテロップや音声も編集された完成作品(完パケ)仕上げまで行えるよう環境整備を進めている。
従来の環境を活かしつつスムースに移行を完了
番組ディレクターはロケから戻ってくると自分で撮影素材から編集を行い、すぐにポストプロダクションスタジオ(テロップや特殊効果などの編集を行うスタジオ。以下「ポスプロ」)に入るという過密スケジュールで動いている。そのため、初めは新しい編集ソフトの使い方を覚えることに難色を示したという。移行プロセスを検討する際に、同社取締役プロデューサーの増田君儀氏は、どのタイミングでどのように移行を進めるか熟慮した。
「ディレクターに使ってもらう前に、まずは検証する部屋を作って2台ほどPremiere Proを試験稼働させました。一気に移行せずに特番で使ってみたり、ちょっとずつディレクターに慣れてもらったりと種まきをして、頃合いを見て『出没!アド街ック天国』(以降、アド街)の編集作業から移行することにしました」(増田氏)
移行時の負担を軽減するため、移行前の編集ソフトと操作性が近いことが重視されたほか、初期費用のコストを抑えるため既存のMacを無駄なく使用できることが前提となった。同社総務部 部長の大森芳朗氏は、これらの要望に合う編集ソフトを探したところPremiere Proが最適だったと話す。
「全社で100台以上Macを配布していて、編集に関わるディレクターやADがPremiere Proを使用しています。一部のディレクターからは、使い勝手が移行前の編集ソフトと似ていて使いやすいという意見があがってきました。当初は現場の戸惑いもありましたが、Premiere Proに詳しいスタッフをキーマンにして、少しずつユーザーを広げていくやり方がうまく成功したと思っています」(大森氏)
テレビ制作取締役 プロデューサー 増田 君儀 氏
総務部 部長 大森 芳朗 氏
幅広いフォーマットにネイティブ対応
撮影カメラの記録媒体が、ビデオテープからメモリーカードやディスクといったファイルベースに移行した際も、現場からは同様に戸惑いの声があったという。しかし、将来的な制作環境の変化やADの取り込み作業の負担軽減を考えると、ファイルベースへの、およびPremiere Proへの移行は必須だったと増田氏は語る。
「テープの時代も含めて以前使っていたソフトでは、取り込みの際にフォーマットの変換が必要でかなりの時間を要していました。また、動画撮影可能な一眼レフカメラが登場した頃から複数のフォーマットを扱うようになり、小型カメラやスタビライザー内蔵カメラなど新しいフォーマットが乱立しています。しかも撮影は回しっぱなしなので収録量が多くなる。その点、Premiere Proはフォーマットの変換が必要なくほとんどがオリジナルのまま読み込めるので、取り込み作業が多いADたちにとっては楽ですし、ディレクターは以前よりデータがスムーズに手元にくるのを実感していると思います」(増田氏)
無駄な作業時間を圧縮し、労働環境も改善
移行前はポスプロでの作業に先立ち、データを書き出す必要があったが、Premiere Proへ移行後はプロジェクトファイルのやり取りで済むようになったため大幅な時間短縮を実現した。
「アド街の編集ではプロセスをまた1つ進めて、さらに作業の効率化を図っています。PCをスペックアップしてSSDを使用し、スタジオ撮影のカメラ4台分のデータを変換してマルチクリップ編集することでスムーズな編集を可能にしました。SSDをポスプロに持ち込めば、そのままプロジェクトが開けます。このフローは他の番組でも有効活用していきたいと思っています」(増田氏)
このほか、Premiere Proが安定した編集環境をもたらしたことでトラブルのリスク軽減につながった点もメリットとして挙げられている。
「以前のソフトではファイルエラーなどで外部のプレビューモニターにうまく映像が出ないトラブルが発生することがあり、画が出るまで1時間も待たされることがありました。Premiere Proは安定性に優れていて、そういうトラブルはなくなりましたね」(大森氏)
Adobe Creative Cloud による一貫したワークフロー
業界の傾向として予算の限られたプロジェクトが増える中で、同社ではシームレスに完パケまでできる環境を整えようと模索している。その推進部署として社内に『映像デザイン室』を設置。実験的なところから一歩進んで実践的な編集を行っており、高林洵也氏と渡邉美保子氏が中心となってオペレーター作業やデザインまで行っている。
「以前使っていたソフトではAfter Effectsで作ったものを一度書き出して読み込む必要がありましたが、Premiere Proを導入してからはその手間が省けました。また、トラックのレンダリングバー表示が赤や黄色でもレンダリングせずにスムーズに再生できるので、ディレクターにすぐに見せたいときに助かっています。テロップに関してもPhotoshopで作ったものを読み込んで、 SapphireやVolumetrixなどのプラグインを使って動きが付けられますし、映像の色彩を調整する作業もlumetriを使って簡単に仕上げることができるのでとても便利ですね」(渡邉氏)
「タイトルの機能がすごく充実していて、エッジやグラデーションなどを細かく作れます。ちょっと光らせるようなエフェクトもPremiere Proは標準機能で簡単にできるし、タイムライン上にトラックを重ねても再生できることに驚かされました。毎年着実にアップグレードを重ねているので、今後も使いやすい機能が増えてどんどん編集しやすくなるだろうと期待しています」(高林氏)
一つ一つ段階を踏んで進めた編集ソフトの移行は実を結び、作業効率化や編集環境の安定化、ひいては運用コストの削減にもつながっている。同社は今後もPremiere Proを軸にして、編集ワークフローのさらなる効率化と完パケまでの一貫制作を推進していく意向だ。
映像デザイン室 高林 洵也 氏
映像デザイン室 渡邉 美保子 氏
※掲載された情報は、2018 年7月現在のものです。