

約7,500ライセンス
海外拠点を含めて導入したライセンス数
導入製品:
課題
- 顧客であるメーカーの生産を停止してしまうサプライチェーンリスクの対策を強化するよう求められていた
- 個別でPDF編集ソフトをダウンロードしていたため、情シスでライセンス管理が出来ていなかった
- 以前までは文字化けやPDFの開封ができないなどの問題が発生していた
成果
- PDFの取り扱いに関する高いセキュリティレベルを全社で統一
- Microsoft Entra ID連携によりライセンス管理が大幅に効率化
- 文字化けなどのPDFソフトに関する問い合わせがゼロに
「Adobe Acrobat Proで編集しているという事実が、顧客の安心感につながっていると実感しています」
技術本部 情報システム部 副部長(情報インフラ担当) 根上智幸氏
JX金属株式会社は、サプライチェーンリスクへの対応とセキュリティ強化を目的に、Adobe Acrobat Pro を全社導入。海外拠点を含む全社におけるセキュリティレベルの統一と運用管理業務の効率化を同時に実現した。検討から導入後の効果や今後の展望について、情報システム部の根上氏と佐野氏に話を伺った。
本社内にあるショールーム
「SQUARE LAB」の様子
インフラ整備に伴い、PDF ソフトのセキュリティ強化を検討
JX金属株式会社(以下、JX金属)が直面していた課題の一つに、サプライチェーンリスクへの対応が あった。技術本部情報システム部副部長(情報インフラ担当)の根上 智幸氏は次のように説明する。
「我々からの供給が停止すると、顧客であるメーカーの生産も停止してしまうサプライチェーンリスクがあります。最近では、ランサムウェアの被害により自動車工場が停止した事件もありました。今、このようなリスクを回避するための対策が業界全体で強く求められています」
こうした背景から、JX金属ではセキュリティ対策の強化を進めてきた。その一環として、2021 年秋頃から新たなインフラへの移行に伴い、使用する PDF ソフトの全面的な見直しを実施。以前使用していた PDF ソフトは国内での利用のみ想定された仕様だったため、海外拠点とのやりとりが多いJX金属は、セキュリティ面だけでなくグローバルに普及している点や信頼性の高さも重視して PDF ソフトの比較検討を行った。
「法務部門などを中心に PDF を編集する機会は多いですが、以前使用していた別のソフトでは細かな文字まで編集できなかったため、個別で Acrobat Pro をインストールしている人もいました。しかし各々が別の PDFソフトを使用するためか文字化けや PDF の開封ができない事態がしばしば発生していました」(根上氏)
これらの要因を踏まえ、JX金属はグローバル展開が可能で、高度な編集機能と強固なセキュリティを兼ね備えたソリューションとして、最終的に Acrobat Pro の全社導入を決断した。
JX金属が資源開発から圧延工程まで
一貫して行っている圧延銅箔
ライセンス管理の効率と国際規格に準拠した信頼性
Acrobat Pro を選択するにあたり、JX金属が注目したのは、ライセンス管理の容易さであった。
JX金属では、グループ全体で 7,500 以上ものライセンスを管理する必要があるため、効率的な運用が可能 なソリューションが求られていた。 その点、Acrobat Pro は Microsoft Entra ID( 旧:Azure Active Directory) の使用が可能であり、SSO(シングルサインオン) の仕組みを利用できるため、運用管理の負担を大幅に軽減できる。
技術本部 情報システム部 副部長技術本部情報システム部の佐野隆次氏は運用の効率について、次のように説明する。
「Microsoft Entra ID 連携により、ライセンスの自動割り当てが可能になるのは大きな魅力でした。ID 認証基盤で管理されているユーザーアカウントにライセンスが割り当てられると、自動的に Adobe の管理コンソールにもユーザーが作成されます。この仕組みにより、ライセンス管理が大幅に効率化されることが期待できました」
Acrobat Pro のグローバル展開と信頼性ももちろん重視した。Acrobat Pro は全世界で 1,500 万人以上のユーザーに利用されており、現在 34 の言語に対応している。
「以前使用していた PDF ソフトとは異なり、Acrobat Pro はワールドワイドで展開されていること、そしてPDF を開発したアドビが出しているソフトであることも安心感につながりました」(根上氏)
さらに、高度な編集機能も Acrobat Pro を選択する決め手となった。具体的にはページ単位ではなく文字単位で柔軟に編集できる点が特に評価されたという。また、電子署名機能や墨消し機能など、ビジネス上で重要となる機能が充実している点も大きかったとも根上氏は振り返る。
海外拠点まで含めた運用管理の負担を大幅に軽減
Acrobat Pro の導入は、2022 年の夏頃から開始。導入当初は国内の主要拠点を中心に約 5,000 ライセンスの配布が完了した。
「ライセンスの自動割り当てにより、約 1 年でとてもスムーズに導入を進められました。情シス側にかかる運用管理の負担は、以前と比べ大幅に軽減できたと感じています」(佐野氏)
その後、海外拠点や規模の大きい関係会社にも展開し、現在では約 7,500 ライセンスまで配付が完了。ライセンス数は、今後もさらに増加する見込みである。
今回、長期保存や印刷、エンジニアリングなどさまざまな用途に応じた国際規格として承認されているAcrobat Pro を導入したことにより、JX金属は PDF の取り扱いに関する高いセキュリティレベルを全社で統一することができた。これは、海外の半導体メーカーなどの主な取引先からの厳しいセキュリティ要件に応える上で重要な成果となった。また、Acrobat Pro に搭載されているサンドボックス機能など、ユーザーが意識せずともセキュアに利用できる仕組みも根上氏は評価する。
「導入後、以前は度々あったユーザーからの問い合わせはほぼゼロに近い状態が続いていて、問題なく運用できています。PDF の編集は Acrobat Pro でないとできないという社内からの声もあり、Acrobat Pro の操作性や機能性の高さを感じています」(根上氏)
Acrobat Pro の機能を周知し、さらなる活用促進を目指す
JX金属では、今後、未活用機能の利用を推進していく方針だ。
「現在、まだ十分に活用できていない機能がいくつかあります。これらを社内外でもっと使うことができるようになれば、JX金属全体でさらなる業務効率化が図れるのではないかと思っています」(佐野氏)
そのためには、全社への機能周知が課題となる。現状では、PDF ファイルの閲覧といった Acrobat Pro の基本的な機能しか使用していないユーザーも多い。そのようなユーザーに対して、より高度な機能の使い方を周知し、さらなる活用促進を図るという。たとえば、JX金属では全社員がスマートフォンを所持しているため、Adobe Scan のような機能を活用するよう促す考えだ。
JX金属は、これらの取り組みを通じて、Acrobat Pro の活用をさらに深化させ、業務効率化とセキュリティ強化を両立していく。Acrobat Pro は、JX金属のビジネス変革を支える重要なツールとして、今後割を果たしていくことが期待される。
技術本部 情報システム部 副部長
(情報インフラ担当)
根上 智幸氏
技術本部 情報システム部
佐野 隆次氏
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