



3〜5倍
テクスチャ作成の自動化で制作スピードがアップ
課題
市場が拡大し、よりリアルな表現が求められているゲーム業界の状況を受け、3DCG制作のクオリティを向上させ、作成プロセスを改善したい
成果
・多くのクライアントが制作ツールに指定するなど、業界のニーズに対応
・テクスチャの自動作成機能により 制作時間を大幅に短縮
・かすかなホコリから極度の磨耗や損傷まで、よりリアルなディテールを実現
・わかりやすいUIと操作性により短時間で3Dを習得
「Substance 3D は、ハイエンドのゲーム案件が増えてきた昨今では必要不可欠なツールとなっています」
株式会社 KATACHI 代表取締役 社長
曽根 良洋 氏
市場規模の拡大に伴い、競争が激化するゲーム業界においては、CGの制作により高いクオリティとスピードが求められている。ハイエンドゲームの3DCG制作を行う上で、これまでテクスチャ作成のプロセスに課題を持っていた株式会社 KATACHIは、Adobe Substance 3D を使用して時間のかかっていた手動での作業を自動化し、クオリティの向上と制作時間の大幅な短縮を実現している。
時間のかかる手描きのテクスチャ作成が課題に
昨今、従来のコンシューマゲームに加えて、パソコンやモバイル向けなどゲームのプラットフォームが多様化し、またコロナ禍による巣ごもり需要が高まったことから、ゲーム業界の市場規模は年々拡大傾向にある。そうした中、2015年に3名で立ち上げた株式会社 KATACHIも、大手ゲームメーカーをはじめ数多くのクライアントからの案件を増やし、現在は約70名のクリエイターを抱えるまでの会社に成長した。同社は、ゲームの3Dモデリングや3Dアニメーションの制作に特化しており、約70名の3Dデザイナーが在籍している。同社の代表取締役 社長であり、また自ら制作現場でモデリングの仕事を行なっている曽根 良洋氏は、ゲーム業界の昨今の動向について次のように話す。「PBR(物理ベースレンダリング)を用いたフォトリアルな表現、あるいは2Dイラストを限りなく再現した3Dというのがトレンドになっています。弊社では、Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンを使うようなハイエンドのコンシューマゲーム案件がここ最近非常に増えており、よりリアルな表現が求められています。また、モバイルゲーム案件も端末機器の性能向上に伴って、コンシューマゲームに匹適するクオリティが求められるようになってきています」
3DCGのリアルさを表現する上で重要なプロセスが、テクスチャの作成だ。これまで同社はテクスチャ作成のための様々な3Dツールを試してきた。同社でキャラクターディレクターおよびCGスーパーバイザーを務める早稲田 広一氏は、その経緯をこう振り返る。「10年ほど前は、なかなか満足のいくテクスチャ作成ツールというものがなくて、いろいろ試してはみたものの、結局Photoshopを使って1つ1つ手描きでペイントしていました。ただPhotoshopはあくまで2D向けのツールなので、ペイントした後に出力して3Dソフトで確認し、またPhotoshopに戻るといった、作業にすごく時間がかかっていました」
株式会社 KATACHI 代表取締役 社長
曽根 良洋 氏
式会社 KATACHI 取締役 副社長
窪内 純一 氏
長水 望 氏
早稲田 広一 氏
業界での高い信頼性が導入の決め手に
2014年に、当時のAllegorithmic社からPBR対応のテクスチャ作成ソフトとしてSubstance Painterがリリースされ、日本でもゲーム業界を中心に瞬く間に浸透していった。テクスチャ作成に課題を持っていた同社も早速導入の検証に入った。
「セミナーで初めてSubstance Painterのデモを見た時、すごいソフトがあるんだなと思いました。物理ベースで雨や油の垂れがリアルに表現できたり、結果がリアルタイムに確認できたり、あとUIがPhotoshopと似ているところもあってすごく使いやすそうな印象がありました。また、案件で使用するツールにSubstance 3Dを指定するクライアントが増えてきたこともあり、弊社でも導入を決めました」と、同社の取締役である長水 望氏は話す。
テクスチャ作成の自動化により制作スピードが3 〜5 倍アップ
2019年、アドビのAllegorithmic社買収により、Substanceツール群はAdobe Substance 3Dとして生まれ変わった。同社では、Substance 3Dが指定される案件が増加してきたことから、2021年にAdobe Substance 3D Collectionグループ版を20ライセンス導入した。現在、Substance 3D Painterのほか、テクスチャ素材の作成にSubstance 3D Sampler、ゲームエンジンなどの仕様に沿った最終的なテクスチャの仕上げにSubstance 3D Designerを使用するなど、テクスチャ作成のさらなる強化を図っている。
Substance 3D Painterの使用感について曽根氏は、「テクスチャで劣化や腐食、変退色などを表現するときに、以前はまず素材を購入して、Photoshop上でウェザリングを追加し、3Dソフト上でつぎ目を消すという作業をしていましたが、スマートマテリアルを使うと一発でそれができるので、かなり重宝しています。ハイエンド系のゲーム案件が増えてきた昨今では必要不可欠なツールです」と話す。
これまで数多くのCGソフトを使いこなしてきた早稲田氏は、Substance 3D Painterをこう評価する。「まずUIが整理されていて、とても使いやすいですね。機能でいうと、アンカーポイントやスマートマスクなどが気に入ってます。マスクを作成したり、マスクに複数のフィルターを適用したりといった、昔は手動でやっていたことが自動化できるようになり、作業のスピードがかなり上がりました。案件にもよりますが、もし全部Photoshopでやるとなると、今の3倍から5倍はかかるかもしれませんね」
自動化のメリットは、作業スピードだけでなく、クオリティの面でも表れているという。「1つの案件3を複数人でやる場合、手描きだとクオリティにムラが出てしまうんです。自動化が増えた分、そうしたムラが減って、統一したクオリティで納品できるというのも大きなメリットです」(早稲田氏)
これからのデザイナーのスキル向上に期待
ゲーム業界の市場が拡大し、あらゆる分野でメタバースが注目されるなど、3DCG制作の需要がますます高まる昨今。CG制作に関わる業界全体において、人材の獲得・育成は大きな課題となっている。「今後もSubstance 3Dが指定される案件が増えてくると思うので、弊社でも使えるデザイナーを増やしていかないとですね。操作を覚えるのはさほど難しくないので、Photoshopをやってきた人であればわりと短時間で使えるようになると思います。そこもSubstance 3Dのメリットですね」(長水氏)
同社の採用状況を含め、今後のSubstance 3Dの可能性について、取締役副社長 窪内 純一氏は次のように締めくくった。「弊社にも中途/新卒含め多数の応募をいただいているのですが、最近は新卒応募の方のポートフォリオにもSubstance 3Dを使用された作品が数多く見受けられるようになりました。Substance3Dによって、新卒などの経験が少ない方でも質感やディティールを簡単に追加でき、クオリティの高い表現が可能になっています。2Dデザイナーの方でも、絵心があれば3Dへの挑戦も難しくなくなるでしょう。そういった意味で、Substance 3DはCG業界を目指す方の裾野を広げることにも一役買っているように思います」
※掲載された情報は2022年9月現在のものです。
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