日本を代表する建築設計事務所がライセンス管理と制作環境を飛躍的に改善

隈研吾建築都市設計事務所

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創業

1990年

従業員数: 180
所在地:東京
kkaa.co.jp/

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バージョンの統一によりファイル共有がスムーズに

導入製品:

課題

ライセンス管理の手間が本業の妨げに

急増するプロジェクトに対応するための環境づくり

成果

バージョンの統一によりファイル共有がスムーズに

レイアウト崩れなどの修正にかかる手間を削減

ストック画像の利用を効率化

Adobe Stockの活用により、画像の検索が容易になり、クオリティも向上

ライセンス管理の負荷を軽減

ライセンスの割り当て・入れ替え作業が大幅に簡素化

多言語対応により外国人スタッフの利用をサポート

環境設定からアプリの言語設定を簡単に変換

日本を代表する建築家、隈研吾氏が率いる隈研吾建築都市設計事務所は、木材などの自然素材を多用した斬新な建築デザインで世界中から注目を集めてきた。国内はもとより海外のコンペティションで数多く受賞し、最近では完成に向けて急ピッチで建設が進んでいる新国立競技場のデザインを手がけたことでも有名だ。

同社では、コンペティションなどで使用するプレゼンテーション資料の作成に、以前よりPhotoshopやIllustrator、InDesignといったアドビ製品を活用してきた。近年、プロジェクトの増加に伴いスタッフの数も急激に増えたことから、ライセンス管理や制作環境の見直しを図るため、Creative Cloudエンタープライズ版を導入した。

ライセンス管理の手間が本業の妨げに

同社では専任のIT管理者がおらず、ソフトウェアなどの管理はその時々の担当者が、本業である設計業務と兼任で行ってきた。同社はそれまで、必要なアドビ製品を必要な数だけ、その都度購入していたため、ライセンス管理には大変苦労していたと松長知宏氏は話す。

「ここでは設計者やCG制作者を含め約170名のスタッフがアドビ製品を使用しています。使っている製品もバージョンもそれぞれバラバラで、誰がどの製品を使っているか、とても追いきれるものではありませんでした。また、年間を通じてスタッフを採用しており、その度にソフトウェアも入れ替え、足りなければ買い足したりと、そこにかなりの時間をとられてしまうことに問題を感じていました」

急増するプロジェクトに対応するための環境づくり

同社ではこの数年で100以上ものプロジェクトが発生し、継続中のプロジェクトと合わせると400以上にもなる。スタッフはいくつものプロジェクトを掛け持ちしており、毎日何かしらの締め切りに追われている。そうした状況の中、作業の効率化は同社にとって最大の課題である。着想からアウトプットまでの時間をいかに短縮できるか。それには制作する環境やツールが重要だと松長氏は考える。

「私は新し物好きなので、最新のバージョンが出るとすぐに試してみます。Creative Cloudも先行して導入し、業務で検証していました。PhotoshopにしてもIllustratorにしても、最新の機能を使ってみるとやはり便利だし、動作も格段に速くなっていると感じます。皆がこれを使えるようになれば、作業効率は間違いなく上がるなと常々思っていました」

近年のスタッフの急激な増加にともない、そうした課題はますます深刻化し、2017年7月、同社はライセンス形態と制作環境の見直しを図るため、Creative Cloudエンタープライズ版の導入に踏み切った。

隈研吾建築都市設計事務所 設計室長 松長 知宏 氏

Creative Cloud エンタープライズ版の導入で、兼任で行なっていたライセンス管理の負担が減り、本業の制作に注力できるようになりました。

設計室長 松長 知宏 氏

一元的なライセンス管理と多言語対応が大きなメリットに

Creative Cloudエンタープライズ版の導入から約1年が経過し、成果は如実に表れていると松長氏は話す。

「ライセンスの管理は圧倒的に楽になりました。Adobe Admin Console(Webベースの管理ツール)からライセンスの割り当てや入れ替えが簡単にできますし、追加購入などにかかる手間もなくなりました。今、何本の製品が使えて、誰が使っているのかを簡単に確認できる点は、非常に助かっています。それと、Creative Cloudを導入する際の大きな選定ポイントだったのが、多言語対応です。弊社は外国人スタッフが約4割を占めており、出身国も様々で、それぞれの言語版を用意するのは困難でした。Creative Cloudなら、環境設定から自分が使用する言語に簡単に切り替えることができます。OSや言語を問わずに使用できるのは、弊社にとってかなりのメリットです」

PDFとInDesignで精度の高い資料作りを実現

同社の設計チームは、CADツールで作成した図面などをInDesignに読み込んでレイアウトし、プレゼン資料や基本設計書などを作成している。ほとんどの設計者がInDesignを使用して資料を作成しているのは少し意外とも思えるが、設計者である吉里 光晴氏はその理由を次のように語る。

「一般的なプレゼンテーションツールで作成すると、図面に引かれた線がきれいに出ないんです。図面は寸尺が重要です。線がゆがんだりすると、当然寸尺も狂いますので、それを細かく修正しなければならず、時間と手間がかかります。図面をPDFに書き出せば、寸尺もきちんと保持され、InDesignでレイアウトした後もそのままの精度で出力ができます。Illustratorを使う設計者も多いのですが、大規模なプロジェクトのコンペティションともなると、プレゼン資料は100〜200ページにもなりますから、そうした場合は圧倒的にInDesignのほうが効率的です」

バージョンの統一でチーム内の共同作業を効率化

以前、チーム内で使っていたInDesignのバージョンは各自バラバラだったため、ファイルのやり取りが非常に困難だったと吉里氏は話す。

「作成したファイルを別のバージョンで開くとレイアウトが崩れ、それを修正するのに時間をとられることがよくありました。Creative Cloudを導入したことを機に、チーム内でバージョンを統一できたことで、ファイルのやり取りがスムーズに行えるようになり、非常に助かっています」

Adobe Stockの活用で作業効率とクオリティが向上

同社は、Creative Cloudエンタープライズ版の導入と合わせて、Adobe Stockエンタープライズ版も導入している。松長氏が所属するCGチームは、設計スタッフが作成した3Dモデルをレンダリングし、Photoshopで合成などの加工を施して、プレゼン用のパースとして仕上げるという役割を担っている。合成に使用する画像をAdobe Stockから調達することで、作業効率とクオリティが大幅に向上したと松長氏は話す。

「大きなコンペティションになると、画像サイズが7,000~8,000ピクセルになることもあり、それに耐えられるクオリティと解像度が求められます。以前はネットで探し回ったりしていたのですが、これだと思うものはなかなか見つからず、プレゼンで使っても問題ないかという不安もあって、それを調べるのにも時間がかかります。Adobe Stockはそのような心配がなく、種類が豊富で大抵のものは探し出せます。時間のあるときにスマートフォンで検索して、気に入ったものをCreative Cloudライブラリに入れておけば、Photoshopですぐに取り出して編集できる点も非常に効率的です」。

隈研吾建築都市設計事務所 主任技師 吉里 光晴 氏

「Creative Cloudを導入したことを機に、チーム内でバージョンを統一できたことで、ファイルのやり取りがスムーズに行えるようになり、非常に助かっています」

主任技師  吉里 光晴 氏

同一プラットフォームで制作のさらなる可能性を追求

松長氏は、PhotoshopやIllustratorの他にも、Premiere ProやAfter Effectsを使って動画の編集も行うなど、Creative Cloudを積極的に活用している。また、DimensionやLightroom CCといった新しいアプリにも興味を持っているという。

「Creative Cloudを使っていると、色々なものがどんどんつながってきているように感じます。1つのアプリで作ったものが、他のアプリでも簡単に使えるし、他のメンバーとも手軽に共有できる。すべてが同じプラットフォーム上で行えるということは、作業効率を上げていく上で大きな強みになると思います。まだ旧バージョンを使っているスタッフも一部いますし、まだまだ使いきれていない部分がたくさんありますが、今後はスタッフを集めて勉強会を開くなど、Creative Cloudで実現できる可能性を追求していきたいと思います」

※掲載された情報は2018年7月現在のものです。

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