国際物流のプロ集団が挑む、業務効率化とコンプライアンス強化

ケイライン ロジスティックス 株式会社


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創業

1960年

従業員数: 1,659
所在地:東京
https://www.klinelogistics.com/jp/

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バラバラのライセンスを一本化。管理の手間を軽減

導入製品:

Adobe Acrobat DC エンタープライズ版 ›

課題

貿易業務を取り巻く電子化の流れ

成果

コンプライアンスに準じた運用ルール

PDFから必要な情報を簡単に抽出

結合されたPDFの閲覧性を向上

ケイライン ロジスティックスは、川崎汽船グループの中核会社として、主に国際航空貨物および国際海上貨物を扱う国際物流のプロ集団企業だ。貨物輸送や通関に関する業務では、インボイス(送り状)、パッキングリスト(梱包明細書)、B/L(船荷証券)、AWB(航空貨物運送状)、CLP(コンテナ貨物搬入票)をはじめとする多種多様な書類が発生する。同社では、こうした書類の受け渡しや管理の電子化・効率化を図るため、Adobe Acrobat DCエンタープライズ版を導入。企業のコンプライアンスを担保しながら、生産性のさらなる向上を目指している。

貿易業務を取り巻く電子化の流れ

近年、NACCSをはじめとする貿易関連業務の電子化(貿易EDI)が急速に展開される中、そこに携わる様々な公的機関(税関など)や民間事業者(輸送、物流、通関、金融、保険、輸出入など)がその対応に迫れている。そうした電子化の流れについて、情報システム部 部長の村松 広司 氏は次のように話す。

「今ではインボイスやパッキングリストなど、お客様から受け取る書類はほとんどがPDFで送られてきます。社内で作成する書類についても、できるものは全てPDFにして管理・運用するようにしています。輸出申告書などの通関書類は依然、紙に印刷して提出することもありますが、NACCSシステムによる電子的な手続きも進んできています」

同社はこれまで、AcrobatおよびAcrobat Readerを使用してPDFの運用を行ってきた。従来の永続型ライセンスでAcrobatを30本程度保有していたが、バージョンが古くなってきたことからセキュリティ上の問題が懸念され、最新バージョンへの移行が検討された。また、Acrobatを所有する特定の部署だけが利用していたが、これを機に希望する部署は全て利用できるようにしたいという考えもあった。

「PDFを見るだけならAcrobat Readerで十分だったのですが、複数のPDFを1つに結合したいとか、OCR(文字認識)をかけたいとか、別のファイル形式に変換したいとなった場合に、Acrobatのある部署に持ち込まれ、その部署のAcrobatユーザーが代わりに作業するということが頻繁になっていました。それなら使いたい人が使えるようにと、各部署にヒアリングしてみたところ、かなりの数のユーザーがAcrobatの利用を希望していることがわかりました」と、情報システム部の持山 友美 氏は話す。

情報システム部 部長 村松 広司 氏

ユーザーの利便性と、会社のコンプライアンス。Acrobat DC エンタープライズ版でこれらを上手く共存させていきたいですね。

情報システム部 部長  村松 広司 氏

社内におけるAcrobat の利用をルール化

全社規模でのAcrobat導入の道のりは、けっして容易ではなかったという。その最大の壁が、Acrobatで文書を直接編集できてしまうという点。コンプライアンス体制の強化に取り組む同社にとっては、改ざんなどにつながる要素はわずかでも認められない。

「確かに改ざんのリスクはありますが、その一方で業務を効率化できる便利な機能がたくさんあるのも事実です。何とか実現しようと、法務部と情報システム部で協議を行い、Acrobatを利用するにあたってのルールを決めました。ユーザーには、Acrobatの使い方やコンプライアンスに関する理解を深めてもらうためのトレーニングを受講すること、そして文書を改ざんしないなどの誓約書を書くことを必須としました」

また、Acrobat DCエンタープライズ版では、Adobe Customization Wizardの活用により、管理者が部署ごとに使用できる機能を制限することが可能なため、特にPDFの編集が必要のない部署には初めから編集機能を使えない状態で展開することもできる。こうした説得材料が功を奏し、社内の承認を得て導入を実現した。

バラバラのライセンスを一本化。管理の手間を軽減

Acrobat DCエンタープライズ版の導入にあたり、従来の永続型からサブスクリプション型にライセンス形態が変わることについて、持山氏は特に違和感はなかったという。

「むしろ、以前よりライセンスの管理が格段に楽になりましたね。以前はバージョンも購入時期もみんなバラバラで、このライセンスはもうすぐ期限が切れるだとか、このライセンスは使われていないだとか、そういったことを1つ1つ確認しながら、付け足しや付け替えなどを頻繁に行っていました。今はバージョンの違いや購入時期を気にすることなく、1つのコンソール画面で全ての使用状況を確認でき、ライセンスをいつでも簡単に追加、削除、制限できるのがいいですね。使用状況の見える化は、コンプライアンス的にも非常に有効です。それから、シングルサインオンにも対応しているということで、他のシステムを含めてユーザーのIDを一元管理できるようになるのも大きなメリットだと思います」

情報システム部 システム二課 課長 持山 友美 氏

情報システム部 システム二課 課長  持山 友美 氏

総務人事部 人事課 深味 高輝 氏

総務人事部 人事課  深味 高輝 氏

見るだけから、活用するPDF へ。各部署の業務効率が大幅にアップ

今回の導入で、初めてAcrobatを使用できるようになったユーザーの一人、総務人事部の深味 高輝 氏は、Acrobatの導入効果について次のように話す。

「私は人事課で採用を担当しているのですが、最近では履歴書などの書類もデータで受け取ることが多くなりました。ただ、様々な形式のファイルで送られてくるため、今までは1つ1つ紙に印刷し、それらをまとめて資料として保管していました。Acrobatを使うようになって、そうしたデータを直接PDFに変換し、1つに結合するところまでをパソコン内で行えるようになったことが一番のメリットですね。検索も楽ですし、だいぶ時間の短縮になっています」

航空カスタマーサービス部で、クライアント企業と通関部門の取りつなぎ業務を行っている担当者は、Acrobatを使ってPDFからデータを簡単に抽出できることに大きなメリットを感じているという。

「通関部門に必要な書類を渡すときに、お客様からいただいたPDFを見ながら、数量や金額などの数字を1つ1つExcelに転記していくという作業があるのですが、今までは手入力で打ち直しをしていました。当然、入力ミスもあったりして、確認作業にもずいぶんと時間をとられていました。PDFから数字などのデータをExcelに一気に書き出せる機能を知った時は衝撃的でしたね」

また、プロジェクト部で営業を担当している世良 至 氏は、「ページを整理」機能を一番にあげた。「輸入の案件で、出荷元の国から貨物に関する書類が1つのPDFにまとまって届くのですが、お客様にお渡しするのに必要のない書類もたくさん入っていたりします。その場合、不要な書類を削除したり、順番を入れ替えたり、あるいは縦と横が混在している場合は向きを揃えたり、お客様が見やすいように整理するときは、この機能が大変重宝します」

プロジェクト部 半導体課 世良 至 氏

プロジェクト部 半導体課  世良 至 氏

コンプライアンスと業務効率の両立を目指して

Acrobatの社内での利用範囲が拡大した現在、多くの部署やユーザーから利用の申請が上がってきているという。また、特定の機能を制限された状態で利用している部署からは、その機能を使わせて欲しいというリクエストも上がるようになった。今後どのようにAcrobatを社内に展開していくかについて、村松氏は次のように話す。

「確かにユーザーからしてみれば、便利な機能を使って仕事を効率的に進めていきたいという気持ちはあるでしょう。一方で会社としてはセキュリティやコンプライアンスといったものを重視していかなくてはならない。そこをどう上手く共存させていくかが今後の課題です。トレーニングの定期化やガイドラインの作成なども検討しており、皆が安全に、そして快適にAcrobatを利用できる環境を作っていければと思います」

※掲載された情報は2019 年7 月現在のものです。

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