電子サイン導入で非常勤講師の煩雑な契約手続きを効率化

京都薬科大学

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創立

1884年

**所在地:**京都市
教員数: 103名(2021年度)

建学から130余年の歴史を刻んできた京都薬科大学のブランドビジョンは「社会を動かす薬学へ」。高度の教育及び学術研究機関として、薬学の教育及び研究を推進することにより、生命の尊厳を基盤として人類の健康と福祉に貢献することを理念に日々薬学教育に取り組んでいる。

www.kyoto-phu.ac.jp

導入製品:

Adobe Acrobat Sign エンタープライズ版

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課題

保管スペースの逼迫による保存文書の削減

契約書の電子化

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成果

ペーパーレスの実現

契約手続きに要する時間短縮

文書作成ミスの削減

関連手続きも同時に処理

「契約書をやり取りする機会が多いだけに、電子契約は校務の効率化に大きな役割を果たすと考えています」

事務局 情報管理推進室 室長  栗田 晃氏

キャンパス内の文書保管スペースがひっ迫する中、京都薬科大学はペーパーレス化推進の一環として電子契約への移行を推進。その第一歩として行われたAdobe Acrobat Signによる非常勤講師・非常勤特命教員との雇用契約手続きの電子化は、校務の効率化にも大きな役割を果たした。今後同学は、学内の契約手続きの電子化を積極的に推進していく考えだ。

保管スペースのひっ迫を受け、保存文書の削減が喫緊の課題に

京都・山科の京都薬科大学の創設は1884年。現役の薬剤師として働く卒業生は約1万8000名で、この数字は全国の薬剤師の5.6%に相当する。また“研究の京薬”の言葉通り、製薬企業の研究部門に多くの人材を供給していることも同学の特徴の一つである。

山科駅からほど近い市街地に本校地、南校地、グラウンド・薬草園を集約した同学は典型的な都市型キャンパスと言える。スペースが制約される中、大きな課題として浮上したのが紙文書の保管場所を巡る問題だった。同学のDX推進を担当する事務局 情報管理推進室 室長 栗田 晃氏はこう説明する。

「本学の場合、キャンパス地下の文書保管室で紙文書を保管していますが、大学には理事会議事録や給与台帳など、永年保存を前提とした文書も多く、保存が必要な文書は増え続け、近年は保管スペースを各部署が取り合う状況が続いています。紙文書削減は事務局全体にとって大きな課題になっていました」

コロナ禍を受けてスタートしたリモートワークは、こうした状況を大きく変えることにつながったという。

「出勤が困難になる状況を受け、これまで紙で行ってきた手続きをワークフローシステムで行うように事務局内のルールを変更しました。当初は戸惑いもあったようですが、上長の出張で手続きがストップすることや、途中で行方不明になった書類を回収するような手間もなくなるのでシステム上ですべての手続きが完結するワークフローはやはり慣れてしまうと楽です。この体験は『ペーパーレスでもやれる』という意識醸成に大きな役割を果たしたと感じています」(栗田氏)

事務局 情報管理推進室 室長 栗田 晃氏

紙の契約書も電子化が必須

申請・決裁のペーパーレス化の次のステップとして栗田氏が注目したのが、契約業務の電子化だった。

「大学の校務では契約書を取り交わす機会が意外に多いんです。例えば、薬剤師になるには5年次の段階で病院や薬局で実務実習を履修する必要があり、その際に受け入れ先施設と交わします。また一般的な契約以外にも、学生との間でも誓約書、合意書など、さまざまなやり取りが生じるため、一定期間保管が必要な契約書は増える一方というのが実情です。しかし、契約相手との関係性も契約書の文面もそれぞれ異なる契約業務のすべてを一度に電子化することは現実的ではありません。そこで電子契約の第一歩として注目したのが、非常勤講師、非常勤特命教員との雇用契約業務の電子化でした」

電子契約移行の第一歩として非常勤講師の雇用契約手続きに着目

同大学では、約80名の非常勤講師・非常勤特命教員と半年や1年ごとに雇用契約を結んでいるが、紙ベースの手続きに要する手間は決して小さくなかった。業務担当の事務局 庶務課 主査の前田 朋宏氏はこう説明する。

「非常勤講師の任用は例年11月以降の教授会で承認されるのですが、契約書には授業のコマ数なども記載するため、シラバスが決定する翌3月まで契約手続きは進められません。また、非常勤特命教員に関しても例年2月か3月の教授会で承認されます。そこから新学期までの約1カ月間という短い時間ですべての契約を行わなければならないのですが、契約書の作成や封入・郵送の手間に加え、事務局長が出張中は押印を待たなければいけません。早く業務を進められずもどかしかったため、電子化の取り組みは渡りに船でした」

その規模に加え、契約書の文面がある程度パターン化されていたことも栗田氏が非常勤講師らの契約業務に注目した理由の一つ。整理すると、5種類のフォーマットを用意すれば全契約の対応が可能だったという。

事務局 庶務課 主査 前田 朋宏氏

Adobe Acrobat Signとサイボウズ株式会社のkintoneの連携ソリューションを選択

京都薬科大学が電子契約サービスとして選定したのは、Adobe Acrobat Signだった。

「PDFとの親和性や拡張性の高さが主な選定理由ですが、今回導入支援を依頼したAcrobat Sign ソリューションパートナーであるケインズアイコンサルティンググループさんから、本学でも以前より利用してきたkintoneと連携した契約業務効率化ソリューションを拝見したことも理由の一つです。さらに他社と比較すると契約書の印刷費、郵送代、人件費などのコスト面でもメリットがありました」(栗田氏)

kintoneで契約書を管理することで手続きを大幅に効率化

Adobe Acrobat Signとkintoneの連携により構築したシステムの最大の特徴は、契約内容のマスタや契約書フォーマットをkintone側で管理し、契約手続きのみをAdobe Acrobat Sign上で行う点にある。また契約締結後に受領したPDFはkintoneにも保管され、必要に応じkintone上で検索することが可能だ。

「契約書作成は、選択したフォーマットにマスタ情報を流し込むことで、マスタに間違いがなければ記載ミスは発生しません。また契約書と一緒に、報酬の振込先口座の指定など先方の入力が必要な書類の送付・回収が行えることも大きなメリットの一つです」(前田氏)

Adobe Acrobat Signにより、約1カ月という短期間で行う約80名の契約手続きをオンライン上で完了させることが可能となった

最短で当日完了。紙書類の課題が一気に解決

新システムの運用は、2022年度の非常勤講師・非常勤特命教員の契約手続きから開始された。

「早い方は当日中に契約完了できてしまったことにまず驚かされました。無作為に抽出した10件の平均値は3.3日。以前は早くても1週間、遅い方は3週間以上待っていたことを考えると、時間の短縮に貢献していることは間違いありません。また返信がない場合に督促が行えるリマインダー機能も便利ですね」(前田氏)

紙ベースと違い、押印や封入・郵送といった作業が不要になったことも効果の一つだ。

「以前は、先生の名前を書き間違えて契約書を再発行することもありましたが、今年はそうしたケアレスミスは皆無でしたので、再発行は0件でした。また、契約書フォーマットには電子印影を配置してあるので、多忙な事務局長を捕まえ、押印を依頼する必要がなくなったことも大きな成果だと思います」(前田氏)

校務全般の多様な契約手続きに電子サインを普及

京都薬科大学が今後の課題として挙げるのは、全校における電子契約の普及である。

「今回の導入について大学全体に周知をしたところ、常勤職員の契約についても電子化できるのではないかという声が挙がり、校内でも電子サインシステムの認知度が少しずつ高まっているという実感があります。今後は多様な契約をひとつずつ電子契約に置き換えていきたいと考えています」(栗田氏)

※掲載された情報は、2022年6月現在のものです。

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