全社一体となりブランド強化を進めるロクシタン。カギは店舗とECの顧客情報の統合にあり

ロクシタンジャポン株式会社

設立

1998年

所在地:東京
従業員数:1,190名
https://jp.loccitane.com

ユーザー事例:ロクシタン

分散していた店舗とECの顧客情報を統合。オムニチャネル戦略を推進する上で重要な基盤を整備 

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課題

店舗とECの顧客情報を別々に管理していたため、両方を利用する顧客の購買行動を把握できなかった。

店舗側には、ECに顧客が流れてしまうという意識があり、オムニチャネル戦略の障壁になっていた。

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成果

Adobe Campaignで顧客情報一元管理。チャネルをまたぐ顧客行動を可視化できるようになった。

分析によって、ECと店舗の両方を利用する顧客の行動が明らかになり、店舗とECの協力関係を構築しやすくなった。全社でオムニチャネル戦略を進める意識の醸成につながった。


「オムニチャネル戦略を推進するには店舗とECの相互理解が不可欠。一体感を醸成できたことが最も大きな成果です」

 

ロクシタンジャポン株式会社 デジタルマーケティング部 部長

吉屋 智章氏


店舗とECで分散している顧客情報の統合を目指す

南仏プロヴァンス生まれの自然派化粧品ブランドであるL’OCCITANE(ロクシタン)。同社のビジネスは世界中に広がっており、日本でも1998年にロクシタンジャポンを設立し、現在では、全国に100以上の店舗を展開しています。

 

同社の販売チャネルは大きく3つ。前述の100の店舗とECサイト、さらに電話で注文を受け付けるコールセンターです。特に大きな比重を占めるのが店舗とECですが、ECの比率が年々高まっていることもあり、オムニチャネル戦略、そのためのデジタルマーケティングの強化は、グローバル共通の大きなテーマでした。

 

しかし、同社には大きな課題があったといいます。

 

「店舗とECで顧客情報が別々に管理されていたのです。店舗で会員登録をしていただき、メンバーズカードをお渡ししたお客様の顧客データがある一方、ECサイトでも利用開始時に独自に会員登録を行っていただいています。店舗とECの両方を利用いただいているお客様も少なくないはずですが、同じお客様でもIDが2つあるため、購買行動を把握するのが難しく、オムニチャネル戦略の障壁となっていました」と同社の吉屋智章氏は語ります。

 

このことは、DM(Direct Mail)の費用対効果の把握といった面でも課題となっていました。

 

設立以来、ロクシタンはDMを重視してファンを拡大してきました。DMを通じた顧客とのコミュニケーションは、コアなファン層の形成に大きく寄与してきましたが、販売チャネルが多様化した現在、例えば、DMを見てECで商品を購入する、あるいはメールを受け取った顧客が店舗で買い物をするという行動をとることも当然あり得ます。顧客情報が分散したままでは、このような購買行動を把握することも難しく、DMの費用対効果を正確に把握できなくなってきていたのです。

データベース、CRM、MAとして利用可能

このような課題を解消するために、グローバル統一の顧客管理基盤として採用されたのが「Adobe Campaign」です。

 

Adobe Campaignは、メール配信、DMを送付するためのリスト編集に対応し、オムニチャネル戦略の最適な配信基盤として利用できる上、顧客情報を一元管理するためのCRM(Customer Relationship Management)、それをもとに特定の顧客を絞り込んで、独自のアプローチを試みるといったMA(Marketing Automation)としても利用できるソリューションです。

 

同社は、ここに顧客情報を一元的に集約して、ECとPOSの決済情報と連携させ、全ての顧客のオンライン、オフラインでの行動を把握、分析し、様々な施策を打てる環境を実現しています。

 

分散していた顧客情報を統合する上では、様々な障壁がありましたが、地道な取り組みで、それらを1つずつクリアしていきました。

 

具体的には、一人の顧客が、店舗とECで2つのIDを持っている場合、それを名寄せするには、店舗で顧客に働きかける必要があります。

 

「メンバーズカードを提示されたお客様には、オンラインショップでの買い物の経験があるかどうかを確認して、IDの統合を促したいのですが、接客やレジ精算といった業務を行いながら、案内や手続きを行うのは、店舗スタッフにとっては大きな負担となります。そこで、CRM担当の私たちが店舗でスタッフとして働いてみて、最も負担の少ないオペレーションを模索しました」と同社の宇野慎一氏は話します。

 

システムの柔軟性、使い勝手の良さも高評価

 

Adobe Campaignの機能面で評価しているのが、まず顧客データベースとしての使いやすさです。ロクシタンでは、基本的な属性情報以外に、よく利用する店舗など、独自の情報を顧客情報として管理しています。

 

「どのような商品を購入しているかなどを加味して、独自のスコアリングなどを行っていますが、こうした項目の追加や編集を手間なく簡単に行えます。また、ECやPOSシステムとの連携もスムーズです」と吉屋氏は言います。また現在Adobe Campaignを直接操作して、顧客情報の抽出や、新しいマーケティング施策のための設定作業などを担っている同社の金田優衣氏は、システムの使い勝手について次のように話します。

 

「新しいキャンペーンを準備する際に、社内から、そのキャンペーンの対象となる顧客がどれくらいいるのか、またDMの費用対効果はどれくらいになるかといった分析の依頼があります。操作画面は、当社のビジネスニーズに合わせ、スコアリングやROIを瞬時に計算できるようカスタマイズされています。担当し始めた当初は戸惑うこともありましたが、慣れれば本当に使いやすく、スピーディに作業が行えます。さらに分析結果を受けての配信設定も簡単。IT関連のスキルが豊富とはいえない私でも、すぐに使いこなすことができるようになりました」

 

アドビのサポートにも大きな信頼を寄せています。

 

同社は、グローバル共通の基盤としてAdobe Campaignを利用しており、契約は双方の本社間で結ばれているため、サポートの受け付けは本社経由が基本的なルートとなります。しかし、ローカル拠点では、日々、様々な問題が発生します。

図:Adobe Campaignを統合顧客管理基盤に据えたロクシタンのシステム構成

従来分散していた店舗とECの顧客情報をAdobe Campaignに統合。さらにECとPOSの決済情報と連携させることで顧客のあらゆる行動を把握、分析し、オムニチャネル戦略の重要な基盤として利用している。また、売り上げに関する店舗とECの平等な評価体制も実施しており、そのために会計システムとも連携させている

「本来は、フランス本社のIT部門に問い合わせなければならないのですが、IT知識に限界がある私たちでは、問題をなかなかうまく伝えることができない場合があります。そうした場面で、アドビは様々な手助けをしてくれ、本当に助かっています」と金田氏。例えば、以前、急に配信メールの送信エラーが増え、到達率が低下するという事象が発生したことがありました。トラブルの原因がなかなか究明できず、問題が発生しているのが日本だけということもあり、本社でも対応できずにいたといいます。

 

「そこで、日本のアドビに相談したところ、日本ならではの携帯端末のキャリアメールが原因だということが判明しました。システムが携帯キャリアに紐づくキャリアメールの仕様を満たしていなかったことや、積み重なったエラーによってアカウントがブロックされてしまっていたのです」(宇野氏)

 

この問題を解決するため、アドビは、日本からフランスの本社にDeliverabilityという役割の担当者を派遣。本社のIT部門に日本ならではの事情を説明し、日本向けの機能拡張、設定変更の必要性を説明して解決を支援しました。

 

「日本では携帯端末のメールの比重が高く、到達率低下は深刻な問題でした。わざわざフランスにまで足を運んでサポートしてくれる姿勢に信頼感が一層高まりました」と吉屋氏は話します。

行動分析に基づく施策が高い成果につながる

同社は、Adobe Campaignを、顧客あたりの購買頻度/購買額の向上を目指す、つまり、ロクシタンのブランドをもっと好きになってもらうための様々な施策の実行基盤として活用し、様々な成果につなげています。

 

カゴ落ち対策とリターゲティング

 

まずECにおける「カゴ落ち」対策があります。商品をカートに入れたものの、購買に至らなかった顧客に対してメールでフォローし、購買を促すのです。

 

「メールを送信するだけでも一定の効果があるのですが、さらにAdobe Campaignの良いところは、カゴ落ちの1時間後、3時間後、1日後というように、送信のタイミングを細かくできる点です。どのタイミングでメールを送るのが最も効果的かをテストしながら設定をチューニングしていきました」と金田氏は説明します。

 

ECでは、リターゲティングの仕組みも設定しています。EC上での閲覧履歴に応じてメール配信を行うのです。「閲覧履歴に基づいて、タイムリーな内容のメール配信を行うことで購買につなげています」(金田氏)。

 

購買頻度が低下しそうな顧客を予測して、事前に対策

 

購入頻度が低下してしまいそうな顧客に対するフォローも行っています。

 

「以前、購入頻度が低下したお客様について分析したところ、徐々に下がるのではなく、あるタイミングで急に落ち込むことが分かりました。Adobe Campaignは、顧客の行動パターンに応じてメールを配信できますから、そのタイミングの手前でキャンペーンのお知らせメールを配信するようにしたのです。結果は、予想以上の反響でした。適切なタイミングでアプローチをすれば、お客様にも喜んでもらえることが分かったことも大きな成果です」と宇野氏は説明します。

 

リレーショナルメールをDMに応用

 

「リレーショナルメール」による成功施策もあります。

 

リレーショナルメールは、顧客の誕生日や購入履歴などをもとに細かいセグメンテーションを行った上で送信するメールです。ECでの経験から、特にバースデーメールには大きな効果があることが分かっていました。同社はこれをDMでも展開してみたのです。

 

「細かくセグメントを分けてバースデーDMを送付してみたところ、DMを受けとったお客様の多くが近くの店舗を訪れ、普段のDMに比べて5.7倍のROIを達成しました」と吉屋氏は言います。

 

店舗とECの相互理解を深めて一体感を醸成

 

顧客情報を統合したことで、ともすれば対立関係になりがちな店舗とECの間の心理的な障壁を取り除き、一体感を醸成できたことは最も大きな成果です。

 

顧客情報を統合することになった際、店舗には、ECに顧客が流れてしまうのではないかという思いがありました。

 

この誤解を解くために、様々な会議を開いてコンセンサスを取りましたが、最終的に理解を得るきっかけになったのが、統合した顧客情報から得られた分析結果でした。

 

「Adobe Campaignの顧客情報を使って、お客様の行動を分析してみたところ、店舗のお客様がECを利用するようになるだけでなく、ECのお客様が次の買い物は店舗で行うようになるなど、相互にお客様の還流がある、いわば相互補完的な関係にあることがわかったのです」と吉屋氏は説明します。

 

さらに同社は、いつも渋谷店で買物をしている顧客が、ECを利用した際の売り上げは渋谷店に計上するなど、店舗とECの平等な評価体制に改定するといった取り組みも推進「店長や店舗スタッフの間でもデジタルマーケティングに対する理解が深まれば、自分たちも協力しようという機運が高まります。このような意識を醸成できたことは何よりの成果です」と吉屋氏は強調します。

 

日本発の施策が海外にも広がる

 

同社はAdobe Campaignをグローバルで利用していることを活かし、各ローカル拠点で実施し、高い成果を挙げた施策などを、世界中の拠点で共有しています。

 

「様々な成功モデルがAdobe Campaignの中にテンプレートとして格納されています。ある商品の新しいキャンペーンを実施するとき、先行事例があれば、それを簡単にプロセスに実装して実行することができます」(金田氏)

 

日本発のアイデアが海外に広がったこともあります。その1つが「サンプリング・フォローアップメール」です。

 

同社は、店頭やECで商品サンプルを配布していますが、効果をどう測定するかが常に課題となっていました。そこで、店舗で配るサンプルにはバーコードを付け、その後の、その顧客が購買に至ったかをトラッキング。さらに1週間後にメールを自動配信して使用感などを確認したり、キャンペーンの告知を行ったりするという一連の施策を実施しました。その結果を分析したところ、サンプルの貢献度は思っていた以上に大きいことを確認。この手法がベストプラクティスとして、海外のロクシタンでも展開されています。

 

新たなチャネルへの対応を検討

 

現在、デジタルな顧客接点は、ECとメールが中心ですが、同社はスマホアプリのLINEやWeChatといったメディアにAdobe Campaignを対応させ、より広範な接点を持つことを考えています。

 

こうした取り組みにおいても、アドビは大きな役割を果たしています。

 

「日本国内でいかにLINEが利用されているかをフランス本社に理解してもらい、対応機能を実装するために、日本のアドビ担当者が、再びフランスまで足を運んで説明、調整してくれました」と宇野氏は話します。

 

LINE対応機能は、すでに実装を終えつつあり、近くリリースされる予定だと言います。

 

このようにロクシタン、およびロクシタンジャポンは、Adobe CampaignをDM配信、CRM、顧客行動分析、そしてMA機能を持つ、オムニチャネル戦略の重要な基盤として有効活用しています。今後、さらに大きな成果につながれば、より大きなモチベーションが生まれ、同社のオムニチャネル戦略はますます加速することでしょう。


吉屋 智章氏

デジタルマーケティング部 部長

吉屋 智章氏

宇野 慎一氏

マーケティング本部 CRMマネージャー

宇野 慎一氏

金田 優衣氏

CRMアシスタント

金田 優衣氏

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