フォルダやファイルの構造を統一して進捗状況をチームで共有
導入製品:
課題
・予算とコミュニケーションコストの削減
・膨大な業務量
成果
制作時間を短縮
アプリケーション間連携によりデータ修正を迅速に
チーム作業を効率化
フォルダやファイルの構造を統一して進捗状況をチームで共有
VR動画制作にも挑戦
Premiere ProやAfter Effectsが最新の映像制作技術にも対応
テロップのフォントを工夫
Creative Cloudのサービス「Adobe Fonts」を活用
個人間で簡単かつ安全にモノを売買できるフリマアプリを日本とアメリカで展開し、今やその利用者は日本国内だけで月間1,000万人を超える株式会社メルカリ。同社では、動画需要の増加に伴い、インハウスでの映像制作チームを発足。Adobe Creative Cloudグループ版を活用し、さらなる制作の効率化を図っている。
「チームで仕事をするための設定のしやすさやメニュー画面の見やすさは、Premiere Proの最大の魅力です」
ブランドクリエイティブ部 熊田 勇真氏
SNS の発展とグローバル採用をきっかけにインハウス映像制作チームを発足
メルカリの映像制作チームは現在、Web広告用動画、アプリのチュートリアルアニメーション、登壇イベント等の撮影と配信、ユーザー事例紹介動画、社内向けイベント動画、IR用動画など、社内で多岐にわたる映像制作を行っており、企画、撮影から編集、アニメーション制作までを一貫して請け負っている。この背景には、昨今のSNSの発展に伴う動画需要の高まりに加え、グローバルに社員を採用する同社が、説明や社内イベントで動画を活用して意思疎通を図ろうとしているという状況がある。
以前は、そうした動画のほとんどを制作会社に依頼するか、アイディアがあっても制作を諦めるかであったが、2017年に社内に映像制作チームを発足させた。その理由について、ブランドクリエイティブ部の熊田勇真氏は次のように語る。
「インハウス化により、2つの"コスト"を削減したいと思ったからです。1つは予算としてのコスト、そしてもう一つ、より重要なのは、コミュニケーションコストです。例えば、外部のクリエイターに動画を発注する場合、企画の経緯やその映像が『なぜ必要か』という点を説明しなければなりませんが、自社内であればその手間を省くことが出来ると考えました」
デザインからアニメーション作成まで、Creative Cloudで統一したワークフローを構築
ブランドクリエイティブ部マネージャーの稲川亮輔氏によれば、チームの発足当初は少人数で様々な種類の大量の動画を制作しなければならず、サービス紹介や決算説明会などビジネス上重要な動画の制作を依頼されることもあり、常に膨大な業務量を抱えていたという。
「映像制作を担当しているメンバーは4人で、その他にアニメーションやグラフィックデザインを担当するメンバーもいますが、クリエイティブチーム全体で7名です。インハウスのチームとしては大きい方かと思いますが、世の中のプロダクションなどと比べると小さなチームです。作業効率を上げ、チームワークを発揮して無駄なくコンパクトに制作する体制づくりが喫緊の課題でした」
メルカリでの動画制作の一般的なプロセスは、稲川氏がコンテや企画を書き、実写部分は熊田氏に撮影、アニメーションやインフォグラフィックスの部分は社内にいるデザイナーがIllustratorやPhotoshopで制作する。それをアニメーターがAfter Effectsで仕上げた後、Premiere Proに戻し、実写とアニメーションを組み合わせて書き出す、というフローになっている。そのため、デザインから動画制作、アニメーション制作までを、Adobe Creative Cloudによって一貫したワークフローを組むことができる点が評価され、AdobePremiere Proの導入を決定した。
アプリケーション連携による大幅な制作時間短縮
一連の作業を進める上で、メリカリの映像チームがアドビを最も評価したのが、Premiere ProとAfterEffects間のDynamic Linkを使ったデータを迅速に修正できる点だと言う。さらにPhotoshopファイルをPremiere Proに取り込んだ際に、Photoshop側で更新したファイルも自動でPremiere Pro に反映される。アドビのCreative Cloudでアプリケーションを統一することで、作業を大幅に短縮できているという。
「例えばイベント用の動画を制作する際、イベントロゴやグラフィックは別のデザイナーが作成し動画に挿入します。直前までグラフィックの修正が入ることが頻繁に発生しますが、修正した素材も再リンクで反映されるのでミスが発生しにくく、やりとりが少なくて済むというのは本当に助かります」(熊田氏)
「Adobe Fonts」の活用でより魅力的な動画を制作
様々な種類の動画を制作するメルカリの場合、Creative Cloudで利用できる「Adobe Fonts」にあるフォントの豊富さも魅力だそうだ。フォントは動画の雰囲気を大きく左右する要素であるということに加えて、様々なサムネイル画像などにも使用される場合があるため、クリエイターから見ても魅力的なデザインであるという点は、大きなメリットだ。
「決算説明会など社外向けのフォーマルな映像から、社内用の余興動画など幅広いジャンルの動画を制作しなければならない状況の中で、テキストのスタイルによって画面の印象は大きく変わるので、権利周りがクリアにされた15,000種類以上のフォントが揃うAdobe Fontsは大変重宝しています」(稲川氏)
フォルダやファイルを構造化してチーム作業を効率化
映像制作チームでは、案件ごとのフォルダやファイルの構造を統一することで、誰が見ても作業の状況がすぐにわかる環境を整え、突発的な新規案件にもすぐに対応できるようにしている。これにより、再リンクの作業や確認の手間が省け、効率化につながっているという。さらに、一つのコンテンツでも尺や商品の違いで複数のバージョンの動画を作成することが多いという。そこで、Premiere ProやAfter Effectsのカラーマットや調整レイヤーをテンプレート化しておくことで、いつでもすぐに別バージョンの編集作業に取り掛かることができている。
「こうしたチームで仕事をするための設定のしやすさやメニュー画面の見やすさは、Premiere Proの最大の魅力ですね」と熊田氏は語る。
ブランドクリエイティブ部 熊田 勇真氏(左)、ブランドクリエイティブ部 マネージャー 稲川 亮輔氏(右)
チームワークフローをさらに洗練させ、VR動画にも挑戦
今後使ってみたい機能について尋ねたところ、チームプロジェクトに興味があるという回答が返ってきた。チームプロジェクトは、制作チームでシーケンスやプロジェクトを共有し、どこからでもスムーズに映像制作を進められる機能だ。
「納期が迫っている時や撮影などでメンバーが各地に散らばっている時には便利ですよね。出張に行っているメンバーと本社の編集メンバーで同時に編集するようなシチュエーションがあれば使ってみたいですね。今後メンバーが増えた時には必ず役に立つと思います」と稲川氏は語る。
現在メルカリでは他部所から依頼され、テスト的にVR 映像も制作にも着手している。その際、Premiere ProやAfter Effectsであれば、VR映像の制作においてもエフェクトやプレビュー画面がVRに対応しているため、ここでもCreative Cloudによるメリットは大きい。
スピーディかつ効率的に、多様な動画を作り続けるスペシャリスト集団であるメルカリ映像制作チーム。Creative Cloudを活用して今後も社内外でさらに大きな反響を呼び起こす意向だ。