

150万
達成したアプリのダウンロード数
50万
達成した開設口座数
70%
30代以下のユーザーの占める割合
課題
銀行の持つ堅いイメージから脱却し、ブランディングとデザインでこれまでにない「新しい銀行体験」をデジタルネイティブ世代へ届けたい
成果
Creative Cloudライブラリにより外部デバイス不要のデータ共有を実現
ユニークなブランディング効果で顧客獲得数が増加
不規則なメンバーの追加、変更にも柔軟に対応
持っているスキルをすぐに活かせるCreative Cloudの豊富なツール群
「デジタルネイティブ世代の心をつかむ、他行との差別化を図る、そのためにはブランディングやデザインが重要になるのです」
株式会社みんなの銀行 デザイングループ デザインディレクター 中村 隆俊 氏
ふくおかフィナンシャルグループ傘下の新銀行として設立された「みんなの銀行」は、全国のデジタルネイティブ世代をメインターゲットに、口座開設からATM入出金、振込、支払、貯蓄、管理など全てのサービスをスマートフォンアプリひとつで完結できる日本初のデジタルバンクだ。
同行では金融業界ではあまり類を見ない内製のデザインチームを設置。白と黒で統一されたイラストとデザイン、ミニマルでモダンなプロダクト設計など、これまでの銀行のイメージを払拭するブランディングを展開し、デジタルネイティブ世代を中心に多くの顧客を獲得している。
同行デザイングループのメンバーお二方に、ブランディングとデザインの重要性、内製へのこだわり、そしてAdobe Creative Cloudの導入効果についてお話を伺った。
デジタルネイティブ世代に「新しい銀行体験」を届けたい
みんなの銀行プロジェクトが発足した当時、まず議論の中心となったのが、銀行ひいては金融業界が抱える課題。堅い、難しい、面倒、といったネガティブなイメージが、特にデジタルネイティブ世代の間に浸透しており、それが同行が目指す「新しい銀行体験」の高い障壁となっていた。そこで浮かび上がったのが、ブランディングの必要性。銀行とはほど遠い存在に思えるブランディングに、同行がなぜ着目したのか。プロジェクト発足時からデザインチームに加わり、現在は同行デザイングループのデザインディレクターを務める中村 隆俊 氏は、次のように話す。
「銀行には長年積み上げられてきた歴史と信頼があります。それはある意味、銀行の大きなメリットでもあるのですが、その反面、どうしても堅いイメージから脱却し難いのも事実です。既存の信頼性を担保しながら、新しい銀行らしさを打ち出していくのは、なかなか容易なことではありません。そうした中で、どうやってデジタルネイティブ世代の心をつかむのか、他行とどう差別化していくのかを考えた時に、これまでの銀行にはない世界観や期待感、それに親近感を瞬時にイメージさせるための設計、つまりブランディングに目を向けたのです」。
Adobe Creative Cloudが内製によるブランディング構築を支援
ブランディングの構築においては、外部パートナーのデザインチームと協力し、ブランディングのベースとなるガイドラインを制定。それらを実際のプロダクトデザインやコミュニケーションデザインなどに展開する段階で、同行ではそうした業務を内製で進めていくことを決定した。
同行のデザイングループは、プロダクト開発関連9名、コミュニケーション開発関連7名の計16名が在籍。外国籍のスタッフを含む多種多彩なバックグラウンドを持った人材が集まっている。スタッフは制作・開発業務における共通ツールとして、Adobe Creative Cloudを活用している。
「最初は社内のスタッフは私一人で、その際にCreative Cloudグループ版を追加しています。それから徐々に2人、3人と増えていき、その都度ライセンスを追加していってます。年間契約でも途中でライセンスを追加できて、更新日を揃えられるというのはいいですね」(中村氏)
同行デザイングループのプロダクトデザイナーとしてアプリの設計・デザイン及びイラストのディレクションを担当する河田 豪 氏は、Creative Cloudを活用する一番のメリットとしてCreative Cloudライブラリをあげている。
「ブランディングに沿った一貫したデザイン・開発を進めていく上で、素材やコンポーネントの共有・管理はすごく重要になります。例えば、みんなの銀行の特徴でもあるイラストが200点以上ありますので、それをいちいち共有サーバーから落として使っていては効率が悪い。Creative Cloudライブラリなら、自分が使っているアプリのパネルから簡単に取り出せるので、かなり重宝しています。銀行のルールとして禁止されている外部デバイスへの接続も不要です。また、アプリの改善や更新が行われるとUIの画面も変わったりしますので、そういった画面のスクリーンショットをライブラリ上で更新すれば、他のメンバーもすぐに新しいものが使えるので、デザインの一貫性に加えて情報の鮮度の維持にも役立っています」。
Creative Cloudの活用範囲は、プロダクトのデザイン・開発のほか、ポスター、バナー広告、ノベルティグッズの制作など多岐にわたる。最近では、動画制作での活用頻度も増えていると、河田氏はいう。
「動画広告もそうなんですが、YouTubeにアプリの使い方動画をアップしていて、それにはAdobe Premiere ProとAdobe After Effectsを使って編集しています。あと、カスタマーサービスの自動音声を社内スタッフの声で録音しているのですが、ノイズがひどかったりすると、Auditionを使ってクリアにしたりしています。こんなふうに色々なツールが揃っているから、自分の持っているスキルをすぐに活かせる、そこがCreative Cloudのいいところですね」。
株式会社みんなの銀行
デザイングループ
デザインディレクター
中村 隆俊 氏
株式会社みんなの銀行
デザイングループ
プロダクトデザイナー
河田 豪 氏
150 万を超えるダウンロード数。 数々の世界的デザイン賞も受賞
サービス開始から1年半が経過し、アプリのダウンロード数は150万、開設口座数は50万に達し、そのうちの70%以上が30代以下のユーザーが占めるという、当初の思惑通りの結果をもたらしている。
また、ユニークなブランディングやプロダクトデザインが評価され、Red Dot Design Award、iF Design Award、D&AD Awards、グッドデザイン賞といった国内外の名だたる賞を受賞。さらに、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルのセミナーに登壇し、みんなの銀行が起こしたビジネストランスフォーメーションについてプレゼンテーションを行うなど、金融業界のみならず、デザインや広告業界など多方面からの注目の的となった。
「“銀行として、海外でもこんなケースはないよ” と、皆さん口を揃えて言います。特に海外での評価が高かったのは驚きでした。これをきっかけに、日本の銀行に対するイメージが少しでも変わると嬉しいですね」(中村氏)
デザインの力であらゆるものをつないでいく
日本初のデジタルバンクをスタートさせただけでなく、内製化によるユニークなブランディングとデザインによって、新しい銀行の形を示したみんなの銀行。現在では、銀行の機能を外部の事業者に提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)事業をはじめ、新しい金融体験の創造に積極的に取り組んでいる。最後に、デザインと内製化がこれからの銀行にもたらす可能性について、両氏に伺ってみた。
「今の時代、一人が一つのものを作り上げるのではなく、色々な人の様々なスキルを組み合わせていかなければ、いいものが作れない。そうした時に内製化は、デザイン、システム、ビジネスに関わる全員が同じ土俵に立って、お互いの認識や意識を確かめ合いながら、ズレのない一貫性のあるプロジェクトを進めていける。決裁者も近くにいるのでコミュニーションも円滑になる。そうなれば必然的にスピードも上がり、クオリティも上がります。そこが内製化の一番大きなメリットだと思います」(中村氏)
「デザインというと、わりと表面上のことと捉えられがちなんですが、結局は課題解決の手段だと思うんです。それも含めてビジネス側、システム側、それから他業種などとも協業していく上ですごくいいハブになる。デザインには、人、モノ、情報、あらゆるものをつなげる力があると思っています」(河田氏)
※掲載された情報は2022年12月現在のものです。
関連するユーザー事例
https://main--bacom--adobecom.hlx.page/jp/fragments/customer-success-stories/cards/1dd2bbbf4ec371da015388edb630d70b
その他のユーザー事例を見る