
会社概要
所在地:東京都港区六本木7-7-7 TRI-SEVEN ROPPONGI 13F
創業:2018年6月1日
事業内容:オンラインプラットフォーム向け動画を中心としたポストテキストコンテンツの企画・制作・プロデュース
導入製品:
課題
新たな動画コンテンツサービスの立ち上げにともなう、ワークフローの早期確立
成果
ビジュアル素材制作の効率化
テロップをはじめとする素材用のテンプレートを作成して共有
番組の表現の幅を拡大
After Effectsの豊富な機能で、テロップエフェクトなど多彩な表現を実現
番組制作のスムーズな進行
直感的な操作性で、異なる習熟度のスタッフでも素材の編集が可能
共有による柔軟性の確保
チーム間でプロジェクトを共有することで、いつでも修正が可能
ソーシャル経済メディア「NewsPicks」の熱心なユーザーであった映像クリエイターの安岡大輔氏は、同社に動画事業を提案。当時は安岡氏一人でPremiere Proを使用し映像編集を行っていたが、その後、月曜〜木曜日の帯で経済ニュースを届ける「LivePicks」や、反応が大きかったライブ動画番組「WEEKLY OCHIAI」も手がけるようになった。現在は制作スタッフも増員し、Premiere Proのプロジェクトファイル共有や、パーツを自動生成するテンプレートを活かしたコンテンツ制作体制を実現している。
「テンプレートやプロジェクトファイル共有を活用することで、スピーディな番組制作のワークフローを実現しました」
プロデューサー 安岡 大輔氏
ミニマムな制作体制でPremiere ProとAfter Effects の運用を開始
「NewsPicks アカデミア」が始まる当初、安岡氏はNewsPicks編集部の記者に随行して企業の記者会見を撮影し、記事の埋め込み映像を作るところから動画の試行運用を始めた。約2時間の会見からどの1分間を切り出すかを考え、「ああでもない、こうでもない」と悩む日々を過ごしたという。
「最初はPremiere Pro内で完結させるシンプルな構成の番組が多く、数は少ないもののAfter Effectsで作ったアニメーションも使用していました。ほかの編集ソフトも使える状態でしたが、私個人が使うとなると、やはりアドビ製品一択でした。初期の頃はすべて内製で、自分でPremiere Proを使ってどんどん編集して、最低限のテロップを付けて出すというミニマムな体制でした」(安岡氏)
その後、人材や機材、場所といったリソース面を徐々にクリアしていきながら、新たに浮上したコンテンツの構想が「NewsPicks アカデミア」内の講義動画サービス「MOOC」だった。このサービスを始めるにあたり、NewsPicksは地上波放送で活躍していた清水誠氏をスタッフとして迎え入れた。
「地上波ではなかなか実現できなかった短尺の課金型コンテンツには、次のステップに進む領域として、以前から着目していました。このコンテンツはまだビジネスとして成立しているサービスがほぼなかったことから、MOOCをゼロベースで立ち上げて、ひたすらコンテンツを作ることに専念しました」(清水氏)
テンプレートを活用してパーツが自動生成されるワークフローを確立
『 WEEKLY OCHIAI』では、Premiere Proのテンプレートを使用することで作業の省力化とスピードを得た。
「番組に必要なCGやテロップをデザイナーがPhotoshopやIllustratorで作成後、フォントやサイズの異なるパターンを用意してもらい、その中から選択できるテンプレートにしました。我々のコンテンツはアプリのサービスなので、映像の配信当日にはNewsPicksの総合トップにバナーを表示して、タップすると動画が視聴できるルームに遷移するようにしています。また、動画ルームで表示させるサムネイルや、SNS上でシェアされた際に表示するOGP(Open Graph Protcol)のイメージ画像などの素材すべてをテンプレートにしています。毎回ゲストの顔写真を配置してテキストを打ち替えるだけで、必要なパーツがすべて自動生成されるワークフローが確立できたのは、アドビ製品で統一している強みです」(安岡氏)
直感的な操作性で制作進行をスピーディに
キャスティングも自社で行うが、ゲストがなかなか決まらないような時でも、テンプレートによってキャスティングが決まったその日のうちにビジュアル素材を作ることができる。
「毎週準備するビジュアル素材は、テンプレートに写真データを入れるだけで、そのまま綺麗にトリミングされるので、ストレスなく作業を進めることができます。こちらは自分で作業する場合もあれば、アシスタントやインターンにやってもらうこともあり、それぞれ習熟度が異なりますが、Premiere Proを使用してプロが編集作業を1人で完結させる場合はもちろん、直感的に操作できる非常によく作りこまれたUI、UXのおかげでスピーディな進行の助けにもなっています」(安岡氏)
豊富なビジュアルエフェクトで広がる表現の幅
「WEEKLY OCHIAI」は水曜日に配信を行い、その週の金曜日頃にツイッターやSNSで1分ほどのダイジェスト版を公開。このダイジェスト版については外部クリエイターが担当し、After Effectsのみで作成されている。
「テロップの出し方など様々なパターンを試行錯誤していった結果、ツイッター上の再生回数も伸びて番組の認知度も高まっていきました。『WEEKLY OCHIAI』に関しては、外部クリエイターさんの存在はもちろんのこと、多彩な機能がそろったAfter Effectsによって、番組内での表現の幅が広がり、より多くの視聴者層へのリーチにつながっていると感じています」(安岡氏)
Premiere Proのプロジェクトファイルをクラウドにアップし、チームで共有編集
「MOOC」は講座番組のため、内容の面白さとわかりやすさが番組の肝になる。番組は毎月40 ~ 50本あり、Premiere Pro のみで編集している。ユーザーの視聴環境によって音声が再生されない場合もあるため、コメントはすべてテロップでフォローしているが、1シリーズ10本につきテロップ枚数は1,000枚を超える。
「テロップ作成作業は、Premiere Proのエッセンシャルグラフィックパネルを使っています。フォントの大きさや色をデザイナーと相談のうえ、書き出し形式まですべて設定したものを準備し、あとは全チームにベースとなるプロジェクトファイルを共有しています」(清水氏)
制作体制としてはシリーズごとにチームを割り振っており、内部制作が1チームと、外部チームとして違う制作会社の合計3チームが連携して制作を行なっている。
「日常業務の中でPremiere Proは各メンバーが使用しています。制作した番組のオンデマンド視聴を促すため、SNSでの拡散用動画を編集するほか、番組の中で使用する自分たちで取材したVTRを編集する場合にも、当然Premiere Proを使います。また、米国に駐在するメンバーと素材をクラウドで共有し、チームプロジェクトで編集作業を進めることも多々あります。リモートワークOKで自由な働き方を掲げているため、複数でプロジェクトの進捗を共有しながら編集できるよう設計されている点は秀逸だと感じます」(安岡氏)
清水 誠氏(左)、安岡 大輔氏(右)
新たな取り組みを模索し、アップデートし続ける“エコシステム”
「今後は、NewsPicks Studiosに関わるメンバーにとって価値のある“エコシステム”を作りたいと思っています。その価値とは、お金かもしれないし、やりがいかもしれないし、現場の空気や場所、何かの権利や共同作業の仕組みそのものかもしれません。新しいことやカッコイイ作品を作るには『NewsPicks Studiosに来ればできる』という世界を創造したいですね」(安岡氏)
同社の番組編成は、新しい映像業界の仕組みづくりにも取り組むという新たな局面に突入しつつある。ユーザーだけでなくクリエイターや技術者も注目するNewsPicksの推進力から、今後も目が離せない。
※掲載された情報は、2019年8月現在のものです。