創造性を新たなレベルに引き上げる
ProSiebenSat.1 PULS 4はAdobe Creative Cloudを使用し、『Farmer Wants a Wife』の企画から制作までのプロセスを加速させています。
40%
コンセプトのプロトタイピング時間が短縮された割合
当日
キャンペーンビジュアルの承認
30%
エピソードやプロモーションのスケジュールを維持しつつ短縮された制作時間の割合
「Adobe Fireflyは発想を拡張するツールを提供してくれます。そのため創造性の限界を押し広げて優れたアイデアを創出し、スピード感を持って真の感動をオーディエンスに提供できます」
Tim Conrad氏
ProSiebenSat.1 PULS 4、クリエイティブコンセプター兼プロデューサー
業界をリードし続けるためにはイノベーションが必要です
オーストリアの農村地帯は愛情にあふれています。農家の人々は特にそうです。20年近くにわたり世界的な人気を博している『Farmer Wants a Wife』は、オーストリアで最も愛されているテレビ番組の1つです。オーストリア最大の民間放送グループ、ProSiebenSat.1 PULS 4が運営するJOYNとATVが放送しています。ドイツ語圏のエンターテインメント業界をリードするProSiebenSat.1 Media SEは、『The Masked Singer』や『Germany's Next Top Model』などの主力番組を提供し、高い評価を獲得しています。
オーストリア版の『Farmer Wants a Wife』は、妻を求める農家の人々を紹介し、国内の美しい農村風景やそこに暮らす人々の生活を称えています。毎年4月になると、わずか26名から成るProSiebenSat.1 PULS 4のクリエイティブチームは、数週間にわたる撮影を終えた後、番組のプロモーションやデジタルアセットを短期間で準備します。これは他のネットワーク番組を掛け持ちする中で行われます。5月中旬にはすべての準備を完了し、JOYNデジタルプラットフォームを通じて番組を放送・配信する必要があります。
地域と関連性の高い優れたエンターテインメントを創出し、競争の激しい市場で勝利するため、チームはドイツ版とは異なる『Farmer Wants a Wife』を制作し、オーストリアのオーディエンスに強い感動を提供する必要があります。このようなニーズを満たすため、クリエイティブ責任者を務めるMartin Härtlein氏とコンセプター兼プロデューサーを務めるTim Conrad氏は、制作プロセス全体を見直し、創造的なイノベーションや効率性を高める必要がありました。
Härtlein氏は次のように述べています。「オーディエンスはオーストリアの農村地帯の恋愛模様や生活が映画のように美しく描かれることを期待します。私たちはこのような期待に極めて短時間で応えなければなりません」
Adobe Firefly、Frame.io、生成AIパートナーモデルなど、AIを活用した各種ツールを含め、Adobe Creative Cloudを活用することにより、チームはアイデア立案、撮影、制作、ポストプロダクションのワークフローを効率化し、創造性を高め、制作価値を強化しています。
創造的なひらめきをストーリーに変える
クリエイティブチームはシーズンごとに新たなストーリーを作成し、オーストリアの美しい農村風景を紹介しています。また、チームは番組の持つ温かい雰囲気を維持しながら創造性を超えるコンセプトを開発し、大胆かつ独創的なアイデアを形にしています。以前はアイデアを可視化する初期段階で大まかな図案を作成し、時間をかけて議論を行っていました。このプロセスは現在、Fireflyの生成AI機能や生成AIパートナーモデルの統合エコシステム(Veo 3、Fluxなど)を活用して加速され、協業的に行われています。
チームはこれらの統合ツールを使用し、Firefly Boardsでムードボードを作成して、風変わりなコンセプト案を可視化しています。たとえば番組のホストがロデオスタイルで牛に乗っているシーンを可視化する場合は、AIプロンプトで「天気の良い高山草原を背景にし、バイエルン地方の伝統的なディアンドルを着て牛にまたがり、空中をジャンプしている楽し気な女性」のように詳細な指示を入力します。チームは生成されたシーンを使用して衣装の色、背景、小道具の調整を繰り返し行い、広告看板に使用する一連のコンセプトを完成させます。Fireflyで検討を繰り返し、リアルなビジュアルを数分で作成することにより、チームはこれまで大規模なモックアップや承認サイクルに長時間を要していたプロセスを1日で完了しています。
Fireflyを導入して以降、チームはプロトタイピング時間を平均40%短縮し、現在は間的制約を気にせず創造性を大限に発揮できるようになりました。
Conrad氏は次のように述べています「Adobe Fireflyは視野を広げるツールを提供してくれます。そのため創造性の限界を押し広げて優れたアイデアを創出し、スピード感を持って心に響く体験をオーディエンスに提供できます」
撮影現場とスタジオをリアルタイムに連携させる
タイトな制作スケジュールは、もはやチームの課題ではありません。連続的なワークフローにより、アイデア立案からポストプロダクション、配信に至るまで、あらゆるプロセスのステップがスムーズに進行します。
Härtlein氏は次のように述べています。「すべてが連携して行われます。あるスタッフが撮影現場にいる間、別のスタッフはウィーンで編集を行い、別のスタッフはソーシャル向けのアセットを作成します。誰もが進捗状況を把握しています。Adobe環境内でひとつのプロセスを連続的に実行しているようなものです。個別のステップとして分断されている印象はありません」
Frame.ioのCamera to Cloud機能を使用すると、撮影が行われている間にプロモーションの編集を開始できます。チームは前シーズンだけで1,200以上のクリップを処理しています。これにはドローンが撮影した152個のショットや、15時間を超えるプロモーションキャンペーン向けの生素材が含まれます。クリップを現場から瞬時にアップロードできるため、スタジオに戻る必要はありません。これは遅延の発生を排除します。編集者はFrame.ioを使用することで、コメントやマークアップのタイムコードを正確に設定することができます。このような要因により、制作時間は全体で30%短縮されました。
Adobe Premiere ProのMedia Intelligenceのおかげで効率性も向上しました。キーワードを入力するだけで、ドローンで撮影した日の出、馬が静止している瞬間を捉えた映像など、最適なショットを検索できます。Conrad氏は次のように述べています。「以前は数時間かかっていた作業を数分で完了できるようになりました。おかげでストーリーを練ることに多くの時間を投入できます」
「 Adobeのクリエイティブな総合プラットフォームを使用すれば、新鮮かつ魅力的なコンテンツを制作できます。そのためシーズンごとに新たな感動をオーディエンスに届けることができます 」
Martin Härtlein氏
ProSiebenSat.1 PULS 4、クリエイティブ責任者
地域に根ざした映画のようなストーリー
Adobe Photoshop内の生成AIによる塗りつぶし機能をサポートするFireflyは、ポストプロダクションでも重要な役割を果たします。ロケ映像を強化し、視聴者が求める映画のような美しい画像を実現します。
アルプスの谷はより広大に見え、夕日が沈む速度は少しだけ緩やかになります。フレーム内に映り込む機材など、気になる障害物はシームレスに除去できます。Härtlein氏は次のように述べています。「私たちは人々が求めるオーストリアを創造しています。そうすることで信憑性を維持しつつ、大きな感動を提供しています」
あるキャンペーンでは、撮影が難しい家畜のBロール映像(背景素材)をFireflyで作成できました。短いクリップを延長してショットを調整することにより(鶏がカメラの正面を向いているように見せるなど)、不完全な映像を洗練された適切なコンテンツに変換できます。再撮影する必要はありません。Conrad氏は次のように述べています。「動物はこちらの都合に合わせて向きを変えてくれません。現在は延長や調整を行うことで、これまで破棄していたクリップも有効に活用できます。そのため制作スケジュールを維持できるだけでなく、質を高めることができます」
シンプルな方法で自由に創造する
FireflyのプロトタイプやAdobe After Effectsモーショングラフィックスを含め、Adobeエコシステム内で作成されるすべての要素は、商用利用を前提に設計されています。そのためチームはサードパーティベンダーとの契約やライセンスの交渉に手間をかける必要はありません。Härtlein氏は次のように述べています。「現在はすばやく行動できます。法的審査の手間を省き、迅速に放送、ストリーミング、ソーシャルチャネル用のコンテンツを準備できます」
放送やオフライン環境で実績済みの成果
この成果重視のワークフローは、最優先事項である映像とオーディエンスに大きく貢献します。
『Farmer Wants a Wife』は前回のシーズンで平均14%の視聴率を達成しています。これは12~49歳の視聴者層が占めるオーストリア市場シェア全体の半分以上に相当します。この成功はJOYNに対する視聴者エンゲージメントを大幅に高め、オーストリアで最も愛されている番組として地位を強固なものにしました。
Conrad氏は次のように述べています。「私たちは自信を持って迅速に行動できるようになりました。おかげで毎年、より良い番組を制作することに専念することができます」
次のシーズンに向けて準備する
Conrad氏とHärtlein氏は共に創造性の限界を押し広げる新たな方法を探求しています。チームは生成動画をテストし、各種のFireflyパートナーモデルを活用し、反復的なタスクを自動化することで、ストーリーテリングの構築に多くの時間を投入しています。
Härtlein氏は次のように述べています。「私たちの目標はメディア制作レベルを継続的に高め、ストーリーテリングを刷新することにあります。Adobeのクリエイティブな総合プラットフォームを使用すれば、新鮮かつ魅力的なコンテンツを制作できます。そのためシーズンごとに新たな感動をオーディエンスに届けることができます」