RIZAP株式会社
1年間で約5,300件のリード、問い合わせ約180件獲得
導入製品:
目先の新規獲得のためのキャンペーン施策に終始し、店舗との情報共有の齟齬も起こりがちだった。
誤った情報の流布によって入会の検討期間が長期化し、離脱、広告コスト増につながっていた。
未予約、未来店、未契約、休会といった 未稼働のユーザーへの施策が求められていた。
顧客とのエンゲージメント向上施策により、短期間で予約率11%改善、来店率31%改善を達成
ターゲット、コミュニケーション設計に基づいたメールコミュニケーションでメール開封率43~58%、クリック率15~22%を達成
資料請求施策のみで1年間に約5,300 件の新規リードを獲得し、問い合わせも約180件を獲得
太っていた著名人のモニターが見違えるように引き締まったボディで登場する――そんな印象的なビフォーアフターCMを掲げ、急成長を遂げてきたRIZAPグループ株式会社。今やパーソナルトレーニングジム「RIZAP」でのダイエット・ボディメイクに加え、英会話、ゴルフ、ヘルスケアなど幅広いジャンルで、夢の実現に取り組む人々をサポートしている。
業績もボディメイク事業の累計会員数14万人突破※と好調に推移しているが、一方で競合企業も増え、広告獲得コストも増大していくという課題も浮上。
そんな中、同社ではある"気づき"を得たのを機に、従来のCM頼りの新規獲得、単発のキャンペーン偏重から脱し、長期スパンでの顧客体験の提供と関係構築、LTV最大化を目的とするマーケティング戦略にシフトし、高い成果を上げている。
その狙いと具体的なマーケティング施策、成果について、同社の澤本陽介氏と三浦久愛氏に聞いた。
澤本氏はIT関連企業などを経て、2017年同社に入社。新規サービス開発プロジェクトなどに従事後、18年10月より既存・休会ゲスト(会員)に向けたCRMを行う責任者を担うこととなる。
当時の課題感として「CMをはじめとする強い広告コミュニケーションを軸に、スタッフの目標や行動も売上・利益につながる新規獲得、新規ゲストへの対応に偏っていました」と明かす。19年2月初旬から、CX戦略の立ち上げの任を受けた澤本氏。まずは戦略を構築する上で新規ユーザー、既存ゲストへの調査を実施する。
そこで気づいたのがデジタル上にRIZAPについて正しく取得できる場、コンテンツが不足しているがゆえに、誤解、迷いが生じ、問い合わせから契約までの期間が長期化しているという実態だった。
「webサイトに誘導され、問い合わせに至るまで、ユーザーの約60%が3日以上~90日間の検討期間を経ており、40日以上に及ぶユーザーも50%いました」(澤本氏)
そこで、次の3つの施策を掲げ、カスタマージャーニーに合わせたファネルを構築。長期スパンで顧客関係の構築に取り組むこととなる。
1. 検討期間短縮と問い合わせ獲得を目指した資料請求施策とナーチャリング
2. 問い合わせ後に離脱したユーザーを「未予約」「未来店」「未契約」「トレーニングセッション未開始」「未再契約」というセグメントごとに育成する。
3. 2.で契約に至らなかったユーザーを含めた未入会・休会セグメントへの定期的なキャンペーン実施
澤本 陽介 氏
三浦 久愛 氏
そのツールとして、Marketo Engageを導入した理由として、「当社ではSalesforceとDWHで構成されているCRM基盤を使っておりその連携を重視しました」と澤本氏。ITに精通していないメンバーでも使いやすいかといった操作性も考慮したと言う。
同社ではITに精通するメンバーが少なく、システム関連業務は澤本氏と社内のIT担当者で進め、Marketo Engageでのシナリオやコンテンツの実装はコンサルタントの力を借りてカバー。
また、「課題であるユーザーの誤解を解消するにはコンテンツが何より重要という観点から、デジタル力より顧客想像力と編集力のスキルを重視し、メンバーをアサインしました」と澤本氏は語る。
その一人が三浦氏。「DM制作やコールセンター業務など異なるキャリアを持つ4名のメンバーで、検討中の方やゲストの不安、悩みといった心理・行動などの洗い出しから始めました」(三浦氏)。得意分野を生かし、コンテンツ制作になるべく集中できる体制を作ったことが、後に掲げる成果にもつながったと言えよう。
また、その観点からシステム連携においても「即時性と単純化」を重視。
顧客のデータはSalesforceとDWH上に蓄積。Marketo Engageとの連携により、ゲストのステータスを約5分に1回のペースでデータを飛ばす仕組みを構築した。「ステータスの変化に合わせ、スピーディーに次のコミュニケーションを実施できるようにしました」(澤本氏)。
コンテンツ制作や開発についても外部リソースを最大限に活用。「パートナーであるルシダス社やビジネス アソシエイツ社のサポートも受けながらワークショップなどを実践しました」と三浦氏。顧客の悩み事を定義し、その温度感(COLD/WARM/HOT)と掛け合わせたコンテンツのタイトル案をメンバーで協議。半日で218本ものタイトルを考案したという。
こうして84営業日で導入準備を完了し、19年6月後半から実際に施策をスタート。すると29営業日で予約率が11%アップ、来店率は31%アップを達成。20年4月時点でも未予約率は15%→2%程度に、未来店率も24%→20.8%と改善されるに至った。
新規ユーザーの検討期間の短縮に向けては、ダウンロードによる資料請求施策を19年8月よりスタート。「クリエイティブテストなどの改善をくり返し行うことで、約1年で約5300件のリードを獲得、問い合わせも約180件獲得、広告獲得コストの約1/50程度で運用できています。検討期間の長いユーザーのサポートにもつながる有効な施策を確立できたのは非常に嬉しく、今後もPDCAを回していきます」と三浦氏。
現在、Marketo Engage上に3事業、9カテゴリー、累計100個程度の施策を回しているが、「店舗のスタッフならばどんなメッセージをゲストに伝えるのか。その思いを共有し、一貫性あるメッセージを届けることに注力しています」と制作にかける思いを語る三浦氏。丁寧なコミュニケーションを実践することで、メール開封率も43~58%、クリック率も15~22%を恒常的に実現している。
また、Marketo Engageの施策活動ファネルを全社で共有することで、「他部署のメンバーとのコミュニケーションも円滑になり、クロスチャネルでの施策もしやすくなりました」と三浦氏は言う。
コロナ禍を受け、既に実践しているバーチャル店舗見学のウェビナーに加え、「今後は不特定多数の方も受けていただけるようなオンラインレッスンのリリースも検討しています」と澤本氏。
良質な顧客体験の提供により、RIZAPの価値を正しく提供し、多くの人の夢を応援するというチャレンジはまだまだ続く。
※掲載された情報は2020年10月現在のものです。