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画像生成AIも活用したクリエイティブ内製化を多様な部門で推進

西武鉄道株式会社

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創業

1912年

所在地:埼玉県

https://www.seiburailway.jp/

300

ライセンス数

導入製品:

課題

・デジタルネイティブ企業への転進に向け、画像生成AI の導入を検討していた

成果

・直感的な操作性で、デザイン制作の経験がない社員でも高品質なコンテンツを作成可能に

・コンテンツの一部を内製化することで、コスト削減に貢献

・AI活用のハードルを下げ、社員が日常的に生成AIを利用する組織文化を醸成

・マーケティングから現場まで、多様な部署での業務効率化に貢献"

「最新テクノロジーが社内業務のあらゆる場面で利活用される、デジタルネイティブ企業への転進を目指す」

西武鉄道株式会社 情報システム部

「デジタルネイティブ企業への転進」という西武鉄道情報システム部の長期ビジョンに基づき、西武鉄道はAdobe Expressを導入した。対面トレーニングと現場に即したユースケース提示により、当初の100ライセンスから300ライセンスに拡大。マーケティング部での広告内製化や工務部の動画作成など、現場からオフィスまで多様な部門で活用が進み、新しい技術への意識改革を実現している。

デジタルネイティブ企業への転進に向け、画像生成AIの導入を推進

西武鉄道情報システム部では、西武グループ長期戦略 2035・中期経営計画(2024~2026年度)に基づき「デジタルネイティブ企業への転進」という長期ビジョンを掲げている。最新テクノロジーの活用に向け、まず全従業員がChatGPTなどの対話型生成AIを利用できる環境を整備した。その次のステップとして、「新たなソリューション展開をプロアクティブにチャレンジする」という重点テーマに沿って画像生成AIに着目。社内資料やポスター制作への活用を検討し始めた。

「いきなり生成AIを使ってくださいと言われても社員の方々が困ってしまうので、まずは新しい技術に触れてもらうこと、慣れてもらうことを目標としました。各部署での成果は特段求めず、まずは画像生成AIとはどんなものか、どんなことができるのかを感じてほしい。そのような思いから、利用を開始しました」と情報システム部の内田氏は話す。

同社が最初に目をつけた画像生成AIは、Adobe Fireflyだった。情報システム部では、画像編集におけるアドビ製品の認知度の高さと信頼性を考慮して、Adobe Fireflyを利用できる製品を探していた。そのとき、アドビからAdobe ExpressでAdobe Fireflyの生成AI機能の商用利用ができると紹介されたという。

「Adobe Expressの存在を知った後アドビさまに相談し、わかりやすいUI、また手軽に操作できるUIも魅力的だったことから本格的にAdobe Expressの導入を開始しました」(内田氏)

株式会社西武ホールディングス 情報システム部(西武鉄道担当)主任 佐藤 重樹氏 (右)

株式会社西武ホールディングス 情報システム部(西武鉄道担当)主任 内田 貴子氏 (右中)

西武鉄道株式会社 マーケティング部 入口 愛梨奈氏 (左中)

西武鉄道株式会社 マーケティング部 前澤 佐帆氏 (左)

Adobe Fireflyとの連携、著作権問題をクリアした点を評価

当初は他の画像生成AIのソリューションの提案も受けていたが、Adobe Expressが要件にマッチしていたため、他のサービスを検討する前にアドビ製品の導入を決定した。

「わかりやすいUI以外にも、Adobe Fireflyで生成した素材をAdobe Expressに遷移してテキストを追加したり彩度やコントラストなどをすぐに編集でき、画像編集・デザイン制作との親和性が非常に高い点が魅力的でした。『これ以上の選択肢はないだろう』と、満場一致でスムーズに製品が決まりました」(内田氏)

著作権や倫理に配慮され、安全に利用できることも重要だったと情報システム部の佐藤氏は語る。

「生成AIを利用するにあたり、著作権の問題をクリアできるか懸念していましたが、Adobe Expressのテンプレートや素材を使用して作成したチラシやバナー、ロゴなどは基本的に商用でも利用が可能だと分かりました。安全性の確認が取れたことも、選定における重要な要素となりました」(佐藤氏)

「画像」の概念を拡張し、多様な部門での活用事例を創出

2024年2月から100ライセンスを導入したAdobe Expressの社内展開は、情報システム部が中心となって実施したアドビの有償トレーニングから始まった。しかし、各部門とのディスカッションやヒアリングで浮き彫りになったのは、画像生成AIに対する誤った認識であった。画像というとクリエイティブ業務のイメージが強く、「クリエイティブな業務をしていないから、自分の業務にはマッチしない」という意見が多く出てきたのだ。

「『画像』という単語が戸惑いを生んでしまったようです。そこで、WEB会議用のバーチャル背景などを例に挙げて身近なユースケースを伝え、業務で利用するイメージが湧きやすくなるように心がけました。また、他の生成AIにはない構成参照機能があるので、より画像の生成がしやすくなることも伝えました」と内田氏は説明する。

使い方のトレーニングは対面形式で行われた。「皆で集中して手を動かすことで、Adobe Expressでできることへの理解を深めていただきたいという思いから、対面形式でのトレーニングにこだわりました」と内田氏は語る。トレーニングには、線路の保守・管理などを担う工務部といった現場で働く社員から本社勤務の社員まで、さまざまな部署のメンバーが参加した。マーケティング部の入口氏は「Adobe Expressの豊富なテンプレートを教えてもらってからは、デザインの方向性を決めやすくとても参考にしています。トレーニングで作った似顔絵付きのバーチャル背景も好評で、会話のきっかけになることがあります」と振り返る。

現在西武グループでは300ライセンスを契約し、トレーニングで得た知識を基に各部署で活用されている。マーケティング部では「SEIBUスマイルリンク」に関するキャンペーンの告知物の内製を実現し、電車内広告動画も入口氏が手がけた。「Smileビジョン(電車内のドア上部の画面)で流す15秒のCMをAdobe Expressのテンプレートを使い作成しました。従来ならアウトソーシングしていた作業をわずか1週間ほどで内製できました」(入口氏)

小学校6年生までを対象とした会員サービス「西武鉄道キッズクラブ」を担当するマーケティング部の前澤氏も、イベントで使用するポスターの制作などにAdobe Expressの機能を駆使している。「背景削除機能や画像リサイズ、生成AIによる画像拡張など、日常的に活用しています。イベント用のポスターはAdobe Expressのテンプレートからアレンジして半日程度で作成できました」(前澤氏)

工務部では、工事の内容を近隣住民に分かりやすく説明するための動画制作にAdobe Expressを活用。工事車両の動きや作業内容をイラストとアニメーションで説明した動画をYouTubeで公開している。「動画編集の経験がなくても、クオリティの高い動画を作ることができます」と内田氏は評価する。

Adobe Expressの導入は、プロフェッショナル向けのツールの習得を諦めた部署にも新たな可能性をもたらした。「以前、専門的な動画編集ソフトを導入したものの操作が難しく断念した部署も、『Expressなら使いこなせる』と実感したようで、再度制作にチャレンジしています」と佐藤氏は説明する。

左:キャンペーン動画 (マーケティング部)、右:西武鉄道キッズクラブ イベント用ポスター (マーケティング部)

イベント販売用オリジナルステッカードリンク (事業運営部ステーションリテール担当)

※夜間に作業する保線機械「マルチプルタイタンパー」の紹介 (⼯務部)
https://www.youtube.com/shorts/6dB5ux-ZTaU

部門を超えた活用ノウハウの共有で社内コミュニティ形成を目指す

情報システム部では、Adobe Expressの定着支援を継続し、業務のあらゆる場面での利活用を目指している。内田氏は「さまざまな部署からノウハウが生まれ始めているので、それを横展開し共有する場を設けたいと考えています。部門を超えた情報共有ができる社内コミュニティを形成していきたいです」と語る。

マーケティング部の入口氏は「メルマガに挿入する画像やウェブページに入れる画像など、アウトソーシングしなくても自分たちで作れることを社内に広めていきたいです。また、自分でも気づいていない活用法を知るために、他の方がどのように使っているか知る機会も欲しいです」と話す。

「新しい技術の導入に慎重な人も多いですが、トレーニングで触れる人が増えていくことで、良い流れができています」と入口氏は評価する。「デジタルネイティブ企業への転進」という長期ビジョンに向けた一歩として、Adobe Expressの活用はますます広がっていくことだろう。

※掲載された情報は、2025年3月現在のものです。

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