地域に根差し愛されるショッピングモールを運営。各店舗ごとのPOP制作をCreative Cloudで内製化

株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク

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創業

2005年

所在地:東京
https://www.createlink.jp/

外注していたPOPを内製化することで制作費を大幅カット

導入製品:

課題

販促ツールに関するテナントからの要望への迅速な対応

成果

テナントへの対応がよりスピーディに

デザイン内製化でテナントからの要望も数時間で対応可能に

ライブラリで素材収集を効率化

テナントのロゴなどをライブラリに登録、素材収集などの繰り返しの作業が50%も削減

トータルコストの大幅な削減

外注していたPOPを内製化することで制作費を大幅カット

デザインクオリティの統一

制作環境がCreative Cloudでそろったことでデザインクオリティの統一が実現

大型ショッピングモール「アリオ」をはじめとした全国26店の業態開発や、テナントリーシング、運営管理を行う株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク。地域に調和し愛されるショッピングセンターを目指す同社は、外注していたチラシやポスターといった印刷物を、各店で内製化できるようにアリオ全店へCreative Cloudを導入。社内研修を通じてデザインオペレーションを教育し、テナントの細かなニーズへの迅速な対応とコスト削減を実現している。

「各店舗でデザインオペレーションを内製化したことで、迅速なテナント対応とコスト削減が実現しました」

野村 仁志氏

営業本部 PM 業務部 マネジャー

地域に密着するため‟ 小回りの利く” 内製化を推進

株式会社セブン&アイ・クリエイトリンクが開発・運営するショッピングモールは「地域密着」が売りだ。オープン12年目を迎える「アリオ西新井」(東京都足立区)では、都内有数の厄除け大師として有名な「西新井大師」とタイアップし、4 月の灌仏会(花祭り)や7月の「風鈴祭り」など、西新井大師の年間行事にあわせた催し物を企画。「夏の風鈴祭り」と題して、風鈴をテーマにしたオブジェの展示や風鈴作りの体験イベント、テナントで扱っている浴衣をエントランスにディスプレイするなど、様々な方法で訴求を図っている。さらに“小回りの利く制作”を実現するにあたって、広告代理店に外注していたチラシやポスター、店頭掲示用POPなどの「内製化」を進めるためにCreative Cloudを導入した。その結果、スピーディな対応はもとより、導入以前の販促物よりもデザイン面でのクオリティが大幅にアップしたという。

「テナントのみなさまから、『こんなPOPツールが欲しい』『店頭掲示のここを修正してほしい』とご要望を頂いたときに、管理事務所としては早い対応が必要です。その都度、外注する時間はないので内製化を進めることはとても重要でした。また以前は、掲示物の制作方法も店舗によってまちまちで、Creative Suiteを単体購入して販促物を制作する店舗や、ほかのオフィスソフトで制作している店舗などがあり、制作物のクオリティに差が出ている状況でした」と、内製化を進めるにあたっての課題をアリオ西新井の営業・販促担当マネジャー江まゆこ氏は語る。

制作環境を整えつつ、研修プログラムを開始

本部のPM 業務部でアリオ全体の販促企画を推進する野村仁志氏も、「全店統一のキャンペーンの場合は本部でデザインを制作していますが、アリオ西新井の『夏の風鈴祭り』のような個店施策は、各店舗の担当者が地域の情報やエリアマーケットを踏まえて企画・制作するのが強みです。しかし、デザイン作成できる店舗のスタッフが退職してしまうと、外注に頼らざるを得ないという状態でした」と、内製化の難しさを口にする。また外注した場合のクオリティとコスト面にも課題があった。

「外注しても、デザインはオシャレだけどフォントが読みづらかったりなど、望むようなデザインが一回で仕上がってくることはなかなかありません。そこでまたやり取りが発生してしまうので、さらに時間や追加コストがかかっていました」と、外注した場合のクオリティやコストに対しての課題を江氏も語る。

そこで本部は、アリオ各店舗での内製レベルを上げるべく、2018年にCreative Cloudグループ版を導入。アリオ20 店舗に1 ライセンスずつ付与し制作環境を整え、デザインオペレーションの研修プログラムを実施した。研修センターにPCを用意し、ハンズオンで操作方法や、デザインする上で留意すべきポイントなど、最低限押さえておくことを教育。実務担当者がスキルアップすることで作業効率を高め、クオリティレベルの底上げを図った。

迅速な対応で専門店からの信頼も向上

全店統一施策であるnanacoポイントや季節ごとのキャンペーンのPOPは、本部からベースとなるデザインフォーマットを各店舗に送付し、実施期間や地元独自の情報を各店舗で追加して作成している。また、個店施策や夏季・冬季のセールなどは、複合機でのチラシ出力に加え大判プリンターも導入したことで、ポスターをはじめとする大きな印刷物も管理事務所内で出力が可能となった。

「各店舗で掲示してもらうチラシやポスター、フラッグなどのPOPはIllustratorで制作しています。セール期間中に各店舗の企画内容が変わることも多いので、朝テナントから変更依頼があった場合は、昼前には届けられるスピード感を心がけています。ほかにも、テナントから募った集合企画のポスターを作るときなど、今までは各テナントのブランドロゴ素材を集めるのに手間取ることもありましたが、今はすべてライブラリに登録してあるので、これだけでも従来の半分以下の作業時間で作成できるようになりました。また、統一施策の一環で各店制作するものもありますが、テンプレートをライブラリで共有することで、デザインの統一ができるようになりました」(江氏)

個店施策の制作物のクオリティ向上にはAdobe Fonts、Photoshopも一役買っている。

「Adobe Fontsでプロユースに近いフォントを使える点が良いですね。PCにもともと入っているフォントでは、どうしても目を引くデザインを実現できませんでしたが、Adobe Fontsを使用すれば一気に見た目がよくなります。また、テナントの方が店頭で撮影した写真画像を提供いただくこともあるのですが、研修で教わったPhotoshopのホワイトバランスやシャドウ、ハイライトといった色調補正を行うだけでも印象が良くなるので非常に助かっています。特に料理などは商品写真の印象が売り上げに影響しますからね」と、江氏は研修で得たスキルの効果も語る。

トータルコストの削減とスムーズな運営にも貢献

Creative Cloud導入によって進んだ内製化は、コスト削減にも大きく寄与している。

「例えば、ひとつの企画のチラシを広告代理店に外注すると数十万円は掛かります。企画は年に約10本はあり、それが20 店舗分あると換算すると、内製化によるコスト削減効果は非常に大きいと感じています」と野村氏。

内製化で削減されたコストはPC・周辺機器の整備に充て、さらにCreative Cloudの使用環境を整える考えだ。

店頭掲示物だけではなく、配布用チラシやイベント告知の大判ポスターなども内製化が進む。

レイアウトマニュアルを作成し、高レベルなデザインを担保していく

今後の課題は、デザインオペレーションのマニュアル整備とデザイン研修のさらなる充実だ。現状、年1回の研修を、今後は月1回にまで増やすなど、研修体制を充実させる考えもあるという。

「販促物のデザインオペレーションはできる人がまだ限られているので、人の入れ替わりがあるとクオリティが安定しないという課題があります。そこで“ポスターの場合はこの位置にロゴを入れる” などしっかりとしたマニュアルの整備とさらに研修の充実は不可欠です。最終的には統一施策のビジュアル提案もスキルの高いスタッフから募ることができれば良いですね」と野村氏は今後の展望を語る。

Creative Cloud で制作された各店の掲示物には企業理念である“街に「温かい灯」をともす” という言葉に即したコンセプトが十分に生かされつつ、アリオ全店でのイメージ統一も図られた。今後も使用環境の整備や、定期的に行われる研修で得られたスキルで、地域密着の様々な取り組みを伝えるため、さらに高いレベルでのPOPやチラシが店頭を賑わせていくことは間違いないだろう。

※掲載された情報は、2019年7月現在のものです。